夜勤の巡回中、異変に気づいた時の心臓が早鐘を打つような恐怖。
マニュアルには「医師へ連絡」とあっても、現実は電話が繋がらず、たった一人で命に関わる判断を迫られるのが現場の実情だと考えられます。
理想通り動けなくても自分を責めないでください。
今回は「自分の身と利用者を守る」ために、最低限押さえたい現実的な判断ポイントをお伝えします。
この記事を読むと分かること
- 迷うのは能力不足ではないと分かる
- 数値以外の「見るべき点」が分かる
- 医師不在時の身の守り方が分かる
- 救急隊への情報の渡し方が分かる
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
急変対応で「判断に迷う」のは、あなたのせいとは限りません

「プロなんだから、もっとテキパキ判断しなきゃ」
そう自分を責めていませんか?
夜間のワンオペ、繋がらないオンコール、責任の重圧。
「何かあったら自分の責任」という空気の中で、たった一人で命を預かる怖さは計り知れません。
しかし、あなたが迷うのは能力不足とは限りません。
今の介護現場には、「迷って当たり前」の理由があると考えられます。
【事実】訪問看護師ですら「4割」が判断に迷っています
医療知識があっても判断に迷うことがあると考えられます。
実は、医療の専門家である訪問看護師の約4割が、救急車を呼べきか判断に迷った経験を持っています。
判断に迷う背景は一つではないと考えられます。
また、医療以外の要因も影響する可能性があると考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省自宅や介護保険施設等における急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
訪問看護ステーションの41.0%が、利用者宅での急変時に救急車を要請するかどうかの判断に迷ったことがあると回答した。
【現実】夜間・休日は「医師不在」が9割以上という構造
「迷ったら医師に相談」が原則ですが、現場の実態はそう単純ではありません。
特に特養や特定施設では、夜間・休日に医師が不在である割合が9割を超えています。
つまり、夜間・休日に「医療の専門家がいない」割合が高いのが現実なのです。
医師が不在の中で現場の介護職が判断を迫られる状況があると言えます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省自宅や介護保険施設等における急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
特定施設入居者生活介護事業所や介護老人福祉施設(特養)において、夜間・休日(土日祝日)に医師が不在である割合は90%を超えている。
【核心】数値が正常でも「なんとなくおかしい」は正しい可能性がある
「バイタルは正常だから大丈夫」と自分に言い聞かせたことはありませんか?
しかし、データは「バイタルサインと全身状態は必ずしも一致しない」ことを示しています。
数値に異常がなくても、あなたが現場で感じた「いつもと違う」「なんとなくおかしい」という違和感。
それこそが、実は判断に苦慮する要因になるケースもあります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省自宅や介護保険施設等における急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
バイタルサイン等の客観的指標と全身状態が一致しない場合(バイタルサインは正常範囲内だが、ぐったりしている等)、判断に苦慮することがある。
判断に迷う背景には、医療職不在や判断材料の複雑さという「構造的な問題」があると考えられます。この現実を前提に「迷ったら即相談・記録」へ意識を切り替えましょう。
現場で起きがちな3つの「困った」パターン

「マニュアルにはこう書いてあるけど、実際の場面では通用しない…」
そんなジレンマに直面したことはありませんか?
教科書通りの対応ができないのは、あなたの現場だけではありません。
ここでは、多くの介護士が頭を抱える「よくある3つのケース」を見ていきましょう。
ケース1:バイタルは正常だが、なんとなく様子がおかしい
夜間の巡回中、利用者の顔色が優れないことに気づきました。
しかし、熱や血圧を測っても数値はすべて正常範囲内です。
「数値に異常がないのに医師を起こしていいのか?」
「『様子を見て』と言われて終わるだけではないか?」
そう迷っている間に時間が過ぎてしまうケースです。
実は、この迷いはデータでも示されています。
調査によると、「バイタルサイン等の客観日指標と全身状態が一致しない場合」に、多くの現場で判断に苦慮していることが報告されています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省自宅や介護保険施設等における急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
バイタルサイン等の客観日指標と全身状態が一致しない場合(バイタルサインは正常範囲内だが、ぐったりしている等)、判断に苦慮することがある。
ケース2:夜間、医師とも看護師とも連絡がつかない
利用者が転倒し、痛みを訴えています。
マニュアル通りにオンコールへ電話をかけますが、何度鳴らしても繋がりません。
「骨折しているかもしれない」「頭を打っているかもしれない」
刻一刻と状況が変わる中で、医療知識のない自分一人で救急要請を決断しなければならない恐怖。
特養や特定施設では、夜間・休日のオンコール体制をとっていても、実際には「電話が繋がらない」ことや「電話指示のみで具体的な処置ができない」場合に、救急搬送の判断に迷うことがあるとされています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省自宅や介護保険施設等における急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
夜間・休日の対応において、オンコール体制をとっていても電話がつながらない場合や、電話指示のみで具体的な処置ができない場合に、救急搬送の判断に迷うことがある。
ケース3:「看取り」のはずが、家族が「救急車を呼んで!」
「最期は施設で穏やかに」と看取りの同意書(DNAR)も交わしていました。
しかし、いざ状態が悪化し、呼吸が苦しそうになると、駆けつけた家族がパニックに陥ります。
「やっぱり助けて!救急車を呼んで!」
事前の約束と目の前の家族の訴えの間で、板挟みになってしまうケースです。
調査でも、「家族の意向と医療的な判断の乖離」や「家族の意向が揺れ動く」ことが、対応に苦慮することがある要因として挙げられています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省自宅や介護保険施設等における急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
家族の意向と医療的な判断(救急搬送の必要性など)が乖離する場合や、家族の意向が揺れ動く場合に、対応に苦慮することがある。
これらの事例は、個人のスキル不足ではなく「数値と状態の乖離」「医師不在」「家族心理の揺れ」という、現場特有の難しさが要因だと考えられます。「マニュアル通りにいかないのが当たり前」という前提で、備える必要があります。
なぜ、これほどまでに現場は「判断」に追い詰められるのか

「もっと早く気づけなかったのか」「なぜすぐに連絡しなかったのか」
事後にそう指摘するのは簡単です。
しかし、現場でリアルタイムに動いている介護士にとって、状況はそう単純ではありません。
人員配置の限界と、のしかかる責任の重さ。
ここでは、現場を追い詰める「3つの構造的な原因」を解説します。
原因1:夜間・休日は「医療の空白時間」になりやすい
特養や特定施設において、夜間や休日に医師が施設にいることは稀だと考えられます。
理想は「常に医師の指示を仰ぐ」ことですが、現現実にはそうはいきません。
調査データによると、特養や特定施設の90%以上で、夜間・休日は医師が不在です。
つまり、夜間・休日に、医療の専門家が物理的にいないという環境が「当たり前」になっているのです。
電話さえ繋がらないこともある中で、医療知識を持たない介護職が第一発見者となり、初期判断を迫られる。
この構造こそが、判断に迷う背景の一つだと考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省自宅や介護保険施設等における急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
特定施設入居者生活介護事業所や介護老人福祉施設(特養)において、夜間・休日(土日祝日)に医師が不在である割合は90%を超えている。
原因2:判断材料が「曖昧」で、プロでも迷う
「マニュアル通りに対応すればいい」といいますが、現場ではマニュアルに当てはまらないケースが多発することがあります。
数値は正常だが様子がおかしい、といったグレーゾーンの判断は非常に困難です。
実際、医療のプロである訪問看護師でさえ、約4割が救急要請の判断に迷った経験があると回答しています。
また、バイタルサインと全身状態が一致しないケースで、判断に苦慮することがあるとされています。
看護師ですら迷うことを、介護職が一人で即断即決することには、土台無理があると言えるでしょう。
出典元の要点(要約)
厚生労働省自宅や介護保険施設等における急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
訪問看護ステーションの41.0%が、利用者宅での急変時に救急車を要請するかどうかの判断に迷ったことがあると回答した。
厚生労働省
自宅や介護保険施設等における急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
バイタルサイン等の客観的指標と全身状態が一致しない場合(バイタルサインは正常範囲内だが、ぐったりしている等)、判断に苦慮することがある。
原因3:本人の意思決定(ACP)が現場で揺らぐ
「看取り」の方針が決まっていても、現場ではそれが覆ることがあります。
いざ利用者が苦しみ出すと、家族が動揺し、「やっぱり病院へ連れて行って」と希望が変わることもあると考えられます。
調査でも、「家族の意向と医療的な判断の乖離」や「家族の意向が揺れ動く」ことが、対応を難しくしている要因として挙げられています。
書面上の契約と、目の前の家族の感情。
この板挟みの中で、介護士は「正解のない選択」を強いられることになるのです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省自宅や介護保険施設等における急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
家族の意向と医療的な判断(救急搬送の必要性など)が乖離する場合や、家族の意向が揺れ動く場合に、対応に苦慮することがある。
現場の苦悩は「能力不足」ではなく、「医師不在の構造」「判断基準の曖昧さ」「家族心理の揺らぎ」という環境要因によって引き起こされていると考えられます。これらは個人の努力だけで解決できない場合があります。
現場で迷いやすい「3つの疑問」にお答えします
とっさの判断が求められる場面では、誰もが「これで正解だったのか」と不安になるものです。
ここでは、多くの現場職員が抱える疑問に対し、客観的なデータをもとに回答します。
- QQ. 結局、判断に迷ったらどうすればいいですか?
- Aご自身を責める必要はありません。まずは落ち着いて、速やかに管理者やオンコール担当へ連絡・相談してください。 医療の専門職である訪問看護師でさえ、約4割が判断に迷った経験があるというデータがあります。 「迷うこと」は訪問看護師でも経験することがあります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
自宅や介護保険施設等における要介護高齢者の急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
訪問看護ステーションの41.0%が、利用者宅での急変時に救急車を要請するかどうかの判断に迷ったことがあると回答した。
- QQ. 救急隊が到着した時、何を伝えればいいですか?
- A重要なのは、「利用者の基本情報」と「経過(申し送り)」です。 消防本部と介護施設の間で取り決めを行う際、約97%のケースで「救急隊への情報提供内容」が盛り込まれています。 すべてを完璧に話そうとせず、事前に準備したシートや記録をもとに、分かる範囲の事実を伝えましょう。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
自宅や介護保険施設等における要介護高齢者の急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
消防本部との取り決めがある場合、その内容は「救急隊への利用者情報の提供内容」が96.9%と最も多い。
- QQ. 家族が「やっぱり救急車を呼んで」と言い出したら?
- Aご家族の意向が変わることは、決して珍しくないと考えられます。 調査でも、現場の困りごととして「家族の意向と医療的な判断の乖離」や「家族の意向の揺れ動き」が挙げられています。 現場だけで説得しようとせず、「意向が変わった」という事実を医師や管理者に報告し、新たな指示を仰いでください。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
自宅や介護保険施設等における要介護高齢者の急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001103268.pdf
家族の意向と医療的な判断(救急搬送の必要性など)が乖離する場合や、家族の意向が揺れ動く場合に、対応に苦慮することがある。
現場で感じる疑問や迷いは、あなた個人の問題ではなく、多くの介護士や看護師が共通して抱えている悩みです。データを知ることで、「迷ってもいい」「一人ではない」と心を少し楽に持いただければと思います。
まとめ:一人で抱え込まず、まずは「相談」から始めましょう
ここまで、急変時対応における現場の迷いや、その背景にある構造的な課題について解説してきました。
夜間の急変対応は、誰にとっても怖くて難しいものです。
それはあなたの経験不足のせいではなく、医療職の不在や判断基準の複雑さによるものです。どうか「完璧な判断をしなければ」と、一人で責任を背負い込まないでください。
現場で最も大切なことは、正解を出すことではなく、「迷っているという事実」をチームや医療職と共有することです。明日からの現場では、以下の1点だけを意識してみてください。
「迷ったらすぐに記録に残し、誰かに連絡する」それだけで、あなた自身を守り、ひいては利用者を守ることにと考えられます。
最後までご覧いただきありがとうございます。
この記事がお役に立てれば幸いです。
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更新履歴
- 2026年2月26日:新規投稿







