1.塗り絵の説明
熟したクチナシの実を三つ、大きな葉とともに描きました。楕円形の実には縦の筋があり、先には細長い萼が残っています。実の広い面をゆっくり塗れるよう、枝ぶりを簡潔にしました。
クチナシは初夏の白い花で知られますが、秋には橙色の実も楽しめます。十一月は実を眺めるのに適した時期です。高齢者施設やデイサービスで、庭の花や昔の台所の話をしながら色を添えてみてください。
2.画像
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色見本と同じ色に塗る必要はありません。本人が選んだ色や好きな色を大切にしてください。
3.塗り絵を始めるときの声かけ
- 「楕円形の実が三つありますね。」
- 「縦に筋が入っているのが見えますね。」
- 「実はどんな橙色にしましょうか?」
- 「大きな葉から塗っても楽しめますね。」
- 「一か所ずつ、ゆっくり始めてみましょうか。」
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4.塗り絵中の声かけ
- 「黄色と橙色を使い分けてもよいですね。」
- 「実の先の形も面白いですね。」
- 「クチナシの白い花を見たことはありますか?」
- 「庭に香りのよい花はありましたか?」
- 「きんとんなどの黄色い料理はお好きですか?」
- 「葉を濃い緑にすると実が目立ちますね。」
- 「細い筋の近くは白く残しても大丈夫です。」
- 「少し手を休めて眺めてみましょうか。」
話が出たときの広げ方
利用者さん:「花なら知っているよ。」
介護士:「白い花をご存じなのですね。」
さらに:「どこで見かけた花でしたか?」
利用者さん:「きんとんに使ったね。」
介護士:「色づけに使った思い出があるのですね。」
さらに:「どなたと作っていらしたのでしょう?」
利用者さん:「橙色がきれいだね。」
介護士:「温かい色合いになりましたね。」
さらに:「ほかの実も同じ色で塗ってみますか?」
5.介護士が知っておきたいポイント
花の香りや料理の記憶は人によって異なるため、経験を決めつけずに聞きます。クチナシの利用は会話の話題にとどめ、庭の実をそのまま食べたり、薬として使ったりすることは勧めません。萼や茎の細い部分は無理に埋めず、実や葉だけを塗る選択も尊重します。
色を訂正せず、完成を急がせないことを基本に、本人のペースを大切にします。「覚えていますか?」を繰り返したり、昔の暮らしを一律に決めつけたりせず、話したい内容を受け止めてください。
顔を紙に近づけていないか、色鉛筆を持ちにくそうではないか、手や肩に疲れがないかを見ます。必要に応じて紙の向きや画材を調整し、休憩を提案します。絵を眺めたり、会話だけを楽しんだりしても大丈夫です。
6.クチナシの実と暮らしの色にまつわる年代別の出来事・暮らし
平安時代の染め色
平安時代に編さんされた『延喜式』には、クチナシの実を使う染め色や、その材料について記されています。植物から黄色や山吹色を得ていた昔の暮らしがうかがえます。好きな着物や布の色を話題にしてみましょう。
平成の十一月の実(2016年)
平成28年十一月、京都市動物園ではクチナシの実が紹介され、料理の黄色い色づけに使われることも取り上げられました。花だけでなく実にも親しみのある植物です。家で作った料理や、食卓の彩りの思い出へつなげられます。
令和にも伝えられる染色(2024年)
令和6年に更新された高崎市染料植物園の紹介でも、クチナシの実による染色が説明されています。植物と色の関わりは、今も学べる暮らしの文化です。この塗り絵では橙色だけに限らず、好きな色を自由に選んでもらえます。








