【施設介護】看取りの最後の希望、叶える前に決める3点

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看取りの場面では、利用者さんから「寿司を食べたい」「少しだけ酒を飲みたい」「タバコを吸いたい」「最後に風呂へ入りたい」と言われることがあります。

現場にいると、最後くらい好きなことをさせてあげたいと思います。寿司が好きだった人なら一口でも食べてほしい。酒が好きだった人なら少し味わってほしい。タバコを長く吸ってきた人なら、その楽しみを最後まで奪いたくない。風呂が好きだった人なら、体力が落ちていても「何とか入れてあげたい」と感じます。

しかし同時に、介護士は強い怖さも抱えます。むせたらどうするのか。呼吸が苦しくなったらどうするのか。血圧が下がっている人を入浴させて急変したら、誰が責任を取るのか。タバコなら火気や他利用者への影響もあります。酒なら、今の意識状態や体調を介護士だけで判断してよいのかという不安も残ります。

この記事では、看取りの希望を「禁止か放任か」で考えません。本人の希望を大切にしながら、今の身体状態、苦痛の有無、家族の意向、医師や看護師を含むチーム判断、見守り体制、中止ラインを合わせて確認し、本人らしさを苦痛に変えない形へ調整する考え方を整理します。

この記事を読むと分かること

  • 看取り期の希望を受け止める視点
  • 好きな食事を出す前に確認すること
  • 酒・タバコ・入浴を一人で判断しない考え方
  • 家族の願いと本人の苦しさがずれるときの対応
  • 中止ラインと記録を先にそろえる理由

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 看取り期の「最後の希望」に迷う
  • 誤嚥や急変が怖くて判断できない
  • 家族から「最後だから」と頼まれる
  • 入浴させたい気持ちと不安が両方ある
  • 介護士だけに判断が寄っていると感じる

看取りの最後の希望は「何でもOK」でも「全部禁止」でもない

介護施設の廊下で腕を組み首をかしげる若い女性介護職員の様子。ケア方法や利用者対応について迷いながら考えている場面を想定したイメージで、認知症ケアや不穏対応、業務改善を検討する介護現場の課題を示す写真。

看取りの希望は、本人の今の意思と苦痛、リスク、家族、チーム体制を確認し、できる形へ調整します。

看取り期の利用者さんが、昔から好きだった食べ物や酒、タバコ、入浴を望んだとき、介護士の中には「ここで断ったら、その人らしさまで奪うのではないか」という感覚が残ります。

一方で、希望をそのまま実行すればよいとも言えません。体が受け付けない時期に無理に口へ入れることは苦痛になることがあります。呼吸が不安定なときの入浴は負担になりやすく、タバコや酒には周囲への影響や施設として確認すべき条件もあります。

だからこそ、看取りの希望は「叶える」「止める」の二択にしないことが大切です。本人が何を望んでいるのかを受け止めたうえで、今の状態に合わせて形を変える。これが、現場で現実的に尊厳を守る考え方です。

本人の希望はまず意思として受け止める

「寿司が食べたい」「酒を飲みたい」「タバコを吸いたい」「風呂に入りたい」という言葉は、単なるわがままと決めつけるものではありません。そこには、その人の生活歴、楽しみ、家族との思い出、自分らしさが含まれていることがあります。

看取りの現場では、危険が見えた瞬間に「それは無理です」と言いたくなる場面があります。しかし最初に必要なのは、実行の可否を即答することではなく、本人が何を大切にしているのかを聞くことです。

たとえば寿司なら、魚そのものを食べたいのか、家族と食卓を囲みたいのか、しょうゆの香りを感じたいのかで、支援の形は変わります。入浴も、湯船に入ることだけが目的とは限りません。温かさ、清潔感、好きな香り、体がほぐれる感覚を求めている場合もあります。

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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

根拠要約:日常生活上の意思決定支援には、食事や入浴、衣服の好みなどが含まれます。本人の視点に立ち、意思の形成・表明・実現を支えることが示されています。

好きな食事はそのまま出さず、食べられる形へ調整する

食事は、看取り期の希望の中でも特に迷いやすいものです。「飲み食いできないまま亡くなるのはつらい」と感じる家族や介護士は少なくありません。食べることは栄養だけでなく、楽しみや人生の記憶とつながっているからです。

ただし、昔と同じ形で出すことが本人のためになるとは限りません。寿司が好きだった人に、通常の一貫をそのまま出すのではなく、量を小さくする、形を変える、香りや雰囲気を楽しむ、一口で終える、本人の表情や呼吸を見ながら中止できるようにするなど、今の状態に合わせて再設計します。

大事なのは「寿司を食べさせた」という形だけを残すことではありません。本人が苦しさよりも楽しさを感じられたか、食後に負担が増えていないか、介護士だけでなく看護師や医師とも確認できているかです。

出典・根拠を確認

厚生労働省

高齢者の口腔と摂食嚥下の機能維持・向上のための取組に関する調査

https://www.mhlw.go.jp/iken/after-service-vol25.html

根拠要約:高齢者の食べることは生活の質と関わる一方、摂食嚥下機能の低下には誤嚥や窒息などのリスクが伴います。食事形態、姿勢、食具、介助方法などを多職種で評価・共有する重要性が示されています。

酒・タバコ・入浴は自由ではなく条件を決める

酒やタバコ、入浴は、本人にとって長く続けてきた楽しみである一方、施設全体の安全や他利用者への影響も含めて考える必要があります。

「看取りだから少しくらいよい」と介護士一人で判断すると、本人の苦痛、家族説明、火気、転倒、急変時の対応が曖昧になります。逆に「危ないから全部だめ」とだけ決めると、その人が大切にしてきた習慣や安心感を切り捨てることにもなります。

酒なら、本人が今も望んでいるのか、意識状態や体調をどう見るのか、誰が確認するのか。タバコなら、場所、火気、付き添い、他利用者への影響、施設のルールをどう整えるのか。入浴なら、通常浴にこだわらず、清拭、手浴、足浴、短時間の部分浴、好きな香りを使う方法などに変えられないかを考えます。

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厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

根拠要約:介護サービスでは尊厳の保持や自己決定の尊重が大切にされる一方、事故リスクに対するアセスメント、家族との情報共有、多職種連携、報告体制が求められます。

中止ラインと記録を先にそろえる

看取りの希望を実現するなら、始める条件だけでなく、やめる条件を先に決めておく必要があります。

食事なら、むせが強い、呼吸が苦しそう、顔色が悪い、声が変わる、口の中に残る、本人が嫌がるなどの変化を見ます。入浴や部分浴なら、表情、呼吸、疲労感、意識の変化、看護師が確認する状態変化をチームで共有します。

家族にも「できるだけ叶えたいが、苦痛が出たら中止する」と先に説明しておくことが大切です。そうしないと、現場の介護士だけが止める役を背負い、家族の願いと本人の苦しさの間に挟まれてしまいます。

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厚生労働省

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン解説編

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf

根拠要約:人生の最終段階では、本人の意思を基本に、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、その内容を文書にまとめることが示されています。


看取りで本人の食事・酒・タバコ・入浴をめぐるよくある事例

事務スペースでパソコンに向かいながら、顎に手を当てて考えている若い女性介護職員の様子。事故報告書の作成やケアプランの見直し、家族対応後の振り返りなどを思案している場面を示すイメージ。

看取りの希望は、理屈だけでは割り切れません。本人の表情、家族の涙、職員の人手、夜勤帯の不安、医療職へすぐ確認できるかどうかが重なり、判断が重くなります。

ここでは、介護施設で起こりやすい場面をもとに、禁止でも放任でもない考え方を整理します。

寿司を食べたいと言われ、誤嚥が怖くて止めたくなる

本人が「寿司を食べたい」と言ったとき、介護士は胸が揺れます。昔から好きだったものなら、最後に少しでも味わってほしいと思います。一方で、口腔内に残る、むせる、飲み込みが遅い、呼吸が乱れるなどがあると、怖くて止めたくなります。

この場面で避けたいのは、通常の寿司をそのまま出すか、すべて断るかだけで考えることです。本人の希望の中身を確認し、食形態、量、姿勢、介助方法、時間帯、見守る職員を決めます。口へ入れる量を少なくする、シャリや具材の形を変える、香りだけ楽しむ、家族と一緒に雰囲気を味わうなど、希望の意味を別の形にする余地があります。

「食べたいのに食べられない時期」と「体が受け付けず、口に入れること自体が苦痛になっている時期」は分けて考えます。本人が苦しそうなら、食べさせることが本人のためとは限りません。

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国立国際医療研究センター病院

嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発

https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf

根拠要約:食形態を考える際には、むせ、声質の変化、呼吸、口腔内残渣などの観察が重要とされています。ただし観察だけには限界があり、繰り返し評価する視点も示されています。

家族が「最後だから食べさせて」と言うが本人が苦しそう

家族から「最後だから食べさせてください」と言われると、介護士は断りにくくなります。家族の願いはよく分かります。ずっと好きだったものを最後に食べさせたい、何もしてあげられないまま見送るのがつらい。その気持ちは自然です。

しかし、本人が苦しそうに飲み込んでいるなら、家族の願いだけで続けることはできません。家族の前だから頑張っているように見えることもあります。本人の表情、呼吸、口の動き、疲労感を見て、必要なら止める役割をチームで持つ必要があります。

このとき「介護士が止めた」という形になると、現場だけがつらくなります。事前に、本人の意思、家族の希望、医師や看護師の見解、中止ラインを共有し、記録に残しておくことが大切です。

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厚生労働省

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン解説編

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf

根拠要約:本人の意思を基本に、家族等や医療・ケアチームで繰り返し話し合い、内容を文書化することが示されています。

酒やタバコを少しだけと頼まれ、現場が判断を抱える

酒やタバコは、その人の生活歴と強く結びつくことがあります。長く晩酌を楽しんできた人、タバコで気持ちを落ち着けてきた人にとって、「もうだめです」と言われることは大きな喪失に感じられるかもしれません。

ただし、酒やタバコは介護士がその場の情だけで決めるものではありません。本人が今もはっきり望んでいるのか、体調はどうか、施設のルールはどうか、家族はどう考えているのか、医師や看護師へ確認すべきことはないかを整理します。

タバコなら、火気、付き添い、場所、他利用者への影響、終了後の状態確認が必要です。酒なら、量、タイミング、意識状態、体調変化があったときの中止を決めます。本人の楽しみを守るには、自由に任せるのではなく、条件を整える必要があります。

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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

根拠要約:本人の意思や好みを理解し、選択に伴うリスクを関係者で共有しながら、意思の実現を支援する考え方が示されています。

最後に風呂へ入りたいと言われ、通常浴か中止かで迷う

入浴が好きだった人から「風呂に入りたい」と言われると、現場では「最後に入れてあげたい」という気持ちが強くなります。けれど、血圧が低い、呼吸が苦しい、意識がぼんやりしている、移乗で疲れやすい状態では、通常浴が負担になりやすい場面もあります。

このとき、湯船に入ることだけを希望と見ないことが大切です。本人は、温かさ、清潔感、安心する香り、体を拭いてもらう心地よさを求めているのかもしれません。清拭、手浴、足浴、短時間の部分浴、好きな入浴剤の香りを使うなど、風呂に近い安らぎへ変えられることがあります。

「やらない後悔」と「やって急変する怖さ」の間で、介護士一人が決める必要はありません。看護師や医師、家族、施設の責任者と、どの形なら負担を増やしにくいかを決めます。

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厚生労働省

身体拘束廃止・防止の手引き

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001248430.pdf

根拠要約:安全確保だけで安易に制限するのではなく、原因分析や代替方法、本人中心の支援、本人・家族・関係者での協議が重要とされています。清潔を保つケアの重要性も示されています。

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なぜ看取りの最後の希望は二択で判断しにくいのか

介護施設の明るい食堂で、椅子に座った男性高齢者が上を見上げ穏やかに微笑んでいる様子。高齢者の生活支援・認知症ケア・安心できる介護環境をイメージ

看取りの希望が難しいのは、希望を叶えることがいつも本人の楽になるとは限らず、止めることがいつも本人を守るとも限らないからです。

現場では、本人の人生を最後まで残したい気持ちと、事故や苦痛を増やしたくない気持ちが同時にあります。その迷いは、介護士の判断力が足りないからではありません。看取りそのものが、本人らしさと身体の限界を同時に見るケアだからです。

本人らしさと苦痛の少なさが同じ場面にある

看取りの尊厳は、本人の希望を全部実行することだけではありません。本人の意思を大切にしつつ、その行為が今の本人にとって苦痛になっていないかを見ます。

食べたい、飲みたい、吸いたい、入りたいという言葉には、その人の生活歴が残っています。けれど、終末期が進むと、意識や食欲、呼吸、体力が変化します。昨日は楽しめたことが、今日はつらいことになる場合もあります。

だから、本人の希望は一度聞いて終わりではありません。実施前、実施中、実施後に、表情や反応を見ながら確認します。本人が望んでいるように見えても、苦痛が強ければ止める判断が必要です。

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厚生労働省

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン解説編

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf

根拠要約:本人の意思は変化し得るため、本人・家族等・医療・ケアチームで繰り返し話し合うことが重要とされています。

食べることは生活の質と誤嚥リスクの両方に関わる

食べることは、看取り期でも大きな意味を持ちます。好きな味、家族と囲む時間、昔からの習慣は、その人らしさを支えることがあります。

一方で、摂食嚥下の力が落ちていると、むせ、呼吸の変化、口腔内に食べ物が残る、飲み込みに時間がかかるなどが見られます。これを「最後だから」と見ないまま進めると、本人に負担をかける可能性があります。

大切なのは、食べる希望を否定しないまま、形を変えることです。食形態、姿勢、介助方法、量、タイミングを確認し、本人の楽しみと苦痛の少なさを両方見ます。

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厚生労働省

高齢者の口腔と摂食嚥下の機能維持・向上のための取組に関する調査

https://www.mhlw.go.jp/iken/after-service-vol25.html

根拠要約:食べることは生活の質と関わる一方、摂食嚥下機能の低下は誤嚥や窒息などにつながることがあります。多職種による食事場面の観察や食形態などの評価が重要とされています。

本人の意思は変わり、家族の願いとずれることがある

家族は、本人の好きだったものをよく知っています。だからこそ「最後に食べさせたい」「一口だけでも」と願います。その願いは、本人を大切に思う気持ちから出ていることが多いです。

しかし、本人の今の意思や体の反応は、過去の好みと同じとは限りません。昔は好きだったものでも、今は匂いだけでつらいことがあります。家族の前で頑張って口を動かしているだけのこともあります。

このずれを介護士だけで受け止めると、現場が苦しくなります。家族には「希望を大切にしたい。ただし本人が苦しそうなら止める」という前提を、チームとして伝える必要があります。

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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

根拠要約:本人の意思は変化し得るため、本人の表情や反応、生活歴、周囲からの情報を踏まえて、意思の形成・表明・実現を支援する視点が示されています。

現場の優しさだけでは見守り体制が追いつかない

「最後くらい叶えたい」という介護士の優しさは大切です。ただ、その優しさだけで実現しようとすると、現場が無理を抱えます。

看取りの人にゆっくり関わりたい気持ちがあっても、同じ時間に他利用者の食事介助、排泄、コール対応、記録、転倒リスクの見守り、家族対応が重なることがあります。誰がそばにいるのか、誰が状態変化を見ているのか、誰へ報告するのかが曖昧なままでは、介護士個人に責任が集中します。

確認することチームでそろえる内容
本人の希望何をしたいのか、今も望んでいるのかを確認します。
身体状態むせ、呼吸、疲労、表情、意識などの観察点を共有します。
中止ラインどの変化があればやめるかを先に決めます。
見守り体制誰が付き添い、誰へ報告するかを確認します。
家族説明叶えたい気持ちと中止条件を同じ場で伝えます。

希望を叶えるなら、現場に丸投げしないことです。チームで決め、記録に残し、途中で止める権限も共有する。その準備があって初めて、介護士は本人のそばに安心して立てます。

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厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

根拠要約:事故予防では、リスクアセスメント、利用者・家族との情報共有、多職種連携、状況把握、報告の仕組みが重要とされています。

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看取りの最後の希望で現場が迷う質問

Q
最後だから本人の希望は何でも叶えるべきですか?
A

何でも叶える、全部止める、どちらでもありません。まず本人の希望を意思として受け止め、そのうえで今の身体状態、苦痛の有無、家族の意向、医師や看護師を含むチーム判断、見守り体制を確認します。

看取りでは、本人の意思を基本にしながらも、状態は変化します。昨日できたことが今日も同じようにできるとは限らないため、希望を聞いたあとに「今の本人にとって負担が少ない形は何か」を考えます。

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厚生労働省

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン解説編

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf

根拠要約:人生の最終段階では、本人の意思を基本に、家族等や医療・ケアチームで繰り返し話し合うことが重要とされています。

[/syutten]

Q
寿司など好きな食べ物は一口なら出してもよいですか?
A

「一口なら大丈夫」とは言い切れません。量が少なくても、今の嚥下状態や姿勢、意識、呼吸、口腔内の状態によって負担は変わります。

大切なのは、一口という量だけで判断しないことです。食形態を変える、姿勢を整える、本人の反応を見る、むせや呼吸の変化があれば止めるなど、具体的な観察点と中止ラインを先に決めます。本人が味や雰囲気を楽しめるなら、形を変える選択肢もあります。

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国立国際医療研究センター病院

嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発

https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf

根拠要約:むせ、声質の変化、呼吸、口腔内残渣などを観察し、食形態を検討する視点が示されています。

[/syutten]

Q
家族が望んだら介護士判断で食べさせてよいですか?
A

家族の希望だけで、介護士が単独判断するのは避けます。家族の願いは大切ですが、本人の今の意思と苦痛の有無を見なければなりません。

本人が苦しそうにしている場合は、「最後だから続ける」ではなく、チームで止める判断を共有します。家族には、希望を尊重したいことと、苦痛が出た場合は中止することを同時に説明しておくと、現場だけが責任を背負いにくくなります。

[syutten]

厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

根拠要約:介護現場のリスク対応では、利用者・家族との情報共有、多職種連携、正確な状況把握、報告体制が重要とされています。

[/syutten]

Q
酒やタバコは看取りなら許可してよいですか?
A

看取りだから許可できる、と一律には考えません。酒やタバコは本人の生活歴や楽しみと結びつく一方、体調、意識状態、施設のルール、火気、他利用者への影響、付き添い体制などを確認する必要があります。

介護士個人が「少しなら」と決めるのではなく、本人の意思、家族の意向、医師・看護師の見解、施設の管理体制を合わせて判断します。できる場合も、量、場所、時間、中止ライン、記録をそろえることが大切です。

[syutten]

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

根拠要約:本人の意思や好みを理解し、選択に伴うリスクを関係者で共有しながら、意思の実現を支援することが示されています。

[/syutten]

Q
通常の入浴が難しいときはどう考えますか?
A

通常浴だけを選択肢にしないことが大切です。血圧低下、呼吸の苦しさ、意識の低下、強い疲労がある場合、湯船へ入ることが本人の負担になることがあります。

その場合でも、「風呂に入りたい」という希望の意味をくみ取ることはできます。清拭、手浴、足浴、短時間の部分浴、温かいタオル、好きな香りなどで、清潔感や安心感に近づける方法をチームで検討します。

[syutten]

厚生労働省

身体拘束廃止・防止の手引き

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001248430.pdf

根拠要約:本人中心の支援、代替方法の検討、本人・家族・関係者での協議、清潔を保つケアの重要性が示されています。

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看取りの希望を本人らしさとして残すために

看取りの最後の希望は、現場にとってとても重い判断です。叶えてあげたい気持ちがある一方で、誤嚥、呼吸状態の変化、転倒、火気、急変、家族説明への不安もあります。

この記事で大切にしたいのは、希望をそのまま叶えるか、禁止するかの二択にしないことです。本人の希望は、その人の人生や生活歴を知る大切な手がかりです。ただし、今の身体状態や苦痛を見ずに実行すれば、本人らしさが苦しさに変わることがあります。

明日からできる一歩は、希望を聞いたらすぐ実行せず、希望の意味・今の状態・できる形・中止ラインをチームで一枚に書き出すことです。食べたいなら、食形態や量を変えられないか。酒やタバコなら、施設として条件を整えられるか。入浴なら、通常浴以外で安らぎを残せないかを考えます。

看取りの尊厳は、全部を守りきることではありません。本人らしさを苦痛に変えず、最後までその人の人生を残す方法を探すことです。そのためにも、介護士一人の優しさに任せず、家族、医師、看護師、施設のチームで支える形を作っていきましょう。

最後までご覧いただきありがとうございます。


更新履歴

  • 2026年9月7日:新規投稿

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