トイレ拒否の原因が絞れないとき生成AIをどう使う?介護職のための事実整理と観察ポイント

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介護職員がトイレ拒否の観察事実を生成AIで整理する流れを描いた図解です。

「トイレに行きたい」と言われて誘導を始めたのに、途中で「家に電話したい」と話が変わり、トイレの入口で拒否される。こうした場面では、尿意、場所への不安、声かけ、体調など、いくつもの可能性が浮かびます。

拒否や大声が続けば、介護士側にも焦りや怒りが生じます。その感情を理由に強引な介助を正当化はできません。一方で、焦ったまま記録すると「不穏」「意味不明」「拒否が強い」といった評価語だけが残り、次に見るべき事実が見えにくくなります。

生成AIは、目の前の利用者を観察できません。そこで、原因を決める道具ではなく、分からないことを分からないまま整理する道具として使います。観察事実と解釈を分け、足りない情報を洗い出し、次の勤務で確認する項目へ変える使い方です。

この記事を読むと分かること

  • トイレ拒否で記録する事実
  • 事実と解釈の分け方
  • 生成AIへ依頼する4項目
  • 個人情報とAI出力の扱い方

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 拒否の原因候補が多く絞れない
  • 記録が評価語だけになりやすい
  • AIへの頼み方が分からない
  • 個人情報の入力が心配

トイレ拒否は生成AIに原因を決めさせず次の観察点を整理する

発言と行動を事実・解釈・不明点に分け、次の観察へつなぐ図解です。

トイレ拒否の原因が絞れないときは、本人の言葉と行動を時系列で記し、観察事実と介護士の解釈を分けます。個人を特定できる情報を除いたうえで、生成AIへ原因候補・現時点で分からないこと・追加で必要な情報・次の観察の4項目を依頼します。

目的は、本当の原因をAIに当ててもらうことではありません。観察していない部分を「未確認」のまま残し、次の勤務で集める事実を具体的にすることです。1回の出来事で決めず、同じ項目で複数回を並べると、毎回同じ点と違う点を比較できます。

本人の言葉と行動を時系列で並べる

まず、「トイレに行きたい」から拒否までを順番どおりに書きます。たとえば、14時10分に居室で本人が「トイレに行きたい」と発言し、職員が付き添って廊下へ出た後、「家に電話したい」と発言し、トイレ入口で立ち止まった、という形です。

誰が、いつ、どこで、直前に何があり、本人が何と言ったかを残します。表情、声量、姿勢、手の動き、前回排泄からの間隔、拒否が始まった地点も、見聞きした範囲で書きます。「不穏」ではなく、観察できた言葉と動きへ戻すことが出発点です。

トイレ拒否の背景を広く見る
出典・根拠を確認

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 意思決定支援は、本人の意思(脚注v)の内容を支援者の視点で評価し、支援すべきだと判断した場合にだけ支援するのではなく、日々の暮らしの中で、本人自身がどのような意思をもっているのかについて、まずは本人の表明した意思選好を確認し、本人の意思の確認がどうしても難しい場合には、推定意思・選好を確認する(脚注vi)。
○ なお、自ら意思決定できる早期の段階で、本人の意思を確認し、できる限り具体的な内容を記録として残しておくことも考えられる。
○ 認知症の人は、言語による意思表示がうまくできないことが多く想定されることから、意思決定支援者は、認知症の人の身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力を最大限に行うことが求められる。

観察事実と介護士の解釈・感情を別欄にする

同じメモの中でも、事実、解釈、感情を分けます。「家に電話したいと言った」は事実です。「トイレから逃げるために話題を変えた」は解釈です。「何度も拒否されて腹が立った」は介護士の感情です。

解釈や感情を書いてはいけないのではありません。利用者について確認できた事実と混ぜないことが大切です。「理由は未確認」と残せば、AIにも空白を勝手に埋めさせずに済みます。大声があった場合も、「怒っていた」だけでなく、誰のどの言葉の後に、どの程度の声量になったかを書きます。

事実と未確認情報を分ける
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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 意思決定支援は、本人の意思(脚注v)の内容を支援者の視点で評価し、支援すべきだと判断した場合にだけ支援するのではなく、日々の暮らしの中で、本人自身がどのような意思をもっているのかについて、まずは本人の表明した意思選好を確認し、本人の意思の確認がどうしても難しい場合には、推定意思・選好を確認する(脚注vi)。
○ なお、自ら意思決定できる早期の段階で、本人の意思を確認し、できる限り具体的な内容を記録として残しておくことも考えられる。
○ 認知症の人は、言語による意思表示がうまくできないことが多く想定されることから、意思決定支援者は、認知症の人の身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力を最大限に行うことが求められる。

AIには原因候補・不明点・追加情報・次の観察を指定する

原因候補・不明点・追加情報・次の観察を分けてAIへ依頼する図解です。

生成AIへは、「原因を教えて」ではなく、してほしい作業と出力形式を指定します。文脈として介護場面であること、入力として匿名化した観察事実、出力として4項目を渡します。

そのまま使う場合は、次のように依頼できます。

以下はトイレ誘導時に観察した事実です。原因を断定せず、①考えられる原因候補、②現時点で分からないこと、③追加で必要な情報、④次の勤務で観察すること、の4項目に分けて箇条書きで整理してください。入力にない事実は補わず、「未確認」と明記してください。

この後に、時系列の事実と、別欄にした解釈を付けます。出力された原因候補は結論にせず、次に確かめるための仮説として読みます。

AIには判断より分類を任せる
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独立行政法人情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生 生成AIのセキュリティリスクと対策プロジェクト

テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

プロンプトには以下の 4 つの要素が含まれています。
 命令:「回答する」「分類する」「要約する」など生成 AI に実行してもらうタスク
 文脈:「話題」「目的」「複数の例」など生成 AI が正確にタスクを実行するための追加の情報
 入力:「回答してほしい質問」「要約してほしい文章」などタスクを実行する対象
 出力:「文章の長さ」「箇条書きの個数」「プログラム形式」など回答の形式の指示
必ずしも 4 つの要素全てが必要というわけではありませんが、これらを具体的に指示し適切に組み合わせることで、生成 AI は目的の出力を生成しやすくなります。これをプロンプトエンジニアリングと呼びます [19]。

トイレ拒否では、発言と行動を時系列にし、事実・解釈・感情を分けます。AIには4項目の形式を指定し、原因候補を次の観察へつなぐ仮説として扱います。


トイレ拒否の事実整理で生成AIを使うときのよくある3つの失敗

情報不足・一回での断定・記録の貼付けという三つの失敗を示す図解です。

生成AIを開いても、最初の依頼が短すぎたり、介護記録をそのまま貼ったりすると、次の観察にはつながりません。ここでは、現場で起こりやすい3つの失敗を、直し方と一緒に整理します。

「トイレ拒否の原因を教えて」だけで聞く

「利用者がトイレを拒否します。原因を教えてください」だけでは、本人の言葉、前後の行動、場所、時間が分かりません。AIは一般的な可能性を並べられても、どの情報が足りないかまで、こちらの意図どおりに整理できるとは限りません。

依頼は、次の2つを比べると違いが分かります。

依頼内容
情報が足りない依頼トイレ拒否の原因を教えてください。
観察へつなぐ依頼匿名化した時系列の事実を入力し、原因を断定せず、原因候補・不明点・追加情報・次の観察の4項目で整理してください。入力にない事実は未確認としてください。

命令だけでなく、介護場面という文脈、観察した事実という入力、4項目という出力形式を分けます。AIへの依頼文自体を、観察の漏れを見つける型にします。

原因候補を整理する型を見る
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独立行政法人情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生 生成AIのセキュリティリスクと対策プロジェクト

テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

プロンプトには以下の 4 つの要素が含まれています。
 命令:「回答する」「分類する」「要約する」など生成 AI に実行してもらうタスク
 文脈:「話題」「目的」「複数の例」など生成 AI が正確にタスクを実行するための追加の情報
 入力:「回答してほしい質問」「要約してほしい文章」などタスクを実行する対象
 出力:「文章の長さ」「箇条書きの個数」「プログラム形式」など回答の形式の指示
必ずしも 4 つの要素全てが必要というわけではありませんが、これらを具体的に指示し適切に組み合わせることで、生成 AI は目的の出力を生成しやすくなります。これをプロンプトエンジニアリングと呼びます [19]。

1回の拒否で原因を一つに決める

1回の出来事を入力し、AIが「羞恥心の可能性」「環境への不安」などと返すと、もっともらしい一つを選びたくなります。しかし、入力文の解釈がずれたり、観察していない情報を補うような回答が混ざったりする可能性があります。

原因候補は、その場で正解を選ぶためではなく、次回に確認する項目へ変えます。たとえば、「トイレ入口で止まった」が毎回か、「家に電話したい」が特定の職員や時間だけか、表情や声量がどの時点で変わるかを、同じ書式で複数回並べます。

1件目は結論ではなく基準点です。本人の発言、身振り、表情を具体的に残し、2件目以降との差を見ます。候補が外れたときも失敗ではなく、観察事実が増えたと考えます。

一度の拒否で固定しない見方
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独立行政法人情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生 生成AIのセキュリティリスクと対策プロジェクト

テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

テキスト生成 AI は必ずしも正確な回答ができるとはいえません。テキスト生成 AI はあくまでもユーザの入力したプロンプトに基づいて出力を生成します。入力プロンプト処理時に、テキスト生成 AI がユーザの意図と乖離した解釈をした場合、ユーザが期待する適切な出力内容は見込めません。さらに、テキスト生成 AI は文脈を正確に推定して回答を出力するわけではないため、出力に矛盾や非論理的内容が含まれるリスクもあります。また、ファインチューニングを利用したテキスト生成 AI においても同様に、追加学習に使用したデータが正しかったとしても、誤った回答を出力する可能性があります。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 意思決定支援は、本人の意思(脚注v)の内容を支援者の視点で評価し、支援すべきだと判断した場合にだけ支援するのではなく、日々の暮らしの中で、本人自身がどのような意思をもっているのかについて、まずは本人の表明した意思選好を確認し、本人の意思の確認がどうしても難しい場合には、推定意思・選好を確認する(脚注vi)。
○ なお、自ら意思決定できる早期の段階で、本人の意思を確認し、できる限り具体的な内容を記録として残しておくことも考えられる。
○ 認知症の人は、言語による意思表示がうまくできないことが多く想定されることから、意思決定支援者は、認知症の人の身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力を最大限に行うことが求められる。

介護記録を氏名だけ消して貼り付ける

氏名以外の施設名や家族情報の組合せも確認する匿名化の図解です。

氏名を消せば匿名になるとは限りません。施設名、部屋番号、正確な日時、珍しい出来事、家族構成、身体状況などが組み合わさると、知っている人には誰か分かる場合があります。

AIへ渡す前に、氏名、住所、電話番号、施設名、部屋番号、利用者番号、固有の家族情報を外します。正確な時刻が不要なら「昼食後」のように必要な粒度へ落とします。ただし、何を削ればよいかをこの記事だけで決めず、所属先の個人情報保護ルールと、利用を認められたAI環境を確認します。

正式な介護記録をコピーするのではなく、今回の整理に必要な観察事実だけを抜き出します。利用が許可されていない環境では、匿名化しても入力しません。

介護現場でAIを使う停止線
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独立行政法人情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生 生成AIのセキュリティリスクと対策プロジェクト

テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

生成 AI に入力したプロンプトが学習データとして利用されると、第三者によるプロンプトの生成物にそれらの情報が含まれる可能性があります。以下に示す情報は、ユーザによる入力を制限することが推奨されます。
 著作権保護情報
生成物に著作権で保護された内容と類似した内容が含まれる可能性があります。そのような生成物の利用は著作権侵害となり、法的トラブルや組織の信用失墜を引き起こします。
 個人情報
氏名や住所、電話番号といった情報が学習し生成されると、プライバシーの侵害に繋がります。
 組織の機密情報
組織の内部文書や秘密保持契約を締結した情報がプロンプトに含まれると、組織の機密情報が漏洩するリスクがあります。

個人情報保護委員会、厚生労働省

医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス

https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf

「個人情報」とは、生存する「個人に関する情報」であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日、その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができるものを含む。)又は個人識別符号が含まれるものをいう。「個人に関する情報」は、氏名、住所、性別、生年月日、顔画像等個人を識別する情報に限られず、ある個人の身体、財産、職種、肩書等の属性に関して、事実、判断、評価を表す全ての情報であり、評価情報、公刊物等によって公にされている情報や、映像、音声による情報も含まれ、暗号化等によって秘匿化されているか否かを問わない。

生成AIには、観察事実と出力形式を具体的に渡します。1回で原因を決めず、介護記録をそのまま貼らず、所属先のルールと承認済み環境を確認します。

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なぜ生成AIだけではトイレ拒否の原因を絞れないのか

AIの誤解、非言語情報、未確認事項から原因を断定しない図解です。

観察事実を詳しく入力すれば、生成AIが一つの原因へ導いてくれそうに見えます。しかし、AIは現場におらず、入力されていない表情や動き、環境の変化を確認できません。文章の解釈自体がずれる場合もあります。

AIは入力文を誤って解釈し誤答することがあるから

AIが整った文章で答えても、その内容が正しいとは限りません。入力した文章を利用者の状況どおりに理解した保証もありません。文脈を正確に推定できず、矛盾や非論理的な内容を出す可能性があります。

そのため、「この拒否は羞恥心が原因です」のような断定が返っても、正式な結論にはしません。もっともらしい文章と確認できた事実を分ける必要があります。AIの役割は候補を広げたり並べ替えたりするところまでです。

AIと人の確認工程を分ける
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テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

テキスト生成 AI は必ずしも正確な回答ができるとはいえません。テキスト生成 AI はあくまでもユーザの入力したプロンプトに基づいて出力を生成します。入力プロンプト処理時に、テキスト生成 AI がユーザの意図と乖離した解釈をした場合、ユーザが期待する適切な出力内容は見込めません。さらに、テキスト生成 AI は文脈を正確に推定して回答を出力するわけではないため、出力に矛盾や非論理的内容が含まれるリスクもあります。また、ファインチューニングを利用したテキスト生成 AI においても同様に、追加学習に使用したデータが正しかったとしても、誤った回答を出力する可能性があります。

本人の意思は発言だけでなく表情や身振りにも表れるから

本人の表情・視線・手の動きを介護職員が観察して記録する図解です。

「家に電話したい」という発言だけでは、その言葉が何を意味するかまでは分かりません。トイレ入口で足を止めたのか、手すりから手を離したのか、職員を見たのか、視線をそらしたのかは、現場にいた人が観察して初めて残せる情報です。

AIへ発言だけを渡すと、入力にない表情や身振りは扱えません。本人の言葉を尊重しながら、言葉以外の変化も事実として記録することで、次回の比較材料が増えます。「怒っていた」と評価する前に、眉間、視線、声量、手の動きを見たまま書きます。

一言目と非言語反応を見直す
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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 意思決定支援は、本人の意思(脚注v)の内容を支援者の視点で評価し、支援すべきだと判断した場合にだけ支援するのではなく、日々の暮らしの中で、本人自身がどのような意思をもっているのかについて、まずは本人の表明した意思選好を確認し、本人の意思の確認がどうしても難しい場合には、推定意思・選好を確認する(脚注vi)。
○ なお、自ら意思決定できる早期の段階で、本人の意思を確認し、できる限り具体的な内容を記録として残しておくことも考えられる。
○ 認知症の人は、言語による意思表示がうまくできないことが多く想定されることから、意思決定支援者は、認知症の人の身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力を最大限に行うことが求められる。

分からない情報を残すほど次の観察が具体的になるから

原因を早く絞ろうとすると、空白を推測で埋めやすくなります。しかし、「前回排泄の時刻は未確認」「拒否前の表情は記録なし」「別の職員でも同じか不明」と書けば、それぞれが次回の観察項目になります。

AIへも、空白を補うよう依頼せず、不明点として列挙させます。原因候補と、それを確かめるための情報を組にすると、出力が現場の行動へ戻ります。分からない状態を保つことは、判断の放棄ではなく観察課題の明確化です。

個別判断は人の仕事に戻す
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テキスト生成 AI は必ずしも正確な回答ができるとはいえません。テキスト生成 AI はあくまでもユーザの入力したプロンプトに基づいて出力を生成します。入力プロンプト処理時に、テキスト生成 AI がユーザの意図と乖離した解釈をした場合、ユーザが期待する適切な出力内容は見込めません。さらに、テキスト生成 AI は文脈を正確に推定して回答を出力するわけではないため、出力に矛盾や非論理的内容が含まれるリスクもあります。また、ファインチューニングを利用したテキスト生成 AI においても同様に、追加学習に使用したデータが正しかったとしても、誤った回答を出力する可能性があります。

独立行政法人情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生 生成AIのセキュリティリスクと対策プロジェクト

テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

プロンプトには以下の 4 つの要素が含まれています。
 命令:「回答する」「分類する」「要約する」など生成 AI に実行してもらうタスク
 文脈:「話題」「目的」「複数の例」など生成 AI が正確にタスクを実行するための追加の情報
 入力:「回答してほしい質問」「要約してほしい文章」などタスクを実行する対象
 出力:「文章の長さ」「箇条書きの個数」「プログラム形式」など回答の形式の指示
必ずしも 4 つの要素全てが必要というわけではありませんが、これらを具体的に指示し適切に組み合わせることで、生成 AI は目的の出力を生成しやすくなります。これをプロンプトエンジニアリングと呼びます [19]。

生成AIは入力文を誤って解釈することがあり、現場の表情や身振りを観察できません。不明点を埋めさせず、次回に確かめる項目として残します。

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トイレ拒否の整理に生成AIを使うときのよくある質問

生成AIは便利でも、原因の断定、個人情報、正式記録との境界で迷います。現場で止まりやすい4つの質問を整理します。

Q
生成AIでトイレ拒否の本当の原因を特定できますか?
A

本当の原因を特定することはできません。AIの回答には誤りや入力文の解釈違いが含まれ得ます。原因候補は仮説として扱い、不明点と次の観察を増やすために使います。診断、医療判断、ケアや服薬の変更はAIに決めさせません。

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テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

テキスト生成 AI は必ずしも正確な回答ができるとはいえません。テキスト生成 AI はあくまでもユーザの入力したプロンプトに基づいて出力を生成します。入力プロンプト処理時に、テキスト生成 AI がユーザの意図と乖離した解釈をした場合、ユーザが期待する適切な出力内容は見込めません。さらに、テキスト生成 AI は文脈を正確に推定して回答を出力するわけではないため、出力に矛盾や非論理的内容が含まれるリスクもあります。また、ファインチューニングを利用したテキスト生成 AI においても同様に、追加学習に使用したデータが正しかったとしても、誤った回答を出力する可能性があります。

Q
どの事実を入力すればよいですか?
A

誰が、いつ、どこで、直前に何があり、本人が何と言ったかを時系列で入力します。表情、声量、姿勢、手の動き、前回排泄からの間隔、拒否が始まった地点も、観察できた範囲で加えます。「不穏」などの評価語ではなく、見聞きした内容へ置き換えます。

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テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン

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プロンプトには以下の 4 つの要素が含まれています。

 命令:「回答する」「分類する」「要約する」など生成 AI に実行してもらうタスク

 文脈:「話題」「目的」「複数の例」など生成 AI が正確にタスクを実行するための追加の情報

 入力:「回答してほしい質問」「要約してほしい文章」などタスクを実行する対象

 出力:「文章の長さ」「箇条書きの個数」「プログラム形式」など回答の形式の指示

必ずしも 4 つの要素全てが必要というわけではありませんが、これらを具体的に指示し適切に組み合わせることで、生成 AI は目的の出力を生成しやすくなります。これをプロンプトエンジニアリングと呼びます [19]。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 意思決定支援は、本人の意思(脚注v)の内容を支援者の視点で評価し、支援すべきだと判断した場合にだけ支援するのではなく、日々の暮らしの中で、本人自身がどのような意思をもっているのかについて、まずは本人の表明した意思選好を確認し、本人の意思の確認がどうしても難しい場合には、推定意思・選好を確認する(脚注vi)。

○ なお、自ら意思決定できる早期の段階で、本人の意思を確認し、できる限り具体的な内容を記録として残しておくことも考えられる。

○ 認知症の人は、言語による意思表示がうまくできないことが多く想定されることから、意思決定支援者は、認知症の人の身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力を最大限に行うことが求められる。

Q
介護記録をそのまま生成AIへ入力してもよいですか?
A

そのまま貼り付けないでください。氏名だけでなく、施設名、部屋番号、正確な日時、家族情報、身体状況などの組合せも確認します。所属先の規程に従い、承認されたAI環境だけを使います。利用が認められていない場合は入力しません。

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独立行政法人情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生 生成AIのセキュリティリスクと対策プロジェクト

テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

生成 AI に入力したプロンプトが学習データとして利用されると、第三者によるプロンプトの生成物にそれらの情報が含まれる可能性があります。以下に示す情報は、ユーザによる入力を制限することが推奨されます。

 著作権保護情報

生成物に著作権で保護された内容と類似した内容が含まれる可能性があります。そのような生成物の利用は著作権侵害となり、法的トラブルや組織の信用失墜を引き起こします。

 個人情報

氏名や住所、電話番号といった情報が学習し生成されると、プライバシーの侵害に繋がります。

 組織の機密情報

組織の内部文書や秘密保持契約を締結した情報がプロンプトに含まれると、組織の機密情報が漏洩するリスクがあります。

個人情報保護委員会、厚生労働省

医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス

https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf

「個人情報」とは、生存する「個人に関する情報」であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日、その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができるものを含む。)又は個人識別符号が含まれるものをいう。「個人に関する情報」は、氏名、住所、性別、生年月日、顔画像等個人を識別する情報に限られず、ある個人の身体、財産、職種、肩書等の属性に関して、事実、判断、評価を表す全ての情報であり、評価情報、公刊物等によって公にされている情報や、映像、音声による情報も含まれ、暗号化等によって秘匿化されているか否かを問わない。

Q
AIが出した原因候補を正式な介護記録へ書けますか?
A

AIの推測を、観察した事実としては書きません。正式な記録には、実際に見聞きした言葉、行動、表情、声量、場所、時刻と、確認済みの事項を施設の書式で残します。AI出力は観察項目を考える補助にとどめます。

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独立行政法人情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生 生成AIのセキュリティリスクと対策プロジェクト

テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

テキスト生成 AI は必ずしも正確な回答ができるとはいえません。テキスト生成 AI はあくまでもユーザの入力したプロンプトに基づいて出力を生成します。入力プロンプト処理時に、テキスト生成 AI がユーザの意図と乖離した解釈をした場合、ユーザが期待する適切な出力内容は見込めません。さらに、テキスト生成 AI は文脈を正確に推定して回答を出力するわけではないため、出力に矛盾や非論理的内容が含まれるリスクもあります。また、ファインチューニングを利用したテキスト生成 AI においても同様に、追加学習に使用したデータが正しかったとしても、誤った回答を出力する可能性があります。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 意思決定支援は、本人の意思(脚注v)の内容を支援者の視点で評価し、支援すべきだと判断した場合にだけ支援するのではなく、日々の暮らしの中で、本人自身がどのような意思をもっているのかについて、まずは本人の表明した意思選好を確認し、本人の意思の確認がどうしても難しい場合には、推定意思・選好を確認する(脚注vi)。

○ なお、自ら意思決定できる早期の段階で、本人の意思を確認し、できる限り具体的な内容を記録として残しておくことも考えられる。

○ 認知症の人は、言語による意思表示がうまくできないことが多く想定されることから、意思決定支援者は、認知症の人の身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力を最大限に行うことが求められる。

生成AIは原因特定や正式記録の代わりにはなりません。観察事実を匿名化して整理し、出力は次に見る項目を考える補助として扱います。


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次のトイレ拒否では一場面を時系列でメモする

トイレ拒否の原因が絞れないとき、生成AIに正解を出してもらう必要はありません。AIの役割は、観察事実、不明点、原因候補、次の観察を分けて並べることです。

まず、本人の言葉と行動を順番どおりに書きます。「トイレに行きたい」から誘導が始まり、「家に電話したい」へ変わり、どこで拒否したかを残します。表情、声量、手の動き、前回排泄からの間隔も、見た範囲で加えます。

その後、事実、介護士の解釈、介護士の感情を別欄にします。個人を特定できる情報を除き、所属先で認められた環境だけを使って、原因候補・不明点・追加情報・次の観察の4項目をAIへ依頼します。

次の勤務では、「誰が・いつ・どこで・直前に何があり・本人が何と言い・どこで拒否したか」を一場面だけメモするところから始めてください。

一度で原因が分からなくても、失敗ではありません。分からないことが一つ明確になれば、次に見る事実が一つ増えます。最後までご覧いただきありがとうございます。


更新履歴

  • 2026年4月6日:新規投稿
  • 2026年10月3日:内容を全面的にリライト
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