業務中、利用者様への対応以上に上司や先輩の顔色を伺い、気疲れしてしまう瞬間はないでしょうか。
本当は一人ひとりに丁寧に向き合いたいのに、人手不足の現場では効率ばかりが優先され、ため息をつかれる怖さから「ちょっと待って」と言ってしまう──そんな理想と現実の狭間で葛藤する場面が多くあります。
この記事を読むと分かること
- 人間関係が退職理由1位の事実
- 辞めるのは「甘え」ではない根拠
- 定着率が高い職場の具体的な特徴
- 次の職場選びで確認すべき基準
- 自分を責めずに働くための視点
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
結論:データが示す「辞める理由」と「残る理由」

現場では「人手が足りないから、熱があっても休めない」「上司が残っているから先に帰れない」といった暗黙のルールに縛られ、心身をすり減らしている方が少なくありません。
「利用者のために」という建前は理解していても、ギリギリの人員配置の中では、職員同士の助け合いどころか、余裕のなさからくるギスギスした人間関係に疲弊してしまうのが現実ではないでしょうか。
「こんなことで辞めたいと思う自分は弱いのではないか」と自分を責めてしまう前に、まずは客観的なデータを見てみましょう。あなたの悩みは、決してあなた一人のものではありません。
「人間関係」で辞めるのは甘えではありません
多くの介護士が「人間関係の悩み」を理由に職場を離れています。実際に調査データを見ると、介護職を辞めた理由の第1位は「職場の人間関係」であり、全体の1割以上を占めています。
さらに、その人間関係の悩みを具体的に見ていくと、同僚とのトラブルよりも「上司・先輩の指導や言動がきつい」「パワーハラスメントがあった」というケースが約半数に達し、圧倒的に多いことが分かります。
つまり、指導という名目でのきつい言葉や理不尽な扱いに耐えられず退職することは、決して「甘え」や「逃げ」ではなく、多くの人が直面している構造的な問題なのです。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
前職を辞めた理由の1位は「職場の人間関係に問題があったため」(12.4%)であり、「結婚・出産・妊娠・育児のため」(9.3%)、「法人や事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」(6.6%)が続いている。
公益財団法人介護労働安定センター
令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
「職場の人間関係に問題があったため」と回答した人の具体的な理由は、「上司・先輩の指導・言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」(49.1%)が最も多く、次いで「同僚との人間関係がうまくいかなかった」(29.6%)となっている。
長く働ける職場の条件は「有給」と「柔軟性」
「どこに行っても介護現場は同じ」と諦める必要はありません。職員が長く定着している職場には、明確な特徴があります。
データによれば、職場定着に最も効果を上げている取り組みは「有給休暇の取りやすさ」であり、次いで「勤務日時の変更のしやすさ」が挙げられています。
給与の高さだけでなく、「休みたい時に休める」「急な用事でもシフトを調整してもらえる」という働きやすさこそが、長く仕事を続けるための最も重要な条件であることが証明されています。今の職場がこの条件を満たしていないなら、環境を変えることで状況が好転する可能性は十分にあります。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
労働者の定着促進に向けた取り組みで効果があったと感じるものは、「有給休暇等の取得しやすさ」が62.4%で最も多く、次いで「勤務日時の変更のしやすさ」(55.4%)、「残業を少なくする、なくす」(47.5%)となっている。
人間関係や労働条件での悩みは、個人の忍耐力不足ではありません。データが示す通り、「有給が取りやすい」「勤務変更が柔軟」な環境こそが、長く安心して働くための鍵です。今の苦しさは、環境を変えることで解決できるかもしれません。
よくある現場で起きている「3つの壁」

現場では「トイレ介助中にナースコールが重なり、焦っているところに先輩から『効率が悪い』と叱責される」といった場面が日常茶飯事ではないでしょうか。
また、本当は腰が限界で休みたいのに、シフト表の空欄を見て「自分が休んだら現場が回らない」と言い出しっぺになれず、痛み止めを飲んで出勤することも珍しくありません。
こうした「理想のケア」と「現実の業務量」の板挟みは、個人のスキル不足ではなく、多くの現場で共通して起きている構造的な課題です。ここでは、データが裏付ける「よくある3つの壁」について解説します。
事例1:指導という名の「きつい言動」
新人や中堅職員が最も悩みやすいのが、教育担当や古株職員からの高圧的な態度です。「なぜこんなこともできないの」といった人格を否定するような言葉や、無視などの態度を取られることで、精神的に追い詰められるケースが後を絶ちません。
これはあなただけの特別な事例ではなく、実際に介護職を辞めた人の理由として最も多いのが「職場の人間関係」であり、その中でも「上司・先輩の指導・言動がきつい」「パワーハラスメント」が約半数を占めています。指導とハラスメントの境界線が曖昧な現場では、真面目な人ほど自分を責めてしまう傾向があります。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
「職場の人間関係に問題があったため」と回答した人の具体的な理由は、「上司・先輩の指導・言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」(49.1%)が最も多く、次いで「同僚との人間関係がうまくいかなかった」(29.6%)となっている。
事例2:「休めない」同調圧力
「熱があるけれど、夜勤の代わりがいないから出勤する」「有給を取りたいが、人手不足で言い出せる雰囲気ではない」という悩みも深刻です。
実際、介護事業所の6割以上が「人手が不足している」と回答しており、労働者の悩みでも「人手が足りない」がトップに挙がっています。物理的に人が足りない環境では、休むことが「悪」とされる同調圧力が生まれやすく、職員一人ひとりの犠牲の上に現場が成り立っている現状があります。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
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事業所における介護職員の過不足状況は、「不足している」(「大いに不足」12.1%+「不足」20.2%+「やや不足」32.9%)が65.2%となっている。
公益財団法人介護労働安定センター
令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
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労働条件・仕事の負担などに関する悩みは、「人手が足りない」が49.1%で最も多く、次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」(35.3%)、「身体的負担が大きい(腰痛や体力への不安)」(24.6%)となっている。
事例3:報われない給与と身体的負担
「仕事内容は好きだが、将来が不安」と感じさせる要因が、業務の過酷さと処遇のアンバランスです。
入浴介助や移乗介助による腰痛などの身体的負担を感じている職員は約4人に1人に上ります。さらに、その負担に対して「賃金が低い」と感じている人は3割を超えており、専門職としての責任の重さと対価が見合っていないという不満が、モチベーション低下の大きな要因となっています。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
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労働条件・仕事の負担などに関する悩みは、「人手が足りない」が49.1%で最も多く、次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」(35.3%)、「身体的負担が大きい(腰痛や体力への不安)」(24.6%)となっている。
このように、現場で感じる「辛さ」の背景には、ハラスメントに近い指導・慢性的な人手不足・処遇の低さという明確な根拠があります。これらは個人の努力だけで解決できる問題ではなく、環境そのものを見直す必要がある課題と言えます。
なぜ介護現場の人間関係はこじれるのか?

現場では、本来は穏やかで優しい性格の職員が、業務に入った途端に「厳しい口調」に変わってしまう光景をよく目にします。
休憩室では楽しく話せるのに、フロアに戻ると「余裕のなさ」からピリピリとした空気が流れ、些細なミスで怒号が飛ぶこともあります。「もっと優しく接したい」と誰もが思っているのに、終わらない業務と鳴り止まないナースコールに追われ、精神的な余裕をすり減らしているのが現実です。
こうした人間関係の悪化は、職員個人の性格の問題ではなく、介護現場特有の「構造的な要因」が深く関わっています。
要因1:慢性的な人手不足による「心の余裕」の喪失
人間関係がギスギスする最大の原因は、圧倒的な「人手不足」にあります。データによれば、介護事業所の65.2%が「人手が不足している」と回答しています。
過半数の現場で職員が足りていない状態では、一人当たりの業務負荷が限界を超えてしまいます。その結果、新人教育に時間を割く余裕がなくなり、教える側も教わる側も焦りや苛立ちを感じやすくなります。
「忙しいから今は話しかけないで」というオーラや、助けを求めにくい雰囲気は、個人の資質ではなく「物理的に人が足りない」という環境が生み出しているのです。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf
事業所における介護職員の過不足状況は、「不足している」(「大いに不足」12.1%+「不足」20.2%+「やや不足」32.9%)が65.2%となっている。
要因2:身体的負担と待遇への不満の蓄積
職員が抱えるストレスの要因は、業務量だけではありません。労働者の悩みに関する調査では、以下の項目が上位を占めています。
- 人手が足りない(49.1%)
- 仕事内容のわりに賃金が低い(35.3%)
- 身体的負担が大きい(24.6%)
多くの職員が、腰痛などの身体的な痛みや、仕事の責任に見合わない給与への不満を抱えながら働いています。こうした慢性的なストレスが蓄積することで、他者への寛容さが失われ、些細なことで感情が爆発しやすい環境が作られてしまいます。
つまり、人間関係のトラブルは、職員同士の相性というよりも、過酷な労働環境によって引き起こされている側面が強いと言えます。
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労働条件・仕事の負担などに関する悩みは、「人手が足りない」が49.1%で最も多く、次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」(35.3%)、「身体的負担が大きい(腰痛や体力への不安)」(24.6%)となっている。
人間関係のこじれは、あなたのコミュニケーション能力不足ではなく、「6割以上の現場で人が足りず、心身の負担が大きい」という業界全体の構造が生み出した結果です。自分を責める必要はありません。
退職を迷うときの「実務的な迷い」
「辞めたいけれど、次の職場も同じだったらどうしよう」「人手不足の中、自分だけ抜けていいのか」──そんな不安で動けなくなってしまうのは、あなたが仕事に真剣に向き合っている証拠です。ここでは、退職を迷う際によくある疑問について、データに基づいて回答します。
- Q「どこに行っても人間関係は同じ」と言われますが本当ですか?
- A
そのようなことはありません。確かに人間関係は退職理由のトップですが、一方で「職場の人間関係がよかったから」という理由で今の職場を続けている人も3割以上います。また、定着率が良い職場は「有給休暇が取りやすい」「勤務変更がしやすい」といった労働環境が整っている傾向があり、職場によって「働きやすさ」や「人間関係の質」には明確な差が存在します。
出典元の要点(要約)
公益財団法人介護労働安定センター
令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
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前職を辞めた理由の1位は「職場の人間関係に問題があったため」(12.4%)である一方、今の職場を続けている理由として「職場の人間関係がよさそうだったため」(33.6%)が挙げられている。
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労働者の定着促進に向けた取り組みで効果があったと感じるものは、「有給休暇等の取得しやすさ」が62.4%で最も多く、次いで「勤務日時の変更のしやすさ」(55.4%)となっている。
- Q次の職場を探す際、面接で「有給は取れますか?」と聞いてもいいですか?
- A
はい、確認すべき非常に重要なポイントです。データによれば、職員の定着に最も効果を上げている取り組みは「有給休暇等の取得しやすさ」です。長く健康に働き続けるためには、給与だけでなく「休みの取りやすさ」が不可欠な条件であるため、面接等の場で確認することは正当な権利と言えます。
出典元の要点(要約)
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労働者の定着促進に向けた取り組みで効果があったと感じるものは、「有給休暇等の取得しやすさ」が62.4%で最も多く、次いで「勤務日時の変更のしやすさ」(55.4%)となっている。
- Q人手不足の現場を残して辞めることに罪悪感があります。
- A
責任を感じる必要はありません。介護事業所の65.2%が「人手が不足している」と回答しており、これは特定の個人の責任ではなく、業界全体の構造的な課題です。ご自身の心身の健康を犠牲にしてまで留まる必要はなく、環境を変えることは、あなたが長くケアの仕事を続けるための前向きな選択肢の一つです。
出典元の要点(要約)
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令和6年度「介護労働実態調査」 結果の概要について
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事業所における介護職員の過不足状況は、「不足している」(「大いに不足」12.1%+「不足」20.2%+「やや不足」32.9%)が65.2%となっている。
迷いや罪悪感は、あなたがこれまで現場で懸命に尽くしてきたからこそ生まれる感情です。しかし、データが示す通り、あなたを苦しめているのは「構造的な人手不足」や「環境の不備」である可能性が高いです。まずはご自身の心身を守ることを最優先に、冷静に環境を見直してみてください。
まとめ:明日から、まずは「自分を守る」選択を
最後までご覧いただきありがとうございます。
日々、利用者様の生活を支える中で、「人間関係で辞めたい」と感じることは決して「甘え」でも「逃げ」でもありません。お伝えしてきた通り、それは多くの介護士が直面している構造的な課題であり、データに裏付けられた正当な悩みです。
もし、今の職場で「休みたい」と言い出せなかったり、理不尽な指導で心をすり減らしているなら、一度立ち止まって考えてみてください。長く働き続けられる職場には、必ず「有給休暇の取りやすさ」や「勤務変更の柔軟さ」という土台があります。
「自分が我慢すればいい」と自分を責めるのは、もう終わりにしましょう。あなたが心身ともに健康であって初めて、利用者様に良いケアを届けることができます。
まずは明日の出勤時、「この職場は職員を守る仕組みがあるか?」という客観的な視点を持つことから始めてみてください。この記事が、あなたがご自身を大切にするためのきっかけとなれば幸いです。
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更新履歴
- 2025年12月25日:新規投稿


