生産性向上委員会で「遅番が忙しい」と聞いても、すぐに改善案を出せるとは限りません。夕食後にケア、見守り、片付け、記録が重なる場面では、職員自身も何が苦しいのかを順番に説明する余裕を失いやすいからです。
こうした訴えを要領の問題として終わらせず、時間帯・業務・担当・起きている支障に分けて聞くと、委員会で検討できる課題へ変えやすくなります。全てを一度に解決しようとせず、まず一つの時間帯を確かめることが出発点です。
- 見える化した課題を、原因、改善案、担当者、期限、振り返り結果まで含めて議事録に残したい場合は、生産性向上委員会の議事録に何を書く?介護現場で残しておきたい検討内容と記録例で、記録項目の全体像を確認できます。
この記事を読むと分かること
- 忙しさを分ける聞き方
- 議題へ変える整理法
- 対策を急がない理由
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
忙しさは「説明不足」ではなく、まず見える化する課題です

現場では、職員が「回らない」とだけ伝え、リーダー側も何から聞けばよいか迷うことがあります。忙しさを言葉にできないことは、課題がないことを意味しません。この記事を読むと、対策の前に委員会で確認したい順番が分かります。
こうした場面では、職員に完成した改善案まで求めると、訴えが止まりやすくなります。まずは、どの時間に何が重なり、誰が別の業務へ入っているのかを一緒に確かめます。
時間の短さだけで、職員を評価しない
同じ時間帯でも、見守りが必要な場面や直接ケアが重なる場面では、早く終えることだけを基準にできません。業務時間は、速い・遅いを判定する材料ではなく、何に時間が使われているかを見る入口です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
業務時間を見える化すると、業務に要する時間が短いほど優秀だと錯覚することがありますが、決してそうとは限りません。なぜなら、かける時間によって質が高まるものもあり、一概に時間を短くするだけが生産性向上につながるとは言えないからです。業務ごとに適切とされる手順と、必要な時間を事業所の中であらかじめ定めておくことがとても重要です。
「誰が、何に時間を使うか」を並べて見る
夕食後に排泄介助、就寝介助、見守り、片付け、記録が重なるなら、忙しさは一人の動きだけでは説明できません。委員会では、職員ごとの業務と時間を並べ、どこにムリ・ムダ・ムラが出ているかを確かめます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
現場の課題を把握するには、業務全体の流れを見える化(可視化)することも大切です。事業所全体で職員がどのように時間を使っているのかを把握する。誰が、どのような業務に、どの程度の時間をかけているかを見える化し、現在の業務における3M(ムリ・ムダ・ムラ)を明らかにする。
対策ではなく、具体的な課題から始める
「人を増やしたい」「もっと効率よく」と先に決めても、何を変えるべきかは定まりません。現状と目指したい状態の差を具体化し、何がその差を生んでいるのかを確認してから、委員会で優先する課題を選びます。
出典元の要点(要約)
公立大学法人埼玉県立大学
PDCAサイクルに沿った在宅医療・介護連携推進事業の具体的方策に関する調査研究事業 報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103267.pdf
マネジメントとは「課題を解決すること」、課題とは「目指す姿(ビジョン)」と「現状」のギャップのことをいう。したがって、マネジメントとは、様々な対策により、現状を目指す姿に近づける行為といえる。より効果的な対策をうつためには、現状・課題を引き起こしている原因をおさえる必要がある。これを要因分析という。
- 課題を整理して新しい役割分担や手順を決めても、職員によって確認方法が違うと実行内容がばらつきます。決定した手順を動画やマニュアルとして共有したい場合は、介護向け動画マニュアル管理【Carebase】
を情報収集として確認しておくのも一つの方法です。
「遅番が忙しい」を評価の言葉にせず、時間、業務、担当、支障を並べて確認します。最初から解決策を決めず、何を優先して扱うかを委員会で選べる状態にすることが大切です。
よくある事例:議題が「遅番が遅い」で止まるとき

現場では、同じ「遅番が忙しい」という言葉でも、業務の重なり方は勤務帯によって異なります。ここでは、職員の能力を決めつけずに、委員会がどの情報を拾うかを考えます。
聞き取りは、職員を問い詰めるためのものではありません。目の前の訴えの裏で、どの業務が重なり、どこで別の仕事が止まるのかを確認するために行います。
夕食後に、ケアと記録が同時に残る
夕食後は、排泄介助、洗面、更衣、就寝介助に加え、見守りや片付け、記録が残ることがあります。記録を始めようとしてコール対応へ戻るなら、「記録が遅い」ではなく、記録を始められる時間があるかを確認する必要があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
事業所の中でどのような業務にどの程度の手間と時間をかけるのかを事前に話し合っておくと生産性向上に向けた適切な取組が見えてくるでしょう。改善活動に取り組む上で最も大切なことは、事業所や個々の職員の間で、どのような困りごとがあるかを考え、顕在化している課題だけでなく事業所に潜む課題を適切に把握することです。
見守りを離れられず、就寝介助へ入れない
片付けや洗濯も残り、見守りから長く離れにくい場面では、就寝介助の人数だけを比べても状況は見えません。リーダーは、誰が何人介助したかの前に、見守りを担う人が途中で減っていないかを確認します。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
課題分析シートを活用すると事業所内の様々な課題の全体像を把握することができます。また、ひとつの課題が複数の要因からなるものであったり、多くの影響をもたらすものであることに気づくこともできます。目の前の課題がなぜ起こってしまったのか、起こるとどのような影響があるのかを整理することで、優先的に取り組むべき課題を洗い出しましょう。
「もっと時間配分を」と言われ、話せなくなる
職員が詳しく説明できないとき、困りごとは整理されていないだけかもしれません。委員会では「何が遅いか」ではなく、「どの時間に、何が重なり、何ができなくなるか」と聞き、原因と影響を分けて扱います。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
まずはプロジェクトチームにおいて、課題把握シートで浮かび上がった課題に紐づく原因、及び課題がもたらす影響について意見交換を中心とした議論を実施します。課題が、改善活動で解決できるものかを見極めることが大切です。最終的には、プロジェクトチームでの議論をもとに、解決すべき課題の優先順位を決定しましょう。
- 業務の重なりや配置の問題を伝えても、職員の要領や努力だけの問題として扱われ、役割分担の見直しが行われない状態が続く場合は、すぐに転職を決める必要はありませんが、介護職の求人、募集は【レバウェル介護】
から他の職場の求人や働き方を確認しておくと判断材料になります。
事例を聞いたら、職員の速さだけを比べず、業務の重なり、見守りに入る人、遅れている仕事を並べます。全ての困りごとを扱おうとせず、まず一つの時間帯に絞ることが負担を増やしにくい進め方です。
忙しさを改善できる議題に変える6つの質問

「忙しい」という言葉は、委員会で扱うには抽象的に見えるかもしれません。しかし、言葉を急いで言い換えるより、質問を重ねて現状を具体化するほうが、次に検討することを選びやすくなります。
| 確認すること | 委員会で聞く質問 |
|---|---|
| 時間帯 | 特に何時頃が大変ですか |
| 業務 | 何の業務が重なりますか |
| 担当 | その時、誰が何を担いますか |
| 支障 | 何が遅れる、または止まりますか |
| 要因 | なぜその状態が起こりますか |
| 目指す状態 | 何ができる状態にしたいですか |
先に「いつ・何が重なるか」を聞く
「遅番が回らない」と出たら、最初に勤務帯と時間帯を確認します。そのうえで、食事介助、見守り、片付け、記録など、同時に求められる業務を並べます。業務を一つずつ分けると、個人の感想だけでは見えなかった流れを確認できます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
現場の課題を把握するには、業務全体の流れを見える化(可視化)することも大切です。事業所全体で職員がどのように時間を使っているのかを把握する。誰が、どのような業務に、どの程度の時間をかけているかを見える化し、現在の業務における3M(ムリ・ムダ・ムラ)を明らかにする。
「誰が足りないか」ではなく、役割の重なりを見る
次に、各業務を誰が担っているかを聞きます。服薬介助やコール対応で職員が別の場所へ入ると、残る人が何を引き受けるのかが変わります。担当人数だけでなく、どの業務に入れる人が減るかまで確認すると、役割分担の議題にしやすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
課題分析シートを活用すると事業所内の様々な課題の全体像を把握することができます。また、ひとつの課題が複数の要因からなるものであったり、多くの影響をもたらすものであることに気づくこともできます。目の前の課題がなぜ起こってしまったのか、起こるとどのような影響があるのかを整理することで、優先的に取り組むべき課題を洗い出しましょう。
支障と原因を確認してから、対策を選ぶ
「人手を増やす」「効率を上げる」と決める前に、何が遅れ、どんな負担が残るのかを聞きます。目指したい状態と現状の差、そこに至る要因を確かめておくと、対策そのものを目的にすることを避けやすくなります。
- 対策を実施した後は、「実施できたか」だけでなく、職員の負担、利用者への影響、新しく生じた問題を確認する必要があります。変更前後を比較する記録については、生産性向上委員会で改善策をどう振り返る?効果を判断するために残す記録で確認できます。
出典元の要点(要約)
公立大学法人埼玉県立大学
PDCAサイクルに沿った在宅医療・介護連携推進事業の具体的方策に関する調査研究事業 報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103267.pdf
解決したい課題(テーマ)が抽象的だと、対策自体も抽象的になる。そのため、課題(テーマ)を具体化する必要がある。テーマの具体化によって、対策の検討がしやすくなる、対策の内容が具体的になる、連携当事者のイメージが揃うようになるといった結果につながる。
一度に全てを解こうとしない
原因や影響を整理すると、複数の課題が出ることがあります。その場合は、委員会で一番先に扱う課題を選びます。聞き取りや記録を増やしすぎるとリーダーや現場の負担にもなるため、まずは一つの時間帯、一つの支障に絞るほうが進めやすいでしょう。
- 優先して扱う課題を決めた後は、取組内容、主担当、確認時期を議事録に残しておかないと、次回の委員会で経過を追えません。開催記録で終わらせない残し方は、生産性向上委員会の議事録に何を残す?開催実績で終わらせない記録の考え方で確認できます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
解決する課題を絞り込み、プロジェクトチームで意見交換を行うことで、優先的に取り組むべき課題を決定する。優先的に取り組むべき課題が決まったら、プロジェクトチームにおいて、改善活動の具体的な取組内容を議論します。また取組内容における主担当者や職員の役割などをあらかじめ決めておくと効果的です。
- 時間帯ごとに必要な人数や、服薬介助、見守り、食事介助へ入れる職員の条件を整理した後、勤務表へ反映する準備をしたい場合は、【ダウンロードページ】シフト作成依頼ファイル作成ツールで、必要人数や勤務ルールを生成AIへ渡すファイルにまとめられます。
質問の目的は、職員の説明力を試すことではありません。時間帯、業務、担当、支障、要因、目指す状態を順に確かめ、先に扱う一つの課題を選べるようにすることです。
委員会で最初に確認したいこと
現場では、忙しさを聞いた直後に「では何を変えるか」を決めたくなることがあります。ここでは、対策を急ぐ前に確かめたい点を整理します。
- Q「忙しい」と言われたら、すぐ改善案を出すべきですか?
- A
先に現状、課題、原因を確かめます。対策は、現状を目指す状態へ近づけるために選ぶものです。何が起きているかが曖昧なままでは、委員会で選ぶ対策も曖昧になりやすいためです。
出典元の要点(要約)
公立大学法人埼玉県立大学
PDCAサイクルに沿った在宅医療・介護連携推進事業の具体的方策に関する調査研究事業 報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103267.pdf
より効果的な対策をうつためには、現状・課題を引き起こしている原因をおさえる必要がある。これを要因分析という。要因分析をもとに対策をうつが、その対策により、現状が目指す姿にどの程度近づいたのかを確認する必要がある。これを評価といい、確認するために置いた指標のことを評価指標という。
- Q業務時間を見れば、職員の速さを評価できますか?
- A
業務時間が短いほど優秀とは限りません。時間を記録するときは、どの業務にどの程度の手間と時間をかけるかを、事業所内で話し合っておく視点が示されています。見守りや直接ケアが重なる場面は、時間だけで判断しないようにします。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
業務時間を見える化すると、業務に要する時間が短いほど優秀だと錯覚することがありますが、決してそうとは限りません。なぜなら、かける時間によって質が高まるものもあり、一概に時間を短くするだけが生産性向上につながるとは言えないからです。業務ごとに適切とされる手順と、必要な時間を事業所の中であらかじめ定めておくことがとても重要です。
- Q課題がいくつも出たら、何から扱えばよいですか?
- A
原因と影響を整理したうえで、優先して取り組む課題を選びます。委員会で全てを同時に扱う必要はありません。まず一つの時間帯や一つの支障に絞ると、主担当や役割を考える前提を作りやすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
目の前の課題がなぜ起こってしまったのか、起こるとどのような影響があるのかを整理することで、優先的に取り組むべき課題を洗い出しましょう。解決する課題を絞り込み、プロジェクトチームで意見交換を行うことで、優先的に取り組むべき課題を決定する。
- Q原因を確認せずに対策を決めると、どうなりますか?
- A
解決したいテーマが抽象的なままだと、対策も抽象的になりやすいとされています。例えば「遅番を効率化する」と決める前に、何が重なり、何が遅れているのかを具体的にします。その後に、役割や順番を検討します。
出典元の要点(要約)
公立大学法人埼玉県立大学
PDCAサイクルに沿った在宅医療・介護連携推進事業の具体的方策に関する調査研究事業 報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103267.pdf
解決したい課題(テーマ)が抽象的だと、対策自体も抽象的になる。そのため、課題(テーマ)を具体化する必要がある。テーマの具体化によって、対策の検討がしやすくなる、対策の内容が具体的になる、連携当事者のイメージが揃うようになるといった結果につながる。
最初に必要なのは、完成した改善案ではありません。一つの時間帯で、何が重なり、誰がどの業務へ入り、何が遅れるかを確かめてから、委員会で扱う順番を決めます。
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現場では、目の前のケアを回しながら「何が大変か」を整理する余裕がないことがあります。詳しく言えない職員を責めるのではなく、リーダーが質問しながら、業務の重なりを言葉にできる場を作ります。
次の委員会では、解決策を急がず、一つの勤務帯だけを選びます。「何時頃か」「何が重なるか」「誰が何を担うか」「何が遅れるか」を順に聞いてください。全勤務帯を一度に扱うと記録や聞き取りの負担が増えるため、先に扱う課題を一つに絞ります。
忙しさを能力の評価で終わらせず、改善を検討できる課題へ整えることが、委員会の役割になります。最後までご覧いただきありがとうございます。
更新履歴
- 2026年1月10日:新規投稿
- 2026年2月27日:最新情報に基づき加筆・修正
- 2026年4月5日:内容を全面的にリライト
- 2026年7月12日:内容を全面的にリライト








