【介護】なぜ食後の入浴拒否が起きる?「眠い」と言われた時の正しい対応とNG行動

せっかく準備したのに「眠い」と拒否され、次の予定が押して焦ること、ありませんか?無理に起こして連れて行き、後で「虐待だったかも」と自己嫌悪に陥る。現場の痛いほど辛い場面もあります。

全部は無理でも、ここだけ押さえれば自分や利用者の負担を減らすための現実的な着地点を、厚生労働省の指針から紹介します。無理強いしないことは、ケアの一つといえます。

この記事を読むと分かること

  • 「眠い」を受け入れる公的根拠
  • 入浴中止時の記録の書き方
  • 無理強いしない清潔保持の考え方

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 拒否され無理に連れて行ったことがある
  • 入浴中止=スキル不足と落ち込む
  • 意思尊重は現場では無理だと感じる
  • 上司や家族への報告に悩む

結論:「眠い」ときは無理に入浴させない選択肢もある

男性入居者の画像

「次のシフトに迷惑がかかる」「今日入れないと家族に責められる」。現場ではそんなプレッシャーがあることもあります。

判でも、その無理強いは、止めてよい場合があります。ガイドラインを味方につける、という考え方もあります。

「疲れている時を避ける」は公的なルール

食後にウトウトしている時、無理に起こしていませんか?

厚生労働省のガイドラインには、意思決定の配慮として「疲れている時を避ける」と明記されています。

眠気がある状態は、正常な判断がしにくい「集中できない時期」といえます。このタイミングを外すことは、支援の一つといえます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定を行う時期にも配慮が必要であり、本人が集中できない時期を避ける、疲れている時を避けるなどの配慮を行う。

「焦らせない」ことが支援の基本

業務に追われていると、つい「早くして!」と急かしてしまいがちです。

しかし、ガイドラインでは「焦らせるようなことは避けなければならない」とされています。

本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要とされています。焦って入浴させるよりも、本人のペースを守ることの方が、望ましいと考えられます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

進行は「本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要」であり、「焦らせるようなことは避けなければならない。」と明記。拙速な決定や急かしを避け、納得形成を重視する姿勢を求める。

本人の意思尊重が最優先

「認知症だから判断できない」と思っていませんか?

基本原則は、能力の状態にかかわらず「本人の意思の尊重」とされています。

「眠いから寝たい」という訴えも、「自己決定」と捉えられます。これを無視してスケジュールを優先することは、支援の本来のあり方から外れるおそれがあります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

基本原則は「本人の意思の尊重」であり、「自己決定の尊重」に基づく支援を行う。情報提供は、本人が有する認知能力に応じて「理解できるように説明しなければならない。」と明記。日常生活の具体場面でも、まずは本人の意思・選好を確認し、それを尊重する姿勢を前提とする。

「眠い」という拒否を受け入れることは、サボりとは限りません。「ガイドラインを踏まえた判断」といえます。「今は疲れているようなので、時間を改めます」と記録に残す、という考え方もあります。


よくある事例:現場の「困った」を「専門的判断」に変える

女性の介護職員の画像

「また断られた」「どう記録に残せばいいの?」

現場では、マニュアル通りにいかないことばかりですよね。理想と現実のギャップに悩みやすい3つの場面で、視点をどう切り替えればいいか具体的に見ていきましょう。

事例1:食後にウトウトして動かない

  • 状況
    • 昼食後、椅子で船を漕いでいる。声をかけても反応が鈍い。
  • 現場の焦り
    • 「今行かないと午後の入浴が終わらない!なんとか起こさなきゃ」
  • 専門的視点
    • 今は「集中できない時期」です。

この状態で無理に同意を得ようとしても、難しい場合があります。

「サボり」ではなく、ガイドラインに沿って「適切なタイミングではない」と判断する、という考え方もあります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定を行う時期にも配慮が必要であり、本人が集中できない時期を避ける、疲れている時を避けるなどの配慮を行う。

事例2:「入らない!」と怒鳴られる

  • 状況
    • 眠いところを誘ったら、強い口調で拒否された。
  • 現場の悩み
    • 「私の声かけが悪かったのかな…」「暴力が出そうで怖い」
  • 専門的視点
    • その怒りは「背景要因」のサインと考えられます。

性格が悪くなったとは限りません。「眠い」「だるい」という身体的な不調が、怒りとして表れている可能性があります。

まずはその不調(眠気)への配慮が優先となる場合があります。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

行動・心理症状(BPSD)に対しては、その背景にある身体的な不調、環境、ケアの方法などの要因をアセスメントし、その要因を取り除くためのケアを行う。

事例3:「今日は拭くだけでいい」と言われた

  • 状況
    • 全身浴は拒否だが、「体拭くくらいならいいよ」と言う。
  • 現場の迷い
    • 「家族は入浴を希望しているのに…手抜きと思われないか」
  • 専門的視点
    • 「選択肢」からの自己決定です。

「入るか入らないか」の0か100かではありません。

本人が選んだ「清拭」という妥協案を尊重することは、「選択肢」による自己決定と捉えられる場合があります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

本人の選好を形成するために、複数の選択肢を示し、必要に応じて、実物や写真、図や表を使って示すことが有効である。

事例のように、うまくいかない時は「タイミング」や「選択肢」を見直すチャンスといえます。「出来なかった」ではなく、「本人の状態に合わせて調整した」と捉え直す、という考え方もあります。それもプロの仕事といえます。


理由:なぜ食後の「眠い」がここまで強い拒否に繋がるのか?

女性の介護職員の画像

「さっきまで機嫌がよかったのに急に怒り出した」「ただのわがままでは?」

現場ではそう感じることもありますが、ご本人なりの理由がある場合があります。なぜ「食後の入浴」がこれほど難しいのか、その構造を紐解きます。

1. 生理的に「判断できる状態」ではないから

  • 建前(理想):丁寧に説明すれば、入浴の必要性を理解してもらえる。
  • 現実(現場):食後の眠気でぼーっとしており、説明が頭に入らない。

私たちも、強烈に眠い時に難しい契約の話はできませんよね。

ガイドラインでも、眠気がある時は「集中できない時期」とされ、意思決定の場として避けるべきとされています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定を行う時期にも配慮が必要であり、本人が集中できない時期を避ける、疲れている時を避けるなどの配慮を行う。

2. 「自己決定」を無視されたと感じるから

  • 建前(理想):認知症の方は判断が難しいので、専門職が誘導すべき。
  • 現実(現場):無理な誘導は不信感を招くおそれがあります。

認知機能が低下していても、「今は寝たい」という意思(自己決定)がある場合があります。

これを無視してスケジュールを優先することは、支援の前提である「本人の意思の尊重」に逆行するおそれがあります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

基本原則は「本人の意思の尊重」であり、「自己決定の尊重」に基づく支援を行う。情報提供は、本人が有する認知能力に応じて「理解できるように説明しなければならない。」と明記。

3. 不快な介入が「怒り」を招くから

  • 建前(理想):清潔になれば、きっと本人も喜ぶはず。
  • 現実(現場):眠いのに起こされる「身体的な不調(苦痛)」が、につながる場合がある

「入らない!」という怒りは、性格の問題とは限りません。

ご本人なりの理由がある場合があります。眠いという「身体的な不調」がある時に介入されたことに対する、ご本人なりの防御反応である可能性があります。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

行動・心理症状(BPSD)に対しては、その背景にある身体的な不調、環境、ケアの方法などの要因をアセスメントし、その要因を取り除くためのケアを行う。

拒否は「わがまま」ではなく、「今は無理」というサインである場合があります。このSOSを無視して進めることが、さらなる興奮や拒否につながるおそれがあります。


FAQ:現場の「こんな時どうする?」への回答

「理屈はわかるけど、実際の現場ではどう動けばいいの?」

そんなふとした迷いに、ガイドラインの根拠を持ってお答えします。「なんとなく」ではなく「根拠」があれば、対応に自信が持ちやすくなります。

Q
入浴を中止すると、家族や上司に「職務放棄」と言われそうで怖いです。

A
「拒否されました」という報告だけでは不十分かもしれません。

厚生労働省のガイドラインに基づき、「疲労が強く、集中できない時期(疲れている時)であるため避けた」と、判断として報告しましょう。無理強いしないことは、公的に示された配慮の一つです。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定を行う時期にも配慮が必要であり、本人が集中できない時期を避ける、疲れている時を避けるなどの配慮を行う。

Q
時間をずらしても結局入れなかったら、不潔になりませんか?

A
全身浴だけが正解ではありません。

「今日は足浴だけにしませんか?」「着替えだけでもどうですか?」と、複数の選択肢を提示してみてください。本人が選べる形にすることで、部分的なケアを行える可能性があります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

本人の選好を形成するために、複数の選択肢を示し、必要に応じて、実物や写真、図や表を使って示すことが有効である。

Q
認知症が進んでいて、そもそも会話での意思確認が難しいです。

A
言葉がなくても、表情や態度は重要な意思表示です。

ガイドラインでは「焦らせるようなことは避けなければならない」とされています。反応が返ってくるまで、時間をかけてコミュニケーションを取る姿勢も、意思決定支援につながります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要であり、焦らせるようなことは避けなければならない。

迷ったときは「本人の安心」を最優先に考える、という考え方もあります。


まとめ:「引く勇気」は逃げじゃない。専門職としての選択肢

明日からのケア、目標を少しだけ変えてみませんか?

「時間通りに入浴してもらう」ことよりも、「本人が安心できるタイミングを見つける」ことをゴールにする、という考え方もあります。

「眠そうだから、今はやめておこう」。そう判断してケアを延期することは、職務放棄とは限りません。

ガイドラインに則った「意思決定支援」の実践といえます。

もし明日、拒否に遭ったら心の中で唱える、という考え方もあります。「これは逃げじゃない、専門的な配慮だ」と。

そして、「眠いですよね、少し休んでからにしましょうか」と声をかける、という考え方もあります。

その一言が、あなたと利用者の関係を少し楽にすることもあります。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事が参考になれば幸いです。


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  • 2025年11月1日:新規投稿
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