「行きたくない!」「出てない!」認知症のトイレ拒否。その“本音”と、介護士が使うべき“刺さる”声かけ術

「そろそろトイレに…」と声をかけた瞬間、返ってくる「行かない!」という強い言葉。良かれと思って誘っても拒否が続くと、「私のやり方が悪いのかな…」と自信を失いそうになりますよね。

こんな「あるある」、あなたの現場でも起きていませんか?

  • 「トイレ」という言葉を出しただけで、ピシャリと拒否されてしまう
  • 食後など、介護士(こちら)のベストタイミングで誘っても「今は行きたくない」の一点張り
  • (服が濡れているのに)ご本人は「出てない!」と強く否認し、どうにもならない
  • トイレ誘導に手間取り、他のケアがどんどん押して焦ってしまう
  • 毎日拒否されるうち、だんだん声かけ自体が怖くなってくる

この記事では、そんなあなたの悩みに答えます

  • なぜ入居者さんが頑として拒否するのか、その背景にある「本人の意思」や「心理」を、エビデンス(根拠)に基づいて理解できます。
  • 入居者さんの尊厳を守り、お互いにストレスなくスムーズな誘導につながる「声かけ」の基本原則がわかります。

この記事では、厚生労働省のガイドラインや研修テキストに基づき、拒否の理由と具体的な対応を解説します。テクニックの前に、まず「結論」として、最も大切な基本姿勢から見ていきましょう。


スポンサーリンク

結論:トイレ介助で最も大切な「基本姿勢」

トイレ誘導がうまくいかない時、私たちはつい「どう声をかけるか」というテクニックだけに目が行きがちです。しかし、厚生労働省の資料では、テクニック以前の「関わり方の基本姿勢」が何より重要であると示されています。

トイレの画像

コミュニケーションは「する」ものではなく「在る」もの

厚生労働省の「認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)」では、「コミュニケーションは『する』ものでなく『在る』ものとしてとらえる。」と示されています。これは、無理に言葉を引き出そうと「する」こと(Doing)以上に、ただ静かに「空間をともにする」こと(Being)が、信頼関係の土台になるという意味です。焦って言葉を重ねる前に、まずは相手のそばに「在る」ことを意識してみましょう。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

基本姿勢は「コミュニケーションは『する』ものではなく『在る』もの」であり、同時に「適切なコミュニケーション・スキル/技能は欠かすことが出来ない。」とする。態度と技能の双方を要件として提示する。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「空間をともにする」「観る、聴く」「対話する」「調整」「ともに行う」と段階化。関わり方の順序と内容を具体的に指し示す。

認知症の人ご本人の「意思」を尊重する

認知症があっても、その人は一人の人間です。厚生労働省の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」は、介護の基本原則として「本人の意思の尊重」と「自己決定の尊重」掲げています。私たちの都合で「今トイレに行くべき」と決める(代理代行決定)のではなく、あくまでご本人の意思決定を「支援する」という視点が大切です。このプロセスは「代理代行決定のプロセスとは異なる」と明確に区別されています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

基本原則は「本人の意思の尊重」であり、「自己決定の尊重」に基づく支援を行う。情報提供は、本人が有する認知能力に応じて「理解できるように説明しなければならない。」と明記。日常生活の具体場面でも、まずは本人の意思・選好を確認し、それを尊重する姿勢を前提とする。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

本ガイドラインは「『代理代行決定』のルールを示すものではない。」ことを明確化し、「本人の意思決定支援のプロセスは、代理代行決定のプロセスとは異なる」と位置づける。本人の意思尊重を原理として掲げる。

適切なスキルが、双方の「力」につながる

「本人の意思を尊重する」ことと、「何もしない」ことは違います。厚生労働省の研修テキストでは、「適切なコミュニケーション・スキル/技能は欠かすことが出来ない。」とされています。スキルは相手を操作するためではなく、ご本人の安心を引き出すために使います。こうした関わりは、「利用者と介護者双方のエンパワーメントにつながる。」(=お互いの力づけになる)と示されており、介護士自身のやりがいにも直結します。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

基本姿勢は「コミュニケーションは『する』ものではなく『在る』もの」であり、同時に「適切なコミュニケーション・スキル/技能は欠かすことが出来ない。」とする。態度と技能の双方を要件として提示する。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

アセスメントは「相互信頼の進展過程」であり、「コミュニケーションは利用者と介護者双方のエンパワーメントにつながる。」双方向性と力づけを明確化する。

「行きたくない」「出てない」という言葉は、私たちへの抵抗ではなく、ご本人からのサインです。まずこの基本姿勢に立ち返ることで、介護士である私たちの心にも余裕が生まれ、次の具体的な関わり方が見えてきます。


よくある事例:拒否を「安心」に変えるコミュニケーション術

前のセクションで確認した「基本姿勢」を土台に、現場で最も多い2つの拒否事例について、具体的な対応(声かけ)を厚生労働省の資料に基づいて整理します。

女性の介護職員の画像

大前提:相手は「認知症」ではなく、「人」である

すべての対応の前提として、私たちは「コミュニケーションをとる相手は、『認知症』ではなく、『人』である」という認識を持つ必要があります。厚生労働省の「認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)」が示すように、病気の症状としてではなく、「その人の『そのままの姿』を支える」という視点が、信頼関係の第一歩です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

相手は「『認知症』ではなく、『人』」であることを強調し、図示では「その人の『そのままの姿』を支える」と示す。疾患名に先行しない人間中心の姿勢を明確にする。

事例1:「行きたくない!」(タイミングの拒否)への対応

食後など、介護士側が「今がベスト」と思うタイミングで声をかけても、強い拒否にあう場面です。まずはご本人の状態を「プロセス②····· 観る、聴く」で確認します。厚生労働省のガイドラインでは「疲れている時を避ける」配慮も示されています。 その上で誘導する際は、「トイレに行きましょう」という決定事項ではなく、「可能な限り複数の選択肢を示し」、「プロセス④····· 調整」「プロセス⑤····· ともに行う」という姿勢が大切です。「一緒に行動する仲間」として、ご本人が「自己決定」できる関わりを目指します。(※例えば、「今行っておきますか? それとも、もう少し休んでからにしますか?」といった形で、エビデンスが示す「複数の選択肢を示し」を具体化する工夫が考えられます。)

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「空間をともにする」「観る、聴く」「対話する」「調整」「ともに行う」と段階化。関わり方の順序と内容を具体的に指し示す。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思の表明が揺らぎやすい状況を避ける観点から、面談等は「慣れた場所で…行うことが望ましい。」また「集中できない時期を避ける、疲れている時を避ける」ことを求め、環境・時間の配慮を具体的に示す。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

情報提供は「分かりやすい言葉や文字にして、ゆっくりと説明」。選好形成には「複数の選択肢を示し」必要に応じて「図や表を使って示すことが有効」。理解促進の工夫と視覚補助の併用が推奨される。

事例2:「(失禁しているのに)出てない!」(事実の否認)への対応

ご本人のプライド(意思)を尊重し、「出てますよ」と間違いを強く指摘することは避けます。厚生労働省の資料では、「分かりやすい言葉や文字にして、ゆっくりと説明」し、「声の調子に気をつけてゆっくりと話す」ことで、安心感を伝える重要性が示されています。この場合、「トイレ」や「失禁」といった直接的な言葉をご本人のプライドに配慮して避け、ご本人の「身体を気遣う」という目的(理由)に切り替えて「分かりやすい言葉」で説明を試みることが有効です。(※例えば、「服が濡れると冷えますから」といった形で、ご本人の身体を気遣う声かけを工夫することが考えられます。)

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

情報提供は「分かりやすい言葉や文字にして、ゆっくりと説明」。選好形成には「複数の選択肢を示し」必要に応じて「図や表を使って示すことが有効」。理解促進の工夫と視覚補助の併用が推奨される。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じた配慮として、「はっきりとした声,聞こえやすい大きさ」で話し、「声の調子に気をつけてゆっくりと話す」ことを具体的ポイントとして示す。聴取と理解を助ける基本配慮である。

両事例に共通する技術:「待つ」姿勢

どちらの事例でも、声をかけた後にすぐに動かれなくても、私たちは「相手のペースに合わせ」る必要があります。厚生労働省のガイドラインは、「本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要」であり、「焦らせるようなことは避けなければならない。」と明確に示しています。私たちが沈黙を恐れずに「待つ」ことで、ご本人が自分で考え、納得する時間が生まれます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

関わりの姿勢として「相手のペースに合わせ」、感情面では「気持ちを読み取る」を掲げる。行動化の背景に配慮しながら、負担の少ない促し方を構成する視点が示される。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

進行は「本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要」であり、「焦らせるようなことは避けなければならない。」と明記。拙速な決定や急かしを避け、納得形成を重視する姿勢を求める。

これらの対応は、ご本人を「変える」ためのものではなく、ご本人が「安心」して次の行動に移れるよう支援するためのものです。この視点が、拒否の連鎖を断ち切る鍵となります。


理由:なぜ「行きたくない」「出てない」と拒否するのか?

介護士が直面するトイレの「拒否」。それは「わがまま」ではなく、認知症の人ご本人からの「意思表示」の可能性があります。その背景にある理由を、厚生労働省のガイドライン等に基づき整理します。

女性の介護職員の画像

理由1:「自分で決めたい」という意思の表れ

介護士のタイミングではなく、ご本人の「自己決定の尊重」が基本です。厚生労働省の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」は、介護の基本原則として「本人の意思の尊重」を掲げています。「今は行きたくない」という言葉は、ご本人が「自分で決めたい」という大切な意思の表れかもしれません。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

基本原則は「本人の意思の尊重」であり、「自己決定の尊重」に基づく支援を行う。情報提供は、本人が有する認知能力に応じて「理解できるように説明しなければならない。」と明記。日常生活の具体場面でも、まずは本人の意思・選好を確認し、それを尊重する姿勢を前提とする。

理由2:何をされるか分からない「不安」や「混乱」

認知機能の影響により、今いる場所や、なぜトイレに誘われるのかを理解できず、不安や混乱から拒否につながることがあります。厚生労働省のガイドラインでは、「分かりやすい言葉や文字にして、ゆっくりと説明」することの重要性が示されています。私たちが当たり前に思う「トイレ誘導」も、ご本人にとっては「どこに連れて行かれるか分からない」不安な出来事かもしれません。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

情報提供は「分かりやすい言葉や文字にして、ゆっくりと説明」。選好形成には「複数の選択肢を示し」必要に応じて「図や表を使って示すことが有効」。理解促進の工夫と視覚補助の併用が推奨される。

理由3:言葉にできない「身体的な不快感」

「行きたくない」という言葉の裏に、別の理由が隠れていることもあります。例えば、厚生労働省のガイドラインでは、意思決定の環境として「疲れている時を避ける」、「慣れた場所で…行うことが望ましい。」とされています。トイレが寒かったり、体調が優れなかったり、あるいは眠かったりする不快感を、うまく言葉にできずに「行きたくない」という拒否で表現している可能性もあります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思の表明が揺らぎやすい状況を避ける観点から、面談等は「慣れた場所で…行うことが望ましい。」また「集中できない時期を避ける、疲れている時を避ける」ことを求め、環境・時間の配慮を具体的に示す。

理由4:「出てない」の背景にある認識と現実のズレ

失禁している状況でも「出てない」と否認される場合、ご本人は嘘をついているとは限りません。認知機能や感覚の変化により、失禁している状況を「認識する力」が低下している可能性があります。この場合、ご本人にとっては「出てない」が真実です。それを介護士から「出てますよ」と否定されることは、プライドを深く傷つけられることになり、強い拒否につながります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定能力の評価は「説明の内容をどの程度理解しているか」を含め、「認識する力」「論理的な判断ができるか」「意思を表明できるか」等の観点で構成される。評価結果は後続の支援方法の選択に直結する。

このように、拒否はご本人なりの理由に基づいたサインです。この背景を理解することが、一方的な「説得」ではなく、ご本人の「納得」につながる支援の第一歩となります。


FAQ(よくある質問)

現場でよくある「こういう時はどうするの?」という疑問に、厚生労働省の資料を基にお答えします。

女性の介護職員の画像
Q
何度説明しても「忘れてしまう」場合はどうすればいいですか?
A

認知症の特性上、「説明された内容を忘れてしまうこともあり」ます。厚生労働省のガイドラインでも、「その都度、丁寧に説明することが必要である。」とされています。一度言ったから終わり、ではなく、毎回初めて伝える気持ちで、根気よく関わることが求められます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

認知症の特性として「説明された内容を忘れてしまうこともあり」、支援者は「その都度、丁寧に説明することが必要」とされる。繰り返し説明を前提に、混乱や不安の軽減を図る。

Q
言葉でのやり取りが難しい場合は?
A

厚生労働省のガイドラインでは、「身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力」が求められています。また、同省の研修テキストでも、介護士側が「表情に留意する」「身振りや手振りも織り交ぜながら話す」ことの重要性が示されています。言葉(言語)だけに頼らず、非言語的なサインを読み取り、こちらからも発信することが大切です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

言語表出が難しい場合を想定し、「身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力」を求める。さらに「本人の表明した意思…尊重される。」とし、非言語情報を含めた意思確認と尊重が、支援の出発点であることを示す。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

非言語面の配慮として「表情に留意する」こと、さらに「身振りや手振りも織り交ぜながら話す」を挙げ、視覚情報と合わせた伝達を推奨する。非言語の重要性を明確化する。

Q
声をかけるタイミングはいつが良いですか?
A

ご本人の状態を「観る、聴く」ことが前提です。厚生労働省のガイドラインでは、意思決定のタイミングとして「集中できない時期を避ける、疲れている時を避ける」ことが望ましいとされています。食後すぐで眠そうな時や、レクリエーションに集中している時などは避け、ご本人が落ち着いている時を見計らう観察力が求められます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「空間をともにする」「観る、聴く」「対話する」「調整」「ともに行う」と段階化。関わり方の順序と内容を具体的に指し示す。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思の表明が揺らぎやすい状況を避ける観点から、面談等は「慣れた場所で…行うことが望ましい。」また「集中できない時期を避ける、疲れている時を避ける」ことを求め、環境・時間の配慮を具体的に示す。

これらの疑問への答えは、すべて「本人の意思尊重」という基本姿勢につながっています。


まとめ

「行きたくない」「出てない」という認知症の方のトイレ拒否について、その理由(心理)と具体的な対応を見てきました。拒否されるとつい焦ってしまいますが、その言葉の裏にはご本人なりの大切な理由が隠されています。

「本人の意思」を尊重する関わり

この記事で見てきた「拒否の理由」と「対応の事例」は、すべて「本人の意思の尊重」という基本原則に基づいています。厚生労働省の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」では、「自己決定の尊重」が明確に示されています。ご本人の拒否は「わがまま」ではなく、プライドや不安、あるいは混乱から来る「意思表示」です。私たちが「分かりやすい言葉で、ゆっくり説明」し、「待つ」「選択肢を示す」といったスキルを実践することは、すべてご本人の意思を尊重し、安心してもらうための支援です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

基本原則は「本人の意思の尊重」であり、「自己決定の尊重」に基づく支援を行う。情報提供は、本人が有する認知能力に応じて「理解できるように説明しなければならない。」と明記。日常生活の具体場面でも、まずは本人の意思・選好を確認し、それを尊重する姿勢を前提とする。

相手を「認知症」ではなく「人」として尊重し、「対話」と「待つ」姿勢を持つことで、拒否は「安心」と「納得」に変わっていきます。明日からのケアで、ぜひ一つでも実践してみてください。



更新履歴

  • 2025年11月12日:新規投稿
タイトルとURLをコピーしました