1.塗り絵の説明
座った女性が、宙に浮く大きな紙風船を手のひらで軽く打っている場面を描いた、高齢者向けの塗り絵です。主役が一目で分かり、広い面から塗り始められます。紙風船の面を大きく分けた、色の組み合わせを楽しみやすい線画です。着物や座布団の広い面から始めてもかまいません。
介護施設やデイサービスでは、白黒の絵をA4縦で印刷して使えます。着色見本もありますが、見本どおりに塗る必要はありません。紙の軽さや風船が落ちる速さ、誰かと向かい合って遊んだことなど、動きや手触りを手がかりに話せます。
思い出を話しても、話さずに色を楽しんでも、その方の時間を大切にできます。
2.画像


色見本と同じ色に塗る必要はありません。本人が選んだ色や好きな色を大切にしてください。
3.塗り絵を始めるときの声かけ
- 「紙風船の絵を用意しました。よかったら見てみませんか?」
- 「風船の一面だけ、好きな色を付けてみますか?」
- 「いくつかの色を並べても、一色にしてもよいですね。」
- 「手の形が細かいので、風船だけ塗っても大丈夫です。」
- 「絵を眺めながら、遊びの話をするだけでもいいですよ。」
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4.塗り絵中の声かけ
- 「紙風船には、どんな色を並べたいですか?」
- 「風船は軽くたたくと、どんなふうに動きますか?」
- 「誰かと向かい合って遊ぶことはありましたか?」
- 「紙を膨らませたときの音や感触は、どんな感じでしたか?」
- 「家の中と外では、遊ぶ場所はどちらが多かったですか?」
- 「お子さんやお孫さんと一緒に遊んだことはありますか?」
- 「風船を落とさないようにすると、どんな声が出ましたか?」
- 「気に入った色があれば、隣の面にも使ってみますか?」
話が出たら、本人の言葉を拾って次につなげます。たとえば、次のような聞き方ができます。
利用者さん:「すぐしぼんだよ」
介護士:「軽い紙だと、そういうこともありますね。どうしていましたか?」
さらに:「また膨らませるのは、誰がしていましたか?」
利用者さん:「母が買ってきてくれた」
介護士:「どんなときに持ってきてくれたんですか?」
さらに:「そのときは誰と一緒に遊びましたか?」
利用者さん:「孫と遊んだよ」
介護士:「向かい合って遊んだんですか?」
さらに:「お孫さんは風船のどの色が好きでしたか?」
5.介護士が知っておきたいポイント
選んだ色を訂正せず、完成を急がせないことが基本です。「覚えていますか?」を何度も繰り返さず、職員の知る昔の暮らしを本人の経験として決めつけないようにします。思い出話をしたくないときは、絵の形や色の話だけで十分です。
紙風船を強くたたく競技のような声かけは避けます。実物を使う場合は、本人の姿勢と疲れに合わせて座ったままで楽しめる形にし、遊ばずに絵だけを見てもかまいません。
疲れ、色鉛筆の持ちにくさ、絵の見えにくさにも目を向け、必要なら太めの筆記具や見やすい位置を選びます。途中でやめても、会話だけになっても問題ありません。診断や機能の評価につなげず、無理なく楽しめているかを見ます。
6.紙風船にまつわる年代別の出来事・暮らし
同じ時代でも、遊び方や道具は地域・家庭によって違います。以下は会話の入り口です。本人の経験と違う場合は、その方の話を優先してください。
昭和10年代(1935〜1944年)
紙製の玩具の記憶には地域や家庭の差があります。見たことのある紙風船の色や形を、答えを前提にせず尋ねます。
昭和20年代(1945〜1954年)
戦後の暮らしに触れる話題は、人によって楽しい記憶にもつらい記憶にもなります。紙風船の軽さや色に話を留めても十分です。
昭和30年代(1955〜1964年)
家の中で遊んだ話が出たら、誰と向かい合ったかや、風船を膨らませた人など、具体的な場面を聞けます。
昭和40〜50年代(1965〜1984年)
子どもと一緒に遊んだことがある方なら、落とさず続けた回数より、その場の声や笑い声の話題が自然かもしれません。








