【介護×生成AI】介護記録の負担を減らす「整える」発想。コピペで使えるAIプロンプト付き

本当は利用者一人ひとりと向き合いたいのに、膨大な書類作成に追われ、事務作業が目的化してしまう。そんな理想と現実のギャップに、多くの現場が葛藤を抱えています。

人員配置の限界ですべてを完璧にするのは困難ですが、書く負担さえ減らせれば、心に余裕は生まれます。まずは記録の作り方から、現実的な改善を始めませんか。

この記事を読むと分かること

  • 記録時間を大幅に短縮できる
  • 文章力がなくても記録が書ける
  • AIへの正しい指示出しが分かる
  • 観察に集中する余裕が生まれる

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • PCの前で言葉が出てこない
  • 「特変なし」と書きがち
  • 自分の文章に自信がない
  • 記録のために残業している

結論:記録は「書く」から「整える」へ。5W1HメモでAIを使いこなす

女性の介護職員の画像

「丁寧な記録が大事」なのは痛いほど分かっている。でも現実は、ナースコールと排泄介助の合間を縫って、クタクタの頭でパソコンに向かうのが精一杯ではないでしょうか。

「もっと具体的に書いて」と指導されても、そもそも考える時間言葉を選ぶ余裕も残っていない。そんな現場の限界の中で、これ以上「個人の努力」や「文章力」に頼って解決しようとするのは、もうやめましょう。

記録の負担は「間接業務」の肥大化。本来のケアを取り戻す

介護現場の業務は、食事や入浴などの直接的なケアと、記録・報告などの間接的業務に分けられます。

理想はケアに時間を割くことですが、現実は手書きからPCへの転記や、重複した書類作成といったムリ・ムダ・ムラ(3M)が、職員の時間を圧迫しています。

特に記録業務は、ICT活用などで効率化すべき代表的な間接業務です。

ここの負担を減らすことは「手抜き」ではありません。

ムダを省いて生み出した時間を、利用者と向き合う時間に変えることこそが、ガイドラインでも推奨される生産性向上の本来の目的です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省老健局

介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf

介護現場における業務は、「直接的なケア(食事・入浴・排泄介助など)」と「間接的業務(記録・報告・会議など)」に分類される。生産性向上の取組では、ICT活用や業務の見直しを通じて間接的業務を効率化し、それによって創出された時間を直接的なケアや利用者とのコミュニケーションに充てることが重要である。これにより、職員の負担軽減とケアの質の向上を同時に実現することを目指す。

厚生労働省老健局

介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf

業務改善の視点として、製造業等で用いられる「3M(ムリ・ムダ・ムラ)」の排除が有効である。「ムリ」は職員への過度な負担、「ムダ」は付加価値を生まない作業、「ムラ」は業務品質のバラつきを指す。これらを洗い出し、手順の見直しやICT導入を行うことで、業務の標準化と効率化を図ることができる。

文章力は不要。AIに必要なのは「5W1Hの事実」だけ

「文章が書けない」と悩む必要はありません。生成AIを活用すれば、人間がゼロから文章を構成する必要がなくなるからです。

AIは、入力された情報の要約や、指定されたトーンに合わせた文章作成を得意としています。

私たち人間に求められるのは、綺麗な文章を書くことではなく、AIに正確な素材を渡すことです。

具体的には、いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何をした(What)といった5W1Hの事実を、箇条書きでメモするだけで十分です。

「思考の整理」や「言い回しの調整」はAIに任せ、人間は事実の記録に専念しましょう。

出典元の要点(要約)

独立行政法人 情報処理推進機構

テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

生成AIの代表的なユースケースとして「文章作成」と「要約」が挙げられる。メールの文案作成、議事録の要約、日報のドラフト作成などに活用することで、業務時間の短縮が可能となる。ユーザーは箇条書き等の断片的な情報を入力するだけで、AIが文脈を補完し、自然な文章を生成することができる。

「役割・制約・入力」の型で、メモが専門的な記録に変わる

箇条書きのメモを質の高い記録に変換するには、AIへの指示(プロンプト)に明確なを持たせることが重要です。

漠然と「書いて」と頼むのではなく、以下の3要素を含めることで回答の精度が劇的に向上します。

  • 役割:AIに「プロの介護士」などの立場を与える。
  • 制約:「客観的な事実のみ」「感想は含めない」等のルールを決める。
  • 入力:実際の5W1Hメモを渡す。

このように明確な指示を与えることで、AIは意図を正しく理解し、専門用語を用いた適切な記録を出力してくれます。

出典元の要点(要約)

独立行政法人 情報処理推進機構

テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

プロンプト(指示文)の品質が、生成AIの出力結果に大きく影響する。効果的なプロンプトを作成するためには、「役割の付与(あなたは〇〇です)」、「明確な指示(〇〇してください)」、「制約条件(〇〇文字以内で、〇〇の形式で)」、「入力情報(以下のテキストを元に)」といった要素を明確に区分して記述することが推奨される。

介護記録の本質は「事実の共有」です。文章の整形はAIに任せ、人間は「5W1Hの観察」に集中する。この役割分担こそが、忙しい現場でケアの質を落とさずに時間を生み出す、最も現実的な解決策です。

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よくある事例:「書けない」には理由がある。AIで変わる3つの景色

現場では、「利用者の顔色よりパソコンの画面を見ている時間の方が長い気がする」という悲痛な声が聞かれます。

ここでは、多くの介護士が直面する3つの壁に対し、AI活用の具体的なプロンプト例を示しながら解決策を見ていきます。

事例1:夜勤明け、頭が回らずPCの前でフリーズ

1. 状況(ストーリー)
16時間の長時間夜勤を終えた朝、最後の力を振り絞ってパソコンに向かう瞬間。「昨晩のAさんの様子」は頭にあるのに、疲れすぎて適切な日本語が出てこない。1行書くのに数分かかり、気づけば定時を大きく過ぎている。

2. 状況整理
思考力が低下している時に、ゼロから文章を構成するのは困難です。無理に文章を作ろうとせず、頭に浮かんだ「事実(単語)」を箇条書きで出し切り、あとはAIに「つなぎ合わせ」と「整形」を任せるのが正解です。

3. コピペで使えるプロンプト

# 役割
あなたはプロの介護士です。
以下の【箇条書きメモ】を元に、介護記録の文章を作成してください。
推測は加えず、入力された事実のみを使用してください。

# 箇条書きメモ
・A様
・2時ごろ
・トイレに行きたいとナースコール
・ふらつきあり、歩行介助
・排尿あり、異常なし
・その後すぐ入眠

# 出力形式
丁寧な「です・ます」調で

事例2:「あなたの感想ですよね?」と突き返される

1. 状況(ストーリー)
利用者のために一生懸命書いた記録なのに、上司から「主観的すぎる」「客観性に欠ける」と赤ペンで直される。「楽しそうだった」と書けば「根拠は?」と聞かれ、自信を失い、どう書けば正解なのか分からず筆が止まってしまう。

2. 状況整理
自分の言葉で書こうとするほど、無意識に「〜と思った」という感想が混ざります。AIに対し、明確に「客観的な事実のみ」「主観を排除」という制約(ルール)を与えることで、強制的に客観的な記録へ変換できます。

3. コピペで使えるプロンプト

# 役割
あなたはプロの介護士です。
以下の【メモ】を元に、客観的な事実に基づいた介護記録を作成してください。

# 制約事項
・「〜と思った」「〜のように見えた」などの主観的な表現は避けること
・具体的な行動や発言、数値(回数や時間)を中心に記述すること
・第三者が読んでも状況が伝わるようにすること

# メモ
・B様、レクに参加
・すごく楽しそうに笑っていた
・お手玉を投げるのが上手だった
・他の人とも仲良く話していた

事例3:忙殺されて「特変なし」と書いてしまう

1. 状況(ストーリー)
次々と鳴るナースコールや次の訪問予定に追われ、記録を書く時間が取れない。「後で書こう」と思っているうちに詳細を忘れ、結局、毎日同じような定型文で「特変なし」と済ませてしまう。これでは、小さな体調変化の予兆を見逃すリスクがある。

2. 状況整理
時間がなくても、「特変なし」で済ませるのではなく、気になったポイント(5W1H)だけを単語で残します。AIを使えば、その短い単語の羅列から、文法的に正しい記録文を一瞬で生成できます。記憶が鮮明なうちに「素材」だけを残すのがコツです。

3. コピペで使えるプロンプト

# 役割
あなたはプロの介護士です。
以下の【キーワード】をつなげて、簡潔な支援経過記録を作成してください。

# 制約事項
・事実は正確に反映すること
・文章を不必要に長くしないこと

# キーワード
・C様、訪問介護
・食事:完食(全量摂取)
・服薬:確認済み
・顔色:良
・特記事項:足のむくみ少しあり、ご本人も気にされている

「書けない」「時間がない」のは、あなたの能力不足ではありません。単語レベルの入力や、その場での記録といった工夫にAI・ICTを組み合わせることで、これらの壁は確実に乗り越えられます。


なぜここまで記録が辛いのか?「構造的な3つの原因」

「みんな定時で帰っているのに、自分だけ残っている」
「記録が遅いのは、能力が低いからだ」
現場では、そうやって自分を責めてしまう人が後を絶ちません。

でも、本当にそうでしょうか?
ギリギリの人員配置で、ナースコール対応に追われながら記録の時間を作る。
それは個人の努力で解決できるレベルを超えています。

ここからは、現場を苦しめている3つの構造的な原因を紐解いていきます。

本末転倒な「間接業務」の肥大化

介護の仕事は、食事や入浴などの直接的なケアと、記録や報告などの間接的業務に分かれます。
本来、優先すべきは利用者と関わる直接ケアのはずです。

しかし現実は、間接業務が時間を圧迫し、ケアの時間を奪うという本末転倒な状態が起きています。
ガイドラインでも、このバランスを正すことこそが重要だと指摘されています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省老健局

介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf

介護現場における業務は、「直接的なケア(食事・入浴・排泄介助など)」と「間接的業務(記録・報告・会議など)」に分類される。生産性向上の取組では、ICT活用や業務の見直しを通じて間接的業務を効率化し、それによって創出された時間を直接的なケアや利用者とのコミュニケーションに充てることが重要である。これにより、職員の負担軽減とケアの質の向上を同時に実現することを目指す。

現場に潜む「3M」の罠

「手書きのメモをパソコンに入力し直す」
「同じ内容を日誌と連絡帳に二重記入する」
こうしたムダな作業が、現場には当たり前のように存在していませんか?

これらは製造業などで排除すべきとされる3M(ムリ・ムダ・ムラ)そのものです。
付加価値を生まない作業に時間を取られ、職員に過度な負担(ムリ)がかかっているのが現状です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省老健局

介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf

業務改善の視点として、製造業等で用いられる「3M(ムリ・ムダ・ムラ)」の排除が有効である。「ムリ」は職員への過度な負担、「ムダ」は付加価値を生まない作業、「ムラ」は業務品質のバラつきを指す。これらを洗い出し、手順の見直しやICT導入を行うことで、業務の標準化と効率化を図ることができる。

「書き方」の正解がない(標準化の欠如)

「先輩によって言うことが違う」
「どこまで詳しく書けばいいか分からない」
これは記録の基準が曖昧で、個人のスキルに依存しているために起こります。

業務が標準化されていないため、文章が苦手な人はいつまでも悩み続け、業務品質にムラが生じます。
誰が書いても同じ質になる仕組みがないことが、心理的な負担を重くしています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省老健局

介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf

業務の標準化とは、いつ・誰が業務を行っても同じ成果が出せるようにすることである。特定の職員しかできない業務(属人化)を減らし、手順書などで可視化することで、サービスの質のバラつき(ムラ)を解消できる。また、標準化は新人教育の効率化や、業務改善の土台作りとしても不可欠である。

記録が終わらないのは、必ずしもあなたのせいではありません。業務構造そのものに「ムリ・ムダ」があり、基準が曖昧な場合があります。構造的な問題には、精神論ではなく、AIという新しい仕組みで対抗するという考え方もあります。

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疑問と不安を解消:安全に使うためのQ&A

「AIを使うのは何だか怖い」「個人情報が漏れたらどうしよう」
新しい道具を使う時、そんな不安を感じる人もいます。

でも、正しいガードレール(ルール)を知っておくことが重要です。
ここでは、現場でよく聞かれる疑問に、ガイドラインに基づく一つの答えをお伝えします。

Q
利用者の名前や病状をそのままAIに入力しても大丈夫ですか?
A
いいえ、原則として入力してはいけません。名前や住所、特定の病歴などは「個人情報(機密性2情報)」にあたります。これらを入力すると、AIの学習データとして利用される可能性があり、意図せず情報が漏洩するリスクがあります。「A様」「既往歴あり」のように記号化・抽象化して入力する方法があります。
出典元の要点(要約)
デジタル庁

行政の進化と革新のための生成 AI の調達・利活用

https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e2a06143-ed29-4f1d-9c31-0f06fca67afc/80419aea/20250527_resources_standard_guidelines_guideline_01.pdf

個人情報(機密性2情報)などの要機密情報を生成AIに入力することは、情報漏洩のリスクがあるため、原則として禁止または慎重な取り扱いが求められる。特に、入力データがAIの学習に利用される設定になっている場合は、個人情報が含まれないよう厳重な注意が必要である。

独立行政法人 情報処理推進機構

テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

生成AIサービスの利用において、入力した情報がサービス提供者によって学習データとして再利用される可能性がある。そのため、個人情報や機密情報をそのまま入力することは情報漏洩につながる恐れがあり、組織のルールに従って適切にマスキング(匿名化)する等の対策が必要である。

Q
AIが作った記録の内容が間違っていることはありますか?
A
はい、間違っている可能性があります。AIはもっともらしい嘘をつく「ハルシネーション」という現象を起こすことがあります。AIが出力した記録は完成品とは言えません。原則として最後は人間が目視で確認し、事実と異なる箇所がないかチェックする責任(Human-in-the-loop)が求められます。
出典元の要点(要約)
独立行政法人 情報処理推進機構

テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

生成AIは確率的に次の単語を予測して文章を生成するため、事実とは異なる内容をもっともらしく出力する「ハルシネーション」が発生する場合がある。そのため、生成された情報の正確性を鵜呑みにせず、必ず人間が確認・検証を行うプロセス(Human-in-the-loop)が不可欠である。

独立行政法人 情報処理推進機構

テキスト生成 AIの導入・運用のガイドライン

https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf

AIを過度に信頼し、その出力結果を無批判に利用することはリスクである。利用者はAIの限界を理解し、最終的な判断や成果物に対する責任は人間が負うという意識を持って利用する必要がある。

Q
AIに頼るのは「手抜き」をしているようで気が引けます。
A
いいえ、手抜きとは限りません。事務作業の時間を短縮し、その分を利用者と関わる時間や、より良いケアを考える時間に充てることが、「生産性向上」の趣旨の一つです。AIを道具として活用することで、利用者に向き合う時間を確保しやすくなる場合があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局

介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf

介護分野における生産性向上とは、単なる効率化や人員削減ではない。業務の見直しやテクノロジー活用によってムリ・ムダ・ムラを排除し、それによって生み出された時間をケアの質の向上や人材育成に充てることで、結果として「介護の価値」を高めることを意味する。

ルールを守ることで、AIを仕事の補助に活用する考え方もあります。不安な点は一つひとつ解消しながら、まずは「安全な範囲」で少しずつ試してみることが、現場改善につながる第一歩と考えられます。


まとめ:完璧を目指さず、まずは「メモ」から始めましょう

ここまで、AIを活用した記録の効率化についてお伝えしてきました。 いきなり全ての業務を変える必要はありません。 まずは、完璧な文章を書こうとするのをやめてみるという考え方もあります。

現場で気づいたことを、単語レベルの5W1Hメモとして残す。 それさえあれば、AIが記録作成を補助できる場合があります。 「書く」という重荷を下ろせば、利用者様の表情をより見られるようになる可能性があります。

業務の効率化は、決して手抜きではありません。 ムダを省いて生まれた時間をケアに充てることは、介護の価値を高める一つの取り組みです。 明日からの現場で、無理のない範囲で、小さな一歩を踏み出してみてください。

最後までご覧いただきありがとうございます。 この記事がお役に立てれば幸いです。


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更新履歴

  • 2026年2月10日:新規投稿

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