【介護】服薬拒否は「症状」です。認知症で薬を嫌がる理由と、無理強いしない解決策

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穏やかだったのに、薬を見せた途端に「毒だ!」と拒絶されることがある。医師の「必ず飲ませて」を守ろうと、嫌がる口をこじ開ける介助は、互いに限界だと感じることはないでしょうか。

その拒否は性格ではなく、脳が見せる「症状」かもしれません。無理強いで信頼を失う前に、医師と連携して「薬を調整する」という解決策もあります。

この記事を読むと分かること

  • 拒否の原因は脳の仕組みによる可能性
  • 無理強いが招く可能性のある誤嚥リスク
  • 医師へ相談する際の参考情報

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 「毒だ」と薬を投げられた
  • 服薬介助に毎回30分かかる
  • 飲ませないと死ぬと焦る
  • こっそり食事に混ぜている

結論:服薬拒否は「症状」の可能性があります。無理強いせず「処方の見直し」を医師に相談してください。

女性の介護職員の画像

服薬拒否は、本人の性格ではなく「病識の欠る」「自己防衛」という脳の症状です。無理強いは誤嚥や骨折のリスクを高める可能性があります。

飲むこと自体を目的にせず、医師と連携して「薬を減らす」「飲みやすい形に変える」調整を行うことが、より安全な解決策となる場合があります。

現場では、「薬を飲ませないと病気が進んでしまう」というプレッシャーと、「嫌がる本人を無理やり押さえつける罪悪感」の板挟みになることがあります。

しかし、その必死な頑張りが、かえって本人と介護者双方のリスクになる場合もあります。正しい知識を前提に、まずは「戦わない選択」も検討しましょう。

拒否は「ワガママ」ではなく「脳の混乱」

認知症の人が薬を拒むのは、性格が変わったからとは限りません。脳の障害(中核症状)により状況が理解できず、不安や環境の影響が絡み合って起きることがある「行動・心理症状(BPSD)」です。

「毒だ」という訴えも、本人なりの不安の表れである場合があります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

行動心理学的症候(BPSD)は、中核症状の結果として生じるが、本人の性格、環境、人間関係などが絡み合って起きる。

無理な服薬は「誤嚥」や「転倒」につながることがある

服薬の際に、誤って気管に入る「誤嚥」のリスクが高まる可能性があります。

また、高齢者は薬が効きすぎて「過鎮静」になり、ふらついて転倒する危険もあります。薬物療法が、かえって身体を傷つける結果になる可能性があります。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

薬物療法は、転倒、誤嚥、過鎮静などの有害事象のリスクを考慮し、必要最小限にとどめる。

服薬の目的は本人の健康を守ることです。拒否が続くなら、無理に戦うのではなく、医師に相談して処方を見直すことも検討するタイミングです。それが本人とあなたを守るための選択肢の一つになります。


現場でよくある「薬飲まない」3つのパターンと解決の視点

女性の介護職員の画像

「受容や共感が大事」と研修で習いますが、実際の現場は待ったなしです。他の利用者の対応や業務に追われる中、薬を吐き出されたり暴言を吐かれたりすると、つい「いい加減にして」と思ってしまうのが本音ではないでしょうか。

ここでは、現場で見られる拒否の場面を整理し、エビデンスに基づく「冷静になるための視点」を確認します。

「毒が入っている!」と激怒される(被毒妄想)

信頼していた相手から突然「殺される」と言われ、介護者が傷つきやすいと感じることがあるパターンです。

状況薬を差し出すと「毒だ」「お前が盛った」と興奮する。
困りごと信頼関係が崩れ、食事や着替えなど他の介助も拒否される。
よくある誤解「家族だから甘えている」「性格がひねくれた」と思ってしまう。
押さえるべき視点記憶障害により「薬である事実」を忘れている可能性があります。あなたを憎んでいるとは限りません。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「物忘れ(記憶障害)」では、体験したこと自体を忘れめてしまう。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する

「私は病気じゃない」と口を開かない(病識欠如)

どこも悪くないと言い張り、薬の必要性を理解してくれないケースです。

状況「元気だから薬はいらない」と頑なに口を閉ざす。
困りごと「血圧が高いから」「先生が言ったから」と説得するほど意固地になる。
よくある誤解「説明すれば分かってくれるはず」と本人の理解力を過信してしまう。
押さえるべき視点認知症の定義には「知的機能の持続的な低下」が含まれます。自身の状態を客観視できなくなっているため、理屈での説得は困難な場合があります。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

認知症とは、いったん正常に発達した知的機能が持続的な低下し、社会生活に支障をきたすようになった状態

口には入れるが、吐き出してしまう(物理的拒否)

飲んだふりをして後で出したり、ずっと噛み砕いたりするケースです。

状況薬を口に含むが飲み込まず、ティッシュに出したり床に捨てたりする。
困りごと実際にどれだけ飲めたか分からず、服薬管理ができない。
よくある誤解「わざとやって困らせえている」「嫌がらせだ」と感じてしまう。
押さえるべき視点わざとではなく、薬の影響が関わる可能性があります。無理強いは誤嚥につながる可能性があります。
出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

薬物療法は,転倒,誤嚥,過鎮静などの有害事象のリスクを考慮し,必要最小限にとどめる。

どのパターンも「あなたへの攻撃」ではなく、脳の症状や身体的な辛さが原因となる場合があります。真正面から説得して戦うのではなく、「なぜ飲めないのか」の要因を観察し、医師に伝えることが解決への一歩になります。


なぜ「説明しても飲んでくれない」のか?脳の仕組みから知る原因

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「この薬は血圧を下げる大事なもの」と説明しても、数分後にはまた拒否される。現場では「さっき分かったと言ったのに」と徒労感を抱きがちです。

しかし、これは「約束を破った」わけではありません。脳の機能が低下し、「飲む理由」「あなたの善意」が届きにくい場合があります。

脳の「事実を認識する力」が低下している可能性があるから

私たちは「薬=健康のため」と理解できますが、認知症の人は薬が何か分からなくなることがあります。

記憶障害により「さっき医師に処方された」という文脈を思い出しにくい場合があります。その結果、目の前の薬が「何かわからない怖いもの」に見えてしまう場合があります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「物忘れ(記憶障害)」では、体験したこと自体を忘れてしまう。アルツハイマー型認知症の早期徴候

「説得」が「攻撃」として記憶されるから

事実(薬の必要性)は忘れても、「嫌なことをされた」という感情は強く残ります。

無理やり飲ませようとする必死の形相は、本人にとって「敵意」として記憶され、次の拒否を招く悪循環になり得ます。「説明」ではなく不快なかかわりとして受け取られる場合があります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

(感情は残るため)不快な感情を残さないようなかかわりが重要である。

薬そのものが「リスク」になっているから

高齢者は代謝が落ちており、薬が効きすぎて「ふらつき」「飲み込みにくさ」が出ている場合があります。

本能的に「これを飲むと具合が悪くなる」と身体が拒否している可能性もあります。拒否は、薬の影響が関わる可能性もあります。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

薬物療法は、転倒、誤嚥、過鎮静などの有害事象のリスクを考慮し、必要最小限にとどめる。

拒否は、脳の混乱や不快な体験、身体的な苦痛から生じることがあります。「分からず屋」なのではなく、今の方法では「飲めない理由」がある場合があります。


現場の「小さな迷い」を解決する3つのQ&A

服薬介助は毎日のことだからこそ、教科書通りにはいかない「小さな判断」に迷います。

「一回飛ばしてもいい?」「食事に混ぜていい?」といった現場の疑問に、エビデンスに基づく視点でお答えします。

Q
どうしても飲まない時、一回くらい飛ばしてもいいですか?
A
自己判断は禁物ですが、無理強いで誤嚥させるリスクと天秤にかける必要があります。事前に主治医と「飲めない時はどうするか(スキップか、後で飲むか)」を決めておくこともあります。
出典元の要点(要約)
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

薬物療法は、転倒、誤嚥、過鎮静などの有害事象のリスクを考慮し、必要最小限にとどめるとともに、効果と不利益のバランスを継続的に評価する。

Q
「毒だ!」と言われたら、どう返せばいいですか?
A
否定も肯定もせず、「心配なんですね」と感情を受け止めてください。「毒じゃない!」と否定すると、本人の世界(毒が入っていると感じている現実)を否定することになり、余計に興興奮や不安を招く可能性があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する

Q
こっそり食事に混ぜてもいいですか?
A
薬によっては影響が出る恐れがあります。医師や薬剤師に相談し、混ぜても良い薬か、味の変わらない方法があるかを確認してから行ってください。
出典元の要点(要約)
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

薬物療法は、リスク・ベネフィットを踏まえた限定的適応とする。

どの迷いも、「安全」と「安心」を守るためのものです。一人で抱え込まず、医師や薬剤師を巻き込んで「無理なく続けられる方法」を探ることが、結果として本人を守ることにつながる場合があります。


「飲ませる戦い」はもう終わり。まずは「拒否の記録」から始めましょう

「今日も飲ませられなかった」と自分を責めるのは、もうやめましょう。あなたのせいでも、本人のせいでもない場合があります。

明日からは、無理やり飲ませる代わりに、「飲まなかった時の様子」をメモに残すことを目標にしてみてください。

「どんな言葉で拒否したか」「時間は何時か」という記録が、医師に現状を伝え、「減薬」「変更」につなげる材料になる場合があります。

あなたの役割は、薬を押し込むことではなく、本人の「飲めないサイン」を医師に届けることだと考えられます。それが、本人とあなた自身を守るための一歩になります。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事が、明日の服薬介助の負担を少しでも軽くする一助になれば幸いです。


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更新履歴

  • 2025年9月26日:新規投稿
  • 2026年2月16日:より詳細なエビデンス(根拠)に基づき解説を充実させるとともに、最新のサイト基準に合わせて構成・レイアウトを見やすく刷新。

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