認知症の方に声をかけると拒否されるのはなぜ?NG例と伝え方の見直し

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認知症の方と目線を合わせ、言葉や反応を確かめながら声かけを見直す介護職員のイラスト。

入浴の声をかけても断られ、後に控える方の予定が気になってくる。最初は丁寧に話していたのに、やり取りの後半では「いいかげんにして。はよいくよ」と口調が変わる。そんな場面で、どこから言い方を見直せばよかったのか迷うことがあります。

食事が進まないときにも、早く食べてほしいという焦りはあります。ただ、心の中で思うことと、実際に相手へ伝えた言葉は分けて振り返りたいところです。「丁寧に言ったつもり」だけでは、やり取りの途中の変化を見落としてしまいます。

この記事では、拒否の直前に何をどう伝え、本人がどう反応したかを確認します。言葉を全部覚え直すのではなく、伝える量や待ち方など、次に見直す点を選んでいきましょう。拒否を必ずなくす方法ではなく、自分の声かけを具体的に振り返るための整理です。

この記事を読むと分かること

  • 声かけ前の確認点
  • NG例と言い換え方
  • 伝える量と待ち方
  • 拒否直前の振り返り方

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 丁寧に言っても拒まれる
  • 途中から口調が強くなる
  • 説明を重ねてしまう
  • 何を直すか分からない

認知症の方への声かけは、言葉と伝え方を一緒に見直す

言葉、伝え方、本人の反応を並べ、声かけを一緒に振り返る確認点を示した図。

拒否には、伝える量や否定的な言葉が関わることがあります。本人の状態も踏まえ、声かけの直前に何をどう伝え、どう反応したかを見直します。

出典・根拠を確認

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

指示を一つずつゆっくり出せば理解できるが,多くの指示や次々と場面が変わる環境に戸惑い,混乱することも少なくない.そのため,緊急時以外はいつもより指示を出すペースをゆっくりにする.患者の表情が曇っていないか注意深く観察しながら,処置を行う必要がある.

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

コミュニケーションをとる上で,注意する言葉が3つある.それは,「命令する言葉」,「子ども扱いする言葉」,「相手を否定する言葉(スピーチロック)」である.この3つの言葉は,相手の自尊心を傷つけることになる.特に,相手を否定する言葉は,私たちは一瞬一瞬で使用しているつもりでも,認知症患者が何度も同じ行動をとる場合は毎回否定されることになり,気分の落ち込みや易怒性などに繋がることがある.そのため,安心できる言葉がけや言い換えを使用する.

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が急いで意思決定を行うことがないよう支援の時期についても配慮し、本人が集中できる時間帯を選ぶことや、疲れている時を避けることなどにも注意が必要である。本人には意思決定をしない自由もあるので、意思決定を強制することにならないように注意すべきである。

現場では、次の予定が控えているほど、目の前の拒否に焦りを感じることがあります。ここでは、声かけ前の位置と、伝えた後の反応という二つの確認点を整理します。

入浴の案内が進まないと、後の順番まで頭に浮かびます。丁寧に伝え始めても、途中から「早く」という思いが言葉に混じると、最初の一言だけを思い返しても十分ではありません。まず振り返るのは、拒否が出る直前のやり取りです。言葉を重ねる前に本人の反応を見ていたか、という一点から確認できます。

声をかける前に、本人の視野と反応を確かめる

座っている認知症の方の視野に入り、目線の高さを合わせて向き合う介護職員のイラスト。

「何と言えばよいか」を考えていると、どこから声をかけたかまで意識を戻すのは難しいものです。丁寧な語尾だったかを確かめるときには、本人の視野に入って話していたかも一緒に思い返してみましょう。

注意が別のところに向いている方には、視野に入ってから視線を合わせることが基本です。座っている方に立ったまま話す場合は、本人がこちらを見るために上を向く必要があります。座って話すなど、目線の高さを考えます。

そのうえで、当時の距離、表情、声の調子も振り返る項目にできます。「何センチ離れればよい」と決めるのではなく、自分がどこからどう伝え、そのとき本人がこちらを見ていたかを確かめる整理です。

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症患者に注意障害のある場合は,他に注意が向いて視線が合いにくい場合があり,視野に入ってからアイコンタクトをとる必要がある.円背の患者や座ってる患者に対して医療者・介護者が立っている場合は,視線を上に向ける必要があり,視野に入りにくいため,座って話をするとアイコンタクトがとりやすくなる.

トイレ誘導の一言目にも迷うとき

言葉を足す前に、本人の返答・表情・動作を見る

返事を待つ間にも、次の入浴予定が気になって説明を足したくなることがあります。「まだ伝わっていないのか」と迷ったときほど、言った内容だけでなく、伝えた後に何を見ていたかを振り返ります。

自分が伝えたいことを優先するより、本人の反応を一呼吸待ち、何をしたいのかを読み取ることが大切です。返答だけでなく、表情や動作にも目を向けます。すぐに次の説明を始めていたなら、まずそこが見直す点になります。

また、理解したような反応があっても、実際には理解できていない場合があります。うなずいた、静かになったという様子だけで、納得や同意まで決めつけず、本人の様子を確かめながら関わります。

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症が重度になるほど,表情や身振りを使い,非言語メッセージを使うことが効果的である.そして,医療者・介護者が伝えたいことを優先してコミュニケーションをとるよりも,本人の反応を一呼吸待ち,本人が何を行いたいか,本人の意思を読み取ることが大切である.

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が理解しているという反応をしていても、実際は理解できていない場合もあるため、本人の様子を見ながらよく確認することが必要である。

レクへの参加を断られたときの確認
  • 返答や表情を見ていても、レクリエーションへ誘い続けるか、その日は参加を求めないかで迷う場面があります。活動への参加という具体的な場面で、本人の意思や好みの確かめ方を整理したい方へ。
  • 詳しくは、認知症でレク拒否される理由|現場で迷わない関わり方で確認できます。

声かけは、使った言葉と本人の反応を一緒に振り返ります。まずは視野に入っていたか、伝えた後に反応を待っていたかを確認しましょう。丁寧な語尾や、介助に応じたという結果だけでは判断しないことが大切です。


拒否された声かけのNG例と、伝え方の見直し

急かす、説明を詰め込む、反応を決めつけるという声かけの確認点をまとめた図。

現場では、拒否されるたびに言い方を変えているのに、何が違ったのか分からなくなることがあります。次の予定も気になるなかで、立ち止まって考える余裕がないと感じる場面です。

最初の声かけは丁寧だったのに、やり取りを重ねるうちに急かす言葉が出てしまう。食事が進まない別の場面では、「早く食べてほしい」という思いが先に立つこともあります。こうした焦りを振り返るときは、心の中で思ったことと実際の発言を分けると、どの言葉を見直すのかが具体的になります。以下では、言い換えの例と、説明を短くする例を示します。

拒否が続き「いいかげんにして」と急かしてしまう

最初は丁寧に案内していても、拒否が続くと「いいかげんにして。はよいくよ」と言葉が変わることがあります。後の入浴予定が詰まっていると、もう一度説明するのか、さらに強く促すのかと迷います。見直したいのは、相手を責める言葉や、急いで決断を求める言葉へ変わったところです。

項目内容
状況:案内を断られ、やり取りの後半で口調が強くなります。
困りごと:先へ進めたい気持ちが強く、本人の反応を待ちにくくなります。
よくある誤解:強く言うか、語尾だけ丁寧にすればよいと考えてしまいます。
押さえるべき視点:命令・否定を避け、決断を迫って本人を焦らせないことです。

たとえば「いいかげんにして」と責める言葉を外し、「今、どうしたいですか」と希望を確認する形へ見直す方法があります。これは返答を得るための例であり、次の行動を約束させる言葉ではありません。問いを足した後も、続けて返事を催促していなかったかを確認します。

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

コミュニケーションをとる上で,注意する言葉が3つある.それは,「命令する言葉」,「子ども扱いする言葉」,「相手を否定する言葉(スピーチロック)」である.この3つの言葉は,相手の自尊心を傷つけることになる.特に,相手を否定する言葉は,私たちは一瞬一瞬で使用しているつもりでも,認知症患者が何度も同じ行動をとる場合は毎回否定されることになり,気分の落ち込みや易怒性などに繋がることがある.そのため,安心できる言葉がけや言い換えを使用する.

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認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

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本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要であり、決断を迫るあまり、本人を焦らせるようなことは避けなければならない。

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認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が何を望むかを、開かれた質問で聞くことが重要である。(脚注x)

強い言葉の後に自分を責めてしまう

更衣の説明で、いくつもの動作を一度に伝える

更衣の説明を緊急時以外は一つずつゆっくり伝え、本人の表情を確かめる視点を示した図。

拒否されたあと、「説明が足りなかったのか」と、さらに言葉を増やしたくなる場面があります。更衣なら、何をするかを一度に全部伝えるのか、動作ごとに伝えるのかが見直す点です。以下は、一度に伝える内容を絞る例です。

項目内容
状況:更衣の案内で、複数の動作をまとめて伝えます。
困りごと:どこまで伝わったか分からないまま、次の指示を足してしまいます。
よくある誤解:先の動作まで詳しく説明すれば、本人も分かるはずと考えます。
押さえるべき視点:一つずつゆっくり伝え、表情を確かめることです。
一度に詰め込んだ例最初に伝える内容を絞った例
「上着を脱いで、こちらに腕を通して、ボタンを留めてください」「上着を脱ぎますか」と一つの動作について伝え、反応を確かめます。

緊急時以外は、次の指示を出すペースをゆっくりにします。言葉を分けた後も、本人の表情が曇っていないかを見ながら、次を伝えるか考えましょう。

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

指示を一つずつゆっくり出せば理解できるが,多くの指示や次々と場面が変わる環境に戸惑い,混乱することも少なくない.そのため,緊急時以外はいつもより指示を出すペースをゆっくりにする.患者の表情が曇っていないか注意深く観察しながら,処置を行う必要がある.

説明を重ねても、何をするのか伝わらない

食事を案内しても拒まれると、時間であることを繰り返し説明したくなる場面があります。早く進めたい気持ちがある一方で、何を追加すればよいか分からず迷います。言葉を増やす前に、伝えたい物や動作を見てもらえる形にできないかを考えます。

項目内容
状況:言葉で案内を続けても、伝わったか確かめられません。
困りごと:同じ説明を繰り返すだけになります。
よくある誤解:説明する言葉を増やせば、必ず理解してもらえると考えます。
押さえるべき視点:実物や身振りで、言葉以外の情報も使うことです。

たとえば、お茶の案内では、言葉に加えて本人にコップを見てもらうという示し方が考えられます。何を示したかだけで終わらせず、その後の表情や動作も確認します。実物を見せることも、本人の反応を読み取るための補助として使います。

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

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言葉だけでは理解できない場合もあるため,物を見せるなどの視覚的情報を活用すると,認知症患者が理解しやすくなる.

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症が重度になるほど,表情や身振りを使い,非言語メッセージを使うことが効果的である.そして,医療者・介護者が伝えたいことを優先してコミュニケーションをとるよりも,本人の反応を一呼吸待ち,本人が何を行いたいか,本人の意思を読み取ることが大切である.

帰りたいという訴えに説明を重ねるとき

相手が静かになったので、納得したと思ってしまう

拒否の声が止まると、これで伝わったのかと感じることがあります。ただ、そこで本人が何を理解し、どう思っていたのかまで分かるとは限りません。声かけを振り返る際は、目に見えた反応と、その理由についての推測を分けてみます。

項目内容
状況:声かけの後に、本人が静かになります。
困りごと:本人が納得したのか判断に迷います。
よくある誤解:反対しなくなったことを、そのまま理解や同意と受け取ります。
押さえるべき視点:理解したように見えても、本人の様子をよく確認することです。

静かになった理由を「安心したから」「怖かったから」と決めつけることも避けます。確認できたのはどんな返答・表情・動作だったのかを振り返り、結果だけで自分の言い方まで肯定しないようにしましょう。

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認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

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本人が理解しているという反応をしていても、実際は理解できていない場合もあるため、本人の様子を見ながらよく確認することが必要である。

本人の希望と安全の間で判断に迷う

急かす言葉、詰め込んだ説明、言葉だけの案内、反応の決めつけを分けて見ると、確認する点が具体的になります。言い換えを使ったかだけで終わらず、その後の本人の返答・表情・動作まで確かめましょう。

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なぜ丁寧に声をかけても伝わらないことがあるのか

伝える量、言葉の調子、理解の確認を並べ、拒否の原因を決めつけずに振り返る図。

丁寧に声をかけたつもりなのに拒否されると、何がいけなかったのかと迷います。ここでは、伝える量、否定的な言葉、理解の確認という視点から、やり取りがかみ合わない背景を整理します。

「分かってもらおう」と説明することと、本人に伝わったかを確かめることは別の作業です。予定が遅れる焦りのなかでは、説明を終えたところで確認も終わった気持ちになりやすいかもしれません。言った内容が正しかったかだけでは、次に何を変えるかが見えにくいものです。拒否直前の言葉と、その後に自分が見ていた反応を一組で思い返します。

一度に伝える量が多いと、戸惑うことがある

遅れを取り戻したいときには、次にしてほしいことまでまとめて伝えたくなります。詳しく説明したつもりなのに応じてもらえないと、さらに補足が必要かと迷う場面です。その前に、一度に伝えた動作がいくつあったかを見直します。

認知症の方は、多くの指示や次々と変わる場面に戸惑い、混乱することがあります。「必要なことを漏れなく説明する」という職員側の考えと、本人がその場で受け取れる伝え方にずれが生じる場合があります。

確認する点見直す方向
一度に伝えた量動作を一つずつ伝えます。
次を伝えるペース緊急時以外はゆっくりにします。
説明中の本人の様子表情が曇っていないかを見ます。

説明の長さだけで評価せず、どの内容を伝えたところで本人の反応が変わったかを確かめることが、次の見直しにつながります。

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

指示を一つずつゆっくり出せば理解できるが,多くの指示や次々と場面が変わる環境に戸惑い,混乱することも少なくない.そのため,緊急時以外はいつもより指示を出すペースをゆっくりにする.患者の表情が曇っていないか注意深く観察しながら,処置を行う必要がある.

否定や命令は、本人の自尊心を傷つける

他の職員の強い言葉の後に、利用者が興奮して殴りかかってきた場面を見たことがあります。ただし、その順序だけで声かけが唯一の原因だったとは言えません。こうしたやり取りを振り返る際も、確認できた発言と反応を分けて捉えます。

マニュアルでは、命令する言葉、子ども扱いする言葉、相手を否定する言葉に注意を促しています。職員には一瞬の注意でも、同じ行動のたびに否定される本人には、繰り返しの否定となることがあります。気分の落ち込みや怒りっぽさにつながる場合もあるとされています。

後の予定を進めたいという事情があっても、本人を傷つける言葉を容認する理由にはなりません。最初の丁寧な一言だけでなく、やり取りの後半に命令や否定が増えていなかったかを確認します。身の危険がある場面では、声かけの工夫を試し続けることより安全確保を優先してください。

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

コミュニケーションをとる上で,注意する言葉が3つある.それは,「命令する言葉」,「子ども扱いする言葉」,「相手を否定する言葉(スピーチロック)」である.この3つの言葉は,相手の自尊心を傷つけることになる.特に,相手を否定する言葉は,私たちは一瞬一瞬で使用しているつもりでも,認知症患者が何度も同じ行動をとる場合は毎回否定されることになり,気分の落ち込みや易怒性などに繋がることがある.そのため,安心できる言葉がけや言い換えを使用する.

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症患者との関りにおける前提として,他の患者と同じ「人」として接することである.認知症患者がいる目の前で本人が傷つく話をする,無視する,怒鳴るなど,「人」として傷つく行為は行わないようにする.

説明したことと、本人が理解したことは同じではない

説明を終えたことと本人が理解したことを分け、様子を確かめる必要性を示した図。

詳しく説明しているのに断られると、もう何を話せばよいか分からなくなります。「ここまで伝えたのだから」と思うときほど、本人がどのように受け取っていたかが確認点になります。

意思決定支援ガイドラインでは、本人が理解しているように反応しても、実際は理解できていない場合があるため、様子をよく確認する必要があるとしています。職員が説明し終えたことだけでは、その確認を終えたことにはなりません。

また、本人が集中できる時間帯を選ぶことや、疲れている時を避けることも示されています。拒否されたからといって、原因をすべて職員の言い方に結びつけず、本人を急かしていないか、疲れている時ではないかも確認します。

本人には意思決定をしない自由もあります。声かけを工夫した後も、返答や決断を無理に引き出すことを目的にしないようにしましょう。

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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が理解しているという反応をしていても、実際は理解できていない場合もあるため、本人の様子を見ながらよく確認することが必要である。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が急いで意思決定を行うことがないよう支援の時期についても配慮し、本人が集中できる時間帯を選ぶことや、疲れている時を避けることなどにも注意が必要である。本人には意思決定をしない自由もあるので、意思決定を強制することにならないように注意すべきである。

食事が進まない場面も振り返りたい

伝えた量や言葉の調子に加え、本人が理解を示せる状況だったかを確認します。拒否の原因を一つに決めず、説明した事実と本人の反応を分けて振り返ることが、声かけを見直す出発点になります。

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認知症の方への声かけで迷ったときのQ&A

現場では、視線を合わせることや待つことが大切だと分かっていても、次の予定が気になって迷います。次の声かけで確認したい、小さな疑問を整理します。

Q
丁寧な言葉でも拒否されるとき、まず何を確認しますか?
A

本人の視野に入っていたか、伝えた後に反応を待ったかを確認します。言い方ばかり考えてしまうときも、本人が何をしたいのかを、返答や表情・動作から読み取ろうとすることが大切です。

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症患者に注意障害のある場合は,他に注意が向いて視線が合いにくい場合があり,視野に入ってからアイコンタクトをとる必要がある.円背の患者や座ってる患者に対して医療者・介護者が立っている場合は,視線を上に向ける必要があり,視野に入りにくいため,座って話をするとアイコンタクトがとりやすくなる.

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症が重度になるほど,表情や身振りを使い,非言語メッセージを使うことが効果的である.そして,医療者・介護者が伝えたいことを優先してコミュニケーションをとるよりも,本人の反応を一呼吸待ち,本人が何を行いたいか,本人の意思を読み取ることが大切である.

Q
黙ったりうなずいたりしたら、同意したと考えてよいですか?
A

その反応だけで決めつけず、本人の様子を確かめます。理解したように反応していても、実際は理解できていない場合があります。先へ進めたい場面でも、見えた反応と自分の推測を分けて考えましょう。

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厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が理解しているという反応をしていても、実際は理解できていない場合もあるため、本人の様子を見ながらよく確認することが必要である。

Q
声をかけた後は、何秒待てばよいですか?
A

ここで一律の秒数は示せません。本人の反応を一呼吸待ち、表情などを見ながらペースを考えます。すぐに次の指示を足したくなるときも、緊急時以外はゆっくり、一つずつ伝えることを確認してください。

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症が重度になるほど,表情や身振りを使い,非言語メッセージを使うことが効果的である.そして,医療者・介護者が伝えたいことを優先してコミュニケーションをとるよりも,本人の反応を一呼吸待ち,本人が何を行いたいか,本人の意思を読み取ることが大切である.

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

指示を一つずつゆっくり出せば理解できるが,多くの指示や次々と場面が変わる環境に戸惑い,混乱することも少なくない.そのため,緊急時以外はいつもより指示を出すペースをゆっくりにする.患者の表情が曇っていないか注意深く観察しながら,処置を行う必要がある.

丁寧な語尾、うなずき、待った秒数の一つだけで声かけを評価しないことが大切です。次の説明を始める前に、本人がどんな反応をしていたかを確かめましょう。


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次の声かけでは、本人の反応を確かめることから

後の入浴予定や食事の進み具合が気になると、「待つだけでよいのか」と迷うことがあります。全部の声かけを一度に変えようとすると、何から始めればよいか分からなくなるかもしれません。

まずは次の声かけで、短く伝えた後に、本人の返答・表情・動作を確かめることを一つの行動にしてみましょう。その反応を見てから、説明を足す必要があるかを考えます。

これで必ず拒否がなくなるわけではありません。丁寧な言葉を使ったか、介助に応じたかだけで終わらず、本人にどう伝わっていたかを確かめる一歩です。

最後までご覧いただきありがとうございます。


更新履歴

  • 2025年11月21日:新規投稿
  • 2026年3月23日:内容を全面的にリライト
  • 2026年10月13日:内容を全面的にリライト

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