
面会中、家族から「最期なんだから、好きな物を一口だけでも」と頼まれることがあります。かなえてあげたい気持ちがある一方、その場で「食べさせます」と約束することにも、「危ないので無理です」と断ることにも迷うのではないでしょうか。
介護側にはむせや負担が気になっても、家族には「口が乾いているようでかわいそう」「何もしてあげられない方がつらい」と見える場合があります。どちらかを正しいと決める前に、家族が本当にかなえたいことと、本人自身の意思を分けて聞くことが大切です。
すべてをその場で解決する必要はありません。まず希望を受け止める、実施は約束しない、確認して返答するの3点を押さえれば、家族の願いを切り捨てず、個人判断にもせず、次の検討へ渡せます。
この記事を読むと分かること
- 最初の返答方法
- 希望を聞く視点
- 本人意思の分け方
- 確認をつなぐ流れ
- 方針の見直し時期
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
家族から「最後まで口から」と言われたら、介護士は4段階で確認する

現場では、面会中の家族から「今、一口だけでも」と頼まれ、すぐに返事を求められることがあります。断れば家族の思いを踏みにじるように感じ、応じれば自分だけで可否を決めることになる。この章では、家族の願いを受け止めながら、判断を抱え込まない確認の順番を整理します。
切実な表情を前にすると、「少しなら」と約束したくなることがあります。反対に、危険への不安が先に立つと、家族が何を願っているのかを聞く前に断ってしまいがちです。うまくいきやすいのは、聞くことと実施を決めることを分ける対応です。確認に時間がかかる場合も、いつ誰へ確認するかを伝えれば、介護士一人で結論を背負わずに済みます。
1.最初に家族の願いと目的を聞く
「食べさせたい」という言葉だけでは、家族がかなえたいことを十分につかめない場合があります。栄養を取ってほしいのか、好きな味を感じてほしいのか、何もできない後悔を残したくないのか。まず何を、なぜ、どのようにかなえたいのかを家族の言葉で聞きます。
ここで大切なのは、聞いた希望をそのまま実施の約束へ変えないことです。「大切にされているお気持ちを聞かせてください。確認してお返事します」と伝え、願いを判断材料として受け取ります。
出典・根拠を確認
一般社団法人 日本健康・栄養システム学会令和3年度介護報酬改定対応 介護サービスにおける栄養ケア・マネジメントの実務の手引き(初版)
看取り期の支援は本人・家族の意向によりケアの方向性は決まります。それは食事支援も同じであり、その中で本人の持てる力を最期まで活かして支援を行うことが求められます。前項の通り、人は死に近づく中で自然と食事を摂取すること難しくなります。その場合においても、食事は見た目やにおい、音など、その他の五感に働きかけることで支援をすることもできます。苦痛緩和との間で支援方法に悩むケースは多いとは思いますが、看取り支援に正解はありません。その中で本人を中心に、家族、ケアスタッフ、多職種と意見交換をしながら、最期を自分らしく穏やかに過ごしていただけるよう、よく話し合い、支援を行うこと自体に重要な意味があると思います。
- 本人の反応をどう受け取るか迷うときは、全量摂取を目標にしない考え方と、食べ始めからの変化や断る様子を残す視点を、介護士一人で判断を抱えないために整理できます。
- 詳しくは、食事介助で全量摂取を目指していませんか?無理に食べさせないための判断ポイントで確認できます。
2.その場で実施も拒否も約束しない
家族を待たせたくないと焦ると、介護士が「分かりました」と返答してしまうことがあります。反対に、状態への不安から「できません」と即答すると、家族の願いの中身を確認できません。こうした場面では、希望の受け止めと方針の決定を切り分けることが必要です。
家族の言葉を聞いたら、本人の意思、現在共有されている方針、必要な確認先へ進みます。介護士は家族の希望と本人の様子をつなぐ役割を担い、食べさせる・食べさせないを一人で決めません。
出典・根拠を確認
厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
また、本人の意思は変化しうるものであることや、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、本人が家族等の信頼できる者を含めて話し合いが繰り返し行われることが重要です。5)本人の意思が明確でない場合には、家族等の役割がいっそう重要になります。特に、本人が自らの意思を伝えられない状態になった場合に備えて、特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めている場合は、その者から十分な情報を得たうえで、本人が何を望むか、本人にとって何が最善かを、医療・ケアチームとの間で話し合う必要があります。
一般社団法人 日本健康・栄養システム学会
令和3年度介護報酬改定対応 介護サービスにおける栄養ケア・マネジメントの実務の手引き(初版)
看取り期の支援は本人・家族の意向によりケアの方向性は決まります。それは食事支援も同じであり、その中で本人の持てる力を最期まで活かして支援を行うことが求められます。前項の通り、人は死に近づく中で自然と食事を摂取すること難しくなります。その場合においても、食事は見た目やにおい、音など、その他の五感に働きかけることで支援をすることもできます。苦痛緩和との間で支援方法に悩むケースは多いとは思いますが、看取り支援に正解はありません。その中で本人を中心に、家族、ケアスタッフ、多職種と意見交換をしながら、最期を自分らしく穏やかに過ごしていただけるよう、よく話し合い、支援を行うこと自体に重要な意味があると思います。
- 実施も拒否も即答しないと決めても、何を確認先へ渡せばよいか迷うことがあります。食事中の出来事を個人の反省で終わらせず、観察した事実を報告材料へ変える考え方を整理できます。
- 詳しくは、食事介助のヒヤリハットを反省文にしない|むせ・詰め込み・姿勢崩れの報告の考え方で確認できます。
3.本人の意思と家族の希望を分けて整理する

本人が言葉で答えにくいと、長く関わってきた家族の「食べたいはず」という言葉を、そのまま本人の意思として受け取りたくなることがあります。しかし、家族の情報が大切であることと、家族の希望だけで決めることは同じではありません。
本人が現在示せる意思を確認し、難しい場合は、これまでの人生観や好みを家族から聞きます。その情報をもとに、本人が何を望むか、本人にとって何が最善かを医療・ケアチームとの話し合いへつなげます。
出典・根拠を確認
厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
また、本人の意思は変化しうるものであることや、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、本人が家族等の信頼できる者を含めて話し合いが繰り返し行われることが重要です。5)本人の意思が明確でない場合には、家族等の役割がいっそう重要になります。特に、本人が自らの意思を伝えられない状態になった場合に備えて、特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めている場合は、その者から十分な情報を得たうえで、本人が何を望むか、本人にとって何が最善かを、医療・ケアチームとの間で話し合う必要があります。
- 家族の情報を大切にしながら本人自身の意思と分けて考える視点は、食事場面以外でも役立ちます。本人の拒否と家族が訴える安全をどう整理するか、別の事例で確認できます。
- 詳しくは、認知症の本人が施設入所や支援を拒否したら?本人の意思と安全をどう考えるかで確認できます。
4.決まった内容は記録し、変化があれば見直す
前回の合意があると、同じ方針を続けることが対応の統一だと感じやすくなります。しかし、本人の意思や心身の状態は変化する可能性があり、家族の受け止めも以前と同じとは限りません。
本人の反応、状態、家族の希望に変化を感じたときは、以前の記録だけで進めず、再確認へ切り替える合図にします。話し合った内容はその都度文書にまとめ、誰が家族へ返答するかも確認します。
出典・根拠を確認
厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
② 時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援が行われることが必要である。この際、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等も含めて話し合いが繰り返し行われることも必要である。③ このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。
- 本人の反応や家族の希望が変わったとき、次の確認に使える記録をどう残すか迷う場合があります。食事場面の違和感を短く記録し、申し送りにつなげる方法を確認できます。
- 詳しくは、ミールラウンドが続かない介護施設へ|食事介助の違和感を記録・申し送りにつなげる方法で確認できます。
家族の希望は、断るか実行するかの二択ではありません。願いの目的、本人の意思、現在の方針を分けて確認し、変化があれば記録を更新してチームの判断へ戻します。
看取り期に家族から食事を希望されたときの4つの典型場面

現場では、家族の願いが切実であるほど、「少しだけなら」と気持ちが動きます。けれども、同じ「食べさせたい」という言葉でも、家族がかなえたいことや本人が望んでいることは一つではありません。
面会時間が短い、確認できる職員がすぐ近くにいない、家族を待たせたくない。こうした条件が重なると、その場にいる介護士へ判断が集中します。焦って約束した経験から見えやすいのは、家族の言葉を受け止めることと、提供を決めることを分ける必要です。確認できない間は実施を約束せず、希望の目的と本人の意思を先に整理します。
「今すぐ一口だけ」と面会中に頼まれる
家族が好物を手に「今だけでも」と頼むと、待ってもらうことが後悔につながるように感じます。「一口なら」と即答しやすい場面ですが、うまく進めるには、まず何をかなえたいのかを聞き、返答をチーム確認後へ切り替えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 即答を求められる面会中です。 |
| 困りごと | 家族を失望させたくない焦りです。 |
| 誤解 | 少量なら個人で決められるという考えです。 |
押さえるべき視点は、食事支援も本人を中心に家族・ケアスタッフ・多職種で話し合うこと。介護士はその場で目的を聞き、確認先へつなぎます。
出典・根拠を確認
一般社団法人 日本健康・栄養システム学会令和3年度介護報酬改定対応 介護サービスにおける栄養ケア・マネジメントの実務の手引き(初版)
看取り期の支援は本人・家族の意向によりケアの方向性は決まります。それは食事支援も同じであり、その中で本人の持てる力を最期まで活かして支援を行うことが求められます。前項の通り、人は死に近づく中で自然と食事を摂取すること難しくなります。その場合においても、食事は見た目やにおい、音など、その他の五感に働きかけることで支援をすることもできます。苦痛緩和との間で支援方法に悩むケースは多いとは思いますが、看取り支援に正解はありません。その中で本人を中心に、家族、ケアスタッフ、多職種と意見交換をしながら、最期を自分らしく穏やかに過ごしていただけるよう、よく話し合い、支援を行うこと自体に重要な意味があると思います。
- 「一口だけ」にどう返すか整理したあと、本人が水分を望む具体的な場面で何を見るかを確認したい方へ。本人意思、現在の様子、チーム方針を分けて考える別記事があります。
- 詳しくは、〖施設介護〗看取り期の水分補給で迷う介護士の3つの確認点で確認できます。
家族が好物や飲み物を持参する
以前は好物を喜んでいたという話を聞くと、今回も同じようにできそうだと考えやすくなります。受け取ることと提供することが混ざりやすい場面だからこそ、家族の願いを記録し、本人の今の意思とチームの方針を確認するところで一度止まります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 家族が本人の好きだった物を持ってくる場面です。 |
| 困りごと | 預かれば提供を約束したように感じることです。 |
| 誤解 | 家族の持参品ならそのまま使えるという考えです。 |
本人の意向を中心に検討するため、介護士だけで可否を決めず、家族が何を望むのかを聞いて必要な職種へ渡します。
出典・根拠を確認
厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
また、本人の意思は変化しうるものであることや、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、本人が家族等の信頼できる者を含めて話し合いが繰り返し行われることが重要です。5)本人の意思が明確でない場合には、家族等の役割がいっそう重要になります。特に、本人が自らの意思を伝えられない状態になった場合に備えて、特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めている場合は、その者から十分な情報を得たうえで、本人が何を望むか、本人にとって何が最善かを、医療・ケアチームとの間で話し合う必要があります。
一般社団法人 日本健康・栄養システム学会
令和3年度介護報酬改定対応 介護サービスにおける栄養ケア・マネジメントの実務の手引き(初版)
看取り期の支援は本人・家族の意向によりケアの方向性は決まります。それは食事支援も同じであり、その中で本人の持てる力を最期まで活かして支援を行うことが求められます。前項の通り、人は死に近づく中で自然と食事を摂取すること難しくなります。その場合においても、食事は見た目やにおい、音など、その他の五感に働きかけることで支援をすることもできます。苦痛緩和との間で支援方法に悩むケースは多いとは思いますが、看取り支援に正解はありません。その中で本人を中心に、家族、ケアスタッフ、多職種と意見交換をしながら、最期を自分らしく穏やかに過ごしていただけるよう、よく話し合い、支援を行うこと自体に重要な意味があると思います。
- 家族が飲み物を持参した場面では、受け取ることと提供判断を分けたうえで、完成した飲み物の状態をどう見るかが次の疑問になりやすいものです。お茶ゼリーに絞った確認例を読めます。
- 詳しくは、お茶ゼリーは安全?介護現場で迷う見方と判断のポイントで確認できます。
本人が言葉で意思を示しにくい

家族から「この人なら食べたいはず」と言われると、長く本人を知る家族の判断を尊重したくなります。一方、目の前の本人の反応と重ならないと、何を基準にすべきか迷います。家族の情報を大切にしながら、本人の推定意思と最善をチームで考える場面です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 本人の返答が難しいときです。 |
| 困りごと | 本人の今の意思を確認しにくいことです。 |
| 誤解 | 家族の希望がそのまま本人意思になるという考えです。 |
家族から本人の人生観や価値観を聞き、その情報を医療・ケアチームへ渡して、本人が何を望むかを話し合います。
出典・根拠を確認
厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
また、本人の意思は変化しうるものであることや、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、本人が家族等の信頼できる者を含めて話し合いが繰り返し行われることが重要です。5)本人の意思が明確でない場合には、家族等の役割がいっそう重要になります。特に、本人が自らの意思を伝えられない状態になった場合に備えて、特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めている場合は、その者から十分な情報を得たうえで、本人が何を望むか、本人にとって何が最善かを、医療・ケアチームとの間で話し合う必要があります。
家族の希望が「食べさせたい」から変わる
以前は「できるだけ食べてほしい」と話していた家族が、本人の様子を見て「今は無理をさせたくない」と考えを変えることがあります。過去の方針を守ることが対応統一だと思うほど、家族の今の言葉を受け止めにくくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 本人の状態や家族の受け止めが変わった場面です。 |
| 困りごと | 前回の合意とのずれです。 |
| 誤解 | 一度決めた方針を変えない方がよいという考えです。 |
変化を感じた時点で再確認へ切り替え、本人の意思を示せるよう支援し、家族を含めて話し合った内容を記録します。
出典・根拠を確認
厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
② 時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援が行われることが必要である。この際、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等も含めて話し合いが繰り返し行われることも必要である。③ このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。
家族の言葉が同じでも、願いの目的や本人の意思、以前の方針との関係は異なります。即答せず、変化を受けた時点で確認へ切り替えることが、個人判断を避ける入口です。
介護の仕事と暮らしを、ちょっと良くする選択肢
働き方を見直したいときや、毎日の負担を減らしたいときに役立つサービス・商品を紹介します。
なぜ家族の希望だけで食べさせる・食べさせないを決めないのか

家族が強く望んでいると、かなえることが良い看取りのように感じます。一方、本人への負担が気になると、断る方が本人のためだと思うこともあります。この二択では整理できない理由を、本人意思とチーム判断の視点から確認します。
同じ本人を見ても、介護士にはむせや負担が、家族には乾いている様子や何もできない後悔が強く見えることがあります。どちらの感情も、実施可否そのものではありません。迷ったときは、家族の願いを聞く段階から、本人の意思を確かめ、判断をチームへ戻す段階へ切り替えます。
「口から」の言葉だけでは希望の中身が分からないから
家族から「食べさせたい」と言われると、食事を提供することが唯一の答えに見えやすくなります。しかし、味を楽しんでほしい、何かしてあげたいなど、家族が大切にしたいことを聞かなければ、検討すべき方向は定まりません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 理想 | 家族の意向を尊重することです。 |
| 現実 | 言葉の背景を確認しないまま実施だけを約束すると、本人を中心に考える話し合いへ進めません。 |
希望を受けた介護士は、まず目的を家族の言葉で残し、その情報を家族・ケアスタッフ・多職種の意見交換へ渡します。
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一般社団法人 日本健康・栄養システム学会令和3年度介護報酬改定対応 介護サービスにおける栄養ケア・マネジメントの実務の手引き(初版)
看取り期の支援は本人・家族の意向によりケアの方向性は決まります。それは食事支援も同じであり、その中で本人の持てる力を最期まで活かして支援を行うことが求められます。前項の通り、人は死に近づく中で自然と食事を摂取すること難しくなります。その場合においても、食事は見た目やにおい、音など、その他の五感に働きかけることで支援をすることもできます。苦痛緩和との間で支援方法に悩むケースは多いとは思いますが、看取り支援に正解はありません。その中で本人を中心に、家族、ケアスタッフ、多職種と意見交換をしながら、最期を自分らしく穏やかに過ごしていただけるよう、よく話し合い、支援を行うこと自体に重要な意味があると思います。
本人の意思と家族の願いは同じとは限らないから
家族が本人をよく知っているほど、「本人もそう望むはず」という言葉には重みがあります。だからこそ、介護士は否定しづらく、家族の願いと本人自身の意思を分けることにためらいを感じます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 理想 | 本人の意思を基本にすることです。 |
| 現実 | 本人が意思を伝えにくい場合があり、家族から得られる情報が重要になります。 |
ただし、その情報だけで決定するのではありません。家族が知る本人の人生観や価値観を受け取り、本人が何を望むか、何が最善かを医療・ケアチームとの話し合いへつなげます。
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厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
また、本人の意思は変化しうるものであることや、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、本人が家族等の信頼できる者を含めて話し合いが繰り返し行われることが重要です。5)本人の意思が明確でない場合には、家族等の役割がいっそう重要になります。特に、本人が自らの意思を伝えられない状態になった場合に備えて、特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めている場合は、その者から十分な情報を得たうえで、本人が何を望むか、本人にとって何が最善かを、医療・ケアチームとの間で話し合う必要があります。
実施や中止は医療・ケアチームが慎重に判断するから

その場にいる介護士は、家族から最も早く答えを求められます。確認先がすぐ応答できないと、自分で決めなければならないように感じます。しかし、開始・不開始や内容変更は、介護士一人が背負う判断ではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 理想 | 必要な情報がそろった状態で方針を決めることです。 |
| 現実 | 時間帯や配置で確認が遅れることもあります。 |
だからこそ、確認できない間は約束せず、家族へ返答時期を伝えます。本人の状態と家族の希望を整理し、施設の連絡手順に沿って医療・ケアチームへ戻します。
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厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
② 人生の最終段階における医療・ケアについて、医療・ケア行為の開始・不開始、医療・ケア内容の変更、医療・ケア行為の中止等は、医療・ケアチームによって、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべきである。*注4 人生の最終段階には、がんの末期のように、予後が数日から長くとも2-3ヶ月と予測が出来る場合、慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合、脳血管疾患の後遺症や老衰など数ヶ月から数年にかけ死を迎える場合があります。どのような状態が人生の最終段階かは、本人の状態を踏まえて、医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべき事柄です。
- 介護士が拾った本人の変化を、どの職種へどのように渡すかまで整理したい場合は、食事場面を複数職種で確認する目的と観察項目、役割の分け方を確認できます。
- 詳しくは、〖嚥下評価〗ミールラウンドの目的と観察ポイントを整理する(多職種の意見交換)で確認できます。
本人の状態や意思は変化し得るから
一度決めた方針があると、同じ対応を続けることが安全だと考えやすくなります。ところが、家族の言葉や本人の反応が以前と違うと、過去の記録と目の前の状況のどちらを優先するか迷います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 理想 | 対応をそろえることです。 |
| 現実 | 本人の意思や心身の状態は変化する可能性があります。 |
変化があるのに以前の方針を固定すると、今の意思を確認する機会を失います。本人や家族の言葉が変わった時点で話し合いを再開し、その都度、内容を文書に残します。
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厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
② 時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援が行われることが必要である。この際、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等も含めて話し合いが繰り返し行われることも必要である。③ このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。
- 以前の方針と目の前の様子が違うと感じたとき、変化を具体的な言葉へ置き換える視点が必要です。むせだけで決めず、食事中から食後まで何を見て共有するかを具体的に整理できます。
- 詳しくは、食事中のむせ判断で迷う介護士へ 見るポイント整理で確認できます。
家族の希望を尊重することは、希望どおりに即実施することではありません。目的と本人意思を整理し、実施判断はチームへ戻し、変化があればその時点で再確認します。
介護の仕事と暮らしを、ちょっと良くする選択肢
働き方を見直したいときや、毎日の負担を減らしたいときに役立つサービス・商品を紹介します。
看取り期の家族対応で介護士が迷いやすい質問
現場では、家族の希望を受けたその瞬間に「何と返すか」「誰へ確認するか」で迷います。家族を待たせたくない気持ちがあっても、即答と丁寧な対応は同じではありません。
- Q家族から「最後まで口から」と言われたら、最初に何と返せばよいですか?
- A
まず願いを否定せず、何をかなえたいのかを聞きます。「お気持ちと、かなえたいことを聞かせてください。確認してお返事します」と伝えるのが一案です。
面会時間が短いと即答したくなりますが、その場で実施は約束しません。家族の言葉を受け取り、本人を中心に家族・ケアスタッフ・多職種で話し合うための情報へ変えます。
出典・根拠を確認
一般社団法人 日本健康・栄養システム学会
令和3年度介護報酬改定対応 介護サービスにおける栄養ケア・マネジメントの実務の手引き(初版)
看取り期の支援は本人・家族の意向によりケアの方向性は決まります。それは食事支援も同じであり、その中で本人の持てる力を最期まで活かして支援を行うことが求められます。前項の通り、人は死に近づく中で自然と食事を摂取すること難しくなります。その場合においても、食事は見た目やにおい、音など、その他の五感に働きかけることで支援をすることもできます。苦痛緩和との間で支援方法に悩むケースは多いとは思いますが、看取り支援に正解はありません。その中で本人を中心に、家族、ケアスタッフ、多職種と意見交換をしながら、最期を自分らしく穏やかに過ごしていただけるよう、よく話し合い、支援を行うこと自体に重要な意味があると思います。
- Q本人が意思を伝えられないときは、家族が決めるのですか?
- A
家族が知っている本人の人生観や価値観は重要な情報です。ただし、家族の希望だけで介護士が実施可否を決めるわけではありません。
家族が本人の意思を推定できる場合も、その情報を得たうえで、本人が何を望むか、何が最善かを医療・ケアチームとの間で話し合います。
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厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会
人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
また、本人の意思は変化しうるものであることや、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、本人が家族等の信頼できる者を含めて話し合いが繰り返し行われることが重要です。5)本人の意思が明確でない場合には、家族等の役割がいっそう重要になります。特に、本人が自らの意思を伝えられない状態になった場合に備えて、特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めている場合は、その者から十分な情報を得たうえで、本人が何を望むか、本人にとって何が最善かを、医療・ケアチームとの間で話し合う必要があります。
- Q家族が持参した好物は、その場で提供してよいですか?
- A
持参されたことだけを理由に、介護士一人で提供を決めません。経口摂取を始める、始めない、内容を変えるといった方針は、医療・ケアチームが慎重に判断する領域です。
家族には提供を約束せず、希望の目的、本人の意思、現在の方針を整理して、施設の確認先へつなぎます。
出典・根拠を確認
厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会
人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
② 人生の最終段階における医療・ケアについて、医療・ケア行為の開始・不開始、医療・ケア内容の変更、医療・ケア行為の中止等は、医療・ケアチームによって、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべきである。*注4 人生の最終段階には、がんの末期のように、予後が数日から長くとも2-3ヶ月と予測が出来る場合、慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合、脳血管疾患の後遺症や老衰など数ヶ月から数年にかけ死を迎える場合があります。どのような状態が人生の最終段階かは、本人の状態を踏まえて、医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべき事柄です。
- Q誰へ相談すればよいですか?
- A
全国一律の連絡順を決めつけず、施設で定めた連絡手順に沿って、本人に関わる医療・ケアチームへつなぎます。食事支援では、本人を中心に家族、ケアスタッフ、多職種で意見交換することが示されています。
複数の職員が別々に返答すると家族が迷うため、相談時に誰が家族へ説明するかも確認します。
出典・根拠を確認
厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会
人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
また、本人の意思は変化しうるものであることや、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、本人が家族等の信頼できる者を含めて話し合いが繰り返し行われることが重要です。5)本人の意思が明確でない場合には、家族等の役割がいっそう重要になります。特に、本人が自らの意思を伝えられない状態になった場合に備えて、特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めている場合は、その者から十分な情報を得たうえで、本人が何を望むか、本人にとって何が最善かを、医療・ケアチームとの間で話し合う必要があります。
一般社団法人 日本健康・栄養システム学会
令和3年度介護報酬改定対応 介護サービスにおける栄養ケア・マネジメントの実務の手引き(初版)
看取り期の支援は本人・家族の意向によりケアの方向性は決まります。それは食事支援も同じであり、その中で本人の持てる力を最期まで活かして支援を行うことが求められます。前項の通り、人は死に近づく中で自然と食事を摂取すること難しくなります。その場合においても、食事は見た目やにおい、音など、その他の五感に働きかけることで支援をすることもできます。苦痛緩和との間で支援方法に悩むケースは多いとは思いますが、看取り支援に正解はありません。その中で本人を中心に、家族、ケアスタッフ、多職種と意見交換をしながら、最期を自分らしく穏やかに過ごしていただけるよう、よく話し合い、支援を行うこと自体に重要な意味があると思います。
- Q一度決めた方針は、いつ見直せばよいですか?
- A
本人の意思や心身の状態、家族の希望に変化を感じたときは、以前の方針をそのまま続けず再確認します。本人が意思を示せるよう支援し、家族等を含めて話し合いを繰り返します。
数日前の合意があると切り替えに迷いますが、変化を受けた時点で確認へ戻り、話し合った内容をその都度文書に残します。
出典・根拠を確認
厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会
人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf
② 時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援が行われることが必要である。この際、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等も含めて話し合いが繰り返し行われることも必要である。③ このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。
迷ったときは、家族の願いを聞くことと実施を決めることを分けます。即答できない場合は確認して返すと伝え、本人や家族の言葉が変われば再確認へ切り替えます。
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現場では、限られた面会時間のなかで家族から返答を求められ、「待ってもらうことで後悔を残すのでは」と迷うことがあります。
それでも、家族の願いを受け止めることと、その場で食べさせる・食べさせないを決めることは別です。本人の意思と反応、家族がかなえたいこと、現在の方針を分けて整理し、医療・ケアチームの話し合いへつなぐことが、現場介護士にできる大切な役割です。
すべてをその場で解決できなくても、願いを切り捨てず、個人判断にもせず、次の判断へ渡せれば十分です。本人の状態や家族の希望が変わったときは、決めた内容を固定せず、説明と記録を更新していきます。
次に同じ希望を受けたら、まず「何を、なぜ、どのようにかなえたいのか」を家族の言葉で短く記録することから始めてみてください。すぐ確認できない時間帯は実施を約束せず、いつ、誰が返答するかまで伝えます。
最後までご覧いただきありがとうございます。
更新履歴
- 2026年4月18日:新規投稿
- 2026年5月14日:内容を全面的にリライト
- 2026年10月3日:内容を全面的にリライト



