現場では、丁寧に声かけしても排泄や入浴の誘導が進まず、時間に追われるほど対応が強くなりそうで、どこまで待つべきか迷うことがあります。言い方だけが悪いのかと考えても、答えが見えない場面は少なくありません。
こうした場面では、説明を重ねても動いてもらえず、かえって関係がこじれることもあります。一方で、言葉を増やすより、時間や環境を整えた方が反応が変わることもあり、声かけだけで考えない視点が必要だと分かります。
この記事では、理想論で責めるのではなく、全部を変えなくても外したくないポイントを整理します。本人の反応、関係性、意思の見方を押さえ、対応を強める前に見直せる現実的な方向を確認していきます。
この記事を読むと分かること
- 声かけの限界
- 拒否場面の見方
- 意思尊重の視点
- 見直す順番
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
結論:認知症ケアは声かけだけでは足りない?現実的な結論

現場では、排泄や入浴の誘導で丁寧に話しても動いてもらえず、急ぐほど対応が強くなりそうで迷うことがあります。言い方を変えても状況が変わらないと、何が足りないのか見えにくくなります。
こうした場面では、声かけだけに答えを求めると苦しくなります。この記事を読むと、認知症ケアでは本人の反応、非言語の関わり、意思をくみ取る視点が必要だと理解できます。
現場では、説明を重ねるほど相手の表情が硬くなり、職員側も焦りやすくなります。こうした場面では、伝える量を増やすより、いったん反応を待つ方が流れが変わることがあります。
対応がうまくいかないと、言い方や性格の問題にしやすいです。ただ、あとで振り返ると、急いで進めたこと自体が関係をこじらせていたと気づく場面は少なくありません。
全部を一度に変えるのは難しくても、先に見る順番は整えられます。後段では、強く進める前に何を見直すべきかを、エビデンスに沿って整理します。
言葉だけで伝えようとしない
現場では、丁寧に説明しても伝わらず、同じ言葉を重ねたくなることがあります。こうした場面では、認知症ケアは言葉だけで進めない方がよいと理解できます。
迷いやすいのは、説明不足だと思って話を足してしまうことです。まずは表情、身振り、視覚的な手がかりも使って関わる視点が必要です。
出典・根拠を確認
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「認知症の進行に伴ってコミュニケーションの効力が,言語的コミュニケーションから非言語的コミュニケーションへ移行する」「認知症が重度になるほど,表情や身振りを使い,非言語メッセージを使うことが効果的である。」「言葉だけでは理解できない場合もあるため,物を見せるなどの視覚的情報を活用すると,認知症患者が理解しやすくなる。」
介護者が急いで答えを決めない
現場では、介護者が進めたい流れを優先すると、その場は動いてもらえても、次の関わりにつながらないことがあります。こうした場面では、本人の反応を待つことが大切だと理解できます。
迷いやすいのは、早く終わらせる方が安全だと感じることです。ですが、先に本人の反応を見ることが、関わり方を整える出発点になります。
出典・根拠を確認
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「医療者・介護者が伝えたいことを優先してコミュニケーションをとるよりも,本人の反応を一呼吸待ち,本人が何を行いたいか,本人の意思を読み取ることが大切である。」
本人の気持ちと意思から考える
現場では、拒否が続くと、まず対応をどう進めるかに意識が向きやすいです。こうした場面では、先に本人の望む生活や気持ちを考える必要があると理解できます。
迷いやすいのは、困りごとの解消を優先して本人の受け止めを後回しにすることです。関わりの第一歩は、本人の視点に立ち、意思を丁寧にくみ取ることです。
出典・根拠を確認
厚生労働省身体拘束廃止・防止の手引き
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001248430.pdf
引用原文「実際に『本人の自立したその人らしい生活を支えるケア』を確立していくうえでは、本人の望む生活や気持ちを理解することが第一歩となる。」
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf
引用原文「認知症の人の意思決定に関わる人が、認知症の人の意思をできるかぎり丁寧にくみ取るために、認知症の人の意思決定を支援する標準的なプロセスや留意点を記載したものである。」「支援する側の視点ではなく、本人の視点に立って行われるものである。」
認知症ケアは、声かけの上手さだけで進めるものではありません。言葉以外の関わり、本人の反応、本人の気持ちと意思を順に見ることが、対応を強める前の見直し点になります。
認知症ケアで起こりやすい拒否や抵抗の場面

現場では、同じ説明を繰り返しても伝わらない、排泄や入浴を促しても進まない、といった場面が重なります。対応が長引くほど焦りや迷いが強くなり、どこで関わり方を変えるべきか分からなくなりやすいです。
困りごとは似ていても、場面ごとに押さえる視点は少しずつ違います。よくある事例を分けて見ると、言葉だけで進めにくい場面と、言葉以外を見直すべき場面が整理しやすくなります。
よくあるのは、何度も同じことを聞かれて説明を重ねる場面です。返答しても数分後にまた聞かれると、つい強い口調になりやすく、そこで関係がこじれ始めます。
排泄や入浴では、促しても動いてもらえず、そのまま待つべきか進めるべきかで迷いやすいです。日常の介助ほど職員側の都合で進めたくなりますが、あとで振り返ると、本人の視点を外したことが抵抗につながっていたと気づく場面があります。
全部を一度に変えるのは難しくても、場面ごとの特徴を知るだけで見直す順番は整えやすいです。ここでは、現場で重なりやすい事例を、エビデンスに沿って分けて確認します。
同じ質問を繰り返す場面
食事の内容などを短い間隔で何度も尋ねられると、さっき答えたのにと感じやすいです。説明を足せば伝わるのか、別の関わりが必要なのかで迷う場面ですが、まず困っていることに目を向ける方が流れを変えやすいです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 同じ質問を繰り返す場面です。 |
| 困りごと | 説明しても伝わらず、やりとりが終わらないことです。 |
| よくある誤解 | 本人がわざとやっていると受け取ることです。 |
| 押さえるべき視点 | 説明を重ねても伝わらないことがあり、まず安心できる関わりに戻すことです。 |
迷いやすいのは、理解させようとして言葉を増やすことです。ですが、困っていることに目を向ける対応も示されています。
出典・根拠を確認
株式会社穴吹カレッジサービス認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「説明をいくらしても、本人には伝わらない。」「なぜならば、本人に悪気はないし、わざとしているわけではないからです。」「どうして何回も尋ねてくるの?」「わざとやってるでしょう?」「できれば、このように・・・」「困っていない?」「大丈夫よ!」「本人も安心」
おむつを拒否する場面
排泄の介助では、おむつを外そうとする場面があり、そのまま待つと進まない、急ぐと強くなりそうで迷います。こうした場面は、介助のしやすさだけで考えず、本人の視点で見る必要があると気づきやすいところです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 排泄の場面でおむつを拒否することです。 |
| 困りごと | 介助が進まず、対応が止まりやすいことです。 |
| よくある誤解 | 支援する側の都合で進めてよいと考えることです。 |
| 押さえるべき視点 | 排せつは日常生活の意思決定支援に含まれ、本人の視点に立つことです。 |
迷いやすいのは、その場を収めることを優先してしまうことです。まずは本人の意思や好みを理解する前提を外さないことが必要です。
出典・根拠を確認
株式会社穴吹カレッジサービス認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「排泄のケア」「おむつを拒否する」「おむつをはずそうとします」
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf
引用原文「日常生活の意思決定支援としては、例えば、食事・入浴・衣服の好み、外出、排せつ、整容などの基本的生活習慣や、日常のプログラムへの参加を決める場合などが挙げられる」「支援する側の視点ではなく、本人の視点に立って行われるものである。」
入浴を嫌がる場面
入浴を促してもなかなか入ってくれない場面は、日々のケアで繰り返しやすいです。声をかけ続けるべきか、いったん引くべきか迷いますが、本人の好みや意思を含めて考える必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 入浴を嫌がる場面です。 |
| 困りごと | 促してもケアが進まないことです。 |
| よくある誤解 | 入浴は当然に進めるものと受け止め、本人の意思を後ろに置くことです。 |
| 押さえるべき視点 | 入浴も日常生活の意思決定支援に含まれ、これまでの生活や好みを尊重することです。 |
迷いやすいのは、清潔保持を優先して本人の受け止めを飛ばすことです。まずは本人の意思や好みを理解する視点が必要です。
出典・根拠を確認
株式会社穴吹カレッジサービス認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「清潔のケア」「入浴を嫌がる」「お風呂を促してもなかなか入ってくれません」
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf
引用原文「日常生活の意思決定支援としては、例えば、食事・入浴・衣服の好み、外出、排せつ、整容などの基本的生活習慣や、日常のプログラムへの参加を決める場合などが挙げられる」「日常生活については、これまで本人が過ごしてきた生活やできること・やりたいことを尊重することが原則である。」
怒られた記憶が残り、介護への抵抗が強まる場面
繰り返す質問や進まない介助のあとに強い言い方になると、その場は終わっても、次の関わりで表情が硬くなることがあります。どこから関係がこじれたのか見えにくい場面ですが、不適切な関わりが人間関係を壊していく流れは押さえておく必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 困っているときに怒鳴られるなど、不快や恐怖が残る場面です。 |
| 困りごと | その後に介護への抵抗が出てくることです。 |
| よくある誤解 | 抵抗だけを本人の症状として見ることです。 |
| 押さえるべき視点 | 不適切なケアが知らずしらずのうちに人間関係を壊していく流れがあることです。 |
迷いやすいのは、その場の強い対応を一回きりのことと考えることです。繰り返しの関わりが抵抗につながる流れも示されています。
出典・根拠を確認
株式会社穴吹カレッジサービス認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「そして、お嫁さんに対しては、困っているときに、怒鳴る怖い人という・・・」「不 快」「恐 怖 が残ります」「困っているときに、怒鳴る怖い人」「介護への抵抗」「不適切なケア」「知らずしらずのうちに、人間関係を壊していきます・・・」
よくある場面を分けて見ると、すべてを声かけ不足で片づけなくて済みます。繰り返し質問、排泄、入浴、抵抗の場面ごとに、本人の視点を外していないかを確かめることが見直しの第一歩です。
なぜ認知症ケアは声かけだけではうまくいかないのか?

現場では、丁寧に説明しても伝わらず、さらに言葉を足すほど場面がこじれることがあります。その場を収めたいのに、どこで関わり方を変えるべきか迷いやすいです。
このような状況が起きる背景には、言葉以外の伝わり方や、本人を取り巻く環境、関わる側の進め方が関係しています。
ここでは、認知症ケアが声かけだけでは整いにくい理由を説明します。
よくあるのは、排泄や入浴の場面で何度説明しても反応が薄く、つい同じ言葉を重ねてしまうことです。伝わらない原因を説明不足と考えると、職員側だけが疲れやすくなります。
こうした場面では、言葉を増やすより、視線が合う位置に入る、道具を見せる、反応を待つといった見直しの方が流れを変えやすいです。あとで振り返ると、本人の反応より先に介護者の進めたい流れを優先していたと気づくことがあります。
全部を一度に変えなくても、うまくいかない理由を知るだけで対応の順番は整います。ここからは、現場で押さえたい理由を順に確認します。
言葉だけでは理解しにくいことがあるから
現場では、説明を繰り返しても反応が薄く、さらに言葉を足すべきか迷う場面があります。こうしたときは、説明不足ではなく、伝わり方そのものを見直す方が流れを変えやすいです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| なぜ起きるのか | 認知症では、コミュニケーションの効力が言語から非言語へ移行すると示されています。 |
| 建前 | 丁寧に話せば伝わるはず、という考えです。 |
| 現実 | 言葉だけでは理解できない場合があり、視覚的な情報も必要です。 |
| そのズレが生む問題 | 話す量だけが増え、場面が進みにくくなります。 |
| 押さえるべき視点 | 表情、身振り、道具を見せる関わりも使うことです。 |
迷いやすいのは、説明を増やすこと自体が支援になると思ってしまうことです。
出典・根拠を確認
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「認知症患者のコミュニケーションの特徴として,認知症の進行に伴ってコミュニケーションの効力が,言語的コミュニケーションから非言語的コミュニケーションへ移行する」「認知症が重度になるほど,表情や身振りを使い,非言語メッセージを使うことが効果的である。」「言葉だけでは理解できない場合もあるため,物を見せるなどの視覚的情報を活用すると,認知症患者が理解しやすくなる。」
行動や症状は環境やケアにも左右されるから
同じ利用者でも、場所や関わる人が変わると反応が変わり、何が違うのか迷うことがあります。こうした場面では、本人だけを見るのでなく、まわりの条件も一緒に見ることが必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| なぜ起きるのか | 認知症の行動や臨床症状には、おかれている環境やケアが関連すると示されています。 |
| 建前 | 症状は本人の中だけで起きている、という見方です。 |
| 現実 | 環境的要因や心理的要因も人の行動を左右します。 |
| そのズレが生む問題 | 場面の条件を見直さず、本人の問題だけで捉えやすくなります。 |
| 押さえるべき視点 | 場所、音、時間帯、周囲の人、ケアのあり方も確認することです。 |
迷いやすいのは、その日の反応を性格や気分だけで説明してしまうことです。
出典・根拠を確認
株式会社穴吹カレッジサービス認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「認知症の行動、あるいは臨床症状」「おかれている環境やケア」
株式会社穴吹カレッジサービス
認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「人の行動を左右する4つの要因」「環境的要因 例)場所・明るさ・広さ・温度/湿度・風通し・見える景色・音・周りにいる人・他人の動き・時間帯・不慣れな道具・色・肌触り など」「心理的要因 例)不安・心配・いら立ち・怒り・悲しみ・寂しさ・困惑・焦り・孤独感・絶望感・虚無感・嬉しさ・喜び・感謝 など」
介護者が先に答えを決めると、本人の意思を読み取りにくいから
現場では、介助を早く終えたい気持ちが先に立ち、本人が何をしたいかを見る前に進めてしまうことがあります。こうした場面では、進め方そのものがズレを広げていないか見直すことが大切です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| なぜ起きるのか | 介護者が伝えたいことを優先すると、本人の反応や意思を読み取りにくくなります。 |
| 建前 | 介護者が正しい方向へ導けばよい、という考えです。 |
| 現実 | 本人には意思があり、本人の視点に立って支援することが求められます。 |
| そのズレが生む問題 | 気持ちが通わないケアになり、長続きしにくくなります。 |
| 押さえるべき視点 | 本人の反応を一呼吸待ち、本人の視点で見ることです。 |
迷いやすいのは、きれいになった、終わった、という側の満足で区切ってしまうことです。
出典・根拠を確認
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「医療者・介護者が伝えたいことを優先してコミュニケーションをとるよりも,本人の反応を一呼吸待ち,本人が何を行いたいか,本人の意思を読み取ることが大切である。」
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf
引用原文「認知症の症状にかかわらず、本人には意思があり、意思決定能力を有するということを前提にして、意思決定支援をする。」「支援する側の視点ではなく、本人の視点に立って行われるものである。」
株式会社穴吹カレッジサービス
認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「意思疎通の過程を経ずに、『(排泄介助をして)きれいになったから、これでいいでしょう』と介護職だけが満足するような気持ちが通わないケアは、長続きしません。」
納得のいかない制限や不適切なケアが悪循環を生みやすいから
強く止める、怒る、その場を早く収めるといった対応は、直後は静かになっても次の場面で抵抗が強まることがあります。こうした場面では、その一回だけでなく、繰り返しが何を残すかを見る必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| なぜ起きるのか | 本人にとって納得のいかない拘束や不適切なケアは、不安や恐怖を高め、悪循環を生むことが示されています。 |
| 建前 | その場が収まればよい、という考えです。 |
| 現実 | 不快や恐怖が残り、介護への抵抗につながる流れがあります。 |
| そのズレが生む問題 | 人間関係が壊れ、さらに関わりにくくなります。 |
| 押さえるべき視点 | 安心と信頼の場を目指し、代わりの方法も含めて考えることです。 |
迷いやすいのは、一度きりの対応だから大きな影響はないと受け止めることです。
出典・根拠を確認
厚生労働省身体拘束廃止・防止の手引き
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001248430.pdf
引用原文「『本人にとって納得のいかない拘束』という状況が続くと、そこは自分の居場所ではなくなります。本人の不安や恐怖が一気に高まり、それによっておきる言動が『ケアする人にとっては拘束の対象』になるのではないか、そうした悪循環が想像されます。」「目指してほしいのは、安心と信頼と笑顔の交流の場。」
株式会社穴吹カレッジサービス
認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「不 快」「恐 怖 が残ります」「介護への抵抗」「不適切なケア」「知らずしらずのうちに、人間関係を壊していきます・・・」
厚生労働省
身体拘束廃止・防止の手引き
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001248430.pdf引用原文「身体拘束を行わずに介護するすべての方法の可能性を洗い出すことができているか」「代替方法の洗い出しにあたり、複数の職員や多職種での検討を行ったか」
うまくいかない理由を知ると、説明不足だけを責めずに済みます。言葉以外の伝わり方、環境やケア、本人の視点、悪循環の芽を順に見ることが、無理なく外したくない確認点です。
認知症ケアで迷いやすい小さな疑問
現場では、拒否が続いたときや対応が強くなりそうなときに、何を優先すればよいか迷いやすいです。大きな方針は分かっていても、その場の判断になると不安が残ることがあります。
ここでは、認知症ケアでよく迷いやすい点を、エビデンスの範囲で短く整理します。
- Q丁寧に声をかけても伝わりにくいときは、どう考えればよいですか?
- A
認知症では、言葉だけでは理解しにくい場合があります。表情や身振り、物を見せるなど、非言語の関わりも使う視点が必要です。迷いやすいのは、説明を増やせば伝わると考えてしまう場面です。
出典・根拠を確認
国立長寿医療研究センター
認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
引用原文「認知症患者のコミュニケーションの特徴として,認知症の進行に伴ってコミュニケーションの効力が,言語的コミュニケーションから非言語的コミュニケーションへ移行する」「認知症が重度になるほど,表情や身振りを使い,非言語メッセージを使うことが効果的である。」「言葉だけでは理解できない場合もあるため,物を見せるなどの視覚的情報を活用すると,認知症患者が理解しやすくなる。」
- Q安全のためなら、強く止める方向で考えてよいですか?
- A
安全確保を理由に、すぐに制限へ進める前に、本当に必要かを考える視点が必要です。身体拘束廃止・防止の手引きでは、こうした考え方には誤解を含むものがあると示されています。迷いやすいのは、その場を早く収めたいと感じる場面です。
出典・根拠を確認
厚生労働省
身体拘束廃止・防止の手引き
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001248430.pdf
引用原文「身体拘束は安全確保のために本当に必要なのか」「『本人の安全確保のため』『職員不足等から身体拘束廃止・防止は不可能』といった考え方がありますが、これらは、介護現場での実践の積み重ねにより、多くは誤解を含んだものであることが明らかになってきています。」「身体拘束を行わずに介護するすべての方法の可能性を洗い出すことができているか」
- Q本人の意思が分かりにくいときは、どう受け止めればよいですか?
- A
認知症の症状があっても、本人には意思があることを前提にして支援します。支援する側の都合で決めるのでなく、本人の視点に立って丁寧にくみ取ることが基本です。迷いやすいのは、反応が薄いときに職員判断で進めたくなる場面です。
出典・根拠を確認
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf
引用原文「認知症の症状にかかわらず、本人には意思があり、意思決定能力を有するということを前提にして、意思決定支援をする。」「支援する側の視点ではなく、本人の視点に立って行われるものである。」「認知症の人の意思をできるかぎり丁寧にくみ取るために」
- Q強引な介助を減らすために、最初に何を見直せばよいですか?
- A
最初の見直し点は、本人の望む生活や気持ちを理解することです。本人の自立したその人らしい生活を支えるには、ここが第一歩になると示されています。迷いやすいのは、困りごとの解消を先に優先したくなる場面です。
出典・根拠を確認
厚生労働省
身体拘束廃止・防止の手引き
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001248430.pdf
引用原文「実際に『本人の自立したその人らしい生活を支えるケア』を確立していくうえでは、本人の望む生活や気持ちを理解することが第一歩となる。」「できること・できる可能性があることに着目し、本人の意思を尊重し、誰もが大切にしたい生活を続けていくための努力が求められる。」
迷ったときは、言葉を増やす前に非言語の関わり、すぐ制限へ進まない視点、本人の意思、本人の気持ちの理解を順に確かめることが、無理なく戻れる基本線になります。
まとめ:認知症ケアで明日から見直したい最初の一歩
現場では、排泄や入浴の場面でうまく進まず、つい対応を強めたくなることがあります。建前では本人の意思が大事だと分かっていても、その場では何を優先すべきか迷いやすいです。
この記事で見てきたとおり、認知症ケアは声かけだけで整うものではありません。言葉以外の関わり、本人の反応、環境やケア、そして本人の望む生活や気持ちを理解する視点が土台になります。
明日からの最初の一歩として絞るなら、対応を強める前に本人の望む生活や気持ちを考えることです。ここを外さないだけでも、支援する側の都合だけで進める流れを見直しやすくなります。
現場で感じやすいのは、そこまで考える余裕がないという不安です。それでも、最初に何を見るかの順番をひとつ決めておくことはできます。
最後までご覧いただきありがとうございます。
関連コンテンツ
更新履歴
- 2026年8月17日:新規投稿





