褥瘡の乾燥と湿潤どっち?現場で迷わない見方

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現場では、褥瘡を見たときに乾かすべきか、湿らせるべきかで手が止まることがあります。前回はこれでよかったのに、今回は同じでいいのか迷う。こうした場面では、処置そのものより判断のよりどころが見えないことが、負担になりやすいです。

しかも、人手も時間も限られる中で、毎回じっくり考えるのは簡単ではありません。だからこそ、全部を完璧に押さえるより、まずは創部をどう見るかの軸をそろえることが大切です。この記事では、現場で迷いやすいポイントを整理しながら、無理なく押さえたい判断の視点を確認します。

この記事を読むと分かること

  • 乾燥と湿潤の見方
  • 創部観察の基本
  • 迷いやすい場面
  • 判断の軸

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 乾燥か湿潤か迷う
  • 毎回判断がぶれる
  • 根拠が言えず不安
  • 先輩ごとに違う

結論:褥瘡ケアで迷ったら、まずは創部を見て判断することが軸です

居室内で、女性介護職員がベッド上の高齢男性の上腕部にできた内出血を確認している場面。転倒や打撲後の観察として、発赤・腫脹・疼痛の有無や範囲を丁寧にチェックしている状況を示すイメージ。

現場では、褥瘡を見るたびに前回と同じ対応でよいのか迷うことがあります。乾いて見える場面もあれば、にじみが多くてこのままでよいのか不安になる場面もあり、判断がぶれやすいです。

現場では、体位交換のあとに仙骨部を見たとき、前回より乾いて見えてこのままでよいのか迷うことがあります。おむつ交換の場面では、逆ににじみが多く、湿らせるべきか拭き取りを優先すべきかで手が止まりやすいです。こうした場面では、見た目の印象だけで決めると対応がそろいにくくなります。迷ったときほど、まずは創部の状態を見て、乾燥とにじみの両方を確かめる視点が大切です。

まずは創部の状態を見て考えます

褥瘡ケアでは、先に創部の状態を見てから判断することが大切です。現場では、朝の処置で落ち着いて見えた創が、午後に見ると乾き方やにじみ方が変わって見えることがあります。前回と同じ対応を続けてよいか迷いやすいですが、まず状態を見る流れがあると判断をそろえやすくなります。

出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)-1創傷一般(第 3 版).pdf

https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/sousyou2023.pdf

引用原文:回答:慢性皮膚創傷の創傷治癒促進のためには,創部の状態を TIME コンセプトに沿って正確に評価した上で,創傷治癒を阻害する因子を取り除く wound bed preparation(創面環境調整)と創傷治癒力を促進させるために創面を湿潤した環境に保持する moist wound healing(湿潤環境下療法)を実践することが重要である。

乾燥を防ぐことが大切です

褥瘡ケアでは、創を乾かしすぎないことが大切です。現場では、ガーゼ交換のときに創がさらっと見えると、そのまま乾いていたほうがよいように感じて迷うことがあります。こうした場面では、乾いて見える印象だけで決めず、創面を湿った環境に保つ考え方で見直すことが大切です。

出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)-1創傷一般(第 3 版).pdf

https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/sousyou2023.pdf

引用原文:初期では壊死物質を除去し,感染を適切にコントロールし,過剰な滲出液を制御するとともに創の乾燥を防止して湿潤環境を保つ wound bed preparation を心がける。

湿りすぎにも注意します

褥瘡ケアでは、湿っていればよいわけではなく、にじみが多すぎる状態にも注意が必要です。現場では、パッドや材を外したときに創のまわりまで白くふやけて見え、このままでよいのか迷うことがあります。湿潤を意識していた場面ほど迷いやすいですが、過剰な湿りは避ける視点も必要です。

出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)-1創傷一般(第 3 版).pdf

https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/sousyou2023.pdf

引用原文:また,過剰な湿潤による創周囲の浸軟は上皮化が遅延する原因となるので注意が必要である。滲出液の管理法としては,陰圧閉鎖療法(Negative pressure therapy)も挙げられる。

深い褥瘡では創面を整える視点も必要です

深い褥瘡では、ただ湿らせるだけでなく、まず創面を整える視点も必要です。現場では、黒っぽい部分や黄色っぽい部分が見えても、まず湿らせることを優先してしまう場面があります。同じ褥瘡として一律に見てしまいがちですが、深さによって押さえる考え方が変わります。

出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―2褥瘡診療ガイドライン(第 3 版).pdf

https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/zyokusou2023.pdf

引用原文:治癒を遷延させないためにはすべての過程において moist wound healing(湿潤環境下療法)を心がけることが重要であり,特に深い慢性皮膚創傷の炎症期(主に黒色期~黄色期に相当)においては wound bed preparation(創面環境調整)の概念が治癒促進に貢献する。

褥瘡ケアで乾燥か湿潤かに迷ったら、まずは創部の状態を見て、乾燥を防ぎつつ、にじみが多すぎないかも確かめることが判断の軸になります。


褥瘡ケアで起こりやすいよくある事例

介護施設の廊下で両手を交差させて「バツ」のジェスチャーを示す若い女性介護職員の様子。不適切ケアの否定や身体拘束の禁止、ハラスメント防止など、介護現場におけるコンプライアンス遵守とリスク管理の重要性を示すイメージ。

現場では、褥瘡の見た目が少し違うだけで、前回と同じ対応でよいのか迷うことがあります。乾いているように見える場面もあれば、にじみが多くてこのままでよいのか不安になる場面もあり、判断の揺れが起こりやすいです。

褥瘡ケアでは、朝の処置では落ち着いて見えたのに、次に見るとにじみ方や周囲の状態が違って見えることがあります。こうした場面では、見た目の印象だけで決めると対応がばらつきやすいです。浅い褥瘡か、深い褥瘡か、変化が早い時期かで見る視点が変わると気づくと、迷いが少し整理しやすくなります。全部を一度に覚えるのが難しくても、事例ごとの押さえどころを持つことが現実的です。

浅い褥瘡で、保護だけでよいのか迷う

体位交換や更衣のときに、浅い褥瘡を見つけて手が止まることがあります。目立つ壊死がないと、まず何を優先すればよいのか迷いやすいです。こうした場面では、浅い褥瘡は創面保護の視点で見ると整理しやすくなります。

状況として、ステージIIまでの浅い褥瘡では、ドレッシング材や創面保護を目的とした外用薬が位置づけられています。困りごとは、浅い褥瘡でも毎回同じ見方でよいのか判断しにくいことです。よくある誤解は、浅い褥瘡なら特に保護を意識しなくてもよいと受け止めることです。押さえるべき視点は、浅い褥瘡では創面保護が治療の考え方に含まれていることです。

出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―2褥瘡診療ガイドライン(第 3 版).pdf

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引用原文:ステージ II までの浅い褥瘡(びらん,浅い潰瘍)に対するドレッシング材としてはハイドロコロイド,ハイドロジェル,ポリウレタンフォーム,キチンの使用が,外用薬としては,創面保護の目的で白色ワセリン,酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレンなどの油脂性基剤軟膏,短期間の使用であれば抗生物質(抗菌薬)含有軟膏,ブクラデシンナトリウム,プロスタグランジン E1 などの肉芽形成促進薬が薦められる。

にじみが多く、周りの皮膚までふやけて見える

ガーゼや材を外したときに、創のまわりまで白っぽくふやけて見えて迷うことがあります。湿らせることを意識していたのに、このままでよいのか不安になりやすいです。こうした場面では、にじみの多さそのものを見る視点が必要です。

状況として、にじみが多い創では、周囲の健常皮膚が浸軟してびらんなどができやすくなります。困りごとは、湿潤を意識するほど、この状態がよいのか判断しづらいことです。よくある誤解は、湿っていればそれだけでよいと考えることです。押さえるべき視点は、過剰な湿潤では滲出液を吸収する対応が必要になることです。

出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)-1創傷一般(第 3 版).pdf

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引用原文:周囲の健常皮膚が浸軟して外的刺激によりびらんなどが出来やすくなる.このため,滲出液を吸収するような外用薬の使用が必要になる。

赤みが出た直後で、様子を見るか迷う

寝返りや移乗のあとに赤みが目立ち、このまま見ていてよいのか迷うことがあります。まだはっきりしない段階ほど、処置を急ぐか、観察を続けるかで揺れやすいです。こうした場面では、変化が早い時期ほどよく観察する視点が大切です。

状況として、急性期の褥瘡は創が安定しない時期で、壊死の範囲も特定しにくく、短時間に悪化する可能性があります。困りごとは、見た目がまだ定まらない段階で判断を求められることです。よくある誤解は、早く何かを決めること自体が優先だと考えることです。押さえるべき視点は、十分な観察を行いながら創面の保護と感染予防に努めることです。

出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―2褥瘡診療ガイドライン(第 3 版).pdf

https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/zyokusou2023.pdf

引用原文:急性期の褥瘡は創が安定しない時期であるため,壊死範囲の特定も困難で,感染に対しても組織抵抗性が弱い時期である.反応性充血とステージ I の褥瘡を判別することも困難であり,場合によっては短時間に悪化する可能性がある.したがって,この時期の局所治療の要点は,充分な観察を行いながら創面の保護と感染予防に努めることである。

深い褥瘡なのに、浅い褥瘡と同じ見方をしてしまう

深い褥瘡を前にすると、まず湿らせることだけを意識してしまう場面があります。黒っぽさや黄色っぽさがあっても、何を見ればよいか整理しにくいです。こうした場面では、深い褥瘡の前半は創面を整える視点で見ると迷いが減りやすいです。

状況として、深い褥瘡の前半は、TIMEコンセプトによる創面環境調整が治療の考え方になります。困りごとは、深い褥瘡でも浅い褥瘡と同じ見方をしやすいことです。よくある誤解は、とにかく湿らせればよいと受け止めることです。押さえるべき視点は、壊死、感染や炎症、滲出液、創辺縁を見て創面を整えることです。

出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―2褥瘡診療ガイドライン(第 3 版).pdf

https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/zyokusou2023.pdf

引用原文:深い褥瘡の治療について,前半(黒色期,黄色期)は TIME コンセプトによる wound bed preparation を,後半(赤色期,白色期)は moist wound healing を治療コンセプトとして解説する.なお,TIME コンセプトとは T(tissue non-viable or deficient の改善,すなわち壊死 ・ 不活性組織の管理),I(infection or inflammation の改善,すなわち感染 ・ 炎症の管理),M(moisture imbalance の改善,すなわち滲出液の管理),E(edge of wound:non-advancing or underminedの改善,すなわち創辺縁の管理)の頭文字をとったものである。

壊死や感染があるのに、そのまま湿潤だけを続けてしまう

深い褥瘡で壊死が付いていたり、感染が気になるように見えたりすると、何を先に考えるべきか迷うことがあります。湿潤を保つ意識はあっても、それだけでよいのか不安になりやすいです。こうした場面では、まず取り除くべきものがあるかを見ることが出発点になります。

状況として、異物、感染、壊死組織などは過剰な炎症や炎症の遷延化の原因となり、創傷治癒を遷延させます。困りごとは、深い創で何から手をつけて考えるべきか整理しにくいことです。よくある誤解は、湿潤環境だけを保てば十分だと考えることです。押さえるべき視点は、まず異物、感染、壊死組織などをできるだけ取り除く必要があることです。

出典元の要点(要約)
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創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)-1創傷一般(第 3 版).pdf

https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/sousyou2023.pdf

引用原文:過剰な炎症や炎症の遷延化は,肉芽形成やその後の上皮化を妨げ創傷治癒を遷延化させる.異物,感染,壊死組織などがその原因となるため,まずは外科的なデブリードマンや十分な洗浄などにより,これらをできるだけ取り除く必要がある。

褥瘡ケアで迷いやすい事例は、浅いか深いか、変化が早い時期か、にじみや壊死があるかで見方が変わります。全部を一度に覚えるより、事例ごとの押さえどころを持つことが現場では現実的です。


褥瘡ケアで判断に迷いやすい理由はなぜ起きるのか

紺色のユニフォーム(ポロシャツ)を着用した女性介護職員。廊下でメモ帳とペンを手に持ち、入居者の様子を思い浮かべるような真剣な表情で佇む様子。

現場では、同じ褥瘡として見ていても、前回の考え方がそのまま当てはまらないことがあります。乾燥を防ぎたいのに湿りすぎも気になり、何を優先して見ればよいのか揺れやすいです。

褥瘡ケアでは、朝は浅く見えた創が、次に見ると壊死やにじみの見え方が違って感じられることがあります。こうした場面では、同じ「褥瘡」でも見るべき点が一つではないと気づけるかどうかで迷い方が変わります。うまく整理できるときは、創の深さ、湿り方、変化の早さを分けて見ています。全部を覚えるのが難しくても、迷う理由そのものを知ることが現実的な第一歩です。

浅い褥瘡と深い褥瘡で、考え方が違うからです

浅い褥瘡だと思って見ていたのに、実際には壊死物質が付いていて、同じ見方でよいのか迷うことがあります。こうした場面では、浅い創と深い創では治療方針が違うと整理すると、見方がそろいやすくなります。

この表では、浅い褥瘡と深い褥瘡で見方が分かれる理由を整理しています。

項目内容
なぜ起きるのか:浅い皮膚創傷と、壊死物質や不良肉芽が付着した深い皮膚創傷では、治療方針が異なるためです。
建前(理想):創の状態に応じて、最初から見方を分けて考えることです。
現実(現場):同じ褥瘡として続けて見ていると、同じ対応でよいのか迷いやすいです。
そのズレが生む問題:どの考え方で見るべきかが曖昧になり、判断がぶれやすくなります。
押さえるべき視点:まず浅い褥瘡か、深い褥瘡かで見方を分けることです。

浅い褥瘡か、深い褥瘡かで見方を分けることが、この項目の要点です。

出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)-1創傷一般(第 3 版).pdf

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引用原文:慢性期皮膚創傷に対する治療においては,浅い皮膚創傷と壊死物質や不良肉芽が付着した深い皮膚創傷では治療方針が異なる。

乾燥を防ぐことと、湿りすぎを避けることを両方見る必要があるからです

創が乾いて見えると湿らせることを意識しますが、次に見ると周囲まで白くふやけていて、このままでよいのか迷うことがあります。こうした場面では、乾燥だけでなく湿りすぎも問題になると押さえると整理しやすくなります。

この表では、乾燥と湿りすぎの両方を見る必要がある理由を整理しています。

項目内容
なぜ起きるのか:創の乾燥は防ぐ必要がありますが、過剰な湿潤は創周囲の浸軟や上皮化の遅れに関連するためです。
建前(理想):湿潤環境を保ちながら、過剰な湿りは避けることです。
現実(現場):湿らせる意識が強いほど、この状態が適切か迷いやすいです。
そのズレが生む問題:湿潤だけに意識が寄ると、周囲の皮膚の変化を見落としやすくなります。
押さえるべき視点:乾燥湿りすぎの両方を一緒に見ることです。

乾燥だけでなく、湿りすぎも一緒に見ることが重要なポイントです。

出典元の要点(要約)
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引用原文:初期では壊死物質を除去し,感染を適切にコントロールし,過剰な滲出液を制御するとともに創の乾燥を防止して湿潤環境を保つ wound bed preparation を心がける。 また,過剰な湿潤による創周囲の浸軟は上皮化が遅延する原因となるので注意が必要である。

深い褥瘡では、見る項目が一つでは足りないからです

深い褥瘡で黒っぽさや黄色っぽさがあると、何を優先して見ればよいのか迷うことがあります。こうした場面では、深い褥瘡は一つの見方ではなく、複数の項目で整理して見る必要があると気づくと動きやすくなります。

この表では、深い褥瘡で見る項目が一つでは足りない理由を整理しています。

項目内容
なぜ起きるのか:深い褥瘡の前半では、壊死、不活性組織、感染や炎症、滲出液、創辺縁など、複数の要素を見て創面環境調整を行うためです。
建前(理想):TIMEコンセプトに沿って、創面を整理して見ることです。
現実(現場):一つの気になる所見だけで判断したくなりやすいです。
そのズレが生む問題:見る項目が偏ると、深い褥瘡を同じ見方で捉えやすくなります。
押さえるべき視点:壊死感染・炎症滲出液創辺縁を分けて見ることです。

壊死感染・炎症滲出液創辺縁を分けて見ることが重要です。

出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

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引用原文:深い褥瘡の治療について,前半(黒色期,黄色期)は TIME コンセプトによる wound bed preparation を,後半(赤色期,白色期)は moist wound healing を治療コンセプトとして解説する.なお,TIME コンセプトとは T(tissue non-viable or deficient の改善,すなわち壊死 ・ 不活性組織の管理),I(infection or inflammation の改善,すなわち感染 ・ 炎症の管理),M(moisture imbalance の改善,すなわち滲出液の管理),E(edge of wound:non-advancing or underminedの改善,すなわち創辺縁の管理)の頭文字をとったものである。

急性期の褥瘡は、状態が定まりにくいからです

赤みが出た直後や、急に悪くなったように見える場面では、早く判断しなければと焦りやすいです。こうした場面では、急性期は創が安定しない時期だと押さえると、まず観察を重ねる意味が見えやすくなります。

この表では、急性期の褥瘡で判断が難しくなりやすい理由を整理しています。

項目内容
なぜ起きるのか:急性期の褥瘡は創が安定せず、壊死範囲の特定も困難で、反応性充血とステージIの判別も難しいためです。
建前(理想):十分な観察を行いながら、創面の保護と感染予防に努めることです。
現実(現場):見た目が定まらない段階ほど、何かを早く決めたくなりやすいです。
そのズレが生む問題:状態が揺れている時期に、見た目だけで判断したくなります。
押さえるべき視点:急性期は安定しないことを前提に、まず観察を重ねることです。

急性期は安定しないことを前提に見ることが、この表の重要なポイントです。

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引用原文:急性期の褥瘡は創が安定しない時期であるため,壊死範囲の特定も困難で,感染に対しても組織抵抗性が弱い時期である.反応性充血とステージ I の褥瘡を判別することも困難であり,場合によっては短時間に悪化する可能性がある.したがって,この時期の局所治療の要点は,充分な観察を行いながら創面の保護と感染予防に努めることである。

褥瘡ケアで判断に迷いやすいのは、創の深さ、湿り方、見る項目の多さ、急性期の不安定さが重なるためです。まずは、どの理由で迷っているのかを分けて考えることが現場では現実的です。


褥瘡ケアで迷いやすいことを整理するFAQ

現場では、褥瘡を見るたびに「今回はどこを優先して見ればよいのか」と迷うことがあります。乾燥を防ぎたい場面もあれば、湿りすぎが気になる場面もあり、判断の軸が揺れやすいです。

Q
褥瘡は、乾かしたほうがよいですか?
A
乾かすのではなく、創の乾燥を防いで湿潤環境を保つことが重要です。現場では、乾いて見えるとそのままでよいように感じて迷うことがありますが、まずは乾燥を防ぐ視点が必要です。
出典元の要点(要約)
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引用原文:初期では壊死物質を除去し,感染を適切にコントロールし,過剰な滲出液を制御するとともに創の乾燥を防止して湿潤環境を保つ wound bed preparation を心がける。

Q
湿っていれば、それだけでよいですか?
A
いいえ、湿りすぎには注意が必要です。現場では、湿潤を意識するほどこのままでよいのか迷うことがありますが、過剰な湿潤は創周囲の浸軟につながるため、見過ごさない視点が大切です。
出典元の要点(要約)
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引用原文:また,過剰な湿潤による創周囲の浸軟は上皮化が遅延する原因となるので注意が必要である。滲出液の管理法としては,陰圧閉鎖療法(Negative pressure therapy)も挙げられる。

Q
深い褥瘡も、浅い褥瘡と同じように見てよいですか?
A
同じようには見ません。深い褥瘡では、前半は創面環境調整、後半は湿潤環境下療法という考え方が示されています。現場では、同じ褥瘡として続けて見てしまい、見方が混ざって迷いやすいです。
出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

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引用原文:深い褥瘡の治療について,前半(黒色期,黄色期)は TIME コンセプトによる wound bed preparation を,後半(赤色期,白色期)は moist wound healing を治療コンセプトとして解説する.

Q
赤みが出た直後は、すぐに判断できますか?
A
急性期の褥瘡は創が安定しない時期で、判別が難しいとされています。現場では、すぐに何かを決めたくなることがありますが、まずは十分な観察を行いながら創面の保護と感染予防に努めることが要点です。
出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―2褥瘡診療ガイドライン(第 3 版).pdf

https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/zyokusou2023.pdf

引用原文:急性期の褥瘡は創が安定しない時期であるため,壊死範囲の特定も困難で,感染に対しても組織抵抗性が弱い時期である.反応性充血とステージ I の褥瘡を判別することも困難であり,場合によっては短時間に悪化する可能性がある.したがって,この時期の局所治療の要点は,充分な観察を行いながら創面の保護と感染予防に努めることである。

Q
壊死や感染が気になるときも、湿潤だけ意識すればよいですか?
A
それだけではありません。異物、感染、壊死組織などは創傷治癒の遷延に関連するため、できるだけ取り除く必要があるとされています。現場では、湿潤を保つことだけに意識が寄って迷うことがあります。
出典元の要点(要約)
日本皮膚科学会

創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)-1創傷一般(第 3 版).pdf

https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/sousyou2023.pdf

引用原文:過剰な炎症や炎症の遷延化は,肉芽形成やその後の上皮化を妨げ創傷治癒を遷延化させる.異物,感染,壊死組織などがその原因となるため,まずは外科的なデブリードマンや十分な洗浄などにより,これらをできるだけ取り除く必要がある。

褥瘡ケアのFAQでは、乾燥、湿りすぎ、深い褥瘡、急性期、壊死や感染の見方が特に迷いやすい論点です。迷ったときは、その場面がどの論点に当たるかを分けて考えると整理しやすくなります。


褥瘡ケアで迷ったときの最初の一歩

現場では、褥瘡を見るたびに前回と同じ対応でよいのか迷うことがあります。乾いて見える場面もあれば、にじみが多くて不安になる場面もあり、何を先に見ればよいのか揺れやすいです。

この記事で整理してきたように、褥瘡ケアでは創部の状態を見て判断することが軸になります。浅いか深いかで見方は変わり、乾燥を防ぐ視点と、湿りすぎを避ける視点もどちらも必要です。

明日からの最初の一歩は一つです。次に褥瘡を見るとき、まず創部を見て、乾燥と湿りすぎの両方を確かめることから始めてみてください。全部を一度にそろえようとすると迷いやすい場面でも、この順番なら押さえやすくなります。

最後までご覧いただきありがとうございます。


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  • 2026年6月2日:新規投稿

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