介護現場の「ナメてくる部下」心理と対策

介護現場でリーダーや中堅として指導する立場になったとき、部下や後輩から「ナメられている」と感じ、対応に困っていませんか? 真剣に指示を出しても反論されたり、ため息をつかれたり、陰で無視されたり…。

「厳しく叱責すればパワハラと言われかねない」「かといって我慢すればチームの規律が乱れる」と板挟みになり、あなた自身が疲弊(情緒的消耗)してしまうのは、非常につらい状況です。

この記事では、なぜ彼らがそうした態度をとるのかという心理的背景と、リーダーとして冷静かつ毅然と対処するための具体的なスキルを、研究(エビデンス)に基づき解説します。

一つでも当てはまったら、この記事がきっと役に立ちます。

  • 業務上の指示を出しても、「でも」「だって」と反論されたり、無視されたりする。
  • 自分の前でため息をつかれるなど、軽んじる(ナメた)態度を取られる。
  • 注意や指導をしても、真剣に聞いてもらえず、自分のやり方を優先される。
  • 感情的に叱ってしまい、後で自己嫌悪に陥ることがある。
  • 部下への対応に悩み、リーダーとしての自信を失い、仕事が辛い。

この記事を知っていると

  • なぜ部下が「ナメてくる」のか、その心理的背景(誇大性・共感性の低さなど)を研究(日本教育心理学会など)に基づき理解できます。
  • 感情的な叱責(攻撃)でも、我慢(受動)でもない、リーダーとしての冷静な伝え方(アサーション)という具体的なスキルを学べます。
  • 部下との関係で消耗しきる(バーンアウト)ことを防ぎ、自分自身の心を守る方法がわかります。

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結論:「ナメる」態度は「心理」を理解し、「技術」で対処する

「ナメてくる部下」への対応に悩むリーダー・中堅のあなたへ、まず知っておいてほしい「結論」です。

その部下の態度は、単なる「生意気」や「反抗期」と感情的に捉えるのではなく、背景にある「心理」を理解した上で、冷静な「技術」として対処することが最も重要です。

感情的に叱責することは逆効果であり、我慢して放置することはあなたの心を消耗させます。

女性の介護職員の画像

「ナメる」態度の背景にあるかもしれない心理

部下の態度は、単なる「生意気」ではなく、心理的な特性が影響している可能性もあります。

日本教育心理学会の研究総説などでは、「自分は(あなたより)優れている」という「誇大性」や、「相手(あなた)がどう感じるか」を想像するのが苦手な「共感性の低さ」といった特性(自己愛傾向など)が指摘されています。 また、チームでの協調(共同性)よりも、自分のやり方や効率(作動性)を優先する傾向が、指示を軽んじる態度として現れることもあります。

出典元の要点(要約)

日本教育心理学会

教育心理学と実践活動―自己愛をめぐる実践研究と実証研究の交差

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/58/0/58_167/_pdf/-char/ja

誇大性・特権意識や「自己愛憤怒」が自己愛的特徴として示される。威圧・否定的な言動への対応では、反応の高ぶりを前提に事実の記述と境界の共有を軸に、対立のエスカレーションを避けるコミュニケーション設計が求められる。

日本教育心理学会

教育心理学と実践活動―自己愛をめぐる実践研究と実証研究の交差

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/58/0/58_167/_pdf/-char/ja

総説は、自己愛傾向が対人関係や攻撃性と関連する面を指摘。現場の“威圧・理詰め・非傾聴”の背景理解として、自己愛の作動性と共同性のバランスに注意し、共同性を高める表現や役割の再確認を提示する。

やってはいけないNG対応:「感情的な叱責」と「我慢(放置)」

相手の態度にイラっとして、感情的に叱責するのは逆効果です。 相手が「誇大性」や「防衛性」の特性を持つ場合、批判されたと感じてさらに攻撃的・防衛的(「自己愛憤怒」)になる可能性があります。

かといって、「パワハラと言われたくない」と我慢して放置することもNGです。 日本老年社会科学会の研究では、こうした対人関係のストレスがリーダー(あなた)自身の「情緒的消耗感」を高め、バーンアウト(燃え尽き)につながる危険性が示されています。

出典元の要点(要約)

日本教育心理学会

教育心理学と実践活動―自己愛をめぐる実践研究と実証研究の交差

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/58/0/58_167/_pdf/-char/ja

“誇大自己—自我脅威—攻撃性”の連関を示す理論。記事では、威圧的反応を誘発する場面で、場と時間を切り替える、論点を限定する等の具体策の意義を示す。

日本老年社会科学会

介護職員におけるバーンアウトとワークエンゲイジメントの関係性—JD-Rモデルによる検討—

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rousha/42/3/42_188/_pdf/-char/ja

バーンアウトは三つの側面からなる症候群で、情緒的消耗が中核とされる。人間関係の不調や否定的態度は個人特性だけでなく症候群の表現であり、休息や支援導入の判断根拠となる。

望ましい対処法:「自分も相手も大切にする伝え方(アサーション)」

最も有効なのは、感情的にならず、伝えるべきことを冷静に伝える技術です。 これは「アサーション(自他尊重の主張)」と呼ばれる心理教育の手法に基づいています。

日本教育心理学会の研究によれば、これは相手を尊重しつつ、自分の意見も適切に主張するためのスキルです。 相手の人格ではなく「行動(事実)」に焦点を当て、「私は(リーダーとして)チームのルールとしてこうしてほしい」と、冷静に、しかし毅然と伝え続けることが求められます。

出典元の要点(要約)

日本教育心理学会

大学新入生に対するアサーション・トレーニングの効果

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep/67/4/67_317/_pdf/-char/ja

アサーションは相手尊重を前提とした自己主張の心理教育である。攻撃的にならずに境界や要望を伝える標準手順(事実→感情→要望→結果)の導入に適する。

このように、相手の心理を理解し、感情的にならず、伝えるべきことを冷静に伝える「技術」を持つことが、リーダーであるあなた自身を守ることにもつながります。


よくある事例:「ナメてくる」と感じる職場のサイン

ここに掲載する事例は、特定のケースを記録したものではありません。あくまで、様々な研究(エビデンス)が示す「心理的な背景」や「コミュニケーションの課題」を理解しやすくするための「例え話」として参考にしてください。

介護現場で「ナメてくる」と感じる具体的な場面を振り返ってみましょう。これらは、リーダーであるあなたの「情緒的消耗」に繋がりかねない危険なサインです。

女性の介護職員の画像

事例1:指示を無視し、自分のやり方を優先する

あなたが業務上の指示(例:「移乗は二人介助で」「記録はこの手順で」)を出しても、「そっちの方が早いんで」「自分のやり方で問題ないです」と、指示を聞き入れずに自分のやり方を優先するケースです。

これは、チームワーク(共同性)よりも自分の効率や考え(作動性)を優先する心理や、あなたの指示を軽んじている態度の表れかもしれません。 日本教育心理学会の研究総説では、こうした「共感性の低さ」や「作動性の優先」が、自己愛傾向と関連する可能性が示唆されています。

出典元の要点(要約)

日本教育心理学会

教育心理学と実践活動―自己愛をめぐる実践研究と実証研究の交差

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/58/0/58_167/_pdf/-char/ja

総説は、自己愛傾向が対人関係や攻撃性と関連する面を指摘。現場の“威圧・理詰め・非傾聴”の背景理解として、自己愛の作動性と共同性のバランスに注意し、共同性を高める表現や役割の再確認を提示する。

事例2:リーダーの前で反論的な態度やため息をつく

指導中やミーティング中に、腕を組んだり、あからさまにため息をついたり、または「それは違いますよね」と反論的な態度を取ったりするケースです。

これは、業務上の議論というより、リーダーであるあなたに対して「自分の方が上だ」と示したいという「優位性(dominance)」の表れである可能性があります。 日本教育心理学会の研究総説では、「誇大性や特権意識」が自己愛傾向の特徴として挙げられており、こうした態度に結びついている可能性が考えられます。

出典元の要点(要約)

日本教育心理学会

教育心理学と実践活動―自己愛をめぐる実践研究と実証研究の交差

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/58/0/58_167/_pdf/-char/ja

誇大性・特権意識や「自己愛憤怒」が自己愛的特徴として示される。威圧・否定的な言動への対応では、反応の高ぶりを前提に事実の記述と境界の共有を軸に、対立のエスカレーションを避けるコミュニケーション設計が求められる。

事例3:集団でリーダーの指示を軽んじる(逆パワハラ)

特定の部下だけでなく、何人かが結託してリーダー(あなた)の指示を無視したり、陰口を言ったり、ミーティングで意図的に発言しなかったりするケースです。

これは単なる「ナメた態度」を超え、パワーハラスメントに該当し得る深刻な状況です。 厚生労働省のパンフレットでは、パワハラの定義(優越的な関係)として、「同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの」も含まれると明確に示されています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

職場におけるハラスメント対策パンフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001338359.pdf

優越的関係は、上位者からに限らず“集団からの行為”も含みうる。抵抗困難性や関係性を踏まえた評価が必要で、見かけの上下関係に限定しない。現場では、同調圧力・集団での無視や囲い込みなども評価対象となる。この記事では、個人の“性格”に帰すだけでなく、集団ダイナミクスを視野に入れた対応(面談・記録・第三者関与)の重要性を示す根拠として用いる。

これらの事例は、放置しておくとリーダーであるあなた自身のメンタルヘルスを害するだけでなく、チーム全体のケアの質にも悪影響を及ぼす可能性があるため、冷静な対処が必要です。


なぜ、その言動は「問題」となり、リーダーは「疲弊」するのか?

なぜ「ナメてくる部下」の言動を、単なる「生意気」で済ませてはいけないのでしょうか。 それは、その背景にある「心理」がチームの和を乱すだけでなく、リーダーであるあなた自身を「疲弊」させる深刻な問題だからです。

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理由1:なぜナメてくるのか?(「自己愛」と「誇大性」の心理)

部下が上司を軽んじる態度の背景には、特定の心理的特性が影響している可能性が考えられます。

日本教育心理学会の研究総説では、「自己愛(ナルシシズム)」傾向が強い人は、「誇大性や特権意識」を持ちやすいことが示されています。 また、「他者への共感性が低い」ことや、チームワーク(共同性)よりも自分のやり方や目標達成(作動性)を優先する傾向も指摘されています。 これらの特性が、「上司(あなた)の指示を聞かない」「自分のやり方を優先する」「相手がどう感じるか配慮しない」といった態度として現れているのかもしれません。

出典元の要点(要約)

日本教育心理学会

教育心理学と実践活動―自己愛をめぐる実践研究と実証研究の交差

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/58/0/58_167/_pdf/-char/ja

誇大性・特権意識や「自己愛憤怒」が自己愛的特徴として示される。威圧・否定的な言動への対応では、反応の高ぶりを前提に事実の記述と境界の共有を軸に、対立のエスカレーションを避けるコミュニケーション設計が求められる。

日本教育心理学会

教育心理学と実践活動―自己愛をめぐる実践研究と実証研究の交差

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/58/0/58_167/_pdf/-char/ja

総説は、自己愛傾向が対人関係や攻撃性と関連する面を指摘。現場の“威圧・理詰め・非傾聴”の背景理解として、自己愛の作動性と共同性のバランスに注意し、共同性を高める表現や役割の再確認を提示する。

理由2:なぜリーダー(あなた)は疲弊するのか?(「情緒的消耗」)

指示が通らない、尊重されない、という状況は、リーダーにとって強烈なストレスとなります。

日本老年社会科学会の研究では、バーンアウト(燃え尽き症候群)の中核的な症状は「情緒的消耗感」であるとされています。 言うことを聞かない部下への対応に日々エネルギーを使い、「何を言っても無駄だ」という無力感を感じることは、まさにこの「情緒的消耗感」を増大させます。 放置すれば、リーダーであるあなた自身が燃え尽きてしまう危険性があるのです。

出典元の要点(要約)

日本老年社会科学会

介護職員におけるバーンアウトとワークエンゲイジメントの関係性—JD-Rモデルによる検討—

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rousha/42/3/42_188/_pdf/-char/ja

バーンアウトは三つの側面からなる症候群で、情緒的消耗が中核とされる。人間関係の不調や否定的態度は個人特性だけでなく症候群の表現であり、休息や支援導入の判断根拠となる。

理由3:なぜ放置してはいけないのか?(「逆パワハラ」のリスク)

単なる「態度が悪い」だけなら、個人の問題かもしれません。しかし、その行為がエスカレートすると、法的な問題になる可能性があります。

厚生労働省のパンフレットでは、パワーハラスメントの定義の一つとして、「同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの」も含まれると明記されています。 集団でリーダーを無視したり、業務を妨害したりする行為は「逆パワハラ」として、あなたの心身の健康を深刻に害する(労働安全衛生研究(JOSH)では、ハラスメントのストレスを「月あたり約70時間に相当する」と試算)重大な問題です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

職場におけるハラスメント対策パンフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001338359.pdf

優越的関係は、上位者からに限らず“集団からの行為”も含みうる。抵抗困難性や関係性を踏まえた評価が必要で、見かけの上下関係に限定しない。現場では、同調圧力・集団での無視や囲い込みなども評価対象となる。この記事では、個人の“性格”に帰すだけでなく、集団ダイナミクスを視野に入れた対応(面談・記録・第三者関与)の重要性を示す根拠として用いる。

労働安全衛生研究(JOSH:労働安全衛生総合研究所〔JNIOSH〕)

職場のハラスメントがメンタルヘルスや組織に与える影響-中小企業従業者パネルデータを用いた実証分析-

https://www.jstage.jst.go.jp/article/josh/advpub/0/advpub_JOSH-2021-0021-GE/_pdf

ハラスメントの影響を長時間労働に換算した比較では「月あたり約70時間に相当」とされ、負の影響が極めて大きい。現場では、威圧・長時間詰問・人格攻撃などの抑制が、長時間労働是正と同等以上の健康投資であることを示す根拠となる。

このように、相手の心理的な特性、リーダーであるあなたの疲弊、そして法的なリスクという3つの理由から、この問題は「我慢」ではなく「冷静な技術」で対処する必要があるのです。


よくある質問(FAQ):「ナメてくる部下」への具体的な対処法

「ナメてくる部下」にどう対応すれば、リーダーとしての自信を失わずに済むのでしょうか。具体的な疑問に、エビデンスに基づきお答えします。

Q
集団で無視されています。これは「ナメられている」だけですか?
A

いいえ、それは「ナメられている」というレベルではなく、パワーハラスメント(部下から上司への)に該当する可能性が非常に高いです。

厚生労働省のパンフレットでは、パワハラの定義として「同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの」も含まれると明記されています。 これはあなたの心身を守るために、記録を取り、さらに上層部や人事部門に相談すべき深刻な問題です。放置すれば、あなたのメンタルヘルスが深刻に害される(労働安全衛生研究(JOSH))危険があります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

職場におけるハラスメント対策パンフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001338359.pdf

優越的関係は、上位者からに限らず“集団からの行為”も含みうる。抵抗困難性や関係性を踏まえた評価が必要で、見かけの上下関係に限定しない。現場では、同調圧力・集団での無視や囲い込みなども評価対象となる。この記事では、個人の“性格”に帰すだけでなく、集団ダイナミクスを視野に入れた対応(面談・記録・第三者関与)の重要性を示す根拠として用いる。

労働安全衛生研究(JOSH:労働安全衛生総合研究所〔JNIOSH〕)

職場のハラスメントがメンタルヘルスや組織に与える影響-中小企業従業者パネルデータを用いた実証分析-

https://www.jstage.jst.go.jp/article/josh/advpub/0/advpub_JOSH-2021-0021-GE/_pdf

ハラスメントの影響を長時間労働に換算した比較では「月あたり約70時間に相当」とされ、負の影響が極めて大きい。現場では、威圧・長時間詰問・人格攻撃などの抑制が、長時間労働是正と同等以上の健康投資であることを示す根拠となる。

Q
反論された時の「上手な切り返し方」は?
A

相手の土俵(感情論や挑発)に乗らないことが重要です。 もし相手が「でも」「だって」と反論してきた場合、その背景には「自己愛憤怒」(批判されたと感じて防衛的に怒る心理)があるかもしれません(日本教育心理学会の研究総説)。

その怒りに怒りで返さず、まずは相手の主張を冷静に受け止めつつ(例:「〇〇という考えなんだね」)、リーダーとしての「基準」や「チームのルール」を毅然と再提示します。 「あなたの意見は分かった。でも、チームとしてはこのルールで進めます」と、冷静に「事実」と「ルール」で対応することが、上手な切り返しとなります。

出典元の要点(要約)

日本教育心理学会

教育心理学と実践活動―自己愛をめぐる実践研究と実証研究の交差

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/58/0/58_167/_pdf/-char/ja

誇大性・特権意識や「自己愛憤怒」が自己愛的特徴として示される。威圧・否定的な言動への対応では、反応の高ぶりを前提に事実の記述と境界の共有を軸に、対立のエスカレーションを避けるコミュニケーション設計が求められる。

Q
感情的に叱責せずに注意するには、どう伝えればいいですか?
A

最も有効なのは「アサーション(自他尊重の主張)」という技術です。これは、日本教育心理学会の研究でも効果が示されている心理教育の手法です。

ポイントは、相手の人格(例:「君は生意気だ」)を責めるのではなく、客観的な「行動(事実)」に焦点を当てることです。 「(事実)あなたが〇〇という行動をしたことで、(影響)チームの〇〇に支障が出た。(依頼)今後はチームのルールとして〇〇してほしい」と、「わたし(I)メッセージ」を使って冷静に、リーダーとしての要望を伝えます。

出典元の要点(要約)

日本教育心理学会

大学新入生に対するアサーション・トレーニングの効果

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep/67/4/67_317/_pdf/-char/ja

アサーションは相手尊重を前提とした自己主張の心理教育である。攻撃的にならずに境界や要望を伝える標準手順(事実→感情→要望→結果)の導入に適する。

このように、相手の態度に応じて「冷静な技術(アサーション)」と「法的な防衛(パワハラとしての相談)」を使い分けることが、リーダーであるあなた自身を守るために重要です。


まとめ:「ナメる部下」から自分(リーダー)を守るために

最後に、「ナメてくる部下」への対応と、リーダーであるあなた自身の心を守るための要点を振り返ります。 大切なのは、感情的に反応せず、相手の心理を理解した上で「技術」として対処することです。

「生意気」と捉えず「心理特性」として客観視する

部下の「ナメた」態度は、あなた個人への攻撃ではなく、相手の「誇大性」や「共感性の低さ」といった心理的特性(自己愛傾向など)の表れかもしれません。

日本教育心理学会の研究総説などを参考に、その背景を客観視するだけで、あなたの感情的なイライラ(情緒的消耗)を減らす助けになります。

出典元の要点(要約)

日本教育心理学会

教育心理学と実践活動―自己愛をめぐる実践研究と実証研究の交差

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/58/0/58_167/_pdf/-char/ja

誇大性・特権意識や「自己愛憤怒」が自己愛的特徴として示される。威圧・否定的な言動への対応では、反応の高ぶりを前提に事実の記述と境界の共有を軸に、対立のエスカレーションを避けるコミュニケーション設計が求められる。

「叱責(攻撃)」や「我慢(受動)」ではなく「アサーション(主張)」で対処する

リーダーとしての毅然とした態度は、「感情的な叱責」では示せません。

日本教育心理学会の研究で効果が示されている「アサーション(自他尊重の主張)」を使い、相手の人格ではなく「行動(事実)」に焦点を当て、チームの「ルール」として冷静に、しかし毅然と伝え続けることが最も有効な指導法です。

出典元の要点(要約)

日本教育心理学会

大学新入生に対するアサーション・トレーニングの効果

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep/67/4/67_317/_pdf/-char/ja

アサーションは相手尊重を前提とした自己主張の心理教育である。攻撃的にならずに境界や要望を伝える標準手順(事実→感情→要望→結果)の導入に適する。

自分の「情緒的消耗」を防ぐことを最優先する

部下への対応でリーダーが消耗し、バーンアウト(燃え尽き)しては元も子もありません。 日本老年社会科学会の研究でも、対人ストレスが「情緒的消耗感」を高めることが示されています。

アサーションは、相手を変えるためだけでなく、あなた自身の心を守るための防衛スキルです。 もし相手の行為が集団的ないじめ(逆パワハラ)にエスカレートした場合は、厚生労働省の定義に基づき、あなた自身が相談窓口を利用することもためらわないでください。

出典元の要点(要約)

日本老年社会科学会

介護職員におけるバーンアウトとワークエンゲイジメントの関係性—JD-Rモデルによる検討—

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rousha/42/3/42_188/_pdf/-char/ja

バーンアウトは三つの側面からなる症候群で、情緒的消耗が中核とされる。人間関係の不調や否定的態度は個人特性だけでなく症候群の表現であり、休息や支援導入の判断根拠となる。

厚生労働省

職場におけるハラスメント対策パンフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001338359.pdf

優越的関係は、上位者からに限らず“集団からの行為”も含みうる。抵抗困難性や関係性を踏まえた評価が必要で、見かけの上下関係に限定しない。現場では、同調圧力・集団での無視や囲い込みなども評価対象となる。この記事では、個人の“性格”に帰すだけでなく、集団ダイナミクスを視野に入れた対応(面談・記録・第三者関与)の重要性を示す根拠として用いる。

このように、相手の心理を理解し、冷静な技術で対処することが、リーダーであるあなた自身とチーム全体を守ることに繋がります。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。この記事でお伝えした内容が、あなたの心を守り、日々の業務にあたる上でのお役に立てたら幸いです。



更新履歴

  • 2025年11月15日:新規投稿
  • 2025年11月18日:レイアウトの一部変更
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