ニュースでは賃上げが報じられますが、明細を見ても手取りは変わらないと感じる場面があるかもしれません。そんな理想と現実の乖離に、モヤモヤを抱える介護職もいます。人手不足で余裕を失い、作業のような介助になる現場の限界を感じる場面もあります。
すべてを完璧にこなすのは今の体制では困難だと感じる場面があります。まずは構造的な理由を知り、無理のない範囲で自分を守る視点を持つことが大切だと考えられます。介護現場のジレンマを整理するため、優先して押さえるべきポイントを冷静に整理したと考えています。
この記事を読むと分かること
- 介護現場の本当の平均月収
- 賃上げ実感が湧かない理由
- 長く働ける職場の判断基準
- 介護現場で自分を守る方法
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
結論:「給料が上がらない」実感の正体と深刻な人手不足感

現場では「一人ひとりに余裕を持って寄り添いたい」という建前は痛いほどわかっています。しかし、実際の人員配置を見ると、今日も誰かのカバーに入り、記録に追われ、息つく暇もありません。「処遇改善」の言葉とは裏腹に、手取り額以上の負担がのしかかっていると感じる場面があるかもしれません。ここでは、なぜ私たちがこれほど苦しいのかについて、データが示す構造的な理由を紐解きます。
統計上の月給は上がっている現実
ニュースで報じられる通り、介護職員の給与水準は引き上げられているとされています。具体的には、月給で働く介護職員の平均月収は248,884円となり、前年度から増加しているとされています。
しかし、本記事では税金や社会保険料の控除もあり、手元に残る金額の変化を感じにくい場合があると捉えています。本記事では、日々の業務に見合った適正な評価を受けていないと感じることもあると捉えています。さらに、本記事では、後述する「負担の増加」が、この給与アップの実感を打ち消してしまう場合があると捉えています。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
賃金支払形態が月給の人の通常月の平均月収は248,884円で、前年度比3.1%増となりました。
賃上げを打ち消す「65.2%の人手不足感」
給料が上がっても楽にならない理由の一つは、人員不足にあります。実に6割以上の事業所が「人が足りない」と回答しており、この数値は上昇しているとされています。
- 一人当たりの業務量が増えていると感じる場面がある(例)
- 夜勤や早番の負担が一部の人に偏ると感じる場面がある(例)
- 教育の時間が取れず新人が定着しないと感じる場面がある(例)
このように、数千円の賃上げがあったとしても、「割に合わない」と感じる場合があります。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
従業員の過不足状況において、不足とする事業所の割合は65.2%で、前年度より0.5ポイント上昇しました。
給与以上に現場を苦しめる根本的な悩み
現場の不満は「お金」だけではないと考えられます。データを見ると、賃金の低さ以上に「人手が足りないこと」自体が最大の悩みとして挙げられています。人がいないと休みが取れず、余裕がないと人間関係もギスギスしやすいと考えられます。
こうした負の連鎖が、身体的・精神的な負担を増幅させていると考えられます。つまり、「給料が上がらない」というモヤモヤの背景には、金銭では埋めきれない厳しい労働環境がある可能性があります。まずはこの点を客観的に受け止めることが重要だと考えられます。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
労働条件・仕事の負担についての悩み・不安・不満等については、「人手が足りない」が49.1%で最も高く、次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」(35.3%)、「身体的負担が大きい」(24.6%)となっています。
統計上は給与が上昇しているものの、65.2%もの事業所が人手不足に陥っています。賃上げ以上に過酷な業務負担が増し、労働環境の悪化が現場を苦しめている可能性が「給与アップの実感がない」理由の一つです。
介護現場で起きている「給料と負担の不一致」の典型パターン

現場では「給料が上がればモチベーションも上がる」という建前はわかっていても、実際の人員配置を見ると、今日も欠員の穴埋めで精一杯という状況です。手取りは変わらないのに業務量だけが増えていくといった声が現場にはあります。ここでは、数字と現実のギャップから生まれる典型的な悩みを見ていきます。
1. ニュースの賃上げ報道と自分の給与明細のギャップに落ち込む
メディアで報じられる賃上げと、手元に届く明細の金額が合わず、施設への不信感が募るケースもあります。
| 状況 | ニュースを見て期待したのに手取りがほぼ変わらない。 |
|---|---|
| 困りごと | 施設がピンハネしているのではと疑心暗鬼になることがある。 |
| よくある誤解 | 自分の施設だけが不当に給与を抑えていると思い込むことがある。 |
| 押さえるべき視点 | まずは業界の平均月収を知り、自分の現在地を客観的に把握することが重要です。 |
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
賃金支払形態が月給の人の通常月の平均月収は248,884円で、前年度比3.1%増となりました。
2. 手取り額の高さだけで転職先を選び、激務でまた辞めてしまう
今の職場の待遇に不満を持ち、求人票の給与額だけを条件に転職を繰り返してしまうケースもあります。
| 状況 | 「あと数万円高ければ」と目先の金額だけで職場を選ぶ。 |
|---|---|
| 困りごと | 新しい職場は激務で休みが取れず、結局長続きしないと感じる場合がある。 |
| よくある誤解 | 給料さえ高ければ、どんな激務でも我慢できると考えてしまう。 |
| 押さえるべき視点 | 客観的な視点を持つことが自分を守る一助になると考えられます。 |
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
労働者に対する調査によると、現在の職場を辞めずに働き続けることに役立っている取り組みとして最も割合が高かったのは「人間関係が良好な職場づくり」(47.2%)であり、次いで「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」(43.2%)でした。
3. 職場の人間関係が辛いが「介護はどこも同じ」と耐え続ける
上司や先輩のきつい指導に悩みながらも、介護業界の宿命だと諦めて心をすり減らしていると感じる職員もいます。
| 状況 | 職場の雰囲気が悪く、出勤前に動悸がするなど限界が近いと感じる。 |
|---|---|
| 困りごと | 生活のために我慢し続け、精神的な疲労が蓄積している。 |
| よくある誤解 | 人間関係で辞めるのは自分の忍耐力不足であり「逃げ」だと思い込むことがある。 |
| 押さえるべき視点 | 介護職の退職理由のトップは人間関係だとされています。自分を守る環境選択は逃げではないと考えられます。 |
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
介護関係職種を退職した理由として最も多いのは「職場の人間関係」(27.5%)であり、次いで「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」(22.8%)、「他に良い仕事・職場があったため」(19.0%)などが挙げられている 。
給与への不満、転職の失敗、人間関係の苦痛は、あなた個人の問題とは限りません。データにも表れる業界の構造的な課題であることを知り、客観的な視点を持つことが自分を守る一助になると考えられます。
なぜ「給料アップ」の実感がないのか?データが示す構造的原因

現場では「ゆとりある人員配置で、一人ひとりに丁寧なケアを」という建前は理解されています。しかし、実際の人員配置を見ると、ギリギリの人数で日々の業務を回すだけで精一杯だと感じる場面があります。ここでは、なぜ現場の負担感が強いと感じられるのか、客観的なデータからその構造的な原因を紐解きます。
1. 賃上げを打ち消す「業務密度」の急激な上昇
| 建前(理想) | 人員配置基準を満たし、職員一人あたりの負担が適正に保たれている状態。 |
|---|---|
| 現実(現場) | 事業所の65.2%が人手不足に陥っている。 |
給料が数千円増えたとしても、それ以上のスピードで日々の業務量(業務密度)が増えていると感じられる場面があります。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
事業所全体の従業員の過不足感について、不足とする事業所(「大いに不足」、「不足」、「やや不足」の合計)は65.2%と前年度より上昇しており、職種別にみても7職種すべてで上昇しています。
2. 「入ってくる人」が減り続ける採用難の加速
| 建前(理想) | 人が辞めてしまっても、すぐに新しい人材が補充されて現場のシフトが回る状態。 |
|---|---|
| 現実(現場) | 離職率以上に採用率が低下しており、現場の総人数が減少している。 |
データを見ると、離職率自体は改善傾向にあるものの、「新しく入ってくる人」の割合が落ち込んでいるとされています。欠員が続き、今いる職員だけで穴埋めを行う構造が、現場の負担を増やしていると考えられます。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
採用率の低下幅(2.6ポイント)は離職率の低下幅(0.7ポイント)を上回り、増減率は1.9%と3年ぶりに低下しました。
3. 現場の不満のトップは「賃金」よりも「人手不足」
| 建前(理想) | 処遇改善などで給与水準さえ引き上げれば、現場の不満は解消され定着する。 |
|---|---|
| 現実(現場) | 職員の悩みの第1位は賃金ではなく、「人手が足りない」ことであるとされています。 |
お金だけでは解決しにくい「人手不足」が、現場の負担につながっている可能性があります。根本的な人員不足が続く限り、給与が上がっても「辛さ」が残る場合があります。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
労働条件・仕事の負担についての悩み・不安・不満等については、「人手が足りない」が49.1%で最も高く、次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」(35.3%)、「身体的負担が大きい」(24.6%)となっています。
給与が上がっても実感が湧かない背景として、採用難による人員減や業務負担の増加が挙げられると考えられます。お金だけでは解決しにくい「人手不足」が、現場の負担につながっている可能性があります。
データで整理:介護職の「給料と働きやすさ」に関するFAQ
「もしかして、うちの職場だけがおかしいの?」「このまま我慢し続けるしかないの?」など、日々の業務に追われる中でふと感じる不安があるかもしれません。ここでは、現場で抱えがちな小さな迷いに対して、客観的なデータに基づいた回答をご紹介します。
- Q実際のところ、介護職員の平均月給はいくらくらいなのでしょうか?
- A統計によると、月給で働く介護職員の通常月の平均月収は248,884円となっています。前年度と比較して3.1%増加しており、業界全体としては処遇改善などにより給与水準が少しずつ引き上げられているとされています。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター
令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
賃金支払形態が月給の人の通常月の平均月収は248,884円で、前年度比3.1%増となりました。
- Q常に人手が足りずシフトが厳しいのですが、これは今の職場だけですか?
- Aいいえ、あなたの職場だけの問題とは限りません。調査結果によると、実に65.2%もの事業所が「従業員が不足している」と回答しています。業界全体で慢性的な人手不足が生じているとされており、多くの現場が同じように人員確保に苦労しているとされています。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター
令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
従業員の過不足状況において、不足とする事業所の割合は65.2%で、前年度より0.5ポイント上昇しました。
- Q今後も長く働き続けるために、どのような職場を選ぶべきでしょうか?
- Aデータが示すところによると、職員が辞めずに働き続けるために効果的だったのは「人間関係が良好な職場づくり」や「有給休暇等を取得しやすい環境」です。給与額だけでなく、こうした働きやすさの指標が整っているかどうかが、自分を守りながら長く働き続けるための重要なポイントの一つになると考えられます。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター
令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
労働者に対する調査によると、現在の職場を辞めずに働き続けることに役立っている取り組みとして最も割合が高かったのは「人間関係が良好な職場づくり」(47.2%)であり、次いで「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」(43.2%)でした。
現場で感じる不安や疑問は、個人の忍耐力不足だけでなく、業界全体の構造的な課題が影響している可能性がデータからも示唆されます。感情に流されすぎず冷静に今の環境を評価する材料にしていただければと思います。
まとめ:「給料」以上に自分を大切に。明日からできる自分を守るための判断基準
「賃上げ」というニュースと、現場の「苦しさ」のギャップ。
この背景は、個人の頑張り不足だけでなく、
65.2%という深刻な人手不足の状況が影響していると考えられます。理想のケアができないことに心を痛めすぎないほうがよいと考えられます。
統計が示す通り、今は人手不足が続き、
一人あたりの業務密度が高い時期です。まずは「全部を完璧にこなせない今の自分」を受け止めるみるのも一つの方法だと考えられます。
その上で、明日からの小さな一歩として、
「自分の職場の有給取得実績」を振り返ってみるのも一つの方法だと考えられます。給料の額面だけでなく、「休みが取れるか」という指標も、
あなたが健康に働き続けるための、現実的な防衛策の一つになると考えられます。最後までご覧いただきありがとうございます。
この記事がお役に立てれば幸いです。
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- 2026年1月10日:新規投稿
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