本音と理想のあいだで悩むあなたへ
介護予防の大切さはわかっていても、誘うたびに本人と喧嘩になり、説得に疲れていませんか。「無理にでも連れて行くべきか」と一人で悩うのはもう終わりです。
理想の自立支援と、現実の強い拒絶。そのギャップを埋めるには、全部をやろうとせず、本人のプライドを守る「現実的な落とし所」を見つけることが重要です。
この記事を読むと分かること
- 拒否の裏にある本人の心理
- 自尊心を傷つけない話し方
- 意思を汲み取る支援の手順
- 生活の質を高める環境調整
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
結論:介護予防の参加を拒否されたら?「目的」ではなく「結果」として社会参加をデザインする

現場では、「予防のために外へ連れ出したいけれど、本人が嫌がるのを無理やり説得するのは精神的にきつい」という声があふれています。
家族からの「何とかして」という要望と、本人の強い拒絶の板挟みになり、疲弊してしまうことも多いでしょう。
しかし、介護予防の本来の目的を振り返ることで、無理な説得を手放す糸口になることがあります。
機能回復だけを「目的」にしない
介護予防というと、つい「運動機能を維持すること」や「栄養状態を良くすること」を一番の目標にしてしまいがちです。
しかし、それらはあくまで手段の一部にすぎません。「歩けるようにさせなきゃ」「食べさせなきゃ」と焦るあまり、本人の気持ちを置き去りにしてしまうと、強い拒絶を生む原因になり得ます。
まずは、機能回復だけをゴールにする考え方を少し休めてみましょう。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護予防マニュアル 第4版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001238550.pdf
介護予防が目を目指すものは、単なる高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけではなく、心身機能の改善や環境調整などを通じて日常生活の活動性を高め、家庭や社会への参加を促し、一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援して生活の質(QOL)の向上を図ることである。
環境を整え、自然な「社会参加」を促す
本来の介護予防は、心身の機能改善だけでなく、本人の環境調整を行うことも重要な役割です。
無理にサロンへ連れ出すのではなく、本人が自宅や地域で「役割」を持てるような環境を整えることから始めます。
結果として、それが家庭や社会への参加につながっていくことがあります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護予防マニュアル 第4版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001238550.pdf
介護予防が目指すものは、単なる高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけではなく、心身機能の改善や環境調整などを通じて日常生活の活動性を高め、家庭や社会への参加を促し、一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援して生活の質(QOL)の向上を図ることである。
最終的なゴールは「生きがい」と「QOL」の向上
介護予防が目指す一番のゴールは、一人ひとりの生きがいや自己実現を支えることです。
本人がその人らしく、充実した生活を送るためのQOL(生活の質)の向上が求められています。※注:QOLとはQuality of Lifeの略で、生活の質や人生の豊かさを意味します。
「あの人が好きだったことは何か」「どんな時に笑顔になるか」を見つけることが、実は介護予防の一つになります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護予防マニュアル 第4版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001238550.pdf
介護予防が目指すものは、単なる高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけではなく、心身機能の改善や環境調整などを通じて日常生活の活動性を高め、家庭や社会への参加を促し、一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援して生活の質(QOL)の向上を図ることである。
介護予防の目的は、機能の回復だけではなく「その人らしい生活(QOL)の向上」です。本人が生きがいを感じられる環境作りから始めることが、結果的に自然な社会参加へと繋がっていくことがあります。
現場で起きる「介護予防の拒否」の典型パターンと対応策

現場では、「本人のためを思って勧めているのに、なぜこんなに嫌がられるのか」と疲弊する声が多く聞かれます。
建前では「自立支援のために外出を」と分かっていても、現実には説得すればするほど関係が悪化し、支援の入り口にすら立てないという苦難があります。
「年寄り扱いするな」とプライドが傷つき怒り出すケース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 家族や支援者が「足腰が弱るからサロンに行きましょう」とパンフレットを渡す。 |
| 困りごと | 本人が「自分はまだそんな所に行く年齢ではない」と激怒し、話を聞いてくれない。 |
| よくある誤解 | 将来のリスクという「正論」で説得すれば、いつか分かってもらえるはずだと思い込むこと。 |
| 視点 | 正論ではなく、本人の価値観を受容し、自尊心を尊重した関わりを重視する。 |
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。
「疲れるから」と外出を面倒がり一日中テレビを見ているケース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 以前は活動的だったが、今は誘っても「家が一番いい」と動こうとしない。 |
| 困りごと | このままでは閉じこもりや機能の低下が進むのではないかと、周囲が焦りを感じている。 |
| よくある誤解 | 外に出して運動させることが目的だと考え、無理に通所サービスへ行かせようとすること。 |
| 視点 | 本人の「したい」を大切にし、訪問アプローチなどで生活行為の改善を起点にする。 |
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護予防マニュアル 第4版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001238550.pdf
一般介護予防事業と短期集中予防サービスのイメージとして、本人の「したい・できるようになりたい」を大切にした「生活行為の改善を目的とした介護予防ケアマネジメント」を起点とし、閉じこもりやうつ、認知機能低下者へは「訪問型サービスC(短期集中予防サービス)」による訪問アプローチを、運動器向上やADL/IADL動作練習等は「通所型サービスC(短期集中予防サービス)」を組み合わせる。
家族が勝手に行く場所を決めてしまい、本人が心を閉ざすケース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 家族がデイサービスや通いの場の手続きを、本人不在のまま進めてしまう。 |
| 困りごと | 本人が「勝手に決められた」と感じ、一切の支援を拒絶するようになる。 |
| よくある誤解 | 認知機能が落ちたから、本人の代わりに専門職らが「正しい判断」をすべきだと思い込む。 |
| 視点 | 自らの意思に基づいた生活を送れるよう、意思形成・表明支援のプロセスを踏む。 |
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思決定支援とは、認知症の人が能力を最大限活かして自らの意思に基づいた生活を送れるよう、意思決定支援者が行う本人支援である。そのプロセスは、本人が意思を形成することの支援(意思形成支援)と、意思を表明することの支援(意思表明支援)を中心とし、意思を実現するための支援(意思実現支援)を含む。
介護予防の拒否は、プライドの傷つきや置いてけぼりにされた不安に関連することがあります。本人の「したい」という意思や自尊心を尊重する関わりが重要です。
なぜ「介護予防」を嫌がるのか?理想と現場のギャップから見る原因

現場では、「予防が大事なのは分かっているけれど、本人が行きたがらないのに無理やり連れ出すのは疲れる」というリアルな葛藤があります。
なぜ、これほどまでに介護予防は嫌がられてしまうのでしょうか。背景には、制度上の理想と現実のギャップが隠れています。
「機能回復」という建前と「生きがい」の喪失という現実
機能回復だけを目標にしてしまうと、本人は「やらされている感」を抱いてしまいます。
| 建前(理想) | 心身の機能を改善することが第一の目的 |
| 現実(現場) | 機能回復ばかりを押し付けられ、本人の意欲が失われる |
| 根本原因 | 活動性を高め、生活の質(QOL)を向上させる視点が置き去り |
「自立支援」という方針と本人のペースを置き去りにする現実
サービスの利用自体が目的化しがちになると、本人の抵抗感を生んでしまいます。
| 建前(理想) | 能力維持のために保健医療・福祉サービスを利用する |
| 現実(現場) | サービス利用が義務のようになり、本人のペースが守られない |
| 根本原因 | 健康保持の努力義務が、本人へのプレッシャーになっている |
「本人のため」という大義名分と自尊心を傷つけるコミュニケーション
良かれと思って提案する中で、大人としての尊厳を見失ってしまうことがあります。
| 建前(理想) | 本人の将来を思っての熱心な説得や提案 |
| 現実(現場) | 本人の気持ちを汲み取らず、家族とだけで話を進めてしまう |
| 根本原因 | 相手を置き去りにし、これまでの価値観を受容できていない |
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。
介護予防が拒否される場合、機能回復や自立支援という「理想」が先行し、本人の生きがいや自尊心が置き去りになっていることがあります。相手のペースを受容することが大切です。
「行きたがらない本人」への対応に関する現場の小さな迷いへの回答
現場では、「本人が嫌がる場合、どこまで強く勧めるべきか」といった悩みが尽きません。日々の介助で直面しやすい疑問に、エビデンスに基づいてお答えします。
- Q本人が嫌がっていても、機能向上のために無理にでも行かせるべきですか?
- A機能の改善だけを無理に目指す必要はありません。介護予防の目的は、日常生活の活動性を高め、生きがいや生活の質(QOL)の向上を図ることです。環境調整を優先してください。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護予防マニュアル 第4版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001238550.pdf
介護予防が目指すものは、単なる高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけではなく、心身機能の改善や環境調整などを通じて日常生活の活動性を高め、家庭や社会への参加を促し、一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援して生活の質(QOL)の向上を図ることである。
- Q本人の意思がはっきりしない場合、代わりに決めて良いのでしょうか?
- A周囲が代理で決めるのではなく、本人が自らの意思で生活できるようサポートする視点が重要です。本人が意思を形成し、表明できるよう支援するプロセス(意思決定支援)を丁寧に行いましょう。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思決定支援とは、認知症の人が能力を最大限活かして自らの意思に基づいた生活を送れるよう、意思決定支援者が行う本人支援である。そのプロセスは、本人が意思を形成することの支援(意思形成支援)と、意思を表明することの支援(意思表明支援)を中心とし、意思を実現するための支援(意思実現支援)を含む。
本人の拒絶に対して無理に正論を押し通したりせず、QOLの向上を目標に据え、自尊心を守る意思決定支援のプロセスを踏むことが安心につながる可能性があります。
まとめ:介護予防の「説得」に疲れたあなたへ。本人の自尊心を守る一歩を
介護予防の本来の目的は、機能訓練のノルマをこなすことではなく、本人が自分らしく生きがいを持って過ごすことにあります。
「将来のために行かせなきゃ」という焦りが強い拒絶を生んでいるなら、一度その説得をお休みしてみても大丈夫です。
現場の多忙さの中で理想を追うのは大変ですが、まずは本人のこれまでの価値観や習慣を認め、一人の大人として向き合うことから始まります。
明日からの「最初の一歩」として、誘うのを一度やめて、本人が大切にしているこだわりについて「教えてもらう」会話を試してみてください。
その対等なやり取りが本人の自尊心を守り、やがて自発的な「外との繋がり」へと変わっていくきっかけになります。
最後までご覧いただきありがとうございます。この記事が、あなたと利用者の新しい関係を築く一助となれば幸いです。
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更新履歴
- 2026年5月16日:新規投稿







