介護の離職防止は「聴く」から!データが示す定着率が高い職場の共通点

「ヘルパーとは直行直帰ですれ違い、LINEだけの業務連絡が続く毎日」「良かれと思った指導がパワハラと誤解され、孤立感を深めるリーダー」。介護現場では、理想的なケアを語る以前に、物理的な時間不足と人間関係の板挟みに悩む声が少なくありません。

全部を解決するのは難しくても、離職を防ぐ最低限のポイントだけは押さえたいもの。データと心理学に基づき、忙しい現場でも実践できる「聴く」技術と定着率向上のヒントを整理しました。

この記事を読むと分かること

  • 離職率が低い事業所の共通点
  • 短時間で信頼を築く聴く技術
  • 部下の定着を促す相談のコツ
  • きついと思われない指導方法
  • 心理学に基づく信頼関係構築

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 突然の退職届に驚いた経験
  • 部下への指導が伝わらない
  • 業務連絡以外の会話がない
  • 時間がなく面談ができない
  • 厳しく指導してよいか迷う

【結論】離職防止の鍵は「相談と指導」の実施率にある

男性介護職員と女性介護職員

「もっと利用者様に寄り添いたい」「スタッフの話をじっくり聞きたい」。そんな理想を持ちながらも、現場では日々の業務を回すだけで精一杯というのが偽らざる本音ではないでしょうか。

人手不足の中、これ以上業務を増やすことは現実的ではありません。しかし、データを見ると「ほんの少しの関わり方の違い」が、定着率に大きな差を生んでいることが分かります。無理なく実践できるポイントを絞り込みました。

離職理由のトップは「人間関係」だが、その中身は「上司」

介護職員が仕事を辞める最大の理由は「職場の人間関係(24.7%)」です。しかし、その内訳を詳しく見ると、同僚との不仲よりも「上司や先輩の指導・言動がきつい」「パワハラがあった」(49.1%)や、「上司の指示が不明確」「リーダーシップがない」(36.2%)といった、管理者・リーダー層との関係性に原因があるケースが大半を占めています 。

逆に、「現在の職場を辞めずに働き続けている理由」として、約半数の職員が「人間関係が良好な職場づくり」を挙げています 。このことから、離職を防ぐためには、スタッフ同士の仲の良さ以前に、リーダーがいかに威圧感を与えず、明確な指示を出せるかが重要であると言えます。

出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター

令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について

https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf

直前の仕事が介護関係であった者がその仕事を辞めた理由では「職場の人間関係に問題があったため」が24.7%で最多となっていると報告されている。

公益財団法人介護労働安定センター

令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について

https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf

直前の仕事が介護関係で、辞めた理由が「職場の人間関係に問題があったため」とする人に具体的内容を尋ねると、「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が最も多く、約半数を占める。次いで「上司の業務指示が不明確、リーダーシップがなかった」など、管理職の対応や指示の仕方に起因する不満が多く挙げられている。

「相談・指導」の時間がある事業所は人が辞めない

訪問介護事業所のデータによると、サービス提供責任者(サ責)が担当ヘルパーに対して「仕事上の課題に関する相談や指導」を十分に実施している場合、そのヘルパーの離職率は10%未満にとどまる割合が高いことがわかっています(63.0%) 。

一方で、相談や指導を「あまり実施していない」場合、離職率が30%以上になるケースが増加しています。また、サ責自身の業務バランスにおいて「管理業務(ヘルパーへの指導・調整など)」の時間が理想より不足していると、やはり離職率が高まる傾向にあります 。

つまり、たとえ短時間であっても、リーダーが意識的に「スタッフの話を聞く時間」「適切なフィードバックを行う機会」を持つことが、定着率向上の決定打となるのです。

出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター

令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について

https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf

サービス提供責任者が担当する訪問介護員に対して実施しているコミュニケーションや研修・指導では、「新規利用者を訪問する訪問介護員に対する同行訪問」「新任の訪問介護員に対する同行訪問」で「十分実施されている」の割合が5割前後と高い。一方、「外部の研修会等の受講機会の設定」は「あまり実施していない」の割合が最も高い。さらに、「訪問介護員からの仕事上の課題などに関する相談や指導など」を実施している(「十分実施している」+「ある程度実施している」)場合には、担当訪問介護員の離職率「10%未満」の割合が63.0%と高く、コミュニケーションや指導の実施が低離職率と関連している。

「話を聴く」技術が信頼関係(ラポール)を作る

離職を防ぐための「相談・指導」において重要なのは、単に時間を取ることだけでなく、そのです。カウンセリングの分野では、話し手と聴き手の間に築かれる信頼関係を「ラポール(Rapport)」と呼びます 。

ラポールを築くためには、相手を批判せずに受け止める「受容的態度」や、相手の立場に立って理解しようとする「共感的理解」といった姿勢が不可欠です 。これらは特別な才能ではなく、「積極的に聴く(Active Listening)」という技術として習得可能です 。

現場のリーダーがこれらの技術を用いて関わることで、スタッフは「自分のことをわかってくれている」という安心感を持ち、孤立感や不満を解消しやすくなります 。

出典元の要点(要約)
厚生労働省

大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf

信頼関係(ラポール)とは、話し手と聴き手の間に築かれる信頼関係のことであり、テキストではラポール(Rapport)という語で示されている。カウンセリングがうまくいくかどうかのかなりの部分は、ラポールの構築にかかっているとされ、しっかりとしたラポールが築かれると、話し手はカウンセリング関係の中で安心して自由に振る舞い、素直な感情を表現できるようになると説明されている。

離職防止の特効薬は、給与アップや大掛かりな制度改革だけではありません。現場のリーダーがスタッフに対して「受容的態度で話を聴く」姿勢を見せ、「適切な相談・指導の時間」を持つこと。この地道な積み重ねこそが、データが証明する最も確実な定着率向上の手段なのです。

広告

現場で起きがちな「すれ違い」の典型パターン

男性介護職員と女性介護職員

ここでは、多くの事業所で発生している「離職に至るコミュニケーションのすれ違い」を3つの事例で紹介します。「自分の事業所だけではない」と知ることで、現状を客観的に見つめ直すヒントにしてください。

事例1:【突然の退職】「一身上の都合」の裏にある本音

  • 状況
    • 直行直帰がメインの登録ヘルパーから、突然「来月末で辞めさせてください」と連絡が入るケースです。理由は「一身上の都合」とされ、引き留めようとしても意志が固く、本当の理由がわからないまま退職となってしまいました。
  • 困りごと
    • サ責としては「シフトの調整がつかない」「また採用コストがかかる」という実務的な焦りに加え、「何か不満があったなら言ってほしかった」という無力感に襲われます。
  • よくある誤解
    • 「家庭の事情なら仕方がない」「給与が高い他社に行ったのだろう」と、条件面の不一致で片付けてしまうことです。
  • 押さえるべき視点
    • 統計データによれば、直前の仕事が介護関係だった人の離職理由のトップは「職場の人間関係(24.7%)」であり、条件面ではありません。日頃の業務連絡だけで終わらせず、雑談や悩みを聞く機会(相談・指導)を持てていたかが問われます。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター

令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について

https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf

直前の仕事が介護関係であった者がその仕事を辞めた理由では「職場の人間関係に問題があったため」が24.7%で最多となっていると報告されている。

事例2:【指導のすれ違い】良かれと思った指導が「パワハラ」に?

  • 状況
    • ケアの質を高めたいリーダーが、新人のミスを見つけてその場で注意・指導を行いました。しかし、新人は次第に表情を曇らせ、翌日から「体調不良」で休みがちになり、周囲に「あの先輩はきつい」「怖い」と漏らすようになりました。
  • 困りごと
    • リーダーは「利用者の安全のために言ったのに」「正論を言っただけなのに悪者にされた」と理不尽さを感じ、指導すること自体に恐怖やためらいを感じるようになります。
  • よくある誤解
    • 「最近の若い子は打たれ弱い」「厳しく言わないと命に関わる」と、相手の資質の問題にしてしまうことです。
  • 押さえるべき視点
    • 離職理由の約半数が「上司・先輩の指導や言動がきつい」ことに起因しています。カウンセリング技法では、相手を批判せずに受け止める「受容的態度」がない状態での指摘は、相手にとって「攻撃」と受け取られ、信頼関係(ラポール)を損なう要因となります。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター

令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について

https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf

直前の仕事が介護関係で、辞めた理由が「職場の人間関係に問題があったため」とする人に具体的内容を尋ねると、「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が最も多く、約半数を占める。

厚生労働省

大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf

受容的態度とは、批判や非難の目を向けることなく、受容的な態度で話し手に接することと定義される。話し手をひとりの人間として大切に思いやり、「こうあるべきだ」という価値観を一方的に押しつけない姿勢が求められる。

事例3:【指示待ちスタッフ】「言ったはず」が伝わらない

  • 状況
    • 「前にも伝えたはず」の業務手順が守られていなかったり、指示待ちで動かないスタッフに対し、リーダーがイライラを募らせています。「何回言ったらわかるの?」と感情的になり、職場の雰囲気が悪化しています。
  • 困りごと
    • リーダーは「自分の伝え方が悪いのか、相手の理解力がないのか」と悩み、業務負担が自分に集中してしまいます。スタッフ側も「指示がコロコロ変わる」「具体的になにをすればいいかわからない」と不満を抱えています。
  • よくある誤解
    • 「一度言えばわかるはず」「メモを取らないのが悪い」と、伝達の一方的な完了を前提にしてしまうことです。
  • 押さえるべき視点
    • 離職理由の約4割に「上司の業務指示が不明確」が挙げられています。会話の中で「要約(サマライズ)」や「言い換え」を行い、相手が正しく理解しているかを確認するプロセスが不足していることが、双方のストレスの原因です。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター

令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について

https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf

直前の仕事が介護関係で、辞めた理由が「職場の人間関係に問題があったため」とする人に具体的内容を尋ねると、「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が最も多く、約半数を占める。次いで「上司の業務指示が不明確、リーダーシップがなかった」など、管理職の対応や指示の仕方に起因する不満が多く挙げられている。

厚生労働省

大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf

「要約」は、基本的傾聴の連鎖において、話のエッセンスを確認する技法として示されている。これまでの会話を区切りのよいところで振り返り、「今までのお話を整理すると…」といった形で、要点を短くまとめてフィードバックする。要約により、話し手は自分の話した内容を俯瞰して理解でき、カウンセラーとの認識のずれも修正しやすくなる。

これらの事例は、特定の誰かの能力不足ではなく、「コミュニケーションの質と量」の問題として説明がつきます。相手を責めるのではなく、関わり方の技術を少し変えるだけで、状況は改善に向かう可能性があります。


なぜ「話を聞く」だけで定着率が変わるのか

虫眼鏡

介護現場において、離職を防ぐためにコミュニケーションが重要であることは誰もが理解しています。しかし、現場では「業務優先で話す時間がない」「厳しく指導しないと事故が起きる」という現実的なプレッシャーが常に存在します。なぜ、限られた時間内での「聴く」姿勢が、これほどまでに定着率に影響を与えるのでしょうか。その背景には、構造的な問題と心理的なメカニズムの両方が関係しています。

「人手不足」が招くコミュニケーションの悪循環

現場では、慢性的な人手不足が深刻化しています。特に訪問介護員については、約8割以上の事業所が「不足している」と感じており、サービス提供責任者(サ責)の約6割が「担当業務に専念できる時間が足りない」と回答しています。

この物理的な余裕のなさが、スタッフへの「相談・指導」を後回しにする原因となり、結果としてスタッフの孤立や不満の蓄積を招いています。業務を回すことに必死になるあまり、定着に必要なケアがおろそかになり、さらに人が辞めていくという悪循環がデータからも読み取れます。

出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター

令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について

https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf

従業員の過不足状況を職種別にみると、訪問介護員では「大いに不足」「不足」「やや不足」を合わせた割合が83.4%、介護職員では69.1%と高く、7職種の中で不足感が突出している。

公益財団法人介護労働安定センター

令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について

https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf

訪問介護・サービス提供責任者の課題(事業所調査・問23)としては、「サービス提供責任者が担当業務に専念できる時間が足りない」が60.3%と突出して高く、「訪問介護員の指導・研修のための時間が確保できていない」30.8%が続く。

信頼関係(ラポール)がない指導は「攻撃」になる

カウンセリングの理論では、話し手と聴き手の間に「ラポール(信頼関係)」が築かれて初めて、相手は安心して本音を話したり、助言を受け入れたりできるとされています。

ラポールが形成されていない状態で、上司が一方的に正論を伝えたり厳しい指導を行ったりすると、部下はそれを「攻撃」「否定」と受け取ってしまいます。離職理由の上位に「きつい指導」が挙がるのは、指導の内容そのものよりも、その前提となる「受容的態度(批判せずに受け止める姿勢)」が不足していることに起因していると考えられます。

出典元の要点(要約)
厚生労働省

大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf

信頼関係(ラポール)とは、話し手と聴き手の間に築かれる信頼関係のことであり、テキストではラポール(Rapport)という語で示されている。カウンセリングがうまくいくかどうかのかなりの部分は、ラポールの構築にかかっているとされ、しっかりとしたラポールが築かれると、話し手はカウンセリング関係の中で安心して自由に振る舞い、素直な感情を表現できるようになると説明されている。

厚生労働省

大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf

受容的態度とは、批判や非難の目を向けることなく、受容的な態度で話し手に接することと定義される。話し手をひとりの人間として大切に思いやり、「こうあるべきだ」という価値観を一方的に押しつけない姿勢が求められる。

人は「共通点」と「共感」で居場所を感じる

心理学の研究において、人は自分と似ていると感じる相手(類似性)に対して、信頼感や好意を抱きやすいことがわかっています。特に、趣味や生活スタイルといった「表面的側面の類似」は、関係構築の初期段階において、相手への警戒心を解き、自己開示(本音を話すこと)を促す効果があります。

また、相手の感情に焦点を当ててフィードバックする「共感的理解」「感情の反映」を行うことで、スタッフは「自分は理解されている」と感じ、職場に対する安心感(居場所)を得ることができます。これらが不足すると、孤独感が強まり離職リスクが高まります。

出典元の要点(要約)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科

類似性が自己開示へ与える影響―類似面の差異に着目して―

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cou/46/4/46_197/_pdf

表面的側面の類似は内面的自己開示と信頼感・好意感に正の影響を持ち、内面的側面の類似は信頼感・好意感を高めることが示された。これらの結果から,カウンセリング場面での類似性認知が自己開示促進に寄与し得ると示唆されている。

厚生労働省

大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf

共感的理解とは、話し手がどのように感じ、どのように考えているかを、できる限り正確に知ろうとする態度として説明される。自分の価値観や見方を押しつけるのではなく、話し手の「ものの見方・考え方」にそって理解しようとすることが重要とされる。そのうえで、理解した内容を言葉としてフィードバックすることで、話し手は「分かってもらえた」という感覚を持ち、自分の内面をさらに掘り下げていくきっかけを得るとされている。

給与や待遇も重要ですが、現場で働くスタッフをつなぎ止めているのは「ここには自分のことをわかってくれる人がいる」という安心感です。忙しい業務の合間に、意識的に「聴く」時間を作ることは、決して無駄なコストではなく、離職コストを防ぐための最も効率的な投資と言えます。

広告

よくある疑問(FAQ)

Q
面談する時間がどうしても取れません。それでも効果はありますか?
A

長時間の面談だけが正解ではありません。 日々の挨拶や電話連絡のついでに、相手の話に「うなずき」や「あいづち(はげまし)」を返すだけでも、信頼関係(ラポール)は築けます。まずは「あなたの話を聴く姿勢がある」と態度で示すことから始めてみてください。

出典元の要点(要約)
厚生労働省

大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf

「はげまし」は、基本的傾聴の連鎖の一要素として位置づけられ、うなずきや相づちなどによって話し手の発言を促す行為として説明される。はげましが適切に用いられることで、話し手は「聴いてもらえている」という感覚を持ち、話を続けやすくなる。

Q
厳しく指導すると「パワハラ」と言われそうで、何も言えなくなってしまいました。
A

指導そのものが悪いのではなく、「否定された」と感じさせてしまう伝え方にリスクがあります。 まずは相手の言い分を批判せずに聞く「受容的態度」を示し、その上で具体的な改善点を伝えましょう。ワンクッション置くことで、相手の受け取り方は「攻撃」から「指導」へと変わります。

出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター

令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について

https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf

直前の仕事が介護関係で、辞めた理由が「職場の人間関係に問題があったため」とする人に具体的内容を尋ねると、「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が最も多く、約半数を占める。

厚生労働省

大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf

受容的態度とは、批判や非難の目を向けることなく、受容的な態度で話し手に接することと定義される。否定的評価を前面に出さずに話を聴くことで、話し手は失敗や悩みを含めた本音を語りやすくなり、カウンセリング関係の中での安心感と尊重感が高まるとされている。

Q
「大丈夫?」と聞いても「大丈夫です」としか返ってきません。どうすれば本音を聞けますか?
A

「はい/いいえ」で答えられる質問(閉じられた質問)になっていませんか? 「最近、訪問先で困ったことはない?」「昨日の対応はどうだった?」など、相手が自由に話せる「開かれた質問」を意識して使うと、会話が広がりやすくなります。

出典元の要点(要約)
厚生労働省

大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf

閉じられた質問はイエスかノーかで答えられるもので、答えやすい半面、話が展開しにくい側面がある。これに対し、開かれた質問はイエスかノーかでは答えられない形式で、話が展開しやすい利点があるものの、連発すると問われた側に負担を感じさせることがあるため、両者を上手く使い分けることが重要と述べられている。


まとめ

本記事では、介護現場における離職の主要因が「上司とのコミュニケーション不全」にあるというデータに基づき、定着率を高めるための具体的な関わり方について解説しました。

介護労働実態調査の結果が示す通り、職員が辞めずに働き続ける事業所の多くは、「人間関係が良好」であり、上司による「相談・指導」が十分に行われています 。忙しい業務の中であっても、スタッフの話を批判せずに聴く「受容的態度」や、指示が伝わったかを確認する「要約」といった技術を用いることで、信頼関係(ラポール)は確実に築くことができます 。

まずは明日、顔を合わせるスタッフに対して、業務連絡に加えて一つだけ「ねぎらい」の言葉を添えてみてはいかがでしょうか 。あなたの「聴く姿勢」の変化が、スタッフにとっての心理的な居場所となり、ひいては組織全体の定着率向上につながるはずです。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事が、日々の業務におけるコミュニケーションの一助となれば幸いです。



更新履歴

  • 2025年12月15日:新規投稿

タイトルとURLをコピーしました