毎月の委員会、形骸化していませんか?
「報告事項はありません」で終わる形式だけの時間に、虚しさを感じていませんか。法令遵守のために開催は必須ですが、多忙な現場では準備の時間も取れず、マンネリ化が進みがちです。
いきなり活発な議論は難しくても、委員会を「現場を守る実務の場」に変えることは可能です。まずは形式的な報告会を脱却し、無理なく運営できる現実的な一歩から始めてみましょう。
この記事を読むと分かること
- ネタに困らない議題設定のコツ
- 現場に定着する指針の改善法
- 負担を減らす委員会の進め方
- PDCAを回す具体的な手順
- 自施設に合うルールの作り方
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
結論:委員会は「勉強会」ではありません。「決める場」に変えましょう

現場では「シフト調整してやっと集まったのに、報告だけで終わってしまった」「毎月新しいネタを探すのがプレッシャーだ」という声が聞かれます。日々の業務に追われる中で、さらに「勉強会の講師役」まで求められるのは、人員配置の面でも限界があるのが現実でしょう。「何か意見は?」という問いかけに沈黙が続くのは、職員のやる気がないからではなく、日々のケアで手一杯だからかもしれません。
役割は「報告」ではなく「組織としての方針決定」
感染対策委員会は、単に情報を伝達したり報告を聞いたりするだけの場ではありません。厚生労働省の手引きでは、委員会は「組織としての方針や手順を決定する意思決定機関」として位置づけられています。
具体的には、施設内の感染対策指針の策定や改定、研修計画の立案、感染症発生時の対応手順の確認などが主な役割です。つまり、誰かが持ってきた新しい知識を学ぶ「勉強会」に終執する必要はなく、「自施設のルール(指針・マニュアル)をどうするか」を話し合い、決定することこそが本来の目的です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
施設長(管理者)は、感染対策委員会を設置し、運営する責任があります。委員会は、施設内の感染対策指針の策定、研修計画の策定、感染対策の実施状況の評価、感染症発生時の対応などを審議・決定します。構成員は、施設長、看護職員、介護職員、医師(配置されている場合)、その他の職種で構成され、施設全体で感染対策に取り組む体制を構築します。
「ネタ探し」は不要。やるべきはPDCAの実踐
「毎月話すことがない」という悩みは、委員会を「新しい情報を仕入れる場」と捉えているからこそ生まれます。しかし、本当に必要なのはPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回すことです。
一度作ったマニュアル(Plan)が現場で実施されているか(Do)、もし実施されていないなら何が原因か(Check)、どうすれば実施できるか(Action)を検討します。議題を作るために、外部から特別なネタを探し続ける必要はありません。「現場でマニュアル通りにできていないこと」や「手順が不明確な業務」を一つ見つけるだけで、それがそのまま委員会の重要な議題となり得ます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
感染対策は、PDCAサイクル(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善)を回すことが重要です。指針やマニュアルを策定(Plan)し、職員に周知・研修を行って実施(Do)させ、定期的に実施状況を確認・評価(Check)し、問題点があれば改善(Action)することで、対策の質を向上させます。
委員会を「ネタ探しの場」にするのはやめましょう。本来の役割は、外部の知識を披露することではなく、自施設のルール(指針・マニュアル)を現場の実情に合わせて調整・決定することです。マニュアルと現場のズレを埋める作業こそが、最も意味のある活動です。
その悩み、視点を変えれば解決の糸口が見つかるかもしれません

「一生懸命やっているのに、なぜか現場とうまくいかない」「委員会の日が憂鬱だ」。そんな悩みを抱えているのは、あなただけではありません。多くの施設が直面する典型的な3つの壁と、それを乗り越えるためのエビデンスに基づいた視点を紹介します。
事例1:報告事項がなく沈黙が続く
- 状況
- 感染者が出ていない平和な月は、特に議題がなく5分で終了してしまう。
- 困りごと
- 「開催実績を作るための儀式」になっており、誰も重要性を感じていない。
- よくある誤解
- 「感染者が出た時だけ対策を考えればよい」
- 押さえるべき視点
- 平常時こそ、備えを固める重要な期間です。感染症が発生していない時期は、マニュアルの読み合わせや、シミュレーション訓練を行う絶好の機会です。また、災害時などの業務継続計画(BCP)の点検も平常時の重要な役割です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
施設長は、平常時から感染対策委員会を定期的に開催し、指針の策定、研修の実施、感染症発生時の対応手順の確認などを行う必要があります。
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
感染症や災害が発生した場合でも、必要なサービスを継続的に提供できるよう、業務継続計画(BCP)を策定し、平常時から研修や訓練を行うことが求められます。
事例2:現場職員がルールを守らない
- 状況
- 委員会で決めた手順(手洗いタイミングなど)が、現場では無視されている。
- 困りごと
- 委員だけが空回りし、「現場の意識が低い」と対立構造になる。
- よくある誤解
- 「ルールを決めて配れば、みんな読んで守るはずだ」
- 押さえるべき視点
- 守られないのは、意識の問題ではなく「ルールが現場に合っていない」可能性があります。委員会は一方的に決める場ではなく、実施状況を評価(Check)し、無理があれば改善(Action)する場です。「なぜ守れないのか」という現場の声を拾い、マニュアルを修正することこそがPDCAの実践です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
PDCAサイクルの「評価(Check)」では、対策が確実に実施されているかを確認し、「改善(Action)」では、問題点があれば対策を見直します。
厚生労働省
高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
委員会は、施設内の感染症の発生状況や対策の実施状況などの情報を収集・分析し、対策の評価を行います。また、現場からの意見を汲み上げ、対策に反映させることも重要です。
事例3:「施設が狭い」とゾーニングを諦めている
状況:古い施設で個室や区分けが難しく、議論自体を放棄している。
- 困りごと
- いざ発生した時にパニックになることが目に見えている。
- よくある誤解
- 「完璧な壁や個室がないとゾーニングはできない」
- 押さえるべき視点
- 物理的な壁がなくても、可能な感染対策はあります。重要なのは「持ち込まない・拡げない・持ち出さない」の3原則です。動線を分ける、あるいは感染者と非感染者の担当職員を分ける「コホーティング(集団隔離)」など、ハード面が不十分でも運用(ソフト面)でカバーできる工夫を事前に決めておくことが重要です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
施設内で感染者が発生した場合、感染者と非感染者の生活空間を分ける「ゾーニング」を行います。個室がない場合は、同室内に感染者を集めるなどの工夫が必要です。
厚生労働省
高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
感染拡大を防ぐため、感染者(または疑いのある者)を1つの区域や部屋に集め、担当職員を固定する「コホーティング」が有効です。また、病原体を「持ち込まない」「拡げない」「持ち出さない」ことが重要です。
うまくいかない時こそ、「職員の意識」のせいにせず、「仕組み」を疑ってみましょう。平常時だからできる訓練、現場の声を聞くPDCA、設備不足を補う運用の工夫。これらに目を向けることで、委員会の議題は「解決すべき具体的なタスク」に変わるでしょう。
なぜ「ネタ切れ」や「形骸化」が起きるのか

現場では「委員会=上層部から一方的に言われる場」という空気が流れていることがあります。「現場の実情を知らないくせに」という反発心や、「余計なことを言って仕事を増やしたくない」という防衛本能が、あの重苦しい沈黙を生んでいるのかもしれません。しかし、根本的な原因は心理的なものだけでなく、「委員会の構造」そのものにあると考えられます。
一方的な「周知」で終わっているから
委員会が「決まったことを伝える場」になっていませんか。本来の感染対策は、決めたルール(Plan)を実行(Do)するだけでなく、それが現場で守られているかを評価(Check)し、問題があれば改善(Action)するというサイクルが必要です。
しかし、多くの現場では「周知(Do)」で止まってしまっている傾向があります。PDCAの「評価(Check)」においては、一方的な指示だけでなく、「なぜこの手順が守れないのか」という現場の実施状況や課題を確認することが求められます。ここが抜け落ちているため、現場は「自分事」にならず、やらされ感が消えないのです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
感染対策を効果的に行うためには、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回すことが不可欠です。単に対策を実施するだけで、定期的に実施状況を確認・評価し、問題点があれば改善につなげることが重要です。
「開催すること」が目的になっているから
毎月開催することがノルマとなり、中身よりも「開催実績」が優先されていませんか。議題がないのに無理やり集まれば、形骸化しやすくなると考えられます。
委員会の本来の役割は、施設内の感染対策指針やマニュアルを整備し、組織としての方針を決定することです。議題がないということは、「マニュアルは完璧で、現場の運用も問題ない」という意味になりますが、現実にはそうではないはずです。開催自体を目的にせず、「指針の点検や実施状況の評価」を目的に据え直す必要があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
感染対策委員会は、施設内の感染対策指針の策定、研修計画の策定、感染対策の実施状況の評価、感染症発生時の対応などを審議・決定する役割を担っています。概ね3ヶ月に1回以上(施設系サービスの場合)定期的開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ開催する必要があります。
形骸化の原因は、委員会が「一方通行の周知」や「儀式」になっている点にあります。現場からのフィードバック(評価・改善)を受け入れる場に変えることで、それは「生きた会議」に近づくはずです。
疑問をクリアにして、運営をスムーズに
「開催頻度はこれでいいの?」「誰を呼べばいいの?」といった運営の迷いは、ただでさえ忙しい現場の負担になります。基本となるルールを押さえて、迷いなく準備できる状態を目指しましょう。
- Q委員会はどのくらいの頻度で開催すべきですか?
- Aサービスの種類によって異なりますが、特養や老健などの「施設系サービス」では概ね3ヶ月に1回以上、デイサービスなどの「通所系・居住系・訪問系サービス」では概ね6ヶ月に1回以上の定期的開催が求められています。ただし、インフルエンザ等の流行時期には、必要に応じて随時開催することが望ましいです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
施設長(管理者)は、感染対策委員会を設置し、運営する必要があります。開催頻度は、施設系サービスでは概ね3ヶ月に1回以上、通所系・居住系・訪問系サービスでは概ね6ヶ月に1回以上とし、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じて開催します。
厚生労働省
高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
委員会は、概ね3ヶ月に1回以上定期的に開催するとともに、必要に応じて随時開催します。
- Q誰が参加する必要がありますか?
- A委員長である施設長(管理者)に加え、看護職員、介護職員、生活相談員など、職種を超えたメンバーで構成することが望ましいとされています。また、配置されている場合は医師や、産業医などの専門家の助言を得ることも重要です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
委員会の構成員は、施設長(管理者)、看護職員、介護職員、医師(配置されている場合)、その他の職種で構成され、施設全体で感染対策に取り組む体制を構築します。
厚生労働省
高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
委員会の構成員としては、施設長、看護師、介護職員、医師、生活相談員、栄養士、事務長などが挙げられます。
- Qマニュアル(指針)には何を書けばいいですか?
- A大きく分けて「平常時の対策」と「発生時の対応」の2つを規定する必要があります。平常時の対策には、委員会などの組織体制やケアの手順、研修計画などが含まれます。発生時の対応には、連絡体制、行政への報告手順、拡大防止策(ゾーニング等)などを盛り込みます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
感染対策指針には、「平常時の対策」と「発生時の対応」を盛り込む必要があります。平常時の対策には、体制整備、施設内の衛生管理、職員研修などが含まれます。発生時の対応には、発生状況の把握、感染拡大防止、医療機関・保健所・市町村への報告などが含まれます。
厚生労働省
高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
指針には、感染対策の基本的考え方、委員会等の組織体制、平常時の対策、発生時の対応、研修・訓練などを記載します。
運営のルールが明確になれば、準備の負担軽減につながります。「誰を呼べばいいの?」といった運営の迷いは、ただでさえ忙しい現場の負担になります。基本となるルールを押さえて、迷いなく準備できる状態を目指しましょう。
まとめ:まずは「手順書を1つ見直す」ことから
ここまで、委員会の本来の役割や運営の工夫についてお伝えしてきました。いきなり立派な議論を交わそうとする必要はありません。
まずは次回の委員会で、「今あるマニュアル(手順書)を1ページだけ、みんなで読み合わせてみる」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
現場の職員に「この手順でやりにくいことはない?」と一つ聞いてみるだけで、そこから具体的な改善の議論が始まるきっかけになります。
「ネタ切れ」は平和な証拠ではなく、「見直し不足」のサインかもしれません。完璧を目指さず、できる範囲で「現場の声」を拾う仕組みを少しずつ作っていきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。
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更新履歴
- 2026年2月217日:新規投稿







