科学的介護とは?

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超高齢社会において、なくてはならない介護保険。

2025年以降、75歳以上の人口及び総人口に占める人口比は2040年頃まで増加すると見込まれており、介護サービスへの需要も大きく増加すると予想されています。

こうした中、制度の持続可能性を確保し、介護保険本来の目的である「高齢者の尊厳を保持し、自立した日常生活を支援する」ため、できないことをやってあげるという従来の「お世話型介護」ではなく、エビデンスに基づいた自立支援・重度化防止等を進める「科学的介護」が注目されています。

科学的介護とは、科学的裏付けに基づく介護のこと。

厚生労働省では、2017年10月から「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」を開催してきており、今年7月、「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会 取りまとめ」を公表しました。

「介護分野においても科学的手法に基づく分析を進め、エビデンスを蓄積し活用していくことが必要」であるとか、「エビデンスに基づいた質の高い介護サービスを確立していく」という文言が並びます。

「Aという状態の高齢者に、Bというケアを行ったところ、Cという効果が得られた」などのような根拠に基づく介護サービスが確立すれば、効果的な自立支援や重度化防止につながり、また、介護現場におけるサービス提供も効率化されると期待されています。

現在、厚生労働省ではエビデンスの構築に向けていくつかのデータベースを稼働させており、2020年度には新たなデータベースである「CHASE」(チェイス)の本格運用を目指しています。

今後、介護事業所には自立支援・重度化防止という成果が求められ、その成果がエビデンスとして国に蓄積されます。そして、これらが現場にフィードバックされることで、更なる科学的介護が推進されます。

現行の介護保険制度では、例えば、高齢者の要介護度が3から2へ改善したとすると、介護事業所が受け取る報酬は減ってしまいますから、要介護度の改善という意識を高く持ちにくい構造となっています。

しかし、科学的介護の進展とともに、介護報酬についても見直しが図られることでしょう。

今後の介護保険をめぐる議論の行方に注目したいと思います。

角村俊一

社会保険労務士/介護福祉経営士/介護職員初任者研修修了/2018年度・17年度「介護労働者雇用管理責任者講習」講師/2017年度「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター/2018年度「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー ほか