5cmもの剥離を見つけた瞬間、頭が真っ白になり、自分の過失ばかりが気になって報告書のペンが進まない。そんな苦しい経験はありませんか?
多忙な業務の中で、感情を排して事実だけを記録するのは困難ですが、全てを背負わずにAIを頼ることで、その重圧は減らせる場合があると考えられます。
この記事を読むと分かること
- AIを使った時短報告書の作成術
- 客観的な事実のみを残す技術
- ハルシネーションの検品方法
- 報告書作成の心理的負担軽減
- ガイドライン準拠の記録方法
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
結論:報告書の質は「反省」ではなく「客観性」で決まる

現場では「利用者のために時間を使い、丁寧なケアをしたい」と願う人が多いと考えられます。
しかし現実は、日々の記録や事故対応に追われ、残業で心身を削る毎日ではないでしょうか。
特に事故報告書は、「自分の不注意だったのではないか」という自責の念や、「上司に怒られる」という不安から、つい「反省文」や「言い訳」のような文章になってしまいがちです。
ですが、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
事実と感情を完全に切り離す
事故報告書において最も重要なのは、担当者の「反省の弁」や「主観的な思い込み」ではないと考えられます。
誰が読んでも状況が正確にわかる客観的な事実(5W1H)の記録が重要だと考えられます。
ガイドラインでも、事故の状況、原因、対応などを客観的に記載することが求められています。
個人の責任を追及するのではなく、事実を積み上げて再発防止につなげることが本来の目的だからです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省 老健局介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
施設・事業所においては、事故が発生した場合には、その状況、原因、対応等を記録することとされています。
AIは「感情」を持たないとされる書記
人間である以上、大きな事故を目の前にして動揺し、主観が入ってしまうのは避けられません。
そこで役立つとされるのが、感情を持たないAIの活用です。
生成AI(大規模言語モデル)は、入力された言葉の確率的なつながりを計算して文章を作ります。
そこに「申し訳ない」という感情や「隠したい」という意図は存在しないとされます。
AIに事実のメモだけを渡せば、私情を挟まない記録を作成する助けになると考えられます。
出典元の要点(要約)
独立行政法人 情報処理推進機構テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン
大規模言語モデル(LLM)は、膨大なテキストデータを学習し、入力されたテキストに対して、確率的に最も確からしい次に来る単語(トークン)を予測してつなげることで、人間が書いたような文章を生成する仕組みです。
ただし「AIの嘘」には人間が責任を持つ
AIは優秀な書記ですが、事実と異なる内容をもっともらしく出力するハルシネーションという現象を起こすことがあります。
そのため、AIが出力した報告書をそのまま提出することは避けたほうがよいでしょう。
最終的には必ず人間の目で見て、「事実に間違いがないか」を確認する検品作業が不可欠です。
この最終チェック(検品)は、人間が担う必要があると考えられます。
出典元の要点(要約)
独立行政法人 情報処理推進機構テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン
生成 AI は、事実とは異なる内容をもっともらしく回答する「ハルシネーション(幻覚)」を起こすことがあります。
事故報告書の目的は個人の反省ではなく、再発防止のための事実記録です。動揺しやすい人間のかわりに、感情を持たないAIに下書きを任せることで、客観性の担保に資するとよいでしょう。ただし、AIの出力を確認する最終確認は人間の役割だと考えられます。
よくある事例:夜勤明け「反省文」が招くリスク
夜勤中、おむつ交換や移乗の最中に「ビリッ」という音が聞こえ、利用者の腕から出血しているのを見た瞬間、心臓が止まりそうになります。
「やってしまった」「家族になんて説明しよう」「また始末書だ」
そんな恐怖心から、報告書にとりあえず「私の不注意で」「強く掴んでしまい」と書いて、その場を収めようとしたことはありませんか?
現場ではよくある光景と考えられますが、実はその「とりあえずの反省」が、あなたと施設を追い詰める原因になり得ると考えられます。
状況:5cmの表皮剥離と「思い込み」
ある特養での一例です。
夜間、職員が利用者A様の移乗介助を行った際、前腕に5cm×3cmの表皮剥離が発生しました。
職員は動転し、以下のような報告書を作成しました。
- 発生状況:移乗の際、私の不注意によりA様の腕を強く把持してしまい、皮膚を剥離させてしまった。
- 原因:自身の確認不足と乱ボウな介助。
- 対策:今後は優しく丁寧に介助するよう心がける。
一見、誠実な報告に見えると考えられます。
しかし、これでは「防ぐことが難しい事故」だった可能性が無視され、職員個人の過失として確定してしまう可能性があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省 老健局介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
事故が発生した場合は、その事故が、事業者として対策を講じるべき事故なのか、対策を講じても防ぐことが難しい事故なのかを区分する必要があります。
誤解:「怪我=職員のミス」ではない
介護現場には「利用者を傷つけたら全て職員の責任」という風潮がありますが、本記事では誤りと捉えます。
ガイドラインでは、事故を以下の2つに明確に区別しています。
- 対策を取り得る事故(過失):見守り不足や手順違反など、防ぐことができた事故。
- 防ぐことが難しい事故:利用者の身体機能の低下などにより、予測や回避が困難な事故。
本来は「防ぎ難い事故」であるにもかかわらず、安易に「私のミスです」と書くことは、事実と異なる責任を負う可能性があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省 老健局介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
過失責任が問われるのは、「予見可能性(事故発生を予測できたか)」と「結果回避義務(結果を回避するための対策をとったか)」の2つが満たされる場合です。
視点:必要なのは「反省」より「事実の証明」
高齢者の皮膚は非常に薄く、通常のケアの手順を守っていても剥離(スキンティア)が起きることがあります。
この場合、報告書に必要なのは「申し訳ありません」という謝罪ではありません。
- 通常の手順通りに介助していたこと
- 予測(予見)が困難であったこと
- 結果を回避するための対策をとったこと
これらを客観的に記録し、事業者(職員)側の過失ではないことを明確にしておくことが重要だと考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省 老健局介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
防ぐことが難しい事故が発生した場合は、事業者側の過失ではないことを明確にしておく必要があります。
事故が起きると動揺して自分セめてしまいがちですが、全ての事故が過失ではありません。「不注意」と書く前に、それが「防ぎ難い事故」ではなかったか、客観的な事実に基づいて振り返る必要があります。
【実践】短時間で終わる!事故報告書作成の3ステップ

では、具体的にどうすれば「感情を排した報告書」が作れるのでしょうか。
現場の混乱から事実だけを抽出し、AIを使って安全に文章化する具体的な手順をご紹介します。
STEP1:現場でメモする「7つの事実」
事故発見時、いきなり PC に向かうのは避けたほうがよいでしょう。
記憶が鮮明なうちに、手元のメモ帳に以下の7項目だけを箇条書きしてください。
これらはガイドラインで記録が求められているとされる項目です。
- 日時・場所:正確な発見時間と場所
- 対象者:(※必ず匿名化)A様、80代女性など
- 状況:発見時の体勢(ベッド横で座り込み等)
- 受傷内容:部位、サイズ(5cm×3cm)、出血量、深さ
- バイタル:血圧、脈拍、SpO2、意識レベル
- 対応:直後の処置、Nsコール、家族連絡
- 発言:本人の言葉そのまま(「痛くない」等)
出典元の要点(要約)
厚生労働省 老健局介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
事故の状況(発生日時、場所、状況等)、原因、対応(応急処置、家族への連絡等)等を記録する必要があります。
STEP2:魔法のプロンプト(コピペOK)
メモができたら、以下の指示文(プロンプト)をコピーして、ChatGPTやGeminiなどのAIに貼り付けてください。
このプロンプトは、IPAのガイドラインに基づき、AIの推測を抑制し、客観的な事実のみを出力させるよう調整したものです。
あなたはベテランの介護主任です。 以下の【メモ】を元に、客観的な「事故報告書の発生状況」を作成してください。 制約事項 ・「〜と思われる」「〜のせいだ」という主観や推測は一切書かないこと。 ・「〜を確認した」「〜が見られた」という客観的な記述にすること。 ・個人名は伏せ字(A様など)のままにすること。 ・医学的な診断(〜骨折など)は断定せず「〜の疑い」や観察事実にとどめること。 メモ (ここにSTEP1のメモを貼り付ける)
出典元の要点(要約)
独立行政法人 情報処理推進機構テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン
プロンプトエンジニアリング(指示の出し方の工夫)により、AIに対して前提条件や制約事項を明確に伝えることで、意図した回答を得やすくなります。
STEP3:出力後の「検品」
AIが作成した文章は、そのまま提出しないほうがよいでしょう。
AIは場合によっては、実際には行っていない処置(例:「患部を冷却した」)や、測定していない数値を勝手に追加するハルシネーションを起こすことがあります。
出力された文章を読み、「書いてあることは、本当に自分がやったことか?」を必ず確認してください。
この最終チェック(検品)こそが、人間が担うべき役割です。
出典元の要点(要約)
独立行政法人 情報処理推進機構テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン
生成 AI は、事実とは異なる内容をもっともらしく回答する「ハルシネーション」を起こすことがあります。出力内容の正確性の確認(ファクトチェック)が重要です。
メモを作り、AIに整形させ、最後に人間が事実確認をする。この3ステップを徹底するだけで、時間は短縮され、かつガイドラインに沿った客観的な報告書が完成しやすくなります。
なぜ、私たちは「事実」を書くのがこんなにも怖いのか

「報告書を書く時間があるなら、利用者のそばにいたい」
これが現場の本音ではないでしょうか。
しかし現実は、業務終了後に残ってパソコンに向かい、「なぜ防げなかったのか」と問いただされるような項目を埋める日々。
「書けば書くほど、自分が責められている気がする」
「波風を立てないよう、とりあえず謝ってしまおう」
そんな諦めや防衛本能が、無意識のうちにペンの動きを鈍らせ、事実を歪めてしまうのです。
この「書けない悩み」の正体は、あなたの能力不足ではなく、構造的な理由にあると考えられます。
「個人の責任」にする組織の構造
本来、介護現場のリスクマネジメントとは、個人のミスを追及することではありません。
組織全体で事故を防止する文化を醸成し、高齢者の自立を支援するための前向きな取り組みです。
しかし、現場では依然として「誰がやったのか」という犯人探しが行われがちです。
このギャップが、職員に「事実を書くと不利になる」という恐怖心を植え付け、客観的な記録を阻害する要因の一つとなり得ます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省 老健局介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
介護現場におけるリスクマネジメントは、自立支援を実現するための取組の一つである。リスクマネジメント強化は、組織全体で取り組む文化とすることが重要である。
人間だからこそ「感情」が邪魔をする
私たちは感情を持つ人間です。
目の前で利用者が怪我をしていれば、理屈抜きに「申し訳ない」「痛そう」と感じ、心が動揺します。
その状態で「客観的に書け」と言われても、脳は無意識に自分を守ろうとしたり、過剰に反省したりするバイアスがかかります。
一方、生成AIは膨大なデータを学習し、確率的に言葉をつなぐだけの仕組みです。
そこには罪悪感も忖度も存在しないとされるため、事実だけを淡々と出力することができると考えられます。
出典元の要点(要約)
独立行政法人 情報処理推進機構テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン
生成 AI は、事実とは異なる内容をもっともらしく回答する「ハルシネーション(幻覚)」を起こすことがあります。
「説明責任」という重圧
介護事業者には、事故発生時に利用者や家族に対して説明する責任があります。
しかし、この「説明」を「謝罪」と混同してしまうことで、現場は追い詰められます。
「納得してもらわなければ」というプレッシャーから、事実確認が不十分なまま「こちらのミスです」と書いてしまう。
それが結果として、防ぎ難い事故まで過失として処理される要因になり得ます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省 老健局介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
介護サービス事業者には、「リスクの説明責任」や「事故発生時の説明責任」などが求められます。利用者や家族が理解しやすい形での説明を心がける必要があります。
客観的に書けないのは、個人のせいではなく「組織文化」「人間の感情」「説明の重圧」が原因です。だからこそ、感情を持たないAIをツールとして使い、事実を切り出す作業を分担することが有効なのです。
疑問を解消して、安心してAIを使うためのQ&A
新しい技術を導入するとき、不安になるのは当然のことです。
現場でよく聞かれるとされる疑問について、公的なガイドラインに基づいてお答えします。
- QQ1. プロンプトに利用者さんの実名を入れても大丈夫ですか?
- Aいいえ、実名の入力は避けたほうがよいでしょう。
生成AIに入力した情報は、AIの学習データとして再利用されるリスクがあります。
「A様」「利用者B」のように匿名化(記号化)してから入力することが、ガイドラインで推奨されています。
出典元の要点(要約)
デジタル庁
行政の進化と革新のための生成 AI の調達・利活用に係るガイドライン
機密性2情報などを生成AIサービスに入力する際は、個人情報等を具体的な記述を含まないように加工して入力するなどの措置を講ずる必要があります。
独立行政法人 情報処理推進機構
テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン
入力データが AI モデルの学習に利用される(オプトアウトしていない)場合、機密情報や個人情報の入力は避けるべきです。
- QQ2. AIが作った報告書を、そのまま上司や家族に出してもよいですか?
- Aいいえ、人間が内容を確認(検品)してから提出するとよいでしょう。
AIは事実と異なる内容をもっともらしく作成する「ハルシネーション(嘘)」を起こす可能性があります。
最終的な説明責任は人間にあるため、事実との照合は必須です。
出典元の要点(要約)
独立行政法人 情報処理推進機構
テキスト生成 AIの導入・運用に関するガイドライン
生成 AI は、事実とは異なる内容をもっともらしく回答する「ハルシネーション(幻覚)」を起こすことがあります。出力内容の正確性の確認(ファクトチェック)が重要です。
厚生労働省 老健局
介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
施設・事業所においては、事故が発生した場合には、その状況、原因、対応等を記録することとされています。
- QQ3. 5cmの剥離でも、本当に「防ぎ難い事故」として認められますか?
- Aはい、認められる可能性があると考えられます。
事故が「過失」とされるのは、予見可能性(予測できたか)と結果回避義務(対策をとったか)の両方が認められる場合です。
適切なケアを行っていても、皮膚の脆弱性などで発生した場合は「防ぐことが難しい事故」に区分される可能性があると考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省 老健局
介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
事故が発生した場合は、その事故が、事業者として対策を講じるべき事故なのか、対策を講じても防ぐことが難しい事故なのかを区分する必要があります。
厚生労働省 老健局
介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
過失責任が問われるのは、「予見可能性(事故発生を予測できたか)」と「結果回避義務(結果を回避するための対策をとったか)」の2つが満たされる場合です。
不安な点はあっても、ルールを守ればAIは心強い味方になり得ます。完璧を目指さず、まずは「下書き」の作成から少しずつ活用してみてください。
利用者のために、AIという「相棒」を活用してください
介護の現場は、予期せぬ出来事の連続です。 その中で、完璧な記録をすべて自力で作ろうと無理をする必要はありません。
AIに事実の整理を任せることは、「手抜き」ではないと考えられます。 事務作業の時間を減らし、その分を利用者様へのケアや, あなた自身の休息に充てるための賢い選択だと考えられます。
まずは、手元のメモをAIに入力して「下書き」を作ってみることから始めてみてください。 それだけで、報告書作成の心理的な重荷は軽くなることがあります。
最後までご覧いただきありがとうございます。 この記事がお役に立てれば幸いです。
関連コンテンツ
更新履歴
- 2026年2月9日:新規投稿








