【介護】「早くして」は禁句?認知症ケアで待つことが最大の時短になる理由と実践テクニック

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「待つのが仕事」とわかっていても、コールが鳴り止まない現場では精神論だけでは対応しきれない場合もあるます。

理想と現実の板挟みで、自己嫌悪に陥る必要はありません。脳の仕組みを知り、業務効率を高める技術として「待つ」を捉え直すことを提案します。

この記事を読むと分かること

  • 「急げない」脳の仕組み
  • 急かすと高まる可能性があるBPSDリスク
  • より早く動いてもらう技術

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 動作が遅いとイライラする
  • 急かして逆に止まった
  • 待つのがサボりに思える
  • 自分の性格を責めてしまう

「待つ」ことは時間のロスではなく、業務を早く終わらせる「戦略」と捉えられます

男性入居者の画像

現場では「人手が足りず、一人にかける時間がない」「コールが鳴り止まず、つい急かしてしまう」といった切実な声が聞かれます。

理想はわかっていても、限られた人員配置では「待つ余裕なんてない」というのが本音ではないでしょうか。

急がせることは「大きなタイムロス」になり得る

「早くして」と急かすことは、利用者にとって不適切なケアとなり、不安や混乱を招く原因となることがあります。

その結果、興奮して暴れたり(暴力)、頑として動かなくなったり(拒否)する行動・心理症状(BPSD)が引き起こされることがあります。

こうなると、落ち着いていただくまでに時間が必要になることがあります。急ぐことは、結果的に行動・心理症状(BPSD)を引き起こす原因となり得ると考えられます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

不適切なケアや環境によって、行動・心理症状(BPSD)が引き起こされることがある。

「待つ」ことは専門技術といえる

「待つ」とは、ただ時間を過ごすことではないと捉えられます。相手のペースに合わせ、気持ちを汲み取りながら関わる能動的なアクションといえます。

相手の表情を確認しながらゆっくり関わることで、恐怖や脅威を起こさないで済むと考えられます。

  • 相手のペースに合わせる
  • 表情を確認しながら話す
  • 脅威を与えない

「待つ」ことはサボりではなく、相手のペースに合わせて関わるためのプロの技術といえます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせて気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

援助者による脅威、ケアに伴う恐怖を起こさないで済む


現場で見られることがある!「良かれと思って急いだら期待と異なる結果」な3つの事例

女性入居者と女性介護職員の画像

「次の予定があるから」「湯冷めしないように」。そんな利用者様を想う気持ちからの行動が、なぜかトラブルに繋がってしまう。現場で経験することがある「ボタンの掛け違い」を見ていきましょう。

1. トイレ誘導:「早くして」で動作が止まる

状況次の利用者が待っており、焦りからズボンを下ろすのを急かした。
困りごと逆に動きがピタリと止まり(フリーズ)、余計に時間がかかってしまった。
よくある誤解「わざとゆっくりやっている」「嫌がらせだ」と思ってしまう。
押さえるべき視点認知症による脳の障害で、日常的な生活が難しくなっている可能性があります。急かされるとパニックになり、動けなくなることがあります。
出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症とは,一旦正常に発達した知能が後天的に器質的な脳の障害によって広汎に継続的に低下し,日常的な生活を営めない程度にまで衰退した状態と定義されている。

2. 食事介助:ペースを上げたら口を開かない

状況時間内に食べてもらおうと、次々とスプーンを口に運んだ。
困りごと顔を背けて拒否され、食事摂取量が減ってしまった。
よくある誤解「お腹が空いていない」「わがままだ」と捉えてしまう。
押さえるべき視点急な介入は「脅威」「恐怖」と認識されることがあります。安心感がないと、ケアを受け入れられないことがあります。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

援助者による脅威、ケアに伴う恐怖を起こさないで済む

3. 更衣介助:手早く済ませようとして叩かれる

状況入浴後、湯冷めしないようにと急いで服を着せようとした。
困りごと突然手を払いのけられ、「暴力的な人」だと誤解が生じた。
よくある誤解「認知症が進んで凶BW化した」と性格のせいにする。
押さえるべき視点不適切なケア(乱暴に感じる関わり)に対する、反応(BPSD)である可能性があります。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

不適切なケアや環境によって、行動・心理症状(BPSD)が引き起こされることがある。


なぜ「急げない」のか?脳の中で起きている3つの要因

女性の介護職員の画像

「さっきはできたのに」「何度も言わないとわからないの?」。現場ではそんな疑問とイライラが生じることがあります。

しかし、それは本人の「やる気」だけの問題とは限らないと考えられます。脳の機能障害により、構造的に「急ぐことが難しい場合がある」状態にあると考えられます。

1. 情報処理が追いつかず、言葉が「雑音」のように感じられることがある

建前(理想)はっきり指示すれば、すぐに伝わるはず。
現実(現場)早口の指示は伝わりにくく、単なる「意味のない音の塊」のように感じられることがあります。

認知症の方は、健常者のスピードで話しかけられると理解が追いつかないことがあります。

そのため、専門的な関わり方として「声の調子に気をつけてゆっくり話す」ことがポイントとして挙げられています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。

2. 「実行機能障害」で、動作のスイッチが見つからない

建前(理想)ズボンを下ろすくらい、無意識でできるはず。
現実(現場)「ボタンを外す→下げる→座る」という工程が繋がらないことがあり、急かされると動けなくなることがあります。

認知症は、脳の障害によって知能が低下し、日常的な生活が営めない状態と定義されています。

当たり前にできていた手順がわからなくなることがあり、急かされると焦りばかりが募り、余計に動けなくなってしまうことがあります。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症とは,一旦正常に発達した知能が後天的に器質的な脳の障害によって広汎に継続的に低下し,日常的な生活を営めない程度にまで衰退した状態と定義されている。

3. 焦燥感が「攻撃」として伝わり、自尊心が傷つく

建前(理想)「あなたのため」を思って急がせている。
現実(現場)内容は伝わらず、イライラした態度だけが「攻撃」「馬鹿にされた」として伝わることがあります。

急かす態度は「脅威」として認識されることがあります。

自尊心を傷つけられたと感じると、自分を守るために拒否や反撃に出ることは、反応と捉えられることがあります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせて気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

援助者による脅威、ケアに伴う恐怖を起こさないで済む


「待つケア」に関する現場の迷いへの回答

女性の介護職員の画像

「理屈はわかるけど、この人手不足でどうすればいいの?」。そんな現場の率直な疑問に、エビデンスに基づく見解としてお答えします。

Q
忙しくて時間がない時でも、無理して待つ必要がありますか?
A
不適切なケアは、結果としてBPSD(行動・心理症状)を引き起こすリスクを高める可能性があります。「待つ」ことも選択肢となる可能性があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

不適切なケアや環境によって、行動・心理症状(BPSD)が引き起こされることがある。

Q
「待つ」といっても、ただ黙っていればいいのですか?
A
いいえ。相手の表情を確認したり、ペースを合わせたりする積極的な関わりが含まれると記載されています。ただ放置するのではなく、相手の気持ちを汲み取る姿勢がポイントとして挙げられています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせて気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

Q
どうしてもイライラしてしまいます。技術でカバーできますか?
A
はい。精神論ではなく、相手が認識しやすい立ち位置や、ゆっくりとした話し方などの具体的な技術があると記載されています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。


「待てない」自分を責めるのは区切りと捉えられます。明日から試せる「5秒の技術」

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。「待てない」と悩むのは、あなたがそれだけ真剣に仕事と向き合っている表れです。

明日からは、声をかける前に「5秒だけ」一呼吸置いてみることを提案します。その数秒が、利用者の安心に繋がり、トラブルを防ぐ助けになると考えられます。

「待つ」ことは我慢ではなく、自分自身を守り、業務を円滑にするための技術の一つです。

完璧を目指す必要はないと考えられます。できる範囲で「待つ技術」を取り入れ、少しでも心に余裕のあるケアが実現することを目指します。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。


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更新履歴

  • 2025年11月19日:新規投稿
  • 2026年2月14日:より詳細なエビデンス(根拠)に基づき解説を充実させるとともに、最新のサイト基準に合わせて構成・レイアウトを見やすく刷新。

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