【介護】忙しい現場での「意思決定支援」|会議不要で本人の思いを拾う方法

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「本人の意思を尊重しましょう」。研修でそう言われるたび、現場の人員不足時間のなさとのギャップに、無力感を感じることはありませんか?

「本当は一人ひとりに寄り添いたいけれど、業務を回すだけで精一杯」。そんな葛藤を抱えるあなたへ、会議室を使わずに日々のケアの中で実践できる、現実的な支援の形をお伝えします。

この記事を読むと分かること

  • まとまった時間がなくても意思を拾う方法
  • 言葉が出ない人の「声なき意思」を読み解く視点
  • 書類作成ではない「意思形成支援」の本質
  • BPSDを「拒否」ではなく「意思」と捉えるコツ
  • 明日からのケアで「罪悪感」を減らすポイント

一つでも当てはまったら、この記事が役に立つかもしれません

  • 「意思決定支援」と聞くと書類仕事で気が重い
  • 認知症が進んだ人は「決められない」と思っている
  • 本人の希望より「家族の意向」を優先しがちだ
  • 入浴拒否を「困った症状」として処理している
  • 忙しさで利用者の話を遮ることに自己嫌悪がある

結論:意思決定支援は「会議」ではなく「日々のプロセス」と捉えられることがあります

女性の介護職員の画像

現場では「意思決定支援」と聞くと、書類作成やカンファレンスの準備を思い浮かべて、気が重くなることがあるかもしれません。

「日々の業務で手一杯なのに、これ以上時間を取れない」「認知症が進んだ方に、どうやって意思を聞けばいいのか」と悩むのは自然です。

しかし、ガイドラインが求めているのは、立派な会議だけではありません。

1. 支援は「結果」ではなく「プロセス」の積み重ね

ガイドラインでは、意思決定支援を単なる「決定」の瞬間だけでなく、意思を形成し、表明し、実現するまでの一連のプロセスと定義しています。

つまり、本人が何が好きで、何が不快かを感じ取る日々の関わりそのものも、支援の一部といえます。

結論を急ぐ必要はない場合もあります。

本人の心が動く瞬間を支え続ける過程も重視されているとされています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定支援は、意思形成支援、意思表明支援、意思実現支援のプロセスからなる。認知症の人が自らの意思決定を形成し、表明し、その実現が図られるよう支援することが重要である。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定支援は、本人の意思を尊重し、本人の権利擁護の観点から行われるべきものである。認知症の人の意思決定支援においては、意思決定能力の判定のみに重点を置くのではなく、意思決定のプロセスを支援することが重要である。

2. 「言葉にならない声」も立派な意思表示

認知症が進行し、言葉でのコミュニケーションが難しくなっても、意思決定能力は残存しているとされることがあります。

表情の輝き、視線の動き、あるいは拒絶といった非言語的なサインは、本人の意思表明と捉えられます。

現場でよく見られる「拒否」や「不穏」といった行動(BPSD)も、何らかの不快や不安を伝えるメッセージとして捉え直すことが、支援の第一歩といえます。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

BPSD(行動・心理症状)は、認知機能障害を背景に、身体的要因、環境要因、心理的要因などが相互に作用して出現する。認知症の人の行動には意味があり、その意味を理解しようとする姿勢(パーソン・センタード・ケア)が重要である。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思表明支援では、言語による意思表明だけでなく、表情、態度、行動などの非言語的な意思表明も重要視する。

3. 一人で抱え込まず「チーム」で推測する

本人の意思が不明確な場合、一人のスタッフや家族だけで判断しないほうがよい場合があります。

関係者が集まり、それぞれの立場で見聞きした本人の様子や過去の生活歴を出し合い、意思を推定することが求められるとされています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定支援においては、本人、家族等、医療・ケアチーム、成年後見人等の関係者が連携し、チームとして支援することが重要である。本人の意思が不明確な場合は、本人の最善の利益を検討する。

意思決定支援とは、特別な時間を設けて行うものに限らないとされています。日々のケアの中で、本人の表情や行動から「快・不快」を感じ取り、チームで共有することも、ガイドラインが示す支援の姿の一つとされています。


その「諦め」の瞬間にも、支援のヒントが隠れているかもしれません

現場では「何度聞いても答えてくれない」「毎回拒否されて心が折れる」といった声がよく聞かれます。

言葉が通じない、あるいは強い拒否がある場合、「支援は無理だ」と諦めてしまいがちです。

しかし、その「うまくいかない場面」こそが、実は本人の意思を知る重要な手がかりかもしれません。

1. 「どっちがいい?」と聞いても無反応な場合

食事や服を選ぶ際、問いかけても反応がなく、結局スタッフが決めてしまうことはありませんか?

「言葉で答えない=意思がない」と誤解しがちですが、じっと見つめる視線や、口を開けるタイミングといった非言語サインも意思表示と捉えられます。

ガイドラインでも、言語だけでなく表情や態度を観察することの重要性が示されています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思表明支援では、言語による意思表明だけでなく、表情、態度、行動などの非言語的な意思表明も重要視する。

2. 入浴のたびに激しく抵抗される場合

「お風呂に入りましょう」と誘うと暴れるため、数人がかりで対応する。「認知症の症状だから仕方ない」と片付けていませんか?

BPSD(行動・心理症状)は、単なる病気の症状ではなく、環境との相互作用であり、本人にとっての意味があります。

「嫌だ」「怖い」という強烈な意思表示と捉え、何が不快なのかを探ることも支援につながります。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

BPSD(行動・心理症状)は、認知機能障害を背景に、身体的要因、環境要因、心理的要因などが相互に作用して出現する。認知症の人の行動には意味があり、その意味を理解しようとする姿勢(パーソン・センタード・ケア)が重要である。

3. すべて「家族にお任せ」になっている場合

重度の方について「何も分からないから」と決めつけ、すべての判断を家族の意向だけで進めてしまうことがあります。

しかし、認知機能が低下しても意思決定能力は残存しており、能力判定だけに重点を置くべきではありません。

現場で見せる「嫌そうな顔」などのサインを家族に伝え、本人の最善の利益を調整するのもプロの役割の一つです。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

認知症の人の意思決定支援においては、意思決定能力の判定のみに重点を置くのではなく、意思決定のプロセスを支援することが重要である。本人の意思が不明確な場合は、本人の最善の利益を検討する。

「言葉がない」「拒否が強い」といった場面は、支援の失敗とは限りません。むしろ、そこにある「声なき意思」や「不快のサイン」を読み解くことも、現場でできる意思決定支援の一つです。


なぜ、現場では「支援ができない」と感じてしまうのか

女性の介護職員の画像

「人員が足りないから無理」「時間が取れないから仕方ない」。現場では、そう自分に言い聞かせないとやっていけない場面が多々あります。

しかし、意思決定支援を難しくしているのは、忙しさだけではなく、私たちが持っている「支援に対する思い込み」にも原因があるかもしれません。

1. 支援の「範囲」を狭く捉えすぎている

私たちは、意思決定支援を「施設入所」や「延命治療」といった大きな決断や、書面による最終確認のことだと思い込んでしまうことがあります。

そのため、「そんな大層なことは日常ではできない」と身構えてしまうことがあります。

しかし、ガイドラインが定義する支援は、意思を形成し、表明し、実現するまでの長いプロセスのことです。

今日の服を選ぶ、食事のメニューを迷うといった日常的な意思形成のサポートも、意思決定支援の一部と捉えられます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定支援は、意思形成支援、意思表明支援、意思実現支援のプロセスからなる。

2. 能力を「0か100か」で判断している

「認知症になったら何も決められない」あるいは「正常なら全部自分で決められる」というように、能力を全か無かで考えてはいませんか?

この誤解があると、少しでも判断が難しい場面で「無理だ」と諦め、安易に家族への代行決定(代理判断)に依存してしまいます。

ガイドラインでは、認知機能が低下しても能力は残存しているとし、支援を受けながら決定を行う支援付き意思決定を原則としています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定能力の判定は、全か無かで行われるべきではなく、特定の行為ごとに個別に判断されるべきである。代行決定は、本人の意思決定能力が著しく低下しており、かつ支援を行っても意思決定が困難な場合に限定されるべきである。

「できない」と感じるのは、支援を「特別なイベント」だと捉えていることが影響しているかもしれません。

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現場の「迷い」に答えるQ&A

「これで合っているのかな?」と不安になることはありませんか。現場でよくある迷いについて、ガイドラインに基づいた考え方をまとめました。

Q
重度の認知症で、問いかけても言葉が返ってきません。それでも意思決定支援はできますか?
A
可能と考えられます。ガイドラインでは、言語だけでなく表情、態度、行動などの非言語的なサインから意思を汲み取ることが推奨されています。日々のケアで見られる「笑顔」や「拒否」も意思表示と捉えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思表明支援では、言語による意思表明だけでなく、表情、態度、行動などの非言語的な意思表明も重要視する。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

認知症の人の意思決定支援においては、意思決定能力の判定のみに重点を置くのではなく、意思決定のプロセスを支援することが重要である。

Q
忙しくてカンファレンスの時間が十分に取れません。支援していないことになりますか?
A
いいえ。正式な会議だけが支援ではないとされています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定支援においては、本人、家族等、医療・ケアチーム、成年後見人等の関係者が連携し、チームとして支援することが重要である。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定支援は、意思形成支援、意思表明支援、意思実現支援のプロセスからなる。

Q
本人の希望(帰りたい等)と、安全(転倒リスク等)が対立する場合、どうすればいいですか?
A
単に希望を叶えるか否かの二択ではなく、なぜその希望があるのか(背景)を探り、可能な範囲で意向に沿う代替案を検討するプロセスが考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

本人の意思が不明確な場合は、本人の最善の利益を検討する。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定支援は、本人の意思を尊重し、本人の権利擁護の観点から行われるべきものである。

正解がない場面でも、ガイドラインは「プロセスを大切にすること」を重視しているとされています。


まとめ:明日から会議を増やす必要はない場合もあります

意思決定支援のために、今以上に業務時間を削ったり、特別な場を無理に設けたりする必要はない場合もあります。

大切なのは、今行っている食事介助や入浴介助の最中に、「観察のレンズ」を少しだけ変えてみることだといえます。

「この味付けは好きかな?」「この湯加減は嫌じゃないかな?」と意識するだけで、いつもの業務が「意思形成支援」につながります。

まずは「快・不快」を一つだけ見つけてみてください

今日のケアの中で、利用者さんが「笑顔になった瞬間(快)」か「眉をひそめた瞬間(不快)」を、たった一つで構いません。見つけてみてください。

手順に従って、それを記録に残し、申し送りで伝えてみてください。

「〇〇さんは、この服を見せたら顔をしかめた」 「〇〇さんは、背中をさすると表情が和らいだ」

その小さな事実の積み重ねが、やがてその人の「自分らしい生活」を守るための、大切な根拠になることがあります。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。


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更新履歴

  • 2026年4月17日:新規投稿

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