【介護】鳴り止まないセンサー対応に疲れたら。現場で見直せる「意味のない設置」

夜勤中、鳴り止まないセンサーとコールの音に追われ、廊下を走り回る日々。「外せば楽になる」と分かっていても、もし転倒したら…という責任の重圧で言い出せない。

本来は一人ひとりと向き合いたいのに、安全確保という名目で誤作動への対応に時間を奪われていませんか?すべてのセンサーを外すのは難しくても、意味のない設置を見直すことは可能と考えられます。

この記事を読むと分かること

  • センサーの本来の目的がわかる
  • 外してもよい根拠を作るヒントがわかる
  • 家族への説明方法がわかる

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 入所時からずっと設置している
  • 転倒防止のために使っている
  • 外す基準が決まっていない
  • 誤作動だと感じることが多い

結論:センサーマットは「転倒防止」ではなく「調査」のために使う

男性介護職員と女性介護職員の画像

現場では「もし外して転倒したら、誰が責任を取るのか」という不安が常につきまといます。

人員配置が厳しい中、少しでもリスクを減らすためにセンサーに頼らざるを得ない。そんな現場の苦しい事情も痛いほどわかります。

しかし、「とりあえず設置」という運用が、かえって職員の業務を圧迫し、本来必要なケアの時間を奪っているおそれがあります。

センサーの正体は「アセスメントツール」

多くの現場で誤解されていますが、センサーマットは転倒そのものを防ぐ道具ではありません。

本来は、利用者が「いつ起きるのか」「どのような動きをするのか」といった行動パターンを把握するための調査器具(アセスメントツール)です。

「転ばせないため」ではなく、「動きを知って、トイレ誘導などのケアにつなげるため」に使うのが本来の役割とされています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン

https://pubpjt.mri.co.jp/pjt_related/roujinhoken/jql43u00000001m5-att/h24_05c.pdf

センサーマット等は、転倒予防の対策ではなく、対象者の動きを把握するアセスメント(調査)のツールである。

「つけっぱなし」は身体拘束のリスクがある

入所時に設置して以来、一度も見直さずに使い続けていませんか?

明確なアセスメントや緊急性がないまま、漫然とセンサーを設置し続けることは、利用者の行動を制限する身体的拘束に該当するおそれがあります。

「安全のため」という理由だけで、利用者の自由や尊厳を損なっていないか、慎重に検討する必要があります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン

https://pubpjt.mri.co.jp/pjt_related/roujinhoken/jql43u00000001m5-att/h24_05c.pdf

漫然とセンサーを使用し続けることは、身体的拘束に該当するおそれがある。

厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

身体拘束を行う場合には、切迫性・非代替性・一時性の3要件を全て満たす必要があり、かつそれらの要件の確認等の手続きが極めて慎重に行われている必要がある。

設置には「期限」と「評価」がセット

センサーは設置して終わりではありません。得られた反応データをもとにケア計画を見直し、改善につなげるPDCAサイクルを回すことが求められています。

「3日間だけ行動を見る」など期限を決め、データが取れたら一度外して評価するプロセスが必要です。

変化がないのに設置し続けている状態は、この改善サイクルが十分に機能していない可能性も考えられます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

施設全体や職員個々の取組において、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)による継続的な改善を図ることが求められる。

センサーは「お守り」ではなく、期間限定の「分析ツール」です。目的を持って使い、データが取れたら外す。このサイクルを回すことで、無駄なアラーム対応を減らし、利用者にとってもケアの質の向上につながると期待できます。


よくある事例:そのセンサー設置、本当に必要ですか?

ミーティングをしている画像

現場では、ヒヤリ・ハット報告書の対策欄を埋めるために「とりあえずセンサー設置」と書いて済ませてしまうことが少なくありません。

しかし、明確な目的のない設置は、職員の業務負担を増やすだけでなく、利用者から生活の自由を奪うことにもつながるおそれがあります。

よくある失敗パターンを見直し、正しい運用のヒントを探りましょう。

事例1:入所時から「お守り」として設置し続けている

入所時のアセスメントで「転倒リスクあり」と判断され、念のために設置したセンサー。その後、数ヶ月経っても一度も見直しがされず、つけっぱなしになっていませんか?

「外して何かあったら怖い」という心理から、特段の理由もなく設置を継続することは、利用者の行動を制限する身体的拘束に該当するおそれがあります。

センサーはあくまで一時的な状況把握のためのツールであり、漫然とした継続使用は避けるべきです。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン

https://pubpjt.mri.co.jp/pjt_related/roujinhoken/jql43u00000001m5-att/h24_05c.pdf

漫然とセンサーを使用し続けることは、身体的拘束に該当するおそれがある。

厚生労働省

特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン

https://pubpjt.mri.co.jp/pjt_related/roujinhoken/jql43u00000001m5-att/h24_05c.pdf

センサーマット等は、転倒予防の対策ではなく、対象者の動きを把握するアセスメント(調査)のツールである。

事例2:家族からの「転ばせないで」という要望で外せない

家族から「絶対に怪我をさせないでほしい」と強く要望され、安全確保のためにセンサーで行動を常時監視してしまうケースです。

お気持ちは分かりますが、施設は病院とは異なり「生活の場」です。

事故防止のみを優先して利用者の自由を奪うことは、自立支援や尊厳保持の観点から望ましくありません。家族にはリスクだけでなく、拘束による弊害も含めて説明し、合意形成を図ることが重要です。

出典元の要点(要約)

一般社団法人日本老年医学会/公益社団法人全国老人保健施設協会

介護施設内での転倒に関するステートメント

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/important_info/pdf/20210611_01_01.pdf

介護施設は生活の場であり、転倒予防のみを目的として利用者の行動を制限することは、QOL や ADL を損なうものであり、身体拘束は避けるべきである。

厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

入所時に、施設サービスにおけるリスク(転倒、誤嚥等)について説明し、利用者・家族の理解と協力を得ることが重要である。

事例3:センサーが鳴っても間に合わず、転倒してしまう

「センサーが鳴ったらダッシュで訪室する」という対応を繰り返していませんか?

これでは職員が疲弊するばかりか、到着が間に合わなければ事故を防ぐことは難しくなると考えられます。

個人の頑張り(注意義務)に頼るのではなく、センサーで得られた「起きる時間帯」や「行動パターン」のデータを分析し、トイレ誘導のタイミングを合わせるなど、組織的な仕組みとして機能させることが求められています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン

https://pubpjt.mri.co.jp/pjt_related/roujinhoken/jql43u00000001m5-att/h24_05c.pdf

センサーマット等は、転倒予防の対策ではなく、対象者の動きを把握するアセスメント(調査)のツールである。

厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

事故防止対策は、職員個人の注意義務に依拠するのではなく、組織的な仕組み(システム)として機能させる必要がある。

「とりあえず設置」は、職員の負担を増やし、利用者の自由を奪う結果になりがちです。センサーは「何を知りたいか」という目的を持って使い、データが取れたらケアプランに反映させる。このサイクルを回すことで、結果として事故防止とケアの質の向上につながると考えられます。

広告

なぜ、現場はセンサー依存から抜け出せないのか

女性の介護職員の画像

「センサーを減らそう」という提案が出ても、夜勤のワンオペ状況や「何かあったらどうする」という声に押され、結局うやむやになってしまうケースが見受けられます。

これは、職員個人の意識の問題ではありません。現場がそうせざるを得ない構造的な理由と、事故に対する過度な不安が根底にあると考えられます。

目的の「すり替わり」が起きている

本来、センサーは「利用者の動きを把握するため(調査)」に導入したはずです。

しかし、いつの間にか「センサーがあれば転倒を防げる(防止)」という認識にすり替わり、お守りのように依存してしまっていませんか?

センサー自体には転倒を物理的に止める機能はありません。「調査道具」を「防止策」として使い続ける矛盾が、本来の目的と異なると考えられます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン

https://pubpjt.mri.co.jp/pjt_related/roujinhoken/jql43u00000001m5-att/h24_05c.pdf

センサーマット等は、転倒予防の対策ではなく、対象者の動きを把握するアセスメント(調査)のツールである。

「転倒=過失」という呪縛

「転ばせたら施設の責任になる」という恐怖心が、センサーを外せない最大の要因ではないでしょうか。

しかし、高齢者の転倒は生理的な現象であり、すべてを予防することは不可能です。

法的責任は「結果(転倒)」そのものではなく、「予見可能性」に基づき「回避義務(対策)」を尽くしたかどうかで判断されます。すべてを防ぐことは困難であると認識する必要があります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン

https://pubpjt.mri.co.jp/pjt_related/roujinhoken/jql43u00000001m5-att/h24_05c.pdf

法的責任の判断基準は「予見可能性」と「結果回避義務」である。

一般社団法人日本老年医学会/公益社団法人全国老人保健施設協会

介護施設内での転倒に関するステートメント

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/important_info/pdf/20210611_01_01.pdf

高齢者の転倒は老年症候群の一つであり、生理的な現象であるため、予防策を講じても完全に防ぐことはできない。

「外すルール」が決まっていない

センサーを「つける」判断はカンファレンスで行っても、「いつ・どのような基準で外すか」を決めていないケースが多く見られます。

外す基準(手順書)がないため、現場職員の個人の判断では怖くて外せなくなります。

組織として手順書を整備し、定期的に見直すPDCAの仕組みがなければ、一度ついたセンサーの見直しが適切に行われないおそれがあります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

施設における事故発生予防や発生時の対応方法を定めた指針を整備するとともに、介護現場の実態に即したマニュアル(業務手順書)を作成する必要がある。

厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

施設全体や職員個々の取組において、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)による継続的な改善を図ることが求められる。

センサーが減らせないのは、職員の怠慢ではなく「目的の誤解」や「ルールの不在」といった構造的な問題です。責任を個人に押し付けず、組織として「外すための基準」を作ることが、解決への第一歩となります。

広告

疑問を解消:センサー見直しのQ&A

現場でセンサーを減らそうとする時、必ずと言っていいほど上がる不安や疑問があります。

エビデンスに基づいた回答をまとめましたので、チームで話し合う際の参考にしてください。

Q
認知症で自分で危険を判断できない方の場合、センサーを外して本当に大丈夫でしょうか?
A
不安に感じるのは当然ですが、漫然とつけ続けることこそが問題視されています。まずは「1週間」など期間を決めてセンサーを設置し、「どのような動きをしているか」をアセスメント(評価)してください。そのデータに基づき、ケアや環境を見直すことが本来の活用法と考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン

https://pubpjt.mri.co.jp/pjt_related/roujinhoken/jql43u00000001m5-att/h24_05c.pdf

センサーマット等は、転倒予防の対策ではなく、対象者の動きを把握するアセスメント(調査)のツールである。

Q
センサーを外した後に転倒したら、「ネグレクト」や「安全配慮義務違反」になりませんか?
A
適切な手順を踏んでいれば、直ちに違反にはなりません。逆に、検討なくセンサーで行動を制限し続けることの方が「身体的拘束」に該当するおそれがあります。カンファレンスでリスクと尊厳のバランスを検討し、その過程を記録に残すことが、法的にも利用者にとっても重要です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン

https://pubpjt.mri.co.jp/pjt_related/roujinhoken/jql43u00000001m5-att/h24_05c.pdf

漫然とセンサーを使用し続けることは、身体的拘束に該当するおそれがある。

厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

身体拘束を行う場合には、切迫性・非代替性・一時性の3要件を全て満たす必要があり、かつそれらの要件の確認等の手続きが極めて慎重に行われている必要がある。

Q
家族に「センサーを外します」と伝えて、反対されたり不信感を持たれたりしませんか?
A
伝え方が重要です。「ただ外す」と伝えるのではなく、「夜間の安眠を守り、生活の質を上げるために見直したい」という目的を共有しましょう。施設は病院と違い「生活の場」であるため、過度な制限よりもご本人の尊厳を重視する方針について、リスクも含めて丁寧に説明し合意を得ることが大切です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

入所時に、施設サービスにおけるリスク(転倒、誤嚥等)について説明し、利用者・家族の理解と協力を得ることが重要である。

一般社団法人日本老年医学会/公益社団法人全国老人保健施設協会

介護施設内での転倒に関するステートメント

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/important_info/pdf/20210611_01_01.pdf

介護施設は生活の場であり、転倒予防のみを目的として利用者の行動を制限することは、QOL や ADL を損なうものであり、身体拘束は避けるべきである。

センサーの見直しは決して「手抜き」や「責任放棄」ではありません。利用者の尊厳を守るための前向きなケアです。不安な点は一人で抱え込まず、チームで話し合い、記録に残しながら進めていくことで、職員も安心して取り組めるはずです。

まとめ:明日からできる「小さな見直し」

現場の状況をすぐにすべて変えることは難しいかもしれません。 しかし、まずは「たった1人」から始めてみてはいかがでしょうか。

「この方のセンサー、3日間だけ行動パターンを見るために使ってみませんか?」 次の申し送りやカンファレンスで、そう提案してみてください。

期間を区切ってデータを集め、評価して次のケアにつなげる。 この小さなPDCAサイクルの積み重ねこそが、継続的な改善につながると考えられます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

施設全体や職員個々の取組において、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)による継続的な改善を図ることが求められる。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。


関連記事


更新履歴

  • 2026年2月19日:新規投稿

タイトルとURLをコピーしました