【施設介護】認知症介助で自分だけ拒否される時の見方

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認知症の人が、さっきはできたことを今はしないように見える場面は、現場ではかなりきついです。

朝は着替えられたのに、昼には声をかけても動かない。食事前は返事をしていたのに、排泄介助になると急に拒否する。頭では「認知症だから」と分かっていても、業務が詰まっていると、正直むかつくことがあります。

こうした場面では、怒りをなかったことにするより、怒りのまま押し切らない動きに変えることが大切です。本人を説得して正しく動かすより、短く声をかけ、一度引き、交代や部分介助でその場を大きく崩さず終える視点を整理します。

この記事を読むと分かること

  • 甘えに見える理由
  • 押さない声かけ
  • 一度引く判断
  • 交代の考え方
  • 共有する記録

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • さっきできたのに
  • 拒否で業務が止まる
  • 甘えに見える
  • 自分だけ拒否される
  • 家族説明がつらい

認知症で「さっきできたのに今できない」ときの結論

介護施設の廊下で、若い女性介護職員が両手を広げながら説明している場面。状況報告や対応方針について相手に説明している様子を示すイメージ。

甘えに見えても、押し切らず、短く声をかけ、一度引き、交代や部分介助で崩さず終えることが大切です。

現場では、朝は着替えられた人が、昼には袖に手を通さず止まってしまうことがあります。排泄、入浴、食事、服薬、記録が重なっていると、「さっきできたのに」と感じるのは自然です。この記事では、怒りを否定せず、怒りのまま押し切らないための現実的な動きを整理します。

こうした場面では、本人を説得して正しく動かそうとするほど、職員側の焦りも強くなります。強めに促した結果、本人が固まる、手を払う、口を開けない、立ち上がらないという流れになることもあります。大事なのは、介護士が自分を責めすぎず、利用者も追い詰めすぎず、業務も完全には止めない折り合いです。

甘えかどうかを根性論で決めない

さっきできたことを今できないように見た時、現場では「本当にできないのか」と迷います。この項目では、できる・できないを一回の様子だけで決めつけない視点を確認します。

認知症の人の反応は、その時の状態、環境、支援の入り方で変わり得ます。だから、朝できたことを根拠に「今もできるはず」と押すと、本人の状態を見落としやすくなります。現場の体験としては、甘えに見える場面ほど腹が立ちますが、まずは今この場で何ができるかに切り替える方が、介助を崩しにくくなります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

認知症の症状にかかわらず、本人には意思があり、意思決定能力を有するというこ とを前提にして、意思決定支援をする。 ○ 本人のその時々の意思決定能力の状況に応じて支援する。 ○ 本人の意思決定能力を固定的に考えずに、本人の保たれている認知能力等を引き出 す働きかけを行う。 ○ 意思決定能力の評価は、本人の認知機能や身体及び精神の状態と本人の生活状況等 をその都度十分に把握したうえで、意思決定する行為内容に照らし合わせ、適切に 判断されることが必要である。

声かけは短く、反応が悪ければ一度引く

急いでいる時ほど、説明を重ねて納得してもらおうとしがちです。この項目では、長く説得するより、短く伝えて反応を見る意味を確認します。

「着替えましょう」「トイレに行きましょう」「先にこれだけしましょう」と短く伝え、反応が悪ければ一度引く。現場では、ここが難しいところです。少し待つだけでも後ろの業務は詰まります。それでも、押すと場が崩れそうな時は、少し時間をずらす方が結果として戻りやすいことがあります。待てる場面と待てない場面を分けることが、きれいごとではない対応になります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が急いで意思決定を行うことがないよう支援の時期についても配慮し、本人が 集中できる時間帯を選ぶことや、疲れている時を避けることなどにも注意が必要で ある。本人には意思決定をしない自由もあるので、意思決定を強制することになら ないように注意すべきである。本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要であり、決断を迫るあま り、本人を焦らせるようなことは避けなければならない。

別職員への交代は負けではない

ある職員では動くのに、自分が声をかけると拒否されることがあります。この項目では、交代を「できなかった証拠」ではなく、場を崩さない方法として考えます。

声のトーン、距離感、表情、性別、タイミングで反応が変わることはあります。自分が続けるほど本人が固まるなら、別職員に一度入ってもらう方が、本人にも職員にも負担が少ない場合があります。現場では抱え込みがちですが、交代は逃げではなくチームケアです。うまくいった声かけは、その人だけの技にせず共有します。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

意思決定支援者は、本人との信頼関係に配慮する。意思決定支援者と本人との信頼 関係が構築されている場合、本人が安心して自らの意思を表明しやすくなる。 ○ 本人は、意思決定の内容によっては、意思表明の相手方との関係性から、遠慮など により、自らの意思を十分に表明ができない場合もある。必要な場合は、事前に本 人と意思決定支援者との間で本人の意思を確認するなどの配慮が必要である。

今できる部分だけ本人に任せる

さっき全部できたからといって、今も全部できる前提で進めると崩れやすい場面があります。この項目では、ゼロか百かではなく、できる部分だけ残す考え方を整理します。

袖を通すところだけ本人に任せ、ボタンはこちらで手伝う。立ち上がりだけ一緒に行い、その後の整容はこちらで整える。こうした分け方なら、本人の力を奪いすぎず、介助も止まりにくくなります。現場では、全部やってもらうか全部介助するかで迷いやすいですが、今できる部分だけ残す方が回りやすい場面があります。

出典元の要点(要約)

介護キャリアアップ 株式会社穴吹カレッジサービス

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症の人にとっては、接し方自体が状態の安定や向上に向けた重要なケアとなる 1.ゆったりと、楽しく 2.自由にありのままに 4.残された力で暮らしの 喜びと自信を 3.「してあげる」ケアから「一緒に過ごす」ケアへ 6.地域や自然とふれあいながら 5.なじんだ環境のもの、ことを大切に 話を 合わせる 自尊心を 傷つけない わかる言葉を 使う 感情に 働きかける ゆったり、 楽しく 視野に 入って話す 簡潔に 伝える

成功パターンを職員間で共有する

うまくいく職員だけが何となくできている状態だと、できなかった職員が責められたように感じます。この項目では、成功パターンを感覚で終わらせない意味を確認します。

「朝一番より少し時間を置く」「正面から急に言わない」「短い声かけにする」「A職員の言い方だと動けた」。こうした情報は、申し送りや記録に残すと次の職員が使いやすくなります。属人化したケアは、うまい職員に負担が寄るだけでなく、うまくいかなかった職員を追い詰めます。共有は、本人にも職員にも必要な支援です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人の意思決定能力の評価や、支援方法に困難や疑問を感じ、また、本人の意思を 日常・社会生活に反映した場合に、他者を害する恐れがあったり、本人にとって見 過ごすことのできない重大な影響が生ずる場合や本人のできること・やりたいこと の実現に向け、チームで情報を共有し、チームで検討する。この場合も、再度、適 切な意思決定支援のプロセスを踏まえて、本人の意思決定支援の方法について話し 合う。会議では、情報を共有した上で、多職種のそれぞれの視点を尊重し、根拠を明 確にしながら進めていくことが必要である。

「さっきできたのに」と感じる場面では、怒りを消すより、押し切らない形へ切り替えることが大切です。短く声をかけ、一度引き、交代や部分介助、共有で崩れにくくします。


認知症で「できる時とできない時」があるよくある事例

介護施設の廊下で、介護職員が高齢男性の手を軽く支えながら歩行訓練を行っている様子。自立支援を意識しつつ見守りと安全確保を行い、転倒予防と下肢機能維持を目的としたリハビリテーションを実践している場面。

現場では、「またこのパターンか」と思う場面が繰り返されます。分かっているつもりでも、業務が詰まる時間帯に拒否が出ると、気持ちが追いつかなくなります。

朝はできた、昨日はできた、別の職員ならできた。だからこそ、目の前で止まった時に甘えに見えます。ここでは、現場で起きやすい事例を分けて、困りごとと押さえる視点を整理します。

朝は着替えられたのに昼は動かない

朝は自分で袖を通せた利用者が、昼の更衣では手を膝に置いたまま動かないことがあります。職員側は「さっきできたのに」と思い、声かけが強くなりやすい場面です。ここでは、着替えを拒否ではなく、動作の始め方や手順の難しさとして見る視点が必要です。

状況は、同じ着替えでも時間帯や状態によって反応が変わることです。困りごとは、職員が甘えやわがままに見てしまい、強めに促しやすい点です。よくある誤解は、麻痺がないならできるはずという見方です。押さえるべき視点は、実行機能障害や失行では、行動の開始や日常動作が難しくなることがあるため、できる部分だけ残して手伝うことです。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

計画を立てる,組織化する,順序立てる,抽象化するといった機能の障害.記憶障害, 失語,失行,失認などが複合的に関与し,行動の開始・維持・中止が困難になる.認知症 早期から出現し,日常生活への影響が大きい.前頭葉機能との関連が強い. ②失行 麻痺がないにも関わらず,日常動作ができなくなる障害.主に頭頂葉の障害でみられる. 着衣失行 衣服がうまく着られない.障害は着衣に限られる.

排泄や入浴になると急に拒否する

食事前は返事をしていたのに、トイレ誘導や入浴の声かけになると、急に表情が硬くなることがあります。職員は後ろの業務が見えているため、そこで止まられると一気に焦ります。こうした場面では、本人を変えようとする前に、介入の仕方や環境を見直す視点を持ちます。

状況は、身体に触れる介助や移動が必要な場面で拒否が出ることです。困りごとは、1人の拒否で排泄、入浴、記録の流れが止まる点です。よくある誤解は、本人がわざと困らせているという受け止め方です。押さえるべき視点は、ケア介入の方法や環境が本人の反応に関わることがあるため、押す前に声かけ、距離、順番を変えることです。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

BPSD に対しては, その原因となりうる身 体状態の変化の有無,ケア介入の方法や療養環境が適切かを評価し, 非薬物療法を優先的 に行う.また,薬物有害事象により BPSD が悪化している場合もしばしば認めるため, 処方内容の再評価を行い, ポリファーマシー対策も合わせて実施する.このように,原則 として,非薬物療法やポリファーマシー対策によって,BPSD を軽減させる十分な努力 を行った後にのみ,薬物療法を検討する。

食事や服薬で口を開けない

さっきまで会話していたのに、食事や服薬の場面になると口を閉じてしまうことがあります。職員は「今やらないと後ろが詰まる」と感じ、説明を重ねたくなります。ここでは、説得を増やすより、言葉を分かりやすくし、選択肢を整理することが大切です。

状況は、本人が返事をしていても、実際の行動に移らないことです。困りごとは、食事時間や服薬時間が決まっているため、職員が焦りやすい点です。よくある誤解は、返事をしたなら理解しているはずという見方です。押さえるべき視点は、本人の理解を確認しながら、説明を短くし、選択肢を分かりやすくすることです。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が理解できるよう、分かりやすい言葉や文字に変えて、ゆっくりと説明して いるか。 ◦本人が理解していることと、意思決定支援者らの理解に相違はないか。 ◦本人が自発的に意思を形成するのに障害となる環境等はないか。 ○ 本人は説明された内容を忘れてしまうこともあり、その都度、丁寧に説明すること が必要である。 ○ 本人が理解しているという反応をしていても、実際は理解できていない場合もある ため、本人の様子を見ながらよく確認することが必要である。

他職員なら動くのに自分だと拒否される

別の職員が声をかけると動くのに、自分が声をかけると拒否される。現場では、これがかなりこたえます。自分の関わりが悪かったように感じますが、反応の違いは関係性や安心感とも切り離せません。

状況は、同じ利用者でも職員によって反応が変わることです。困りごとは、できなかった職員だけが責められているように感じる点です。よくある誤解は、うまい職員の個人技で終わらせることです。押さえるべき視点は、信頼関係や意思表明のしやすさが支援に関わるため、交代や成功パターンの共有をチームの対応として扱うことです。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

意思決定支援者は、本人との信頼関係に配慮する。意思決定支援者と本人との信頼 関係が構築されている場合、本人が安心して自らの意思を表明しやすくなる。 ○ 本人は、意思決定の内容によっては、意思表明の相手方との関係性から、遠慮など により、自らの意思を十分に表明ができない場合もある。必要な場合は、事前に本 人と意思決定支援者との間で本人の意思を確認するなどの配慮が必要である。

家族に「家ではできた」と言われる

家族から「昨日はできていました」「家ではやっていました」と言われると、現場職員は板挟みになります。説明しても、状態の波や環境の違いが伝わりにくいことがあります。ここでは、家族の言葉を否定せず、今の状態と支援方法をチームで共有する視点が必要です。

状況は、過去や家庭での様子と、施設での今の様子が違うことです。困りごとは、現場の関わりが悪いように見えやすい点です。よくある誤解は、昨日できたなら今日も同じようにできるという見方です。押さえるべき視点は、本人の意思や状況は変化し得るため、記録と共有で説明できる材料を残すことです。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人の意思決定能力は本人の個別能力だけではなく、意思決定支援者の支援力に よって変化することに注意する。さらに、本人の示した意思は、時間の経過や本人の置かれた状況等により変化する ことがあるため、本人の意思を繰り返し確認することが必要である。意思決定支援チームは、本人の視点に立つことが重要であり、意思決定支援をチー ムで検討する場合にも、本人の参加を原則とする。

よくある事例に共通するのは、「前はできた」だけでは今の介助を決めきれないことです。本人の状態、環境、関係性、業務の詰まりを分けて見ます。


なぜ認知症では「さっきできたのに今できない」が起きるのか

介護施設内で、高齢男性が差し出された薬の入ったカップに対して手を上げて拒否の意思を示している様子。認知症による不穏症状や服薬拒否に対し、無理に服用させず安全に配慮しながら対応する介護現場の場面。

現場では、分かっているつもりでも「今できない理由」が見えないと腹が立ちます。この背景には、本人の状態だけでなく、環境、説明、関係性、チーム共有が関わっています。ここでは、甘えに見える場面が起きる理由を整理します。

業務に追われている時ほど、職員は「早く終わらせたい」と思います。そこに拒否や沈黙が重なると、怒りの矛先が本人に向きやすくなります。理由を分けて理解すると、根性論で押すのではなく、崩さず終えるために変える場所が見えてきます。

意思決定能力は固定ではないから

朝は選べた服を、昼には選べないことがあります。職員は「さっき選べたでしょ」と言いたくなりますが、その時点の心身状態や環境で反応が変わることがあります。まずは、昨日や朝の姿だけで今を決めないことが出発点です。

なぜ起きるのかは、本人の意思決定能力が固定されたものではなく、その時々の状況に応じて考える必要があるためです。建前としては、本人の意思を尊重して進めたいところです。現実には、業務時間に追われると「今すぐ決めてほしい」と迫りやすくなります。そのズレが、拒否や沈黙を甘えに見せます。押さえるべき視点は、本人の状態を見て、今できる支援に切り替えることです。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

認知症の症状にかかわらず、本人には意思があり、意思決定能力を有するというこ とを前提にして、意思決定支援をする。 ○ 本人のその時々の意思決定能力の状況に応じて支援する。 ○ 本人の意思決定能力を固定的に考えずに、本人の保たれている認知能力等を引き出 す働きかけを行う。 ○ 意思決定能力の評価は、本人の認知機能や身体及び精神の状態と本人の生活状況等 をその都度十分に把握したうえで、意思決定する行為内容に照らし合わせ、適切に 判断されることが必要である。

実行機能障害や失行で行動が止まることがあるから

服を持っているのに袖に手を通さない、立ち上がるはずの場面で動き始めない。外から見ると「やらない」に見えます。ここでは、行動の開始や手順そのものが難しくなる可能性を押さえます。

なぜ起きるのかは、認知症では行動の開始・維持・中止が難しくなったり、麻痺がなくても日常動作が難しくなったりする場合があるためです。建前としては、残された力を活かしたいところです。現実には、業務が詰まると「できるなら早くして」と促しが強くなります。そのズレが、本人の混乱と職員の苛立ちを大きくします。押さえるべき視点は、動作を小さく分け、できる部分だけ本人に残すことです。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

計画を立てる,組織化する,順序立てる,抽象化するといった機能の障害.記憶障害, 失語,失行,失認などが複合的に関与し,行動の開始・維持・中止が困難になる.認知症 早期から出現し,日常生活への影響が大きい.前頭葉機能との関連が強い. ②失行 麻痺がないにも関わらず,日常動作ができなくなる障害.主に頭頂葉の障害でみられる. 着衣失行 衣服がうまく着られない.障害は着衣に限られる.

環境や職員との関係で反応が変わるから

同じ声かけでも、正面から急に言うと拒否が出る人がいます。別の職員の声なら動けることもあります。現場では、その差が「自分の対応が悪い」と感じるしんどさになります。

なぜ起きるのかは、本人を取り巻く環境に、音や場所だけでなく、職員との関係も含まれるためです。建前としては、誰が対応しても同じように進めたいところです。現実には、本人の安心感や職員との距離感で反応が変わることがあります。そのズレが、対応の属人化や職員間の不公平感を生みます。押さえるべき視点は、誰が悪いかではなく、どの環境や声かけなら本人が動きやすいかを共有することです。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症患者を取り巻く環境は,物理的環境,社会的環境,運営的環境の 3 つの側面でとら えることができる.物理的環境では,光や音,におい,温度などが影響する.例えば,モニ ターやナースコール,同室者の声など,音刺激が過剰となる場合がある.認知症患者は, 刺 激を選択することが困難になりやすく,自分に関係ない音を聞き流すことができず,混乱に 繋がったりする.社会的環境としては, 医療従事者も環境となる.

説明や選択肢が多いと焦りやすいから

反応が悪いと、つい説明を足したくなります。「なぜ必要か」「今やらないと困る」と重ねるほど、本人も職員も苦しくなる場面があります。ここでは、説明を増やすより、選びやすく整理する視点を持ちます。

なぜ起きるのかは、本人が理解しやすい言葉や選択肢の整理が必要な場面で、職員側が急いで説明を詰め込みやすいためです。建前としては、本人に納得してもらって進めたいところです。現実には、長い説明が命令や圧に聞こえることがあります。そのズレが拒否を強めることがあります。押さえるべき視点は、「行きますか、行きませんか」ではなく、介助が前に進む選択肢を少なく示すことです。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が理解できるよう、分かりやすい言葉や文字に変えて、ゆっくりと説明して いるか。 ◦本人が理解していることと、意思決定支援者らの理解に相違はないか。 ◦本人が自発的に意思を形成するのに障害となる環境等はないか。 ○ 本人は説明された内容を忘れてしまうこともあり、その都度、丁寧に説明すること が必要である。 ○ 選択肢を示す場合には、可能な限り複数の選択肢を示し、比較のポイントや重要な ポイントが何かを分かりやすく示したり、話して説明するだけではなく、文字にし て確認できるようにしたり、図や表、ホワイトボードなどを活用することが有効な 場合がある。

共有されない成功パターンが職員を追い詰めるから

「あの職員ならできたのに」と見られると、失敗した職員だけが悪いように感じます。実際には、声かけの言葉、時間帯、立ち位置、本人との関係が違うことがあります。成功パターンを記録しないと、同じつまずきが繰り返されます。

なぜ起きるのかは、支援方法の困りごとが個人の感覚で処理されやすいためです。建前としては、チームで同じ方向を向きたいところです。現実には、うまい職員に対応が偏り、うまくいかなかった職員が孤立することがあります。そのズレが、職員の苛立ちや自己否定につながります。押さえるべき視点は、うまくいった条件を短く記録し、申し送りで共有することです。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人の意思決定能力の評価や、支援方法に困難や疑問を感じ、また、本人の意思を 日常・社会生活に反映した場合に、他者を害する恐れがあったり、本人にとって見 過ごすことのできない重大な影響が生ずる場合や本人のできること・やりたいこと の実現に向け、チームで情報を共有し、チームで検討する。この場合も、再度、適 切な意思決定支援のプロセスを踏まえて、本人の意思決定支援の方法について話し 合う。会議では、情報を共有した上で、多職種のそれぞれの視点を尊重し、根拠を明 確にしながら進めていくことが必要である。

「さっきできたのに今できない」は、本人のやる気だけで説明しきれません。状態、動作の難しさ、環境、説明、共有の不足を分けて見ることが大切です。

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認知症の「さっきできたのに」で迷いやすいこと

現場では、理屈として理解していても、実際の拒否場面になると迷います。ここでは、介助中に起きやすい小さな判断を、エビデンスの範囲で整理します。

Q
本当に甘えではないと考えてよいですか?
A
甘えと断定する前に、その時の状態、環境、支援の入り方を見ます。認知症の人の意思決定能力は固定的に考えず、その時々の状況に応じて支援する必要があります。現場では腹が立つこともありますが、まず「今できる条件がそろっているか」を見る方が介助を組み立てやすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

認知症の症状にかかわらず、本人には意思があり、意思決定能力を有するというこ とを前提にして、意思決定支援をする。 ○ 本人のその時々の意思決定能力の状況に応じて支援する。 ○ 本人の意思決定能力を固定的に考えずに、本人の保たれている認知能力等を引き出 す働きかけを行う。 ○ 意思決定能力の評価は、本人の認知機能や身体及び精神の状態と本人の生活状況等 をその都度十分に把握したうえで、意思決定する行為内容に照らし合わせ、適切に 判断されることが必要である。

Q
忙しい時でも待つべきですか?
A
毎回長く待つという話ではありません。押すと場が崩れそうな時に、一度引ける場面か、今進める必要がある場面かを分けます。現場では少しずらすだけでも後ろが詰まりますが、決断を迫って本人を焦らせると、かえって進めにくくなる場合があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が急いで意思決定を行うことがないよう支援の時期についても配慮し、本人が 集中できる時間帯を選ぶことや、疲れている時を避けることなどにも注意が必要で ある。本人には意思決定をしない自由もあるので、意思決定を強制することになら ないように注意すべきである。本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要であり、決断を迫るあま り、本人を焦らせるようなことは避けなければならない。

Q
別職員に交代するのは逃げですか?
A
逃げではありません。本人との信頼関係や意思表明のしやすさは、支援に影響します。自分が続けるほど拒否が強くなるなら、別職員に一度入ってもらい、後でうまくいった言い方や距離感を共有する方が、本人にも職員にも負担が少ない場合があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

意思決定支援者は、本人との信頼関係に配慮する。意思決定支援者と本人との信頼 関係が構築されている場合、本人が安心して自らの意思を表明しやすくなる。 ○ 本人は、意思決定の内容によっては、意思表明の相手方との関係性から、遠慮など により、自らの意思を十分に表明ができない場合もある。必要な場合は、事前に本 人と意思決定支援者との間で本人の意思を確認するなどの配慮が必要である。

Q
選択肢を2つにするのは有効ですか?
A
エビデンスでは、選択肢を分かりやすく示すことが大切とされています。現場では、多すぎる選択肢は迷いやすく、選択肢がないと命令に感じられることがあります。そのため、「今行きますか、お茶の後にしますか」のように、介助が前に進む形で少なく示すと使いやすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人が理解できるよう、分かりやすい言葉や文字に変えて、ゆっくりと説明して いるか。 ◦本人が理解していることと、意思決定支援者らの理解に相違はないか。 ◦本人が自発的に意思を形成するのに障害となる環境等はないか。 ○ 選択肢を示す場合には、可能な限り複数の選択肢を示し、比較のポイントや重要な ポイントが何かを分かりやすく示したり、話して説明するだけではなく、文字にし て確認できるようにしたり、図や表、ホワイトボードなどを活用することが有効な 場合がある。

Q
家族にはどう説明すればよいですか?
A
「家ではできた」を否定せず、施設での今の状態、時間帯、環境、声かけ、本人の反応を具体的に伝えます。昨日や家庭でできたことも大切な情報です。ただ、本人の意思や状態は時間や状況で変わることがあるため、現場ではその都度確認していると説明します。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第 2 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001484891.pdf

本人の意思決定能力は本人の個別能力だけではなく、意思決定支援者の支援力に よって変化することに注意する。さらに、本人の示した意思は、時間の経過や本人の置かれた状況等により変化する ことがあるため、本人の意思を繰り返し確認することが必要である。本人の意思決定能力の評価や、支援方法に困難や疑問を感じ、本人のできること・やりたいことの実現に向け、チームで情報を共有し、チームで検討する。

迷った時は、甘えかどうかの判定に寄せすぎず、今の状態、環境、説明、関係性、共有を見ます。介護士だけで抱え込まない形にすることが大切です。


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認知症の「さっきできた」を押し切らず、崩さず終える

現場では、さっきできたことを今できないように見える場面ほど、苛立ちが出やすくなります。しかも、その間にも他の利用者の排泄、食事、服薬、コール対応があります。

この記事で整理したように、大事なのは怒ってはいけないという建前ではありません。怒りが出た時点で、押し切る介助から、崩さず終える動きへ切り替えることです。

明日からの一歩は、次に拒否が出た時、短く一回だけ声をかけ、反応が悪ければ一度引くことです。

その場で全部を終わらせようとせず、少し時間をずらす、別職員に交代する、できる部分だけ本人に任せる。小さな切り替えを、職員間で共有していきます。

最後までご覧いただきありがとうございます。


更新履歴

  • 2025年9月15日:新規公開
  • 2026年2月16日:最新情報に基づき加筆・修正
  • 2026年5月1日:内容を全面的にリライト

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