トイレ誘導で拒否されるとき、職員側は「トイレ」と言わないように気をつけていることがあります。それでも一言目で「嫌だ」「関係ない」と返されると、もう何を言えばいいのか分からなくなります。
こうした場面では、言葉そのものだけでなく、今から介助される空気や急かされている感覚が先に伝わっていることがあります。この記事では、認知症ケアでトイレ誘導の一言目をどう見直すかを、本人の意思・表情・記録の観点から整理します。
- トイレ誘導の一言目だけでなく、認知症の方がトイレや排泄介助を拒否する背景を広く確認したい場合は、認知症のトイレ拒否が起きる原因とは|声かけ・環境・本人の不安から考える対応で全体像を整理できます。
この記事を読むと分かること
- 拒否の見方
- 一言目の直し方
- 表情の読み方
- 記録の残し方
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
トイレ誘導の一言目で拒否される原因は、本人の意思を確認する前に介助を始めてしまうことです

拒否の原因は、トイレという単語だけではなく、一言目で本人の意思や自尊心が置き去りにされたように伝わることです。
現場では、失禁を避けたい、後の更衣や清掃を増やしたくないという切実な事情があります。けれど、本人から見ると、急に来た職員が自分の予定を決めたように感じることがあります。
声をかける側も余裕がないため、最初から本題に入りたくなります。そこで一度、一言目を誘導の開始ではなく、本人の反応を確認する入口として扱うことが大切です。拒否が続く方は、声かけ後の表情・身振り・返答を短く残し、次の職員が同じ失敗から始めないようにします。
一言目は「行きましょう」ではなく、本人の反応を見る入口にする
トイレ誘導では、職員の頭の中に「今行かないと後が詰まる」という段取りがあります。しかし本人には、その段取りが見えていません。この項目では、一言目を本人の意思を読む入口に変える視点を確認します。
認知症の人への支援では、本人の意思を尊重し、理解しやすいように説明することが示されています。言葉でうまく表せない場合も、身振りや表情の変化を意思表示として読み取る努力が求められます。だから最初の一言は、「連れて行く」より先に、本人がどう受け止めたかを見る合図にします。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版).pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf
意思決定支援者は、 認知症の人が、 一見すると意思決定が困難と思われる場合であっ ても、意思決定しながら尊厳をもって暮らしていくことの重要性について認識する ことが必要である。認知症の人への支援は、本人の意思を尊重するために行う。したがって、本人の意 思を尊重するために、本人の認知能力に応じて理解しやすいように説明しなければ ならない。認知症の人は、言語による意思表示がうまくできないことが多く想定されることか ら、意思決定支援者は、認知症の人の身振り手振り、表情の変化も意思表示として 読み取る努力を最大限に行うことが求められる。
命令や否定に聞こえる言葉は、自尊心に触れることがある
「今のうちに行っておきましょう」は、職員側では自然な声かけです。ただ、本人には「命令された」「失敗する前提で見られた」と聞こえる場合があります。この項目では、急いでいるときほど言葉が硬くなる問題を確認します。
認知症ケアの資料では、指示のペースをゆっくりにし、表情を観察しながら関わることが示されています。また、命令する言葉、子ども扱いする言葉、相手を否定する言葉は自尊心を傷つけると説明されています。拒否が出た場面では、言い負かすよりも、まず言葉が否定や命令に聞こえていないかを見直します。
- 「危ないです」「付き添いますね」という声かけで拒否が強くなる場合は、「ひとりで行く」とトイレ介助を拒否する理由|自尊心を傷つけない付き添いに必要なことで、本人の顔をつぶしにくい関わり方を確認できます。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版.pdf
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
緊急時以外はいつもより指示を出すペースをゆっくりにする.患者の表情が曇っていな いか注意深く観察しながら,処置を行う必要がある.コミュニケーションをとる上で,注意する言葉が 3 つある.それは,「命令する言葉」, 「子ども扱いする言葉」,「相手を否定する言葉(スピーチロック)」である.この 3 つの言 葉は,相手の自尊心を傷つけることになる.特に,相手を否定する言葉は,私たちは一瞬一 瞬で使用しているつもりでも,認知症患者が何度も同じ行動をとる場合は毎回否定される ことになり,気分の落ち込みや易怒性などに繋がることがある.そのため,安心できる言葉 がけや言い換えを使用する.
うまい職員の声かけは、個人技で終わらせない
同じ利用者でも、ある職員なら立ち上がり、別の職員では拒否されることがあります。失敗した職員だけが責められると、声をかけること自体が重くなります。この項目では、うまくいった入り方を記録に残す意味を確認します。
意思決定支援で困難や疑問がある場合、チームで情報を共有し、話し合いの内容を文書として残すことが必要とされています。トイレ誘導でも、長い記録を増やすのではなく、最初の一言、立ち上がる前の雑談、拒否されたときの切替だけを残すと、次の職員が同じ入口から試しやすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版).pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf
本人の意思決定能力の評価や、支援方法に困難や疑問を感じ、また、本人の意思を 日常・社会生活に反映した場合に、他者を害する恐れがあったり、本人にとって見 過ごすことのできない重大な影響が生ずる場合や本人のできること・やりたいこと の実現に向け、チームで情報を共有し、チームで検討する。意思決定支援会議の開催は、意思決定支援チームのだれからでも提案できるように し、会議では、情報を共有した上で、多職種のそれぞれの視点を尊重し、根拠を明 確にしながら進めていくことが必要である。その際の話し合った内容は、その都度 文書として残すことが必要である。
一言目は、誘導の号令ではなく本人の意思を読む入口です。拒否が続く方から、言葉・表情・切替を短く残すことが現実的です。
トイレ誘導で一言目から拒否されるよくある事例

現場では、職員が悪気なく声をかけても、本人にはまったく違う意味で届くことがあります。声かけが失敗すると、本人も職員もその後の時間が苦しくなります。
たとえば、午後の入浴や着替え、他利用者対応が控えている場面では、職員の一言目に焦りが出やすくなります。本人を急かしたいわけではないのに、先に業務の段取りが言葉へ出てしまう。そこで、拒否された言葉そのものだけでなく、声をかけた距離、表情、周囲の人目まで確認します。
「トイレ」と言っていないのに拒否される
直接「トイレ」と言わずに誘っても、本人が椅子から動かないことがあります。職員は配慮したつもりでも、本人には「これから介助される」と先に伝わっている場合があります。まずは、遠回しな言葉が本当に安心につながったかを見ます。
状況としては、職員が排泄の話題を避けたのに拒否される場面です。困りごとは、何を避けても拒否されるように感じることです。よくある誤解は、単語を変えれば解決するという見方です。押さえるべき視点は、本人の反応を一呼吸待ち、意思を読み取ることです。次回は、声をかけた直後の表情と返答を申し送りに残します。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版.pdf
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
認知症患者のコミュニケーションの特徴として,認知症の進行に伴ってコミュニケーショ ンの効力が,言語的コミュニケーションから非言語的コミュニケーションへ移行する(図 7). 認知症が重度になるほど,表情や身振りを使い,非言語メッセージを使うことが効果的であ る.そして,医療者・介護者が伝えたいことを優先してコミュニケーションをとるよりも, 本人の反応を一呼吸待ち,本人が何を行いたいか,本人の意思を読み取ることが大切である.
忙しい時間帯ほど「今のうちに」が命令に聞こえる
食事介助、配膳、服薬、コール対応が重なると、声かけは短くなります。「今のうちに」と言うほど、本人には選ぶ余地がないように聞こえることがあります。忙しい時間帯ほど、言葉の短さを責めるより、切替基準を先に決めておきます。
状況としては、職員が普通の声かけのつもりで本題に入る場面です。困りごとは、拒否でさらに時間がなくなることです。よくある誤解は、強く言えば動いてもらえるという考えです。押さえるべき視点は、命令や否定に聞こえる言葉を避けることです。拒否が出たら、その場で押し切らず、別の用件から入り直す候補を持ちます。
- 忙しい時間帯に拒否が続き、職員側の余裕がなくなる場合は、トイレ誘導を拒否されて腹が立つ原因とは|介護士が感情的になる前に必要な視点で、怒りや焦りを分けて見る考え方を確認できます。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版.pdf
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
緊急時以外はいつもより指示を出すペースをゆっくりにする.患者の表情が曇っていな いか注意深く観察しながら,処置を行う必要がある.コミュニケーションをとる上で,注意する言葉が 3 つある.それは,「命令する言葉」, 「子ども扱いする言葉」,「相手を否定する言葉(スピーチロック)」である.この 3 つの言 葉は,相手の自尊心を傷つけることになる.特に,相手を否定する言葉は,私たちは一瞬一 瞬で使用しているつもりでも,認知症患者が何度も同じ行動をとる場合は毎回否定される ことになり,気分の落ち込みや易怒性などに繋がることがある.そのため,安心できる言葉 がけや言い換えを使用する.
「あの職員なら行く」と言われ、負担が偏る
うまい職員は、いきなり本題に入らず、雑談や体調確認から入ることがあります。しかし、その入り方が記録に残らないと、後から入る職員は毎回つまずきます。成功した職員を呼ぶだけでは、負担が偏ります。
状況としては、特定の職員だけが呼ばれる場面です。困りごとは、成功の理由がチームに残らないことです。よくある誤解は、声かけの上手さを個人の性格だけで片づけることです。押さえるべき視点は、声かけ技術は属人的になりやすいと認識し、振り返りの材料にすることです。申し送りでは、言葉だけでなく距離や視線も短く残します。
- うまくいった声かけや距離の取り方を、特定の職員の感覚だけに頼らず共有したい場合は、介護向け動画マニュアル管理【Carebase】
を確認しておくのも一つの方法です。
- 声かけや記録を整えても、特定の職員だけに負担が偏り続ける職場では、働き方そのものを見直す視点も必要です。介護職として別の職場の選択肢を確認したい場合は、介護職の求人、募集は【レバウェル介護】
から情報収集できます。
出典元の要点(要約)
人工知能学会ユマニチュードの有効性と可能性.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2015/0/JSAI2015_2M3NFC04a1/_pdf/-char/ja
介護施設など には「 ケアの達人」が数多く いて、認知症の人 の言葉にならない訴えを、表情や動作 などから読み取って臨機 応変にコミュニケートし、良好な人間関係を築いている。ところが 「達人のケア技術」 は属人的で形式知化されていない ので、一 般の介護者は、認知症ケアで疲弊していることが多い。開発中の評価ツールは、 「マルチモーダル介入」の技術習得の際に、「気づき」や「振り返 り」を手助けし、技術の習得や高度化に役立つと考えられる。
よくある拒否は、単語選びだけでなく、急かし方、視線、距離、記録不足が重なって起きます。まず拒否が続く方から確認します。
なぜトイレ誘導の声かけは一言目でこじれやすいのか

現場では、本人のために声をかけたのに、かえって怒らせてしまうことがあります。拒否が起きる背景には、本人の意思、環境、職員の姿勢、身体的な不快などが関係する場合があります。
一言目で拒否されると、職員は「言い方が悪かったのか」と自分だけを責めがちです。けれど、拒否の背景を一つに決めつけると、次の手が狭くなります。ここでは、原因を断定せず、現場で観察できる理由に分けて整理します。
本人の意思は、支援者の姿勢や環境の影響を受けるため
本人が普段は穏やかでも、人前で急に誘われると表情が硬くなることがあります。職員は同じ声かけをしたつもりでも、場所や時間帯で反応は変わります。まずは、本人が安心して意思を出せる条件を見ます。
なぜ起きるのかというと、本人の意思表明は、支援者の姿勢や環境に影響されるためです。理想は、本人の意思を丁寧に確認することです。現実には、忙しい時間帯ほど本人が集中できる時間や場所を選びにくくなります。そのズレが、急かされた感覚や拒否につながることがあります。次回は、同じ声かけでも時間帯と周囲の人目を併せて確認します。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版).pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf
意思決定支援者は、本人の意思を尊重する姿勢で接することが必要である。意思決定支援者は、本人が自らの意思を表明しやすいよう、本人が安心できるよう な姿勢で接することが必要である。意思決定支援者は、支援の際は、その都度丁寧に本人の意思を確認する。本人が急いで意思決定を行うことがないよう支援の時期についても配慮し、本人が 集中できる時間帯を選ぶことや、疲れている時を避けることなどにも注意が必要で ある。本人には意思決定をしない自由もあるので、意思決定を強制することになら ないように注意すべきである。
言葉より先に、表情や身振りで受け取られることがあるため
職員がやさしく言ったつもりでも、本人は職員の近づき方や表情を先に見ていることがあります。言葉を整えても、顔や動きが急いでいると、本人の不安は残ります。声かけの前に、近づき方も一緒に見直します。
認知症のある方とのコミュニケーションでは、非言語メッセージが重要になることが示されています。理想は、本人の反応を待ちながら伝えることです。現実には、職員が伝えたい内容を優先しがちです。そのズレが、本人の意思を読み取る前に介助を進める形になります。具体的には、一言目のあとに表情が曇ったか、身を引いたかを確認します。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版.pdf
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
認知症患者のコミュニケーションの特徴として,認知症の進行に伴ってコミュニケーショ ンの効力が,言語的コミュニケーションから非言語的コミュニケーションへ移行する(図 7). 認知症が重度になるほど,表情や身振りを使い,非言語メッセージを使うことが効果的であ る.そして,医療者・介護者が伝えたいことを優先してコミュニケーションをとるよりも, 本人の反応を一呼吸待ち,本人が何を行いたいか,本人の意思を読み取ることが大切である.
拒否の背景には、不安・不快・意思表示が隠れていることがあるため
「嫌だ」と言われると、職員は誘導そのものを拒否されたように感じます。けれど、その言葉が、寒い、恥ずかしい、急に来られて怖い、今は動きたくないという意思表示のこともあります。拒否を人格の問題にしないことが大切です。
資料では、認知症の行動・心理症状には何らかの原因があり、職員の行為や言葉かけ、本人の意思にそぐわない感覚、不安、身体的な不快、意思表示などが想定されています。理想は原因を探ることです。現実には、その場で全てを探る余裕はありません。そのため、まず拒否の直前に何があったかだけを短く残します。
- 「嫌だ」という言葉だけでは背景が見えにくい場合は、認知症のトイレ拒否を理解するために必要なこと|失行・失認を「わがまま」と見ない考え方で、動作や認識のずれから整理できます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省身体拘束廃止・防止の手引き.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001248430.pdf
本人についてもう一度心身の状態を正確にアセスメントし 、身体拘束を必要としないケアを作り出す方向を追求し ていくことが重要である 。認知症の行動・心理症状がある場合も 、そこには何らかの原因があるのであり 、その原因を 探り、取り除くことが大切である。認知症の行動・心理症状の原因は、本人の過去の生活歴等にも関係するが 、次 のようなことが想定される。したがって、こうした原因を除去する等の状況改善に努めることが重要である。(1)職員の行為や言葉かけが不適当か、またはその意味が理解できない場合 (2)自分の意志にそぐわないと感じている場合 (3)不安や孤独を感じている場合 (4)身体的な不快や苦痛を感じている場合 (5)身の危険を感じている場合 (6)何らかの意思表示をしようとしている場合
排せつは基本的ケアであり、状態評価と個別ケアが必要なため
トイレ誘導は、ただ連れて行く作業ではありません。声かけや見守りがあれば排せつできる方もいれば、部分的な介助が必要な方もいます。だから、同じ一言を全員に当てはめるとずれが出ます。
排せつについては、本人の基本的な状態やその他の状態をアセスメントし、個人ごとの適切なケアを検討することが示されています。理想は、一人ひとりに合わせることです。現実には、時間帯や職員配置で同じ声かけになりがちです。そのズレを減らすため、拒否が続く方から、声かけで動けるのか、見守りが必要なのかを分けて記録します。
- トイレ誘導ではなく、パット交換の前から強い拒否が出る場合は、パット交換を拒否される原因とは|介護士が追い詰められない声かけと距離の取り方で、距離の取り方や切替基準を確認できます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省身体拘束廃止・防止の手引き.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001248430.pdf
例えば、「③排せつする」ことについては、「自分で排せつできる」、「声かけ、見守りがあれば排せつできる」、「尿意、 便意はあるが、部分的に介助が必要」、「ほとんど自分で排せつできない」といった基本的な状態と、その他の状態 のアセスメントを行いつつ、それをもとに個人ごとの適切なケアを検討する。こうした基本的事項について 、一人一人の状態に合わせた適切なケアを行うことが重要である 。また、これらのケ アを行う場合には、一人一人を見守り、接し、触れ合う機会を増やし、伝えたくてもうまく伝えられない気持ちやサイ ンを受け止め、不安や不快、孤独を少しでも緩和していくことが求められる。
拒否の理由は一つに決めつけず、意思・環境・非言語反応・不快感・状態評価に分けて見ます。全部ではなく、拒否直前の一点から残します。
トイレ誘導の声かけで迷ったときのFAQ
現場では、正解が一つに見えない小さな判断が続きます。ここでは、トイレ誘導の一言目で迷いやすい場面を、採用エビデンスの範囲で整理します。
- Q「トイレ」という言葉を避ければ拒否は減りますか?
- A
言葉を避けるだけでは不十分です。本人の反応を一呼吸待ち、何をしたいのかを読み取ることが大切です。言葉を変えても表情や近づき方が急いでいれば、本人には急かされたように伝わる場合があります。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター
認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版.pdf
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
認知症患者のコミュニケーションの特徴として,認知症の進行に伴ってコミュニケーショ ンの効力が,言語的コミュニケーションから非言語的コミュニケーションへ移行する(図 7). 認知症が重度になるほど,表情や身振りを使い,非言語メッセージを使うことが効果的であ る.そして,医療者・介護者が伝えたいことを優先してコミュニケーションをとるよりも, 本人の反応を一呼吸待ち,本人が何を行いたいか,本人の意思を読み取ることが大切である.
- Q拒否されたら、すぐ別の職員に代わるべきですか?
- A
毎回すぐ交代すると、特定の職員に負担が偏ります。まず、本人が安心して意思を表せる姿勢や環境だったかを確認します。交代する場合も、誰ならよいかだけでなく、どの言葉や距離で反応が変わったかを残します。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版).pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf
意思決定支援者は、本人の意思を尊重する姿勢で接することが必要である。意思決定支援者は、本人が自らの意思を表明しやすいよう、本人が安心できるよう な姿勢で接することが必要である。意思決定支援者は、支援の際は、その都度丁寧に本人の意思を確認する。本人が急いで意思決定を行うことがないよう支援の時期についても配慮し、本人が 集中できる時間帯を選ぶことや、疲れている時を避けることなどにも注意が必要で ある。本人には意思決定をしない自由もあるので、意思決定を強制することになら ないように注意すべきである。
- Q声かけがうまくいった場合も記録した方がよいですか?
- A
拒否が続く方では、うまくいった声かけも記録した方が次につながります。長い文章ではなく、最初の一言、本人の表情、立ち上がる前に入れた雑談など、次の職員が再現できる要素に絞ります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版).pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf
本人の意思決定能力の評価や、支援方法に困難や疑問を感じ、また、本人の意思を 日常・社会生活に反映した場合に、他者を害する恐れがあったり、本人にとって見 過ごすことのできない重大な影響が生ずる場合や本人のできること・やりたいこと の実現に向け、チームで情報を共有し、チームで検討する。意思決定支援会議の開催は、意思決定支援チームのだれからでも提案できるように し、会議では、情報を共有した上で、多職種のそれぞれの視点を尊重し、根拠を明 確にしながら進めていくことが必要である。その際の話し合った内容は、その都度 文書として残すことが必要である。
- Q本人のためなら、強めに誘導してもよいですか?
- A
本人のためであっても、命令や否定に聞こえる言葉は避けたいところです。本人の意思を尊重し、表情や身振りも意思表示として読む視点が必要です。急ぐ場面では、押し切る前に一度、声の硬さや本人の反応を確認します。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター
認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版.pdf
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
緊急時以外はいつもより指示を出すペースをゆっくりにする.患者の表情が曇っていな いか注意深く観察しながら,処置を行う必要がある.コミュニケーションをとる上で,注意する言葉が 3 つある.それは,「命令する言葉」, 「子ども扱いする言葉」,「相手を否定する言葉(スピーチロック)」である.この 3 つの言 葉は,相手の自尊心を傷つけることになる.特に,相手を否定する言葉は,私たちは一瞬一 瞬で使用しているつもりでも,認知症患者が何度も同じ行動をとる場合は毎回否定される ことになり,気分の落ち込みや易怒性などに繋がることがある.そのため,安心できる言葉 がけや言い換えを使用する.
迷ったときは、言葉だけで判断せず、反応・環境・記録を見ます。交代や共有は、具体的な一言と切替条件まで残します。
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トイレ誘導の一言目を見直すなら、まず拒否直前の反応を残す
現場では、トイレ誘導に時間をかけられない場面があります。だからこそ、すべての声かけを完璧に変えようとすると続きません。
まずは、拒否が続く方だけでよいので、最初の一言、本人の表情、切り替えた声かけを短く残します。誰が悪いかではなく、次の職員が同じ入り方を繰り返さないための材料にします。
忙しい時間帯は、記録を増やすこと自体が負担になります。その場合は、全員分ではなく「一言目で止まりやすい方」から始めるのが現実的です。
最後までご覧いただきありがとうございます。
更新履歴
- 2025年11月30日:新規投稿
- 2026年2月27日:最新情報に基づき加筆・修正
- 2026年4月12日:内容を全面的にリライト
- 2026年6月17日:内容を全面的にリライト







