年金の繰上げ?繰下げ?

最終更新日

長寿化が進んでいます。

厚生労働省「平成28年簡易生命表」によると、男性の平均寿命は80.98歳、女性の平均寿命は87.14歳となりました。前年と比較して、男性は 0.23年、女性は 0.15年伸びています。

こうした長寿社会を経済的に支えているのが公的年金。年金の支給開始年齢は、原則として65歳となっていますが、その支給を早めたり、遅くしたりできることをご存知でしょうか。

今回は、年金の繰上げと繰下げについてみてみましょう。

繰上げ受給と繰下げ受給

公的年金は、老齢基礎年金も老齢厚生年金も65歳からの支給が原則です

しかし、必ずしも65歳から年金を受給しなくても構いません。

年金の繰上げや繰下げという制度があるからです。

年金の繰上げ受給とは、65歳まで待たずに、60歳から65歳になるまでの間に請求を行い、繰上げて年金を受け取ることをいいます。一方、年金の繰下げ受給とは、65歳で請求せずに、受給開始を66歳以降70歳までの間に繰下げて年金を受給することです。

年金の減額と増額

年金を繰上げて受給すると、早くもらえる分、年金額が減らされます。

例えば、60歳から受給した場合、その支給率は70%となります。65歳になっても増額されることはなく、生涯減額された年金となります。一度請求したら、取り消せません

一方、年金を繰下げて受給すると、受給が遅くなる分、年金額が増やされます。

例えば、70歳から受給した場合、その支給率は142%となり、生涯増額された年金を受け取ることができます。年金の繰下げは、年金を増やす方法として知られています。

年金の繰上げ、繰下げは月単位で行うことができ、繰上げをした場合は、繰上げした月数に応じて1ヶ月当たり0.5%減額され、繰下げをした場合は、繰下げした月数に応じて1ヶ月当たり0.7%増額されます

以上が、年金の繰上げと繰下げの概略です。

なお、現在は特別支給の老齢厚生年金という制度があり、65歳より前に年金が支給される場合があります。

これは、制度改正により、55歳や60歳から支給されていた厚生年金を65歳からの支給開始としましたが、一気に年齢を引き上げると影響が大きいため、受給権者の性別や生年月日に応じて段階的に遅らせるという経過措置によるものです。

性別や生年月日により類型が異なりますので、繰上げ受給との関係など、詳細は年金事務所で確認をしてみましょう。

繰上げ・繰下げの損と得

老齢基礎年金で繰上げ・繰下げの損得をみてみましょう。

平成30年度の老齢基礎年金は、年額779,300円です。これを60歳から受給した場合には、減額されて年額545,510円となります。

一方、70歳から受給した場合には、老齢基礎年金は増額されて、年額1,106,606円となります。

原則の65歳から受給した場合に比べ、60歳から受給した場合には概ね75歳より長生きした場合に損をすることになり(受給総額が少なくなる)、70歳から受給した場合には概ね81歳より長生きすれば得をすることになります(受給総額が多くなる)。

日本年金機構の「ねんきんネット」では、受給開始年齢を変更する場合のシミュレーションができます。また、年金事務所でも繰上げや繰下げの相談は可能です。

自分の寿命は誰にも分かりませんから、何歳から年金を受給するのが一番良いかも分かりませんが、興味のある方は一度相談をしてみてはいかがでしょうか。




角村俊一

社会保険労務士/介護福祉経営士/認知症サポーター/2018年度・17年度「介護労働者雇用管理責任者講習」講師/2017年度「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター/2018年度「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー ほか