1.塗り絵の説明
実った稲が広がる田んぼに、束ねた稲、収穫かご、鎌を描いた塗り絵です。稲束を大きく配置しているため、黄金色、薄茶色、緑などを広い面に塗りやすくなっています。
稲刈りは、農作業の経験がある人だけの題材ではありません。通学路から見た田んぼ、新米の香り、家族から聞いた話、地域の景色など、さまざまな入口があります。農作業をした経験があると決めつけず、本人の言葉から話題を選びます。
鎌が描かれているため、道具の扱い方や昔の作業へ会話を広げられますが、塗り絵の実施時に実物の刃物を用意する必要はありません。
2.画像


色見本と同じ色に塗る必要はありません。本人が選んだ色や好きな色を大切にしてください。
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3.塗り絵を始めるときの声かけ
- 「稲刈りの時期の田んぼを描いた絵です。少し見てみませんか?」
- 「手前の大きな稲束から塗ってみますか?」
- 「田んぼを何色にすると、秋らしく見えそうでしょう?」
- 「かご、鎌、稲の中で、気になるものはありますか?」
- 「塗るよりお話ししたい気分なら、それでも大丈夫ですよ」
4.塗り絵中の声かけ
- 「実った稲は、どんな色に見えますか?」
- 「稲刈りのころは、暑さが残っていましたか。それとも風が涼しかったですか?」
- 「新米の時期に、よく食べたおかずはありましたか?」
- 「このかごには、ほかにどんなものを入れて使えそうでしょう?」
- 「鎌で刈る作業と機械で刈る作業では、景色も音も違いそうですね」
- 「田んぼの近くでは、どんな鳥や虫を見かけましたか?」
- 利用者さん:「昔はみんなで刈った」
介護士:「大勢で作業したのですね」
さらに:「家族だけでしたか、それとも近所同士で手伝い合いましたか?」 - 利用者さん:「機械が入って楽になった」
介護士:「機械が入る前と後を知っているのですね」
さらに:「時間や人数、音など、いちばん変わったと感じたのは何でしたか?」
5.介護士が知っておきたいポイント
農作業の記憶には、達成感だけでなく、重労働、けが、不作、家族の苦労などが含まれることがあります。「懐かしいでしょう」と感情を決めず、本人の表情と語り方を見ながら聞きます。
- 稲を黄色に塗らなくても訂正しない
- 完成や全面着色を目標にしない
- 農家だった、農作業が得意だったなどと決めつけない
- 鎌の話で事故やつらい記憶が出たときは、深掘りを急がない
- 稲穂の細かな部分が見えにくい場合は、無理に一本ずつ塗らなくてよいと伝える
- 手首や指が疲れやすい人には、太めの画材や休憩を提案する
- 話を聞くだけの時間になってもよい
6.稲刈りにまつわる年代別の出来事・暮らし
昭和10年代(1935〜1944年)
多くの地域では鎌を使って稲を刈り、束ね、運ぶ作業を人の手で行っていました。家族や近隣で助け合う形もありましたが、作業方法や道具は地域や田の条件によって異なります。
昭和20年代(1945〜1954年)
戦後の食糧事情が厳しい時期には、米の収穫が暮らしへ与える重みを強く感じた人もいます。作業は手作業が中心で、天候を見ながら刈り取りや乾燥を進めました。
昭和30年代(1955〜1964年)
農作業を助ける機械が少しずつ導入されましたが、全国で一斉に置き換わったわけではありません。手刈りと機械作業が同じ地域・同じ家庭の中で併存した時期もあります。
昭和40年代(1965〜1974年)
刈り取りや脱穀を効率化する機械が広がり、必要な人数や作業時間が変化していきました。一方、土地の広さや地形によっては手作業が長く残りました。
昭和50年代(1975〜1984年)
機械化がさらに進み、地域総出の作業から家族単位の作業へ変わったと感じる人もいます。稲を干す風景、機械の音、新米を食べた日など、記憶の残り方は人それぞれです。
