
後輩から「どうすればいいですか?」「次は何をすればいいですか?」と聞かれるたびに、仕事を止めて答えを考える。最初は丁寧に説明できても、同じことが続けば、「また私が決めるのか」と疲れるのは自然なことです。私も具体的に説明する一方、周囲が「あぁ、テーブルでも拭いておいて」と、その場を埋める仕事だけ渡す場面を見てきました。
ただし、質問すること自体が問題なのではありません。分からないことや危険を相談するのは必要です。変えたいのは、自分の状況整理や考えを出さないまま、判断まで相手へ預ける聞き方です。
この記事では、答えを渡し続けることも、「自分で考えて」と突き放すこともしません。状況・目標・選択肢・実行の順に問いを返す、私が現場で試してきた方法を、失敗や迷いも含めて紹介します。
この記事を読むと分かること
- 最初に返す一問
- 問いを細かくする順番
- 丸投げと相談の違い
- 即時指示へ切り替える場面
- 任せ方を戻す方法
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
介護職に「どうすればいいですか?」と聞かれたら、考える順番を返す

結論は、私が現場で使っている一例として、「今どんな状況?」「どうなればよい?」「何ができそう?」「まず何をする?」と順番に聞くことです。GROW(Goal・Reality・Options・Will)は、以下の厚生労働省資料に記載された手順ではありません。この記事では、私が現場で使う独自の整理としてRealityから始め、「状況・目標・選択肢・実行」の順に問いを返します。
私も以前は、聞かれるたびに「次はこれ。理由はこう」と具体的に答えていました。それで動けるようになる人もいれば、次の場面でまた止まる人もいます。人によって違うからこそ、答えを隠すのではなく、考える道筋を一段ずつ見せる必要がありました。
まず「今どんな状況?」で事実を言葉にしてもらう

最初の返しは「あなたならどうする?」ではなく、「今どんな状況?」です。「終わったことは?」「まだ残っていることは?」「利用者さんの様子は?」と、見た事実を話してもらいます。私は、いきなり正解を求める代わりに、考える材料がどこまでそろっているかを確かめるために使っています。
私が具体的な指示を全部言っていた頃は、本人がどこで分からなくなったのかまで見えませんでした。状況を聞くと、「何も分からない」のではなく、残務を整理できない人、優先順位で止まる人など違いが見えます。答えが出なければ「配膳と排泄確認は済んだ?」のように問いを小さくします。厚生労働省の資料も、教え方は相手の能力や知識などに合わせて柔軟に変える必要があるとしています。
出典・根拠を確認
厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
OJTの効果を上げるためには、定期的に職員を評価し、評価結果を伝える仕組みを設けましょう。職員を評価する基準や時期、評価者などについてあらかじめ一定のルールを定め、職員に周知しておきましょう。これは評価を受ける職員の不公平感の回避につながります。当然のことですが、教える相手によって教える内容や教え方を柔軟に変化させる必要があるため、教える側にも一定の教える技術が必要です。そのためOJTの仕組みでは、教える側の職員を対象とした研修会や勉強会など、指導するための技術を身につけさせる仕組みもとても重要です。
「どうなればよい?」で目標を一緒に確かめる
状況が見えたら、次は「このあと、どうなればよい?」と目標を聞きます。「全部終わらせる」では広すぎるため、「昼食前に誰の何を整える?」「利用者さんが安全に過ごせる状態は?」まで具体化します。本人の答えが違えば、ここでケアの目的や勤務内の優先を補います。
私は以前、手順を細かく説明したことで、目的まで伝えたつもりになっていました。しかし、相手が覚えていたのは「言われた作業」だけで、状況が少し変わると次の判断につながりませんでした。そこで私は、先に共有した目標を、選択肢を比べる基準として使っています。厚生労働省の資料でも、教える目標・内容・手順を明らかにし、指導者によるブレを減らす考え方が示されています。
出典・根拠を確認
厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
人材育成の手法の一つとしてOJT(On the Job Training)は非常に重要です。OJTは研修会や勉強会で習得することが難しい実践力を身につけることができます。また、OJTは新人教育の場面でのみ活用される手法ではなく、ベテラン職員、マネジメント層などの人材育成においても幅広く活用できます。指導する立場となる職員に対しても「教える」ことについて教育することはとても大切です。教育担当によって教え方にブレが生じてしまっては、事業所全体で業務の手順やケアの質を一定に保つことが難しくなってしまいます。そこで、教える内容にムラがでない、ブレがないように、OJTの標準的な手順を決めましょう。
- 相手の受け止め方に合わせて問いの大きさや伝え方を見直したい場合は、短時間で学べる講座も比較材料になります。部下育成や日々の声かけを体系的に学びたい方は、スグ使えて役立つ!3タイプで人間関係がうまくいく!伝え方コミュニケーション検定
を情報収集の選択肢として確認できます。
「何ができそう?ほかには?」で選択肢を出してもらう
目標が決まったら、「何ができそう?」「ほかには?」と選択肢を出してもらいます。一つしか出なければ、「先にAをする方法とBをする方法なら、何が違う?」と二択にします。私は、答えを試験するのではなく、本人が比べられる大きさまで問いを下げています。
「あなたならどうする?」とだけ返したとき、黙られて気まずくなり、結局こちらが全部答えたことがありました。あれは考える気がないのではなく、問いが大きすぎた可能性もあります。別の介護現場の体験談でも、介助はできるのに業務の流れがつながらず、一つ終わるたび次の指示を待つ職員に、教える側が疲れていました。現在の強み・弱みを見て関わり方を変える視点が必要です。
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厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
ユニットリーダーはマネジメント業務を実際に体験する事を通して現場で活用できる具体的な学びを得ることができた。ユニットリーダーの書類の提出が早くなった。スケジュール調整について副主任の声掛けを毎回必要としていたが、自分自身で期間内にできるようになってきている。副主任は次世代のリーダー育成の重要性を理解し、チャレンジしていたが、思うようにユニットリーダーの成長を促すことができておらず悩んでいた。❶OJTを受ける2名のユニットリーダーの強み、弱みについて副主任が分析し、今まで両名に対してどのようなマネジメントを行っていたかを振り返り、特性に合わせたマネジメントでOJTを行う。❷各々のユニットリーダーとマネジメントの目的を共有し、マニュアルなどは目的を共有・達成するためのツールであると伝える。
「まず何をする?いつ報告する?」で実行まで決める
私の現場では、選択肢を出した後もリーダーの指示を待つ人がいました。そこで最後に「では、まず何をする?」「いつ、何を報告する?」と聞き、本人の言葉で行動を決めてもらっています。「やっておきます」ではなく、「10時までに居室を確認し、変化があればすぐ報告する」まで具体化します。
私も説明に疲れるほど、「分かった?」「はい」で終えたくなりました。しかし、その返事だけでは、本人がどこまで一人で進め、どこで戻るのか確認できません。終わった後は、正誤だけでなく「何を見て決めた?」を短く振り返ります。評価する基準・時期・評価者について一定のルールを定め、評価結果を本人へ伝えます。
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厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
OJTの効果を上げるためには、定期的に職員を評価し、評価結果を伝える仕組みを設けましょう。職員を評価する基準や時期、評価者などについてあらかじめ一定のルールを定め、職員に周知しておきましょう。これは評価を受ける職員の不公平感の回避につながります。当然のことですが、教える相手によって教える内容や教え方を柔軟に変化させる必要があるため、教える側にも一定の教える技術が必要です。そのためOJTの仕組みでは、教える側の職員を対象とした研修会や勉強会など、指導するための技術を身につけさせる仕組みもとても重要です。
事故が発生したときは、救命・安全確保と報告を優先する
考える力を育てる問いは、いつでも優先するものではありません。事故が発生した場面では、「あなたはどう思う?」と考えさせる前に、利用者の救命や安全確保を優先します。施設の手順に沿って状況を確認し、現場リーダーや上司へ迅速に報告します。
リーダー側も、「ここで答えたらまた依存させるのでは」と迷うかもしれません。しかし、事故発生時は教育の練習と切り分けます。私は、安全確保後に、何が起き、どこで報告し、次回は何を確認するかを振り返るようにしています。厚生労働省の事故対応ガイドラインも、事故時は利用者の救命・安全確保を第一にし、現場リーダーや上司への迅速な報告を示しています。
出典・根拠を確認
厚生労働省老健局
介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
事故が発生したら、まずは利用者の救命や安全確保を第一に行動します。この際の状況確認はルール化をしておくとよいでしょう。「事故かもしれない」という、判断がつきにくい場合の事実確認もルール化しておくと判断に迷いがなくなります。例えば、転倒・転落事故の際は本人に状況を聞く他、目撃者がいた場合はその人からも話を聞く、頭を打っている場合は即受診する、といったことをルールで定めておくとよいでしょう。この時点では口頭でもよいので現場のリーダーや上司に迅速に報告を行い、他の利用者にも発生しうる可能性がある危険な環境については速やかに対処をします。
私が使う問いは、状況、目標、選択肢、実行・報告の順です。事故発生時は利用者の救命・安全確保を第一にし、現場リーダーや上司へ迅速に報告します。
介護職の判断の丸投げをめぐって起こりやすい4つの場面

判断の丸投げは、「どうすればいいですか?」という一言だけで決められません。経験の浅さ、目標の不一致、問いの大きさ、記憶・確認の不足や任せ方など、止まっている場所は場面ごとに違います。まず会話の前後を見ます。
私が苦しくなったのは、質問された瞬間より、何度説明しても同じ位置へ戻る日が続いたときでした。最初は具体的に教えていても、忙しい勤務中に重なると「とりあえず何かしていてほしい」と思います。その疲れを隠すのではなく、次の四場面に分けて返し方を決めます。
一つ終わるたびに「次は何をすればいいですか?」と聞かれる
私が一つの作業ごとに聞かれたときは、仕事の目的や全体の順番をつかめているかを確認しています。「次は○○」と答える前に、「終わったことは?残っていることは?先にするならどれ?」と三つに分けて聞きます。自分案を一つ添えてもらい、事故対応など即時の判断が必要な場面でなければ、小さく任せます。
別の介護現場の体験談では、身体介助はある程度できるのに、仕事が一つ終わるたび指導者のそばで次の指示を待つ職員がいました。指導者は「どこまで一つずつ言うのか」と疲れ、自分の教え方まで疑っています。個別技術ができることと、業務の見通しを持てることは分けて確認する必要があります。教える目標・内容・手順をそろえることが出発点です。
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厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
人材育成の手法の一つとしてOJT(On the Job Training)は非常に重要です。OJTは研修会や勉強会で習得することが難しい実践力を身につけることができます。また、OJTは新人教育の場面でのみ活用される手法ではなく、ベテラン職員、マネジメント層などの人材育成においても幅広く活用できます。指導する立場となる職員に対しても「教える」ことについて教育することはとても大切です。教育担当によって教え方にブレが生じてしまっては、事業所全体で業務の手順やケアの質を一定に保つことが難しくなってしまいます。そこで、教える内容にムラがでない、ブレがないように、OJTの標準的な手順を決めましょう。
- 一つずつ指示を出す状態から離れるには、OJTの目標・内容・手順に加え、一人で任せる評価基準・時期・評価者を先に共有しておく必要があります。
- 詳しくは、「未経験歓迎」で採用した介護職が定着しないのはなぜ?求人・面接と入職初期の受け入れを見直すで確認できます。
「あなたならどうする?」と返すと黙ってしまう

沈黙したからといって、考える気がないと決めつけません。私の現場では、「あなたならどうする?」だけでは答えられない人がいました。その場合は、「今見えていることは?」「AとBならどちらを先にする?」「その理由は?」と問いを分けています。二択も出なければ、まず見本を示します。
私も問い返したのに反応がなく、待つ時間に耐えられず「もういい、これをして」と答えを回収したことがあります。それを繰り返せば、本人は考え始めても、先輩が答えるまで待つ方が早いと感じるかもしれません。問いを細かくした後も答えられないなら、知識不足なのか、言葉にできないのかを分けます。厚生労働省の資料も、画一的ではなく相手に合わせて教え方を変える必要を示しています。
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厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
OJTの効果を上げるためには、定期的に職員を評価し、評価結果を伝える仕組みを設けましょう。職員を評価する基準や時期、評価者などについてあらかじめ一定のルールを定め、職員に周知しておきましょう。これは評価を受ける職員の不公平感の回避につながります。当然のことですが、教える相手によって教える内容や教え方を柔軟に変化させる必要があるため、教える側にも一定の教える技術が必要です。そのためOJTの仕組みでは、教える側の職員を対象とした研修会や勉強会など、指導するための技術を身につけさせる仕組みもとても重要です。
同じ説明をしたのに、また最初から聞かれる
「前にも言ったよね」が増えたら、最初から説明し直す前に、「前回のどこまで覚えている?」「今回は何が違う?」「何を確認したい?」と聞きます。私は、分かっている所から再開し、説明し直す範囲を絞っています。手順を短いメモや共通のチェック項目にし、次回の確認点も決めます。
別の現場の体験談では、教えた側が時間をかけた内容を、後から「教わっていない」と言われることが重なり、信頼が削られていました。私自身も同じ質問が続くと、「説明しても無駄なのか」と感じたことがあります。ただ、記憶力や態度だけの問題と決めると、指導者ごとの説明差や確認不足を見落とします。教え方の共通手順と、評価結果を本人へ返す仕組みを分けて整えます。
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介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
OJTの効果を上げるためには、定期的に職員を評価し、評価結果を伝える仕組みを設けましょう。職員を評価する基準や時期、評価者などについてあらかじめ一定のルールを定め、職員に周知しておきましょう。これは評価を受ける職員の不公平感の回避につながります。当然のことですが、教える相手によって教える内容や教え方を柔軟に変化させる必要があるため、教える側にも一定の教える技術が必要です。そのためOJTの仕組みでは、教える側の職員を対象とした研修会や勉強会など、指導するための技術を身につけさせる仕組みもとても重要です。
- 説明を短いメモへ残すだけでなく、観察項目、一人で続ける範囲、応援を求める基準まで分けると、次回の確認点を指導者と本人で共有しやすくなります。
- 詳しくは、排泄拒否への対応を新人に教える方法|見て覚えるOJTから脱却するチェック項目で確認できます。
「テーブルでも拭いておいて」と簡単な仕事だけを渡したくなる
忙しいときに「テーブルでも拭いておいて」と頼むこと自体が悪いわけではありません。問題は、期待を失った結果、それしか任せなくなることです。私は、現在一人でできる仕事、確認があればできる仕事、まだ一緒にする仕事を分け、小さな判断を含む役割へ一段ずつ戻しています。
私は、具体的に説明すれば動けるようになる人も、同じようには変わらない人も見てきました。私が見た現場では、指示待ちが続くうちに、周囲が「使えない」と見始め、説明や仕事の振り方が徐々に雑になることがありました。その結果、本人が判断する経験を失い、さらに任せにくくなる場合もあります。こうした流れを変えるため、何でも任せるのでも、全部取り上げるのでもなく、普段の行動から現在地を見て仕事を合わせます。
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介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
段階的な職員評価軸を作成、運用することで、レベルに合った業務の振り分けができ、業務のムリの軽減につながった。リーダーが行う職員に対するOJTのポイントを絞って行いやすくなることで、職員とのコミュニケーションが円滑となり、職員に業務の本質が伝わりやすくなった。リーダーが業務時間内に職員にOJTを行う時間が0分→60分となり、職員のレベルに合わない業務の振り分けが減少した。職員には基本的にすべての業務を行ってもらうという風土があり職員の業務レベルが合わないことで、それがうまく機能していない側面もみられた。自分たちの事業所が目指すビジョンを達成するためにどのような要素が必要なのかを明確にし、それに沿った職員評価表(右図)を作成する。
- 空いた職員へその場しのぎの仕事を足す前に、何のための時間か、やめる作業は何か、本人へどこまで任せるかを整理すると役割を段階的に戻しやすくなります。
- 詳しくは、介護リーダーがやりがちな生産性向上の勘違い|現場を疲弊させる指示と改善策で確認できます。
この記事では、全体の見通し、問いへの答え、記憶・確認、普段の業務での自立度を確かめ、返し方を選びます。
介護の仕事と暮らしを、ちょっと良くする選択肢
働き方を見直したいときや、毎日の負担を減らしたいときに役立つサービス・商品を紹介します。
介護職が自分で考えられない状態が続く4つの理由

「本人にやる気がない」で終えると、変えられる部分が見えなくなります。本人の知識や経験だけでなく、質問した後の返され方、指導者ごとの違い、任されている仕事まで確認します。原因を一つに決めるためではなく、次の問いを選ぶためです。
私も、最初から雑に扱っていたわけではありません。何度も具体的に説明し、それでも指示待ちが続くと、また説明する疲れと「自分の教え方が悪いのか」という迷いが重なりました。その末に簡単な仕事だけを渡したくなる過程を、四つに分けて見直します。
質問するたびに正解が返ってくる
私の現場では、聞けばすぐ正解が返るやり取りが続き、本人が状況や選択肢を言葉にしない場面がありました。ただし、これは「答えたから依存した」と単純に断定できる因果ではありません。毎回詳しく説明して動ける人がいる一方、次も同じように答えを待つ人もいました。
そこで私は、答えを隠すのではなく、「今どこまで分かる?」「自分ではAとBのどちらだと思う?」と問い、本人に自分の考えを一つ出してから聞いてもらう型に変えました。最初は見本を示し、次回は状況だけ本人に言ってもらうなど、本人に考えてもらう範囲を少しずつ広げています。指導者側も同じ流れで教えられるよう、目標・内容・手順をそろえます。
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厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
人材育成の手法の一つとしてOJT(On the Job Training)は非常に重要です。OJTは研修会や勉強会で習得することが難しい実践力を身につけることができます。また、OJTは新人教育の場面でのみ活用される手法ではなく、ベテラン職員、マネジメント層などの人材育成においても幅広く活用できます。指導する立場となる職員に対しても「教える」ことについて教育することはとても大切です。教育担当によって教え方にブレが生じてしまっては、事業所全体で業務の手順やケアの質を一定に保つことが難しくなってしまいます。そこで、教える内容にムラがでない、ブレがないように、OJTの標準的な手順を決めましょう。
- 答えをすぐ渡さない工夫と、危険時に迷わず質問できる仕組みを両立させ、安全な相談を守りながら、相談先や仕事を止める場面まで、あらかじめ具体化しておきましょう。
- 詳しくは、介護の新人が質問してこないのはなぜ?「何でも聞いて」では聞けない理由で確認できます。
教える人によって目標や手順が違う
私が見た現場では、先輩Aには「先に排泄確認」、先輩Bには「まず配膳」と言われた後輩が、自分案を出すより、その日の先輩へ正解を確かめようとする場面がありました。ケアの状況で順番が変わるなら、何を見て切り替えるのかまで共有します。
私も具体的に教える一方で、周囲は別の言い方をしていました。自分では丁寧に説明したつもりでも、チームで目標がそろっていなければ、本人が判断基準を持ちにくくなることがあります。まず「安全」「利用者の予定」「勤務内の期限」など共通して見る点を決め、例外時の相談先を示します。厚生労働省の資料も、教育担当による教え方のブレが、業務手順やケアの質を一定に保つ難しさにつながると述べています。
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厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
人材育成の手法の一つとしてOJT(On the Job Training)は非常に重要です。OJTは研修会や勉強会で習得することが難しい実践力を身につけることができます。また、OJTは新人教育の場面でのみ活用される手法ではなく、ベテラン職員、マネジメント層などの人材育成においても幅広く活用できます。指導する立場となる職員に対しても「教える」ことについて教育することはとても大切です。教育担当によって教え方にブレが生じてしまっては、事業所全体で業務の手順やケアの質を一定に保つことが難しくなってしまいます。そこで、教える内容にムラがでない、ブレがないように、OJTの標準的な手順を決めましょう。
問いが本人の現在地より大きすぎる

私の現場では、「自分で考えて」「あなたならどうする?」だけでは答えられない人がいました。逆に、一つずつ作業を指示し続けるだけでも、全体を見ているかは確かめられません。そこで私は、今答えられる問いより一段だけ先を渡すようにしています。
たとえば状況を説明できない人には、まず見た事実を二つ挙げてもらいます。状況は言える人には目標を、目標まで言える人には選択肢を聞きます。私は同じ説明で自立する人と、そうでない人の差を見て、説明量を増やすだけでは足りないと感じました。厚生労働省の資料が示すように、相手の能力・知識・意欲などを見て教え方を柔軟に変え、評価を本人へ返します。
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厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
OJTの効果を上げるためには、定期的に職員を評価し、評価結果を伝える仕組みを設けましょう。職員を評価する基準や時期、評価者などについてあらかじめ一定のルールを定め、職員に周知しておきましょう。これは評価を受ける職員の不公平感の回避につながります。当然のことですが、教える相手によって教える内容や教え方を柔軟に変化させる必要があるため、教える側にも一定の教える技術が必要です。そのためOJTの仕組みでは、教える側の職員を対象とした研修会や勉強会など、指導するための技術を身につけさせる仕組みもとても重要です。
簡単な仕事だけになり、判断する機会が減っている
指示待ちが続くと、周囲は「任せるより自分でやった方が早い」と感じます。そして、テーブル拭きのように失敗しにくい仕事だけを渡すようになります。短期的には勤務が回っても、本人が状況を見て選ぶ場面まで減れば、任せにくさが固定されることがあります。
私が見たのも、最初から「使えない」と切り捨てる現場ではありませんでした。何度も教え、それでも変わらず、期待が少しずつ薄れて扱いが雑になる流れです。だから、急に難しい仕事へ戻すのではなく、普段の行動を見て「一人でできる」「確認付きでできる」「同行が必要」を分けます。厚生労働省の事例にも、自立度を段階で見て、レベルに合う業務を振り分けた取り組みがあります。
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厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
段階的な職員評価軸を作成、運用することで、レベルに合った業務の振り分けができ、業務のムリの軽減につながった。リーダーが行う職員に対するOJTのポイントを絞って行いやすくなることで、職員とのコミュニケーションが円滑となり、職員に業務の本質が伝わりやすくなった。リーダーが業務時間内に職員にOJTを行う時間が0分→60分となり、職員のレベルに合わない業務の振り分けが減少した。職員には基本的にすべての業務を行ってもらうという風土があり職員の業務レベルが合わないことで、それがうまく機能していない側面もみられた。自分たちの事業所が目指すビジョンを達成するためにどのような要素が必要なのかを明確にし、それに沿った職員評価表(右図)を作成する。
指示待ちが続く背景は、本人だけにあるとは限りません。答えの返し方、指導者ごとの基準、問いの大きさ、任せる仕事の段階を見直し、本人が考えられる一段を渡します。
介護の仕事と暮らしを、ちょっと良くする選択肢
働き方を見直したいときや、毎日の負担を減らしたいときに役立つサービス・商品を紹介します。
介護職から判断を求められるときのよくある質問
問いかけを増やすほどよいわけではありません。経験の浅さや安全性、本人の理解度に応じて、答えを示す範囲と考えてもらう範囲を変えます。現場リーダーが迷いやすい境界を整理します。
- Q「あなたはどう思う?」と聞くだけではだめですか?
- A
私は、本人が答えられるときに使っています。黙る場合は、「今見えていることは?」「どうなればよい?」「AとBならどちら?」「まず何をする?」と問いを分け、どこで答えられるかを確かめます。
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介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
OJTの効果を上げるためには、定期的に職員を評価し、評価結果を伝える仕組みを設けましょう。職員を評価する基準や時期、評価者などについてあらかじめ一定のルールを定め、職員に周知しておきましょう。これは評価を受ける職員の不公平感の回避につながります。当然のことですが、教える相手によって教える内容や教え方を柔軟に変化させる必要があるため、教える側にも一定の教える技術が必要です。そのためOJTの仕組みでは、教える側の職員を対象とした研修会や勉強会など、指導するための技術を身につけさせる仕組みもとても重要です。
- Q必要な相談と判断の丸投げはどう見分けますか?
- A
この記事では、「今の状況」「自分はどう考えたか」「何を助けてほしいか」を添えたものを相談として受け止めます。何も整理できていなければ、私は状況から一緒に分けています。役割分担を確認したうえで、本人の担当範囲を超える判断は求めないものとして説明します。
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厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
人材育成の手法の一つとしてOJT(On the Job Training)は非常に重要です。OJTは研修会や勉強会で習得することが難しい実践力を身につけることができます。また、OJTは新人教育の場面でのみ活用される手法ではなく、ベテラン職員、マネジメント層などの人材育成においても幅広く活用できます。指導する立場となる職員に対しても「教える」ことについて教育することはとても大切です。教育担当によって教え方にブレが生じてしまっては、事業所全体で業務の手順やケアの質を一定に保つことが難しくなってしまいます。そこで、教える内容にムラがでない、ブレがないように、OJTの標準的な手順を決めましょう。
- Q経験の浅い職員にはどこまで答えを教えますか?
- A
私は最初に見本を示し、その後、「状況を話す」「二択から選ぶ」「理由を話す」「自分案を出す」と返す範囲を一段ずつ増やしています。年数だけで一律に決めず、普段の業務内容から自立度を確認します。
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厚生労働省老健局
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
段階的な職員評価軸を作成、運用することで、レベルに合った業務の振り分けができ、業務のムリの軽減につながった。リーダーが行う職員に対するOJTのポイントを絞って行いやすくなることで、職員とのコミュニケーションが円滑となり、職員に業務の本質が伝わりやすくなった。リーダーが業務時間内に職員にOJTを行う時間が0分→60分となり、職員のレベルに合わない業務の振り分けが減少した。職員には基本的にすべての業務を行ってもらうという風土があり職員の業務レベルが合わないことで、それがうまく機能していない側面もみられた。自分たちの事業所が目指すビジョンを達成するためにどのような要素が必要なのかを明確にし、それに沿った職員評価表(右図)を作成する。
- Q事故が発生したときも考えさせますか?
- A
いいえ。事故が発生したら、まず利用者の救命や安全確保を第一に行動し、現場リーダーや上司へ迅速に報告します。私は、必要な初動が済み、安全を確保してから思考過程を振り返るようにしています。
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介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
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事故が発生したら、まずは利用者の救命や安全確保を第一に行動します。この際の状況確認はルール化をしておくとよいでしょう。「事故かもしれない」という、判断がつきにくい場合の事実確認もルール化しておくと判断に迷いがなくなります。例えば、転倒・転落事故の際は本人に状況を聞く他、目撃者がいた場合はその人からも話を聞く、頭を打っている場合は即受診する、といったことをルールで定めておくとよいでしょう。この時点では口頭でもよいので現場のリーダーや上司に迅速に報告を行い、他の利用者にも発生しうる可能性がある危険な環境については速やかに対処をします。
この記事では、問いを分け、経験に応じて返す範囲を変えます。事故発生時は、利用者の救命・安全確保と現場リーダーや上司への迅速な報告を優先します。
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介護職へ答えを渡し続けず、考えを持った相談へ変える
「どうすればいいですか?」と聞くこと自体を禁止する必要はありません。目指すのは、分からないことや危険を相談しながら、自分が見た状況と考えを添えて話せる状態です。
私は、同じ説明をしても反応は人によって違うと感じてきました。だからこそ、答えを一律に渡すのではなく、その人が止まった段階に合わせて問いを返します。
私が現場で始めたのは、まず「今どんな状況?」と一問だけ返すことです。答えられなければ問いを分けます。事故発生時は、利用者の救命・安全確保を第一にし、現場リーダーや上司へ迅速に報告します。
私は、質問を止めさせるのではなく、自分の考えを添える相談へ変えるため、まず「今どんな状況?」と返し、答えに応じて問いを分けています。
更新履歴
- 2025年12月8日:新規投稿
- 2026年9月11日:内容を全面的にリライト



