認知症の利用者に優しくできないときどうする?介護士が守りたい対応の最低ライン

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認知症ケアで対応に迷う介護職員が、利用者の安全に配慮しながら同僚へ応援を相談するイラストです。

同じ訴えに何度も答えたあと、また声をかけられて「もう説明したのに」と思う。排泄介助で便へ手を伸ばされ、移乗中には腰をつかまれて爪が痛い。こうした場面で、優しくしたいのに、強い言葉や手が出そうになることに悩んでいませんか。

認知症だから理解しよう、落ち着いて対応しよう。そう分かっていても、目の前の介助を終えたい気持ちと、利用者を傷つけたくない気持ちの間で迷います。余裕のない瞬間に「もっと優しく」と言われるだけでは、次にどう動くかを選びにくいものです。

この記事では、気持ちを無理に切り替えることよりも、傷つける対応へ進まないための最低ラインを整理します。説明を重ねる前の反応確認、一人で続けるのが難しいときの応援の頼み方を、介助中の安全を置き去りにしない形で考えていきましょう。

この記事を読むと分かること

  • 短く伝えるときの考え方
  • 本人の反応を確かめる視点
  • 応援を頼む目安と伝え方

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 同じ訴えへの返事がつらい
  • 介助中に手が出そうになる
  • 交代を頼むのをためらう

優しくできないときは、利用者を傷つけない対応へ切り替える

短い声かけと反応の確認、応援の依頼を、利用者の安全に配慮する視点と合わせて整理した図です。

優しくできないときは、短く伝えて反応を確認し、無理に介助を押し切らないことを優先します。一人で続けるのが難しいときは、安全に配慮して応援・交代を求めましょう。

出典・根拠を確認

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

⑴ 本人が意思を形成することの支援(意思形成支援)
○ まずは、以下の点を確認する。
◦本人が意思を形成するのに必要な情報について説明しているか。
◦本人が理解できるよう、分かりやすい言葉や文字に変えて、ゆっくりと説明して
いるか。
◦本人が理解していることと、意思決定支援者らの理解に相違はないか。
◦本人が自発的に意思を形成するのに障害となる環境等はないか。

株式会社三菱総合研究所 ヘルスケア&ウェルネス本部

介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947524.pdf

※BPSDによる暴言、暴力、性的行動はハラスメントではないため、ハラスメント対策の取組ではな
く、認知症ケアによって対応する必要があります。適切なケアのためにも、 BPSDによる暴言、暴
力、性的行動を受けた場合に職員が一人で問題を抱え込まず、上長や施設・事業所内で適切に報
告・共有できるようにすることが大切です。報告・共有の場で対応について検討することはもとよ
り、どのようにケアするかノウハウを施設・事業所内で共有できる機会にもなります。そのうえで、
組織的に対応することが重要です。

便へ伸びる手を見たり、つかまれた腰に痛みを感じたりした瞬間、「優しく接する」という理想だけでは動けないことがあります。介助を終えたいのに、声を荒らげたり力で押し切ったりはしたくない。その間で迷う場面です。

ここで目標にしたいのは、怒りを完全になくすことではありません。殴る・投げる・怒鳴る対応へ進まないよう、今の関わり方を切り替えることです。距離を取ることも選択肢ですが、介助途中の利用者を安全が保てないまま残すこととは分けて考えます。

説明を重ねる前に、短く伝えて反応を待つ

介護職員が利用者に一言ずつ伝え、次の説明へ急ぐ前に本人の様子を確認する場面のイラストです。

同じ依頼に答えた直後、また同じことを言われると、「さっき言いましたよ」と返したくなります。次の仕事も気になり、反応を待つより説明を重ねて終わらせたい、という迷いが生まれます。

まずは、本人に分かる言葉でゆっくり伝え、決断を迫って焦らせないことを軸にしましょう。短い一言に絞るのは、そのための伝え方の一例です。短くすれば必ず伝わる、という意味ではありません。

出典・根拠を確認

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

⑴ 本人が意思を形成することの支援(意思形成支援)
○ まずは、以下の点を確認する。
◦本人が意思を形成するのに必要な情報について説明しているか。
◦本人が理解できるよう、分かりやすい言葉や文字に変えて、ゆっくりと説明して
いるか。
◦本人が理解していることと、意思決定支援者らの理解に相違はないか。
◦本人が自発的に意思を形成するのに障害となる環境等はないか。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要であり、決断を迫るあま
り、本人を焦らせるようなことは避けなければならない。

例えば「手を拭きます」と今することを伝えたら、次の説明へ急ぐ前に反応を見ます。返事だけで進めず、手の動きや表情にも目を向けるつもりで、言葉を重ねる間を一度止めてみてください。

待つ余裕がなく、説明が強い言い方になりそうなら、一人で説得を続けることにこだわらず応援を相談します。落ち着いた声を保つ努力と、今の自分では続けにくいと伝えることは、両立させたい対応です。

声かけの一言目を見直したいときに

一人で続けるのが難しいときは、応援・交代を相談する

ほかの職員も忙しそうだと、声をかけるのが申し訳なくなります。けれど、痛みや怒りを抱えたまま「自分が終わらせなければ」と続けるか、応援を呼ぶかで迷う場面こそ、限界を伝える言葉が必要です。

本人の意思決定を強制しないことに加え、認知症の行動・心理症状であるBPSDによる言動でも、職員が一人で抱えず報告・共有することが示されています。拒否や戸惑いを押し切る前に、今の進め方を相談すると考えましょう。

出典・根拠を確認

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 本人が急いで意思決定を行うことがないよう支援の時期についても配慮し、本人が
集中できる時間帯を選ぶことや、疲れている時を避けることなどにも注意が必要で
ある。本人には意思決定をしない自由もあるので、意思決定を強制することになら
ないように注意すべきである。

株式会社三菱総合研究所 ヘルスケア&ウェルネス本部

介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947524.pdf

※BPSDによる暴言、暴力、性的行動はハラスメントではないため、ハラスメント対策の取組ではな
く、認知症ケアによって対応する必要があります。適切なケアのためにも、 BPSDによる暴言、暴
力、性的行動を受けた場合に職員が一人で問題を抱え込まず、上長や施設・事業所内で適切に報
告・共有できるようにすることが大切です。報告・共有の場で対応について検討することはもとよ
り、どのようにケアするかノウハウを施設・事業所内で共有できる機会にもなります。そのうえで、
組織的に対応することが重要です。

依頼は「少し来てください」だけでなく、「移乗中につかまれています。一人では難しいので、応援をお願いします」のように、今の動作と困っていることを合わせて伝える例が考えられます。

すぐに交代できるとは限りません。その場合も、移乗途中に支えを外して離れるのではなく、その場の利用者の安全に配慮して応援を求めます。交代は本人を置き去りにするためではなく、無理に一人で続けないための相談です。

優しさを取り戻すことだけを目標にせず、短く伝え、反応を確かめ、無理に押し切らないことを優先しましょう。一人では続けにくいときは、利用者の安全に配慮しながら、今の状況を伝えて応援・交代を相談します。


認知症の利用者への怒りが強くなる場面で、どう動くか

同じ訴え、排泄介助、移乗中の三つの場面を、無理に押し切らない対応という共通の視点で整理した図です。

同じ訴え、汚れへの対応、介助中の痛み。どれも目の前で起きると、「またか」と感じながら仕事を進めたくなる場面です。優しくしたい気持ちと、その瞬間に選べる対応が離れてしまうときは、何を押し切らないかを先に考えます。

排泄介助を終えたいのに便へ手を伸ばされると、清潔を保つことに気持ちが向きます。移乗中につかまれれば、痛いから離れたい気持ちと、利用者を支えていなければならない状況が重なります。どちらも「落ち着けばよい」と言うだけでは、次の動きを決められません。ここでは、その場の迷いを、説明・反応確認・応援の依頼へどうつなぐかを整理します。

同じ訴えが続き、説明が強くなりそうなとき

同じことを頼まれ、答えたあとにまた頼まれると、「もう何回も説明したのに」という気持ちになります。今は別の仕事を進めたいのに、同じやり取りから離れられず、次はもっと強く言わないと伝わらないのかと迷う場面です。丁寧に説明したつもりだからこそ、また訴えられたときに、返事をすること自体がつらくなります。

ここで分けたいのは、説明したことと、本人が理解したことです。理解しているような反応があっても実際には理解できていない場合があるため、本人の様子を確認する必要があります。決断を迫って焦らせないことも大切です。

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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 本人が理解しているという反応をしていても、実際は理解できていない場合もある
ため、本人の様子を見ながらよく確認することが必要である。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要であり、決断を迫るあま
り、本人を焦らせるようなことは避けなければならない。

「説明済みだから、同じことを言わないでほしい」と考えたまま言葉を重ねるのではなく、今伝えたいことを一つに絞ってみましょう。そのあと、本人がどう返すか、どんな動きをするかを確かめます。

それでも同じやり取りが続き、声が強くなりそうなら、長く説得することだけで解決しようとしないでください。「同じ訴えへの対応が続き、今は一人で返事を続けるのが難しい」と状況を伝え、応援を相談する選択肢を持ちます。

「家に帰りたい」が続くときの関わり方

排泄介助で便へ手を伸ばされ、手が出そうなとき

排泄介助中、便へ手を伸ばす動きを見ると、汚れを広げたくない、早く介助を終えたいという気持ちが重なります。「やめて」と言いたくなり、殴りたくなるほどの怒りに、自分でも戸惑う場面です。清潔を保ちたいのに、相手を傷つける対応には進みたくない。止めることに気持ちが集中し、どう声をかけ直すかを考える余裕がなくなります。

最低ラインは、怒りの勢いで手を出さず、本人が安心して意思を表せる接し方へ戻そうとすることです。介助を早く終えることと、本人を押し切ることは分けて考えます。意思決定を強制しない姿勢を、今の関わり方にも生かしましょう。

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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 意思決定支援者は、本人の意思を尊重する姿勢で接することが必要である。
○ 意思決定支援者は、本人が自らの意思を表明しやすいよう、本人が安心できるよう
な姿勢で接することが必要である。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 本人が急いで意思決定を行うことがないよう支援の時期についても配慮し、本人が
集中できる時間帯を選ぶことや、疲れている時を避けることなどにも注意が必要で
ある。本人には意思決定をしない自由もあるので、意思決定を強制することになら
ないように注意すべきである。

例えば「手を拭きます」と、今することを本人に分かる言葉で伝えるところから考えます。禁止の言葉を続けるだけではなく、次に何をするのかを伝えたうえで反応を確かめる、という対応例です。

ただし、この言葉で必ず手が止まるわけではありません。手が出そうで自分一人では続けにくいときは、利用者の安全に配慮しつつ、排泄介助のどの場面で困っているかと、応援が必要なことを伝えます。感情を隠して介助を押し切ることだけを選ばないでください。

トイレ拒否への怒りも整理したいときに

移乗中につかまれ、痛みと怒りが重なるとき

移乗中は安全を保ち、無理な力を避けながら応援を求めるという視点を、介助動作を示さず整理した図です。

移乗中に腰をつかまれ、爪が立って痛いと、「もう投げ出したい」という気持ちがよぎることがあります。痛みから離れたいのに、利用者を支えている途中なので、その場を離れるわけにはいかない。早く終えれば楽になるかもしれないと思う一方で、力で動かしたくはないという迷いです。優しく声をかける余裕だけを求められても、痛みと介助を同時に抱えるつらさは残ります。

この場面で、力を加えて移乗を押し切る対応は避けたいものです。無理な力を加える移乗は、職員の身体的負担だけでなく、利用者の内出血や皮膚剥離につながる場合があります。安全の確認は、利用者ごとの身体機能や行動などを踏まえて行う必要があります。

出典・根拠を確認

厚生労働省 老健局

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

無理な移乗介助が内出血や皮膚剥離を引き起こすこともある

  • 移乗介助が内出血や皮膚剥離の原因となるケースもあります 。移乗介助のスキル不足などで人
    力により無理な力を加えることは 、職員に身体的負担がかかるだけでなく 、利用者に対しても局所
    的に力がかかり、内出血や皮膚剥離を引き起こす場合もあります。

厚生労働省 老健局

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

個別のリスク評価は利用者情報の収集が重要

  • 予見可能性の高い事故の発生を防ぐためには 、利用者ごとのリスク評価を適切に行うことが重要
    です。リスクの評価は、利用者一人ひとりについて、身体機能や行動範囲、生活特性等を考慮し
    て個別にアセスメントできると良いでしょう。

「移乗中で、腰をつかまれて痛いです。一人では続けるのが難しいので来てください」と、今の状況を伝えて応援を呼ぶ例を用意しておきましょう。痛みをただ我慢して、予定どおり終えることにこだわらないための一言です。

移乗途中に支えを外して離れることは勧めません。どのように介助を中断するかは利用者やその場の状態で異なるため、ここで一律の身体の動かし方は示せません。利用者の安全を保ち、無理な力を加えず、応援を求めるところを共通の目安にします。

移乗介助の支え方を振り返りたいときに

同じ訴えには理解を確かめ、排泄介助では禁止だけでなく今することを伝えます。移乗中の痛みは力で押し切らず、安全に配慮して応援を求めましょう。どの場面でも、一人で続けにくい状態を隠さないことが切替の出発点です。

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なぜ短く伝え、反応を見て、無理なら応援を求めるのか

本人の理解や言葉以外の反応を確認し、一人で抱え込まないための視点を、三つの要素で整理した図です。

分かるように説明し、反応を見て、無理なら応援を求める。そう言われても、今の介助を終えたいときには遠回りに感じるかもしれません。ここでは、怒りが起きる心理を掘り下げるのではなく、なぜこの行動を選ぶのかを考えます。

同じ訴えに答え続けると、説明を終えたことをもって次へ進みたくなります。排泄介助で手が動けば、反応を見るより止めることを優先したくなる場面です。移乗中に痛みがあっても、ほかの職員も忙しいと思うと、一人で終える方へ気持ちが向きます。その現実を踏まえ、説明・確認・応援を、ただの理想ではなく選び直す目安にしていきましょう。

説明したことと、本人が理解したことは違うから

同じ依頼に何度も答えていると、説明そのものが仕事の区切りになります。もう伝えたのだから次へ進みたいのに、また同じ訴えがあると、「説明を聞いていないのでは」と考えたくなります。

けれど、本人が理解できる言葉で説明し、理解に相違がないかを確かめることが求められます。理解したような反応があっても、実際には理解できていない場合があるからです。説明を終えたことだけで、理解の確認を終えないという視点が必要です。

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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

⑴ 本人が意思を形成することの支援(意思形成支援)
○ まずは、以下の点を確認する。
◦本人が意思を形成するのに必要な情報について説明しているか。
◦本人が理解できるよう、分かりやすい言葉や文字に変えて、ゆっくりと説明して
いるか。
◦本人が理解していることと、意思決定支援者らの理解に相違はないか。
◦本人が自発的に意思を形成するのに障害となる環境等はないか。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 本人が理解しているという反応をしていても、実際は理解できていない場合もある
ため、本人の様子を見ながらよく確認することが必要である。

理想は、本人に合わせて説明し、確かめながら進めることです。現実には、同じ返事を続ける負担と、次の仕事へ進みたい気持ちがあります。その差を埋める対応例として、今の説明を短い内容に絞り、次の反応を見ることを考えてみましょう。

長く説明し直すことだけに力を使わず、「今の言葉は分かる形だったか」を確かめます。何度伝えても同じやり取りが続くときは、さらに強く言う前に、一人で続けにくい状況をほかの職員へ伝えるところまでを選択肢にします。

言葉だけでは本人の意思を拾いきれないから

利用者の言葉、手の動き、表情に目を向け、反応の理由を決めつけずに確認する場面を示した図です。

今する介助を伝えても、返事がはっきりしないと、待つか進めるかで迷います。手が動いたり顔つきが変わったりしても、介助を終えたい気持ちが強いと、その反応を確かめる余裕がなくなる場面です。

認知症の人は言葉による意思表示がうまくできないことも想定されるため、身振り手振りや表情の変化も、意思表示として読み取ることが求められます。言葉の返事だけを、確認の材料にしないことが大切です。

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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 認知症の人は、言語による意思表示がうまくできないことが多く想定されることか
ら、意思決定支援者は、認知症の人の身振り手振り、表情の変化も意思表示として
読み取る努力を最大限に行うことが求められる。

理想は、本人の反応を受け取りながら関わることです。一方、作業を急ぎたいときは、返事がないことを「このまま進めてよい」と扱いたくなります。そこで、今の声かけに対して手の動きや表情がどう変わったか、目を向けることを提案します。

ただし、顔つきだけで「怒っている」「嫌がっている理由はこれだ」と断定するのは避けましょう。反応を見たあとに、言葉を変えて確かめる余地を残します。見ただけで分かったつもりにならず、次の介助を急いで押し切らないための確認です。

レクへの返事や拒否を確かめたいときに

無理な力は利用者にも職員にも負担になるから

移乗中につかまれて痛くても、ほかの職員に頼むより自分で終えた方が早いと思うことがあります。支えを外すわけにはいかず、痛みを抱えたまま力で動かしたくなるとき、我慢と無理な介助を分けるのが難しくなります。

無理な力による移乗は、職員の負担に加え、利用者の内出血や皮膚剥離を引き起こす場合があります。また、BPSDによる言動を受けても、職員が一人で抱えず報告・共有することが大切とされています。認知症だから一人で耐え続ける、とは考えないことです。

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厚生労働省 老健局

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

無理な移乗介助が内出血や皮膚剥離を引き起こすこともある

  • 移乗介助が内出血や皮膚剥離の原因となるケースもあります 。移乗介助のスキル不足などで人
    力により無理な力を加えることは 、職員に身体的負担がかかるだけでなく 、利用者に対しても局所
    的に力がかかり、内出血や皮膚剥離を引き起こす場合もあります。

株式会社三菱総合研究所 ヘルスケア&ウェルネス本部

介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947524.pdf

※BPSDによる暴言、暴力、性的行動はハラスメントではないため、ハラスメント対策の取組ではな
く、認知症ケアによって対応する必要があります。適切なケアのためにも、 BPSDによる暴言、暴
力、性的行動を受けた場合に職員が一人で問題を抱え込まず、上長や施設・事業所内で適切に報
告・共有できるようにすることが大切です。報告・共有の場で対応について検討することはもとよ
り、どのようにケアするかノウハウを施設・事業所内で共有できる機会にもなります。そのうえで、
組織的に対応することが重要です。

理想は、無理のない介助を行い、困る場面では応援を受けることです。実際には、周囲も忙しく、声をかける負担が残ります。それでも、今の動作で痛みがあることと、一人で続けるのが難しいことは、言葉にして伝えたい情報です。

「つかまれている」「痛い」「移乗中」と、応援を頼む理由を具体化してみましょう。交代すれば必ず状況が変わるとは限りませんが、力で終わらせる方向だけへ進まず、ほかの職員と対応を検討するための入口になります。

説明済みでも理解できたとは限らず、言葉以外の反応にも目を向ける必要があります。無理な力での移乗は利用者と職員の双方に負担をかけます。短い説明・反応確認・具体的な応援の依頼は、押し切らないために選びたい行動です。

PICK UP

介護の仕事と暮らしを、ちょっと良くする選択肢

働き方を見直したいときや、毎日の負担を減らしたいときに役立つサービス・商品を紹介します。

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優しくできないときに迷いやすいこと

「返事があったから進めてよいのか」「痛くても我慢すべきなのか」。介助中には、短い判断にも迷いがあります。優しくしなければという気持ちだけで決めず、本人の反応と、その場の安全を分けて確かめましょう。

同じ訴えへの説明を繰り返したあとや、移乗中に爪が痛い場面では、待つことも頼むことも負担に感じます。そんなときに選択肢を狭めないための、小さな確認をまとめます。

Q
うなずいたら、そのまま介助を進めてよいですか?
A

うなずきだけで理解できたと決めず、本人の様子を確認しましょう。理解しているような反応でも、実際には理解できていない場合があります。早く進めたいときほど、今の説明への返事と、そのあとの動きを合わせて確かめるつもりで関わります。

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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

○ 本人が理解しているという反応をしていても、実際は理解できていない場合もある

ため、本人の様子を見ながらよく確認することが必要である。

Q
爪を立てられても、一人で我慢すべきですか?
A

一人で抱え込む必要はありません。BPSDによる言動は認知症ケアとして対応し、上長や施設内で報告・共有することが大切です。認知症による行動を一律にハラスメントと決めつけず、「移乗中につかまれて痛い。一人では難しいので応援してほしい」のように、状況と必要な助けを伝えましょう。

出典・根拠を確認

株式会社三菱総合研究所 ヘルスケア&ウェルネス本部

介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947524.pdf

※BPSDによる暴言、暴力、性的行動はハラスメントではないため、ハラスメント対策の取組ではな

く、認知症ケアによって対応する必要があります。適切なケアのためにも、 BPSDによる暴言、暴

力、性的行動を受けた場合に職員が一人で問題を抱え込まず、上長や施設・事業所内で適切に報

告・共有できるようにすることが大切です。報告・共有の場で対応について検討することはもとよ

り、どのようにケアするかノウハウを施設・事業所内で共有できる機会にもなります。そのうえで、

組織的に対応することが重要です。

Q
介助を止めるなら、その場を離れてよいですか?
A

気持ちを切り替えるために離れることと、介助中の利用者を安全が保てないまま残すことは別です。安全リスクは利用者ごとに異なります。移乗中に支えを外して離れず、その場で安全に配慮しながら応援を呼ぶことを目安にしましょう。一律の中断手順ではなく、今の状況を伝えて対応を相談する提案です。

出典・根拠を確認
厚生労働省 老健局 介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf 個別のリスク評価は利用者情報の収集が重要
  • 予見可能性の高い事故の発生を防ぐためには 、利用者ごとのリスク評価を適切に行うことが重要 です。リスクの評価は、利用者一人ひとりについて、身体機能や行動範囲、生活特性等を考慮し て個別にアセスメントできると良いでしょう。
株式会社三菱総合研究所 ヘルスケア&ウェルネス本部 介護現場におけるハラスメント対策マニュアル https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947524.pdf ※BPSDによる暴言、暴力、性的行動はハラスメントではないため、ハラスメント対策の取組ではな く、認知症ケアによって対応する必要があります。適切なケアのためにも、 BPSDによる暴言、暴 力、性的行動を受けた場合に職員が一人で問題を抱え込まず、上長や施設・事業所内で適切に報 告・共有できるようにすることが大切です。報告・共有の場で対応について検討することはもとよ り、どのようにケアするかノウハウを施設・事業所内で共有できる機会にもなります。そのうえで、 組織的に対応することが重要です。

うなずきだけで理解を決めず、痛みや対応の難しさは一人で抱えず伝えます。その場を離れるかどうかは、介助中の利用者の安全と切り離せません。今困っている動作を伝え、応援を求める言葉を持っておきましょう。


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次の介助の前に、応援を頼む言葉を一つ決める

利用者に優しくしたいのに、同じ訴えや介助中の痛みで余裕がなくなる。そんな瞬間に、気持ちを完全に変えようとするだけでは、次の対応を選べないことがあります。大切にしたいのは、強い言葉や無理な力で押し切らないことです。

短く伝えたら反応を確認し、一人では続けにくいときは、利用者の安全に配慮して応援を求めます。「頼むと迷惑では」と思うときも、困っている動作まで伝える言葉を用意しておくことはできます。

次の介助の前に、一つだけ決めてみてください。「今、○○で困っています。一人では難しいので、応援をお願いします」という依頼の言葉です。実際の場面では、○○を「移乗中につかまれて痛い」など、今起きていることに置き換えます。

これで怒りが消えたり、すぐに交代できたりするとは限りません。それでも、自分だけで終わらせる方向へ進む前に、状況を伝えるための一歩になります。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。


更新履歴

  • 2025年12月31日:新規投稿
  • 2026年4月26日:内容を全面的にリライト
  • 2026年10月3日:内容を全面的にリライト
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