1.塗り絵の説明
夕日の見える野原で、三匹の赤とんぼがすすきの上を飛ぶ場面です。とんぼ、すすき、夕日、川、山をそれぞれ大きく分けており、塗る場所を選びやすい構図にしています。
赤とんぼは、田んぼ、学校帰り、川辺、唱歌など、人によって異なる記憶へつながります。実際に見た思い出が出なくても、夕焼けや風景から自由に話を広げられます。
着色見本では赤い胴体にしていますが、青や紫など好きな色でも構いません。羽を白く残す、淡い色を重ねるなど、少ない作業でも仕上がりを楽しめます。
2.画像


色見本と同じ色に塗る必要はありません。本人が選んだ色や好きな色を大切にしてください。
3.塗り絵を始めるときの声かけ
- 「赤とんぼがすすきの上を飛んでいる絵です。眺めてみませんか?」
- 「とんぼ、すすき、夕日のどこから色をつけてみたいですか?」
- 「夕焼けの空には、どんな色を使いたいですか?」
- 「とんぼを三匹とも違う色にしても楽しそうですね」
- 「羽を塗らずに残しても、淡く色をつけても大丈夫です」
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4.塗り絵中の声かけ
- 「このとんぼは、どこへ向かって飛んでいるように見えますか?」
- 「夕焼けを見るなら、山、川、町のどこから眺めたいですか?」
- 「すすきが揺れるほどの風なら、どんな音がしそうでしょう?」
- 「学校や仕事から帰るころ、どんな景色を見ていましたか?」
- 「秋になると聞きたくなる歌や、口ずさんだ歌はありますか?」
- 「川辺では、とんぼ以外にどんな生き物を見かけましたか?」
- 利用者さん:「帰り道にたくさん飛んでいた」
介護士:「帰り道でよく見ていたのですね」
さらに:「歩いて帰った道ですか。それとも自転車やバスから見た景色でしたか?」 - 利用者さん:「赤とんぼの歌を歌った」
介護士:「よく歌った歌なのですね」
さらに:「学校、家、地域の集まりなど、どこで歌うことが多かったですか?」
5.介護士が知っておきたいポイント
赤とんぼの題材から童謡を連想しても、全員が同じ歌詞や経験を共有しているわけではありません。職員が先に答えを示さず、本人が出した言葉や歌を起点にします。
- とんぼの色や羽の塗り方を訂正しない
- 歌詞を思い出すよう繰り返し求めない
- 子どものころの記憶が楽しいものだったと決めつけない
- とんぼの細い胴体や脚が見えにくい場合は、太い画材で大まかに塗ってよいと伝える
- すすきの穂を一本ずつ塗るよう求めない
- 長時間うつむいていないか、目や首が疲れていないかを見る
- 歌を聴く、口ずさむ、景色について話すだけでも活動として成り立つ
6.赤とんぼと秋の野辺にまつわる年代別の出来事・暮らし
昭和10年代(1935〜1944年)
田畑や水路、草地が身近な地域では、秋の空を飛ぶとんぼを生活の風景として見た人もいます。一方、都市部や戦時下の暮らしでは、自然をゆっくり眺める余裕がなかった場合もあります。
昭和20年代(1945〜1954年)
学校や地域で歌を覚え、赤とんぼの景色を実際の故郷と重ねた人もいます。疎開や転居を経験した人にとっては、秋の風景が複数の土地の記憶につながることもあります。
昭和30年代(1955〜1964年)
田畑や原っぱで遊び、とんぼを追った記憶を持つ人がいる一方、町なかで育った人には学校の歌や絵本の印象が強い場合もあります。「昔は誰でも自然の中で遊んだ」と一括りにしないことが大切です。
昭和40年代(1965〜1974年)
住宅地や道路の整備が進み、子どものころに見た原っぱや水辺が変わっていったと感じる人もいます。夕方の帰宅放送、自転車、買い物帰りなど、風景以外の記憶にもつながります。
昭和50年代(1975〜1984年)
学校行事や地域活動、家庭のテレビやレコードを通して、秋の歌に触れる機会がありました。実際のとんぼの記憶と、歌から思い浮かべた景色が重なっていることもあります。
