「有給を取りたい」と伝えただけなのに、嫌な顔をされる。
「人手不足だから」と代わりの職員探しまで求められ、休むことに罪悪感を植え付けられる。そんな理不尽な現場で、自分をすり減らしていませんか。
理想のケアをしたくても、今の環境では心身が持たないと感じている方も多いのが現実です。
すべてを解決するのは難しくても、長く働き続けるために「休み」の基準だけは妥協してはいけません。
この記事を読むと分かること
- データで分かる「人が辞めない職場」の条件
- 求人票で見るべき「ブラック回避」の基準
- 「紹介会社」を多用する施設の離職リスク
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
結論:離職率が低い職場の共通点、「給与」以上に大切な指標とは

「利用者様のために」と無理をして、自分の体調を後回しにしていませんか。
現場では「シフトに穴を開けられない」という責任感から、高熱でも出勤するような異常な状況が美談にされがちです。
しかし、その自己犠牲の上に成り立つケアは、決して長くは続きません。
「人手が足りないから休めない」のは、あなたの責任というより組織の構造的な問題であると言えます。
定着率のカギは「賃金」よりも「有給休暇」
どんなに給料が良くても、体が壊れてしまえば働き続けることはできません。
データによると、職員が定着するために最も効果があるのは「賃金」ではありません。
実は雇用管理改善の取り組みの中で、「有給休暇等の取得しやすさ」が職場定着に最も効果が高かったという結果が出ています。
お金で採用はできても、休みがなければ人は定着しにくいという傾向が示されています。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
雇用管理改善に効果があった取組では、「入職促進」には「賃金水準の向上」が効果的である一方、「職場定着」には「有給休暇等の取得しやすさ」が最も効果が高いという結果が出ている。
長く続いている人が「辞めない理由」の正体
実際に働き続けている介護職員への調査でも、その理由は明らかです。
トップ3には「職場の人間関係」と「有給休暇の取りやすさ」が入っています。
逆に言えば、「休みやすい環境」と「良い人間関係」はセットである可能性が高いのです。
心に余裕がある職場では、職員同士のギスギスした衝突も減ると一般的に考えられています。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/
現在の勤務先で働き続けている理由(複数回答)の1位は「職場の人間関係がよい」(47.2%)、2位は「仕事の内容・やりがい」(41.8%)、3位は「有給休暇等の休暇が取りやすい」(35.6%)となっている。
完璧な職場を探すのは難しいですが、「休み」を軽視する職場はリスクが高いと言えます。自分を守るために、求人選びでは給与額だけでなく、「有給消化率」を最優先のチェック項目にしてください。
よくある「失敗パターン」とデータが示す「正解」

現場では、理不尽な状況でも「私が我慢すれば回るから」と自分を納得させてしまうことがよくあります。
また、「どこに行っても同じだ」と諦めてしまう声も少なくありません。
しかし、その「我慢」や「諦め」が、結果としてあなたを追い詰め、離職へと繋がってしまうこともあります。
ここではよくある失敗事例と、データが示す「回避するための視点」を紹介します。
事例1:サ責が「話を聞いてくれない」訪問介護の現場
利用者宅でのトラブルや家族からのクレームを報告しても、「うまくやってよ」の一言で片付けられる。
孤独を感じながらも、「自分が未熟だから」と抱え込んでしまうケースです。
これは個人の能力不足というより、事業所のマネジメント不足である可能性が高いです。
データでは、サービス提供責任者(サ責)がヘルパーへの「相談・指導」を行っている事業所では、離職率が低い傾向にあることが分かっています。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
サービス提供責任者が訪問介護員の業務の悩み等に関する相談、技術指導等を行っている事業所では、直近1年間の訪問介護員の離職率は低い傾向にある。
公益財団法人 介護労働安定センター
令和6年度 介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
サービス提供責任者が担当する訪問介護員に対して、「業務の悩み等に関する相談に応じる時間をとっている」や「技術指導等の時間をとっている」場合、離職率が「0%」の割合が高くなっている。
事例2:「人間関係はどこも悪い」という思い込み
上司のきつい言葉や無視、派閥争いに巻き込まれ、精神的に限界を感じている。
それでも「介護業界なんてこんなもの」と諦め、耐え続けてしまうケースです。
しかし、前職を辞めた理由の1位は「職場の人間関係」であり、その中には「パワハラ」も多く含まれます。
多くの人が環境を変える決断をしており、実際に定着している人は「人間関係の良さ」を理由に挙げています。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
直前の職場の退職理由(中途採用者)のトップは「職場の人間関係に問題があったため」(27.5%)となっている。人間関係に問題があった具体的な内容(複数回答)では、「上司・施設長等のマネジメント・言動(パワーハラスメントを含む)」が46.1%で最も多い。
公益財団法人 介護労働安定センター
令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/
現在の勤務先で働き続けている理由(複数回答)の1位は「職場の人間関係がよい」(47.2%)となっている。
事例3:「紹介会社」に丸投げの転職活動
今の職場を早く抜け出したくて、複数の有料職業紹介所に登録。
「紹介料を払える施設=経営が安定している」と信じて、勧められるがままに応募してしまうケースです。
実は、有料職業紹介所を多数活用している事業所ほど、離職率は高くなる傾向があります。
お金をかけて採用しても人が定着しない、いわゆる「穴の空いたバケツ」状態である可能性も考えられます。
出典元の要点(要約)
公益財団法人 介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
民間の有料職業紹介所の活用機関数別に離職率を見ると、活用機関数が多い(「6か所以上」など)事業所ほど、離職率が高い傾向がみられる。
「自分が我慢すればいい」という考えは捨ててください。データは、相談できる環境や良い人間関係こそが、長く働くための重要な条件だと示しています。特に紹介会社への過度な依存がある施設は、慎重に見極める必要があります。
なぜ「休み」が取れないのか? 現場を苦しめる3つの原因

「人がいないから休めない」「給料が上がっても割に合わない」。
現場では、こんな悲痛な叫びが日常化しています。
これらは、あなたの努力不足ではありません。
個人の力ではどうどうにもならない、介護業界特有の構造的な原因が存在するからです。
原因1:止まらない「人手不足」の連鎖
介護現場の「不足感」は年々深刻化しており、事業所の約65%が「人が足りない」と感じています。
特に訪問介護員の不足感は8割を超え、危機的な状況です。
ギリギリの人員配置が常態化しているため、突発的な欠勤に対応できません。
そのしわ寄せが現場の職員に直撃し、結果として「休んだら迷惑がかかる」という心理的圧力を生んでいると考えられます。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
事業所における介護サービスに従事する従業員の過不足状況は、「不足感」が65.2%となっている。
公益財団法人 介護労働安定センター
令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
職種別の過不足状況(不足感)では、「訪問介護員」が83.4%と最も高くなっている。
原因2:給料は上がっても「割に合わない」現実
介護職員の平均月収は約24.8万円となり、前年よりも増加傾向にあります。
しかし、現場の感覚としては「仕事内容に対して低い」という不満が根強く残っています。
実際に、働く上での悩みとして「賃金の低さ」や「身体的負担」が上位を占めています。
金額的なアップだけでは、日々の激務や精神的な負担感を埋め合わせられていないと感じる人が多いのが現状です。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
月給の者の平均給与額は248,884円で、前年度と比較して7,508円増加している。一方で、労働者の仕事の悩み(複数回答)では、「人手が足りない」が55.1%で最も多く、次いで「仕事の内容のわりに賃金が低い」が38.2%、「身体的負担が大きい」が28.0%となっている。
原因3:若手が定着しない「未来への不安」
将来を担うはずの若手職員が、現場に定着していません。
データによると、全年齢層の中で「29歳以下」の離職率が最も高くなっています。
体力がある若手でさえも、「ここでは長く働けない」と判断して早期に見切りをつけている可能性が示唆されています。
これが現場の高齢化を招き、残された職員の負担をさらに重くしています。
出典元の要点(要約)
公益財団法人 介護労働安定センター令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
年齢階層別の離職率をみると、「29歳以下」が18.7%と最も高く、次いで「30歳〜39歳」が13.8%となっている。
これらは業界全体の課題であり、あなたが一人で背負い込むべき問題ではありません。構造的に無理がある環境で耐え続けるよりも、「職員を守る仕組み(有給や人員配置)」が整っている職場へ移ることも、有効な自衛策の一つです。
現場の疑問に答える、データに基づいた「安心材料」

「そうは言っても、現実はもっと厳しい」と不安を感じるかもしれません。
しかし、データは確実に「働きやすい職場」が存在することを示しています。
ここでは、よくある疑問に対して客観的な事実をお伝えします。
- Q給料が良いところを選んで、人間関係は我慢すれば良いのでは?
- A一時的には耐えられても、長くは続かない可能性が高いです。データ上、雇用管理改善策として採用には「賃金」が効果的ですが、定着(辞めずに働き続けること)に最も効果が高かったのは「有給休暇の取りやすさ」です。お金よりも「休息」が離職を防ぐ鍵となります。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター
令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
雇用管理改善に効果があった取組として、「入職促進」には「賃金水準の向上」が62.4%で最も効果が高い一方、「職場定着」には「有給休暇等の取得しやすさ」が58.2%で最も効果が高いという結果が出ている。
- Q「ICTや機械を導入して楽になった」なんて、本当ですか?
- Aはい、実際に効果が出ています。ICT機器(タブレット等)や介護ロボット(見守りセンサー等)を導入した事業所の約半数が、「業務負担の軽減」に効果があったと回答しています。特に施設系サービスではセンサーの活用が進んでいます。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター
令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
ICT機器・介護ロボット等を導入している事業所のうち、「効果があった」とする割合は、「業務負担の軽減」で50.0%、「情報共有の円滑化」で49.1%となっている。
- Q外国人のスタッフが増えていますが、現場の負担になりませんか?
- Aコミュニケーションの壁は確かに存在します。受け入れ事業所は増加していますが、約半数が「日本語能力・意思疎通」を課題に挙げています。そのため、良い事業所では学習支援や生活サポートなどの体制を整えています。そうした「サポート体制の有無」を確認することが大切です。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター
令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
外国籍労働者を受け入れている事業所における課題(複数回答)では、「日本語能力、利用者等との意思疎通」が52.6%で最も多くなっている。
すべての不安がすぐに消えるわけではありませんが、データを知ることで「避けられるリスク」は見えてきます。完璧な職場を求めすぎず、まずは「ここだけは譲れない条件(有給やICTなど)」を一つ決めることから始めてみてください。
まとめ:自分を守るために、明日からできること
ここまで、データに基づいた「離職しない職場の条件」を見てきました。
すべてが完璧な職場に出会うのは難しいかもしれませんが、「リスクが高い職場」を避けることは可能です。もし転職を考えているなら、あるいは今の職場に働きかけようと思っているなら、まずは以下の2点を確認してみてください。
- 「有給休暇」の実績を聞く
「休みが取れない」のは個人の責任ではなく、組織の問題であることが多いと言えます。面接や見学の際は、遠慮せずに「有給消化率」や「急な休みの対応体制」を確認してください。 - 「仕組み」で守ってくれるかを見る
ICT機器による負担軽減や、サービス提供責任者による相談時間の確保など、精神論ではなく「仕組み」で職員を守ろうとしている事業所を選んでください。
介護現場の人手不足は深刻ですが、それは裏を返せば、あなたのスキルを必要としている場所がたくさんあるということです。
「我慢する」という選択肢以外に、「環境を選ぶ」という選択肢があることを、どうか忘れないでください。最後までご覧いただきありがとうございます。
この記事が、あなたが安心して長く働ける場所を見つけるための一助となれば幸いです。
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更新履歴
- 2026年1月11日:新規投稿
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