【食事介助】忙しい現場でもここだけは見て!お茶ゼリーの誤嚥を防ぐ「離水」と「形状」の確認

「水分を取ってほしい」一心で、飲み込みにくいお茶からゼリーに切り替える場面はよくあります。しかし、手作りで固さが安定しなかったり、持ち込みの市販品が本当に安全か判断に迷ったりすることはありませんか?

理想的な食形態を毎回完璧に用意するのは、多忙な現場では限界があります。今回は、そんな中でもここだけ見れば誤嚥を防げるという、現実的で最低限のチェックポイントを解説します。

この記事を読むと分かること

  • 危険な「離水」を一目で見抜く方法
  • 誤嚥リスクを下げるスプーンの扱い方
  • 食事中の「危ないサイン」の聞き分け
  • 市販ゼリーの安全な選び方

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • ゼリーの容器の底に水がたまっている
  • 食べやすいようにぐちゃぐちゃに混ぜる
  • 市販のパウチゼリーをそのまま出す
  • 食後に声がガラガラしている

結論:安全なゼリー提供のための「最終確認」

お茶ゼリーの画像

介護現場では、食事の準備に追われ、毎回完璧な温度や固さを管理するのは正直難しいのが現実です。「作った人によって固さが違う」「時間が経って水が出てきた気がする」……そんな不安を感じつつも、忙しさの中でついそのまま提供してしまうこともあるかもしれません。

しかし、機械測定ができなくても、「見た目」と「音」だけで防げる事故があります。ここでは、最低限押さえるべき3つの安全ポイントを整理します。

1. 「離水(りすい)」=スプーンの跡に水が溜まるか

ゼリーをスプーンですくった際、その跡や容器の底に「水」が染み出していないか確認してください。この現象を「離水」と呼びます。

ゼリー本体は飲み込めても、この染み出した少量の水だけが、とろみのない液体と同じ速さで喉に流れ込み、誤嚥(むせ)の原因となります。特に、時間が経ったゼリーや、冷凍から解凍したものは離水しやすいため注意が必要です。

出典元の要点(要約)
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 0j(嚥下訓練食品)は、最重度の嚥下障害者に評価も含めて訓練する段階において推奨する形態で、スライス状または食塊状のゼリー状で均質であり、付着性が低く凝集性が高く離水が少ないものとしている。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 1j(嚥下調整食 1j)は、ゼリー状・プリン状・ムース状などで、口腔外で既に適切な食塊状となっており、口腔内での食塊形成を要しないものとしている。0j と比し表面のざらつきがあり、送り込む際に多少意識して口蓋に舌を押しつける必要があるとし、該当食品の例として、おもゆゼリー、ミキサー粥のゼリーなどを挙げている。

2. 「クラッシュ」はNG=スライスしてすくう

「小さくすれば安全」と思い込み、ゼリーをスプーンでぐちゃぐちゃに混ぜて(クラッシュして)提供するのは避けましょう。

最も飲み込みやすいゼリー(コード0j)は、「スライス状」にすくって、そのままツルッと丸呑みすることを想定しています。細かく砕きすぎると、口の中でバラバラになり、かえってまとまり(食塊)を作るのが難しくなります。

ゼリー状態の比較
出典元の要点(要約)
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 0j(嚥下訓練食品)は、最重度の嚥下障害者に評価も含めて訓練する段階において推奨する形態で、スライス状または食塊状のゼリー状で均質であり、付着性が低く凝集性が高く離水が少ないものとしている。スプーンですくい、そのまま口の中に運び咀嚼を要さずに嚥下すること(丸呑みすること)を目的とし、誤嚥した場合は喀出や吸引が比較的容易となることを意図している。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

ゼリー飲料(いわゆるドリンクゼリー)はサラサラの液体よりも誤嚥しにくい場合が多く、選択肢を多くするうえでも好みに配慮する点でも積極的に導入を検討してよいとする。一方で一般消費者向け市販品には離水量が多いものや離水した液体の粘性が低くサラサラしすぎるものが含まれるため、難易度や危険性はおおむね薄いとろみに近いものとして扱うが、臨床適用にあたっては個別の検討が必要としている。

3. 「食後の声」=ガラガラ声は危険信号

食事中や食後に、利用者の声が「ガラガラ(湿性嗄声)」に変わっていないか耳を澄ませてください。

もし、喉の奥で水が絡んだような音がする場合、ゼリーや唾液が気管に入りかけている(誤嚥や咽頭残留)可能性があります。たとえ本人が「むせ」ていなくても、声の変化は重要なサインです。

出典元の要点(要約)
国立国際医療研究センター

嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発 令和元年度 総括・分担研究報告書

https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf

観察評価でのむせと検査での誤嚥の一致率は高くなく、補助項目を加えても1割の誤嚥が捕捉できなかった。観察でのむせを重要視しすぎると患者の経口摂食の機会を減少させる可能性があるため、むせに反応して慎重になりすぎず、再評価やトライアルなどのリスク管理方法を併用して食上げに取り組むことがQOL向上に寄与すると示唆された。

国立国際医療研究センター

嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発 令和元年度 総括・分担研究報告書

https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf

観察評価の「頸部聴診」では、嚥下音や嚥下後の呼吸音の異常の有無を判断する。長い嚥下音、弱い嚥下音、泡立ち音、むせに伴う喀出音、濁った湿性音などが異常音とされる。「声質の変化」では、飲み込み後に発声させ、湿性嗄声などの変化を確認する。

まずは明日の食事介助で、最初の一口をあげる前に「お皿に水が出ていないか」だけ見てみてください。もし水が出ていたら、その部分を取り除くだけでも、利用者を誤嚥から守る大きな一歩になります。

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現場で起きがちな「良かれと思って」の落とし穴

女性の介護職員の画像

「お一人ずつ丁寧に見てあげたいけれど、食事介助の時間には限りがある」「ご家族がせっかく持ってきてくれたものを断りづらい」……。 これらは、多くの介護現場で聞かれる切実な悩みです。理想的なケアと、目の前の業務を回さなければならない現実との間で、葛藤を感じている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、そんな忙しい現場でつい起きてしまいがちな事例と、エビデンスに基づいた「安全の境界線」について解説します。

1. 「小さくすれば安全」という誤解(クラッシュ提供)

「大きな塊だと喉に詰まるかもしれない」と心配になり、スプーンでゼリーをぐちゃぐちゃに混ぜて(クラッシュして)提供していませんか?

実は、最も飲み込みやすいとされる「コード0j(嚥下訓練食品)」では、ゼリーをスライス状にすくって、そのまま丸呑みすることが推奨されています。 過度に混ぜてクラッシュ状態にすると、口の中でバラバラになりやすく、かえってまとまり(食塊)を作るのが難しくなります。結果として、意図せず誤嚥のリスクを高めてしまう可能性があるのです。

出典元の要点(要約)
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 0j(嚥下訓練食品)は、最重度の嚥下障害者に評価も含めて訓練する段階において推奨する形態で、スライス状または食塊状のゼリー状で均質であり、付着性が低く凝集性が高く離水が少ないものとしている。スプーンですくい、そのまま口の中に運び咀嚼を要さずに嚥下すること(丸呑みすること)を目的とし、誤嚥した場合は喀出や吸引が比較的容易となることを意図している。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

ゼリー飲料(いわゆるドリンクゼリー)はサラサラの液体よりも誤嚥しにくい場合が多く、選択肢を多くするうえでも好みに配慮する点でも積極的に導入を検討してよいとする。一方で一般消費者向け市販品には離水量が多いものや離水した液体の粘性が低くサラサラしすぎるものが含まれるため、難易度や危険性はおおむね薄いとろみに近いものとして扱うが、臨床適用にあたっては個別の検討が必要としている。

2. 時間経過による「隠れ離水」の見落とし

配膳から時間が経ったり、作り置きしていたゼリーの容器の底に、うっすらとが溜まっていることはありませんか?

この現象を「離水(りすい)」と呼びます。「少しの水だから大丈夫だろう」と判断しがちですが、この染み出した水分はとろみのない液体と同じ速度で喉へ流れ込みます。 ゼリー本体は飲み込めても、この水分だけが先行して気管に入ることで、むせ込みの原因となるケースが非常に多いため、提供直前の確認が不可欠です。

出典元の要点(要約)
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 0j(嚥下訓練食品)は、最重度の嚥下障害者に評価も含めて訓練する段階において推奨する形態で、スライス状または食塊状のゼリー状で均質であり、付着性が低く凝集性が高く離水が少ないものとしている。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 2―1(嚥下調整食 2―1)は、スプーンですくって食べるペースト状で、均質でなめらかで,べたつかず,まとまりやすいものとしている。主食の例として、付着性が高くないミキサー粥や粥ペースト等の記載があり、食品が口の中で広がりやすいものや離水しやすいものは難易度が高い扱いとなる旨が述べられている。

3. 市販の「吸うゼリー」への過信

ご家族から「これなら飲めるから」と、市販のパウチ入りゼリー(いわゆるドリンクゼリー)を渡される場面もよくあります。

しかし、市販品の多くは最初からクラッシュ状態(砕かれた状態)で出てくるため、口の中で広がりやすく、嚥下機能が低下した方には難易度が高い場合があります。 また、製品によっては離水が多いものもあるため、「ゼリーと書いてあれば安心」と過信せず、中身の状態を確認する必要があります。

出典元の要点(要約)
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

ゼリー飲料(いわゆるドリンクゼリー)はサラサラの液体よりも誤嚥しにくい場合が多く、選択肢を多くするうえでも好みに配慮する点でも積極的に導入を検討してよいとする。一方で一般消費者向け市販品には離水量が多いものや離水した液体の粘性が低くサラサラしすぎるものが含まれるため、難易度や危険性はおおむね薄いとろみに近いものとして扱うが、臨床適用にあたっては個別の検討が必要としている。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

ゼリー飲料(いわゆるドリンクゼリー)はサラサラの液体よりも誤嚥しにくい場合が多く、選択肢を多くするうえでも好みに配慮する点でも積極的に導入を検討してよいとする。一方で一般消費者向け市販品には離水量が多いものや離水した液体の粘性が低くサラサラしすぎるものが含まれるため、難易度や危険性はおおむね薄いとろみに近いものとして扱うが、臨床適用にあたっては個別の検討が必要としている。物性の測定方法や嚥下難易度の知見が蓄積されていないため,今後の研究が待たれるとしている.

ゼリーだからといって無条件に安全なわけではありません。特に「混ぜない」「水が出ていないか見る」の2点は、特別な道具がなくてもすぐに実践できる重要なポイントです。まずはここから確認を始めてみましょう。


現場の「なぜ?」を解消する3つの視点

女性の介護職員の画像

「誤嚥が怖いのはわかるけれど、具体的にどこを見ればいいの?」「一人ひとりつきっきりで観察するのは、人員配置的に無理がある」 これらは、多忙を極める介護現場で誰もが抱く本音ではないでしょうか。特に食事介助が重なる時間帯は、安全と効率の板挟みになりがちです。

ここでは、「なぜそれが危険なのか」という理由を整理します。理由がわかれば、忙しい中でも見るべきポイントが絞り込まれ、漠然とした不安を減らすことができます。

1. なぜ「水が出る」と危険なのか?

ゼリーから染み出した「水(離水)」は、とろみのついていないサラサラの液体と同じ状態です。 嚥下障害がある方は、液体のように流れる速度が速いものを、飲み込むタイミングに合わせて制御することが苦手です。そのため、ゼリーの固形部分は飲み込めても、分離した水分だけが一瞬で気管に入り込むリスクが高まります。

出典元の要点(要約)
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 0j(嚥下訓練食品)は、最重度の嚥下障害者に評価も含めて訓練する段階において推奨する形態で、スライス状または食塊状のゼリー状で均質であり、付着性が低く凝集性が高く離水が少ないものとしている。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

食品が口の中で広がりやすいものや離水しやすいものは難易度が高い扱いとなる旨が述べられている。

2. なぜ「スライス」ですくう必要があるのか?

嚥下機能が低下している方は、口の中で食べ物をひとまとまり(食塊)にする機能が弱っています。 最初からまとまりが良い「スライス状」のゼリーであれば、口の中での処理(食塊形成)を省略して、そのままつるりと丸呑みすることができます。しかし、細かくクラッシュしてしまうと、口の中でバラバラに広がってしまい、再びまとめることができずに誤嚥や咽頭残留につながりやすくなります。

出典元の要点(要約)
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 0j(嚥下訓練食品)は、スライス状にすくうことが容易で、スプーンですくった時点で適切な食塊状となっているものとしている。量や形に配慮してスプーンですくい(例:スライス状),そのまま口の中に運び咀嚼に関連する運動は行わず嚥下すること(丸呑みすること)を目的とする。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 1j(嚥下調整食 1j)は、ゼリー状・プリン状・ムース状などで、口腔外で既に適切な食塊状となっており、口腔内での食塊形成を要しないものとしている。

3. なぜ「声の変化」が重要なのか?

「むせ(咳)」はわかりやすい誤嚥のサインですが、高齢者の中には感覚が低下し、誤嚥してもむせない方(不顕性誤嚥)がいます。 一方で、食べ物が喉に残ったり気管に入りかけたりすると、声が湿った音(湿性嗄声)に変わったり、呼吸の状態が変化したりします。これらは、むせが見られない場合でも誤嚥のリスクを察知するための重要な手がかりとなり、観察の精度を高めることができます。

出典元の要点(要約)
国立国際医療研究センター

嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発 令和元年度 総括・分担研究報告書

https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf

観察評価でのむせと検査での誤嚥の一致率は高くなく、補助項目を加えても1割の誤嚥が捕捉できなかった。むせが見られない不顕性誤嚥への対応として、頸部聴診、声質の変化、呼吸観察の3項目を補助項目として検討したところ、むせのみによる誤嚥検出の感度は34.6%であったが、この3項目を加えた4項目のいずれかが該当する場合、感度は54.3%に向上した。

国立国際医療研究センター

嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発 令和元年度 総括・分担研究報告書

https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf

「声質の変化」では、飲み込み後に発声させ、湿性嗄声などの変化を確認する。

これらの理由は、決して難しい医学知識ではなく、「水は速いから危ない」「バラバラだとまとめられない」といった物理的な現象です。この仕組みさえ頭にあれば、マニュアル通りの対応ができない緊急時でも、危険な食事を直感的に避けることができるようになります。

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現場で迷う「これってどうなの?」FAQ

マニュアルにはこう書いてあるけれど、実際の現場では「こういう場合はどうすればいいの?」と迷う場面が多々あると思います。 ここでは、現場で判断に悩みやすい疑問について、エビデンス(ガイドライン)に基づいた回答をまとめました。日々の不安を解消する手助けにしてください。

Q
市販の「ゼリー飲料」をそのまま出しても大丈夫ですか?
A

必ずしも安全とは限りません。特にパウチ入りの「ゼリー飲料(いわゆるドリンクゼリー)」は、吸い出す際に砕かれた(クラッシュ)状態で出てくるものが多く、口の中でバラバラになりやすいため注意が必要です。また、製品によっては水分が分離しやすい(離水が多い)ものもあります。提供前に「学会分類2013」のコード0jや1jの基準(スプーンですくっても形が保たれるか、水が出ていないか)に合うかを確認することが推奨されます。

出典元の要点(要約)
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

ゼリー飲料(いわゆるドリンクゼリー)はサラサラの液体よりも誤嚥しにくい場合が多く、選択肢を多くするうえでも好みに配慮する点でも積極的に導入を検討してよいとする。一方で一般消費者向け市販品には離水量が多いものや離水した液体の粘性が低くサラサラしすぎるものが含まれるため、難易度や危険性はおおむね薄いとろみに近いものとして扱うが、臨床適用にあたっては個別の検討が必要としている。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 1j(嚥下調整食 1j)は、ゼリー状・プリン状・ムース状などで、口腔外で既に適切な食塊状となっており、口腔内での食塊形成を要しないものとしている。

Q
食べやすくするために、ゼリーをスプーンで混ぜて(クラッシュして)からあげても良いですか?
A

混ぜたり潰したりせず、スプーンで薄く「スライス状」にすくい取る方法が推奨されます。 特に嚥下訓練の段階(コード0j)では、スライス状にすくうことで口の中で適切なまとまりとなり、そのまま「丸呑み」しやすくなるように設計されています。過度に混ぜると口の中で広がってしまい、かえって飲み込みにくくなる可能性があります。

出典元の要点(要約)
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 0j(嚥下訓練食品)は、最重度の嚥下障害者に評価も含めて訓練する段階において推奨する形態で、スライス状または食塊状のゼリー状で均質であり、付着性が低く凝集性が高く離水が少ないものとしている。スプーンですくい、そのまま口の中に運び咀嚼を要さずに嚥下すること(丸呑みすること)を目的とし、誤嚥した場合は喀出や吸引が比較的容易となることを意図している。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

コード 0j(嚥下訓練食品)は、スライス状にすくうことが容易で、スプーンですくった時点で適切な食塊状となっているものとしている。

Q
食べている最中に「危ない」と判断するサインはありますか?
A

明らかな「むせ(咳)」がなくても、食事中や食後に声がガラガラする(湿性嗄声)、のどがゴロゴロ鳴る(喘鳴様呼吸音)、呼吸が速くなったり浅くなったりする変化が見られた場合は注意が必要です。 これらは誤嚥や、食べ物がのどに残っている(咽頭残留)サインである可能性が高いため、食事の中断や、専門職(看護師・言語聴覚士など)への相談を検討してください。

出典元の要点(要約)
国立国際医療研究センター

嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発 令和元年度 総括・分担研究報告書

https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf

観察評価でのむせと検査での誤嚥の一致率は高くなく、補助項目を加えても1割の誤嚥が捕捉できなかった。むせが見られない不顕性誤嚥への対応として、頸部聴診、声質の変化、呼吸観察の3項目を補助項目として検討したところ、むせのみによる誤嚥検出の感度は34.6%であったが、この3項目を加えた4項目のいずれかが該当する場合、感度は54.3%に向上した。

国立国際医療研究センター

嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発 令和元年度 総括・分担研究報告書

https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf

観察評価の「頸部聴診」では、嚥下音や嚥下後の呼吸音の異常の有無を判断する。長い嚥下音、弱い嚥下音、泡立ち音、むせに伴う喀出音、濁った湿性音などが異常音とされる。「声質の変化」では、飲み込み後に発声させ、湿性嗄声などの変化を確認する。

現場で「何かおかしい」と感じる直感は、とても大切な気づきです。 ここで紹介したポイント(スプーンでのスライス確認、声や呼吸の変化)を頭の片隅に置いておくだけでも、いざという時の判断の助けになります。全てを完璧にする必要はありませんので、まずは目の前の利用者様の「声」や「ゼリーの状態」を見ることから始めてみてください。


まとめ:明日からできる、たった一つの「安全確認」

ここまで、ゼリー食の意外な落とし穴について解説してきました。ゼリーは「魔法の安全食」ではなく、「離水(りすい)がないこと」「適切なまとまり(スライス状)」が守られて初めて、安全に食べられる食事形態です。

日々の業務に追われる中で、すべての食事を完璧に管理するのは難しいのが現実です。ですが、明日の食事介助で、最初の一口を運ぶ前に「スプーンですくった跡に、水が溜まっていないか」だけ、確認してみてください。もし水が出ていたら、その水分を取り除くだけでも、誤嚥のリスクを減らすことができます。

また、食事中や食後に「声がガラガラする」「呼吸が変わった」と感じたら、それは無理をして食べているサインかもしれません。 あなたのその「気づき」を看護師や言語聴覚士につなぐことが、利用者の安全と「口から食べる喜び」を守る大きな力になります。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事が、日々の多忙な業務の中で、少しでもお役に立てれば幸いです。



更新履歴

  • 2026年1月13日:新規投稿

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