【介護】トイレ誘導で拒否されるのはなぜ?認知症の方への立ち位置と声掛けの基本

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「トイレ行きますよ」と声をかけた瞬間、拒否されたり怒鳴られたりして、足がすくむような思いをしたことはありませんか?

本当はゆっくり関わりたくても、業務に追われてつい後ろから声をかけたり、焦って早口になってしまうのが現場の現実かもしれません。
理想通りにはいかなくても、「正面に立つ」ことを意識する点が挙げられています。

この記事を読むと分かること

  • 相手が認識しやすい立ち位置
  • 目線の高さ
  • 会話術

一つでも当てはまったら、この記事が役に立つことがあります

  • 後ろから声をかけている
  • つい幼児語を使ってしまう
  • 何度も同じことを聞かれる
  • 忙しくて早口になる

結論:言葉選びの前に見直したい「立ち位置」と「尊厳」

男性入居者の画像

「目線を合わせて、ゆっくり丁寧に」。研修やマニュアルではそう教わることがあります。
しかし現場では、限られた人員で多くの利用者様を対応しなければならず、業務を回すだけで精一杯なのが現実だと感じることもあるのではないでしょうか。

「理想は分かっているけれど、物理的に時間が足りない」という葛藤は、介護士が抱えることがあります。
完璧な対応は難しくても、ここだけ押さえると伝わり方が変わるとされるポイントに絞ってご紹介します。

相手が認識できる「正面」に回り込む

認知症の方への身体的アプローチとして、まず重要とされるのは相手が認識しやすい立ち位置をとることです。
視野が狭くなっている場合、横や後ろからの声かけは認識しにくいことがあります。

また、相手に麻痺や筋力低下がある場合は、安定した姿勢を確保してから関わることが推奨されています。

話しかける際は、以下のポイントが挙げられています。

  • はっきりとした声で、聞こえやすい大きさで話す
  • 苦痛がないか確認しつつ、表情に留意する
  • 声の調子に気をつけ、ゆっくり話す
  • 言葉だけでなく、身振りや手振りを織り交ぜながら話す
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体前特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。

「幼児語」を使わず自尊心を守る

心理的なアプローチとして大切とされるのは、利用者様の価値観や習慣を受容し、これまでの人生を尊重する態度です。
親しみを込めたつもりでも、幼児語は相手の自尊心を傷つける可能性があるため避け、自尊心を尊重することが望まれます。

信頼関係を築くためには、以下の配慮が重要とされています。

  • 相手にとって不快でない距離や目線の高さを保つ
  • 一方的に話さず、相手の表情を確認しながら話しかける
  • 焦らせず、相手のペースに合わせて気持ちを汲み取る
  • 家族とだけ話したりせず、相手を置き去りにしない
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

忙しい中でも「正面に回る」「幼児語を使わない」の2点だけは意識するとよいでしょう。言葉の内容以上に、立ち位置や態度といった非言語情報に留意する点が挙げられています。


現場で見られることがある「すれ違い」3つの事例

男性入居者と女性介護職員の画像

日々の業務、本当にお疲れ様です。
次から次へと対応に追われる中、「早く済ませないと」という焦りから、つい効率を優先してしまうことはありませんか?

悪気はなくても、認知症の方にとっては「怖い」「バカにされた」と感じることがある対応があります。
現場で起きがちなケースと、エビデンスに基づいた視点を見ていきましょう。

事例①:後ろから・上から声をかけてしまう

車椅子を押しながら「トイレ行きますよ」と背後から声をかけたり、ベッドに寝ている方に立ったまま見下ろして話しかけたりしていませんか?
視野が狭くなっている高齢者にとって、見えない位置からの声かけは認識しにくいことがあります。

まずは相手の視界に入る位置、つまり正面に回り込むことが大切な場合があります。
また、相手に麻痺がある場合は、安定した姿勢を確保してから関わる点が挙げられています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する。

事例②:親しみを込めたつもりの「幼児語」

距離を縮めようとして、「〇〇ちゃん、いい子ね」「ちー出た?」などと話しかけていませんか?
本人に悪気はなくても、人生の大先輩である利用者様にとって、子供扱いは自尊心を深く傷つけることがある行為です。

その場ではニコニコしていても、「自分を軽んじる相手」として認識されることがあります。
価値観や習慣を受容し、自尊心を尊重することが求められるとされています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する。

事例③:伝わらないからと「大声・早口」になる

返事がないと、つい大きな声で、早口にまくし立ててしまうことはないでしょうか。
認知機能が低下している方にとって、矢継ぎ早の言葉は情報の洪水のように感じられ、処理しきれずに混乱(フリーズ)してしまうことがあります。

言葉だけで伝えようとせず、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

  • はっきりとした声で、聞こえやすい大きさで話す
  • 声の調子に気をつけ、ゆっくり話す
  • 言葉だけでなく、身振りや手振りを織り交ぜながら話す
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。

「拒否」に関して、こちらの「立ち位置」や「話し方」に留意する点が挙げられています。まずは一つ、「正面から」関わることから始めてみませんか。


なぜ「ちょっとしたこと」で拒否されるのか?

女性の介護職員の画像

「さっきまで機嫌が良かったのに、急に怒り出して手をつけられない」。
現場ではそんな場面に遭遇することがあります。

こちらとしては「普通の声かけ」のつもりでも、利用者様にとっては「不快」に感じられることがあるのです。
その背景には、認知症に伴う変化があると考えられます。

言葉よりも「雰囲気」を敏感に感じ取ることがある

アルツハイマー型認知症などが進行すると、言葉の意味を理解する力(失語)や、状況を判断する力(社会的認知機能)が低下します。

そのため、以下の非言語情報に留意する点が挙げられています。

  • 相手の表情(怒っているか、穏やかか)
  • 声のトーンや大きさ
  • 身振り手振りの雰囲気

「何を言っているか」よりも「どんな顔で言っているか」に留意する点が挙げられています。

出典元の要点(要約)

日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf

典型的な症状は、緩徐に進行する出来事記憶の障害から始まり、次第に失語や遂行機能障害、視空間機能障害、人格変化などの社会的認知機能の低下へと進展します。

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りお織り交ぜながら話すといったポイントがある。

「見えない位置」からの声は認識されにくいことがある

加齢や認知機能の低下により、視野は健康な人が思う以上に狭くなっていることがあります。
そのため、真横や後ろからの声かけは、認識されにくいことがあります。

本人が認識しやすい立ち位置(正面)に入らない場合、その声が届きにくいことがあります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる。

「不快な感情」が生じることがある

「さっき怒鳴られた」「子供扱いされた」という出来事の記憶は、記憶障害によってすぐに消えてしまうかもしれません。
しかし、その時に感じた「嫌だった」「怖かった」「バカにされた」という感情が生じることがあると言われています。

一度自尊心を傷つけてしまうと、理屈抜きで「この人は嫌な人」という印象を持たれることがあります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する。

拒否は「わがまま」や「性格」の問題とは限りません。脳の機能変化によって「そう感じてしまう」反応となることがあります。だからこそ、こちらの立ち位置や態度を変えることで、その反応を劇的に変えられる可能性があるのです。


現場の「迷い」にお答えします

「理屈はわかるけど、こんな時はどうすれば?」
現場で判断に迷う場面について、エビデンスに基づいた視点でお答えします。

Q
何度言っても伝わらず、ついイライラしてしまいます。どう伝えればいいですか?
A
言葉だけで伝えようとせず、非言語コミュニケーションを活用する点が挙げられています。 正面から、身振りや手振りを織り交ぜながら、ゆっくりとした調子で話す点が挙げられています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。

Q
親しみを持って接するために、あだ名やタメ口を使うのはダメですか?
A
自尊心を尊重するため、幼児語や子供扱いは避けたほうがよい場合があります。 ただし、事務的になるのではなく、相手の価値観や習慣を受容し、ペースを合わせることが重要とされています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する。

Q
ケア中に無言になってしまうのですが、何を話せばいいですか?
A
相手を置き去りにしないよう、表情を確認しながら話しかけることが大切とされています。 特別な話題でなくても、これから行うことの説明や、不快がないかの確認など、相手の気持ちを汲み取る声掛けを行うとよいでしょう。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

Q
親しみを持って接するために、あだ名やタメ口を使うのはダメですか?
A
自尊心を尊重するため、幼児語や子供扱いは避けたほうがよい場合があります。 ただし、事務的になるのではなく、相手の価値観や習慣を受容し、ペースを合わせることが重要とされています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する。

正解を一つに絞る必要がない場合もあります。「自尊心を守る」「正面から向き合う」という基本さえ押さえておけば、その場に応じたあなたの対応が、利用者様にとっての安心につながることがあります。


結論:まずは「正面に立つ」ことから始めてみませんか

日々の業務の中で、すべてのケアを教科書通りに行うことは難しいかもしれません。 しかし、トイレ誘導の際、声をかける前に「一歩踏み込んで正面に立つ」。 まずはこの一点だけを意識してみてはいかがでしょうか。

無理に笑顔を作ったり、気の利いた言葉を探したりする必要はありません。 物理的に「相手の視界に入る」こと、そして「上から見下ろさない」こと。 その行動自体が、認知症の方に対する敬意となり、安心感として伝わることがあります。

利用者様の表情が和らぐ場合、それは介護する皆様自身の心の負担が軽くなることにもつながる可能性があります。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。


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  • 2026年3月23日:新規投稿

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