ニュースでは賃上げと聞くが、明細を見ても手取りは変わらない。
そんなモヤモヤを抱えつつ、現場では人手不足のしわ寄せで業務を回すだけで精一杯という現実があります。
本当はもっと利用者と向き合いたいのに、余裕がなく流れ作業になってしまう葛藤。
全部は無理でも、ここだけ押さえれば働き方の視点が変わる現実的な話をお伝えします。
この記事を読むと分かること
- 統計上の本当の平均月給額
- 賃上げ実感がない最大の元凶
- 長く働くための職場選びの基準
- 辞めるべき職場の見極め方
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
結論:統計は嘘ではないが、「実感」が伴わないのには理由がある

ニュースで「賃上げ」と聞くたびに、現場では「またか」と白けた空気が流れることがあります。
「手取りは増えていないのに、業務量と責任だけが重くなっていく」
「人が辞めても補充がなく、残った職員で回すのが当たり等になっている」
そんなギリギリの状態で働いていると、統計上の数字を素直に信じることは難しいかもしれません。
しかし、データを見ることで「なぜこれほど苦しいのか」の正体が見えてきます。
給料は「5年連続」で上がっている(月給約24.9万円)
感覚とは裏腹に、統計上の給与額は確実に上昇しています。
最新の調査では、月給者の平均所定内賃金は248,884円となり、前年度と比較して7,568円増加しました。
これは単発的なものではなく、前年度と比較して増加しているという結果が出ています。
「上がっている実感がない」としても、業界全体のベースラインは底上げされているのが事実です。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
平均賃金(月給の者は所定内賃金)は、月給の者が 248,884 円(前年度比 7,568 円増、増減率 3.1%)となっている。
賃上げを打ち消す「過去最高」の人手不足感
給料が上がっても楽にならない最大の原因は、現場の人手不足感にあります。
事業所の65.2%が「人材が不足している」と回答しており、この数値は前年よりも悪化し、過去最高水準となっています。
つまり、数千円の賃上げがあったとしても、それを上回るスピードで一人当たりの業務負担が増加していることが、割に合わないと感じてしまう要因と考えられます。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
過不足感では、「不足感」は 65.2%となり、前年度(63.0%)より 2.2 ポイント増加した。不足感は 2 年連続で増加し、過去最高水準にある。
「長く続く職場」の条件は、金銭よりも「休み」と「人間関係」
「もっと給料が高いところへ」と転職を考える前に、知っておくべきデータがあります。
実際に職員が職場に定着する理由として効果が高いのは、「賃金」以上に「有給休暇の取りやすさ」や「職場の人間関係の良さ」です。
給与額だけで職場を選ぶと、結果として休みが取れず疲弊するリスクがあることを、データは示唆しています。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
雇用管理改善策の実施状況と効果(定着)の関係(D.I.)をみると、「本人の希望等を聞く仕組み」や「有給休暇等の取得促進」、「職場のコミュニケーションの円滑化」において定着への効果の実感が強い。
統計上、給料は上がっていますが、それ以上に人手不足による負担増が深刻なため、豊かさを実感しにくい構造があります。金額だけでなく、有給休暇や人間関係を含めた「働きやすさ」で職場を評価することが重要です。
「頑張り損」にならないための3つの視点

「今の職場はおかしいのではないか?」
現場で働いていると、そう感じて立ち止まる瞬間があるかもしれません。
ここでは、多くの介護士が陥りやすい悩みと、データから見える解決のヒントを事例形式で紹介します。
事例1:ニュースを見て期待したが、明細が変わらず不信感を持った
「処処改善で給料が上がる」というニュースを見て期待していたAさん。
しかし、実際の給与明細を見ても手取りは数千円しか変わらず、「施設がピンハネしているのでは」と不信感を募らせています。
モチベーションも下がり、業務への意欲も低下してしまいました。
ここで押さえるべき視点は、自分の給与を業界全体の平均値と比較してみることです。
統計上、介護職員(月給者)の平均所定内賃金は248,884円です。
まずはこの数値と現在の待遇を照らし合わせ、感情的な不満ではなく、客観的な事実として職場を評価することが第一歩です。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
平均賃金(月給の者は所定内賃金)は、月給の者が 248,884 円(前年度比 7,568 円増、増減率 3.1%)となっている。
事例2:少しでも給料が高い職場へ転職を繰り返してしまう
Bさんは「手取りがあと1万円高いところ」を目指して転職を繰り返しています。
しかし、給料条件だけで選んだ新しい職場はどこも激務で、結局長続きしません。
「割に合わない」と感じてはまた辞める、という悪循環に陥っています。
実は、職員が職場に定着するために本当に効果があるのは、賃金以上に「有給休暇の取りやすさ」や「職場の人間関係」です。
目先の金額だけでなく、「休みが取れるか」「人間関係が良いか」を確認することが、結果的に長く安定して働く近道となる可能性があります。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
雇用管理改善策の実施状況と効果(定着)の関係(D.I.)をみると、「有給休暇等の取得促進」や「職場のコミュニケーションの円滑化」において定着への効果の実感が強い。
事例3:人間関係が辛いが「どこも同じ」と我慢している
Cさんは上司の高圧的な態度に日々悩んでいますが、「介護の職場なんてどこもこんなもの」と諦めています。
生活のために我慢を続けていますが、精神的には限界が近づいています。
しかしデータを見ると、前職を辞めた理由として最も多いのは「職場の人間関係」です。
多くの人が人間関係を理由に環境を変える選択をしています。
「どこも同じ」と我慢して心を壊す前に、自分を守るために環境を変えることは、決して逃げではありません。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
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前職をやめた理由(上位3つ)は、「職場の人間関係に問題があったため」(17.5%)が最も多く、次いで「結婚・出産・妊娠・育児のため」(16.6%)、「法人や事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」(15.9%)となっている。
「給料」や「我慢」にとらわれすぎると、かえって長く働くことが難しくなります。平均賃金を知り、有給休暇や人間関係を重視する視点を持つことが、自分を守りながら働き続けるためのカギとなります。
なぜ「給料アップ」の実感がないのか? 3つの構造的原因

「シフトに穴が開いても補充がない」
「休憩時間を削って記録を書いている」
現場では、多少給料が上がっても「割に合わない」と感じるほどの負担感があります。
個人の感覚ではなく、データから見える「構造的な理由」を3つ解説します。
原因1:賃上げ幅を上回る「業務密度」の上昇
理想は「人員配置基準通りの余裕あるケア」ですが、現実は異なります。
事業所の65.2%が「人材が不足している」と回答しており、この数値は前年より2.2ポイント悪化し、過去最高水準に達しています。
給料が増えても、それ以上に一人当たりの業務量が増え続けているため、「豊かになった」と感じる余裕が物理的に奪われやすい状況にあると言えます。
出典元の要点(要約)
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過不足感では、「不足感」は 65.2%となり、前年度(63.0%)より 2.2 ポイント増加した。不足感は 2 年連続で増加し、過去最高水準にある。
原因2:「入ってくる人」が減り続ける採用難の加速
「人が辞めたら補充する」というサイクルが機能しなくなっています。
離職率は12.4%へ低下しましたが、それ以上に採用率が14.3%へ低下しています。
採用率の低下幅が離職率の改善幅を上回っているため、結果として現場の人員は減少し続けています。
特に訪問介護などの職種では有効求人倍率が高く、欠員補充が困難な状況にあると考えられます。
出典元の要点(要約)
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採用率は 14.3%と前年度(16.9%)より 2.6 ポイント低下した。採用率の低下幅(2.6 ポイント)は離職率の低下幅(0.7 ポイント)を上回り、増減率は 1.9%と前年度(3.8%)より 1.9 ポイント低下した。
原因3:「金銭」では埋められない「疲労とストレス」
職員が求めているものと、事業所が提供するものにズレが生じています。
賃金改善は採用には効果的ですが、実際に職員の定着に対して効果の実感が強いのは「有給休暇の取りやすさ」や「職場の人間関係」です。
いくら給料が上がっても、休みが取れず人間関係が悪いという根本的なストレスが解消されない限り、現場の不満は解消されにくいでしょう。
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雇用管理改善策の実施状況と効果(定着)の関係(D.I.)をみると、「本人の希望等を聞く仕組み」や「有給休暇等の取得促進」、「職場のコミュニケーションの円滑化」において定着への効果の実感が強い。
給料が上がった実感がないのは、人手不足による業務過多と、採用難による欠員常態化が原因です。また、現場が本当に求めている休息(有給)や人間関係の改善が追いついていないことも、満足度を下げている要因です。
疑問を解消:データで見る「介護現場のリアル」FAQ
「もしかして私だけ?」「このままでいいの?」
現場でふと感じる不安や疑問に、最新のデータをもとにお答えします。
- Q実際のところ、みんな給料はいくら貰っているのですか?
- A最新の調査では、月給者の平均所定内賃金は248,884円です。これは前年度より7,568円増加しており、統計上は5年連続で増加傾向にあります。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター
令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
平均賃金(月給の者は所定内賃金)は、月給の者が 248,884 円(前年度比 7,568 円増、増減率 3.1%)となっている。
- Q人手不足で忙しいのは、うちの職場だけでしょうか?
- Aいいえ、事業所全体の65.2%が「人材が不足している」と回答しています。この数値は2年連続で増加し、過去最高水準にあるため、多くの現場で余裕がない状況が推察されます。
出典元の要点(要約)
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令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
過不足感では、「不足感」は 65.2%となり、前年度(63.0%)より 2.2 ポイント増加した。不足感は 2 年連続で増加し、過去最高水準にある。
- Q良い職場を見分けるポイントはありますか?
- A統計上、職員の定着に効果の実感が強いとされているのは、賃金以上に「有給休暇の取りやすさ」や「職場の人間関係の良さ」です。これらが整備されている職場は、長く働きやすい環境である可能性が高いと言えます。
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令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
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雇用管理改善策の実施状況と効果(定着)の関係(D.I.)をみると、「本人の希望等を聞く仕組み」や「有給休暇等の取得促進」、「職場のコミュニケーションの円滑化」において定着への効果の実感が強い。
現場で感じる悩みは、個人の問題ではなく業界全体の傾向であることがデータからも読み取れます。感情だけで判断せず、客観的な数値を知ることで、現状を冷静に整理するための材料にしてください。
まとめ:自分を守るために「給与」と「休み」の両輪を見る
「給料が上がった」というニュースと、現場の苦しい実感。 このギャップに苦しむのは、あなた個人のせいではありません。
統計が示す通り、業界全体で「人手不足による負担増」が深刻な水準にあることが示唆されているからです。
だからこそ、給与明細の額面だけでなく、「有給休暇は取れているか」「人間関係ですり減っていないか」という視点を持ってください。
それが、長く健康に働き続けるための、有効な防衛策の一つです。 無理にやりがいだけでカバーせず、データという客観的な物差しで、今の環境を見つめ直してみてください。
最後までご覧いただきありがとうございます。 この記事がお役に立てれば幸いです。
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更新履歴
- 2026年1月10日:新規投稿


