1.塗り絵の説明
ぶどう棚から下がる大きな房と、かごに収穫したぶどうを描いた塗り絵です。粒を大きめにしているため、一粒ずつ色を変えたり、房ごとに紫・赤・緑へ塗り分けたりできます。
9月は多くの産地でぶどうの収穫を楽しめる時期です。ただし、品種や地域によって収穫期は異なります。「ぶどうは紫色」という一つの正解にせず、好きな色や食べてみたい色を選んでもらいます。
ぶどう狩り、贈答品、運動会のお弁当、家族で分けて食べた記憶など、食と外出の両方から会話を広げやすい題材です。
2.画像


色見本と同じ色に塗る必要はありません。本人が選んだ色や好きな色を大切にしてください。
介護の仕事と暮らしを、ちょっと良くする選択肢
働き方を見直したいときや、毎日の負担を減らしたいときに役立つサービス・商品を紹介します。
3.塗り絵を始めるときの声かけ
- 「ぶどう棚に大きな房が実っている絵です。見てみませんか?」
- 「紫、緑、赤の中では、どの色から使ってみたいですか?」
- 「一房を同じ色にしても、一粒ずつ変えてもよさそうですね」
- 「ぶどうと葉では、どちらから塗ってみましょうか?」
- 「全部塗らず、好きな房を一つ選ぶだけでも大丈夫です」
4.塗り絵中の声かけ
- 「甘そうに見えるのは、どの色のぶどうでしょう?」
- 「皮ごと食べるぶどうと、皮をむくぶどうでは、どちらになじみがありますか?」
- 「ぶどうを冷やして食べるなら、どのくらいが好みですか?」
- 「このかごいっぱいのぶどうを、誰と分けて食べたいですか?」
- 「果物が食卓に出るのは、食後、おやつ、特別な日のどれが多かったですか?」
- 「ぶどう畑へ行くとしたら、晴れの日と少し曇った日のどちらが歩きやすそうですか?」
- 利用者さん:「子どもに皮をむいてあげた」
介護士:「食べやすいように準備していたのですね」
さらに:「ほかにも、家族のためによく用意した果物はありましたか?」 - 利用者さん:「昔は高くてあまり食べなかった」
介護士:「特別な果物という感じだったのですね」
さらに:「どんな日や、どなたからいただいたときに食べましたか?」
5.介護士が知っておきたいポイント
食べ物の題材は会話が広がりやすい一方、食事制限、嚥下状態、経済的に苦しかった記憶などにつながる場合があります。塗り絵に描かれた食品を、その場で本人へ勧めてよいとは限りません。
- 色見本と違う配色でも訂正しない
- 一粒ずつ塗る作業を無理に続けさせない
- ぶどうを食べた経験や、ぶどう狩りへ行った経験があると決めつけない
- 実食を組み合わせる場合は、食事形態、嚥下状態、アレルギー、指示内容を確認する
- 粒の数が多く疲れやすいため、房を一つだけ選ぶ方法も提案する
- ぶどうと背景の境界が見えにくそうなら、濃淡の差が大きい色を選びやすくする
- 会話だけで終了しても問題ない
6.ぶどうにまつわる年代別の出来事・暮らし
昭和20年代(1945〜1954年)
戦後の物不足が残る家庭では、ぶどうは日常的に食べる果物ではなく、産地や季節、家の暮らし向きによって身近さが異なりました。地元で栽培していた地域では、収穫や出荷の記憶を持つ人もいます。
昭和30年代(1955〜1964年)
流通や暮らしが整うにつれ、店頭で季節の果物を目にする機会が増えていきました。ただし、果物は今より特別感があり、来客時や病気見舞い、贈り物として印象に残っている場合があります。
昭和40年代(1965〜1974年)
家庭用の冷蔵庫が広く普及し、果物を冷やして食べる習慣が身近になりました。房から一粒ずつ取って家族で分けた場面など、食べ方から思い出が広がることがあります。
昭和50年代(1975〜1984年)
自家用車での行楽が広がり、地域によってはぶどう狩りが家族や職場の外出先として親しまれました。観光農園へ行った人もいれば、近所の店で季節を感じた人もいます。
平成以降
色、粒の大きさ、種の有無、皮ごと食べられるかなど、さまざまな特徴を持つぶどうが店頭に並ぶようになりました。昔よく食べた品種と、近年知った品種を比べる話題にもつながります。
