介護記録へ他利用者の名前を書く場面で、「実名なら漏えいが怖い」「A氏では後から事故の相手が分からない」と迷うことがあります。先輩ごとに答えが違えば、必要なことを書いても、書かなくても、自分の責任にされそうで不安になるでしょう。
この迷いは、施設内で記録を使うことと、家族や外部へ渡すことを同じ判断にしていると深くなります。毎回一人で実名の可否を決めるのではなく、記録時は施設の記載基準を確認し、外部から求められた時点で管理者・担当窓口へ判断を切り替えることが現実的です。
この記事では、個人情報に配慮しながら事故確認や申し送りに必要な記録を残す考え方と、家族から記録を求められた時の動きを整理します。実名を常に書く、または常に伏せるとは決めつけず、利用目的・必要性・閲覧範囲・施設規程を確認していきましょう。
- 利用目的や外部提供の違いを確認する前に、利用者同士のトラブルで相手の名前を介護記録へどう残すかから整理したい場合は、〖介護記録〗トラブル相手の名前は記録に残す?介護現場の個人情報保護と証拠能力の話で全体像を確認できます。
この記事を読むと分かること
- 内部利用と提供の違い
- 記録時の確認点
- 家族対応の切替先
- 施設へ聞く四項目
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
介護記録への記載と家族・外部への提供は分けて考える

事故記録に相手をどう書くか迷うたび、「正確に書け」と「個人情報だから伏せろ」の間で立ち止まることがあります。家族からその場で記録を求められると、断るのも見せるのも怖くなるでしょう。ここでは、記録を施設内で使う場面と、外へ渡す場面の切り替え方が分かります。
現場では、事故の直後は関係した利用者が分かっていても、時間がたつと「A氏」が誰か確認できなくなることがあります。反対に、実名を書けばそのまま外へ出ると思うと、必要な事実まで書けません。記録時は施設の記載基準、提供時は管理者・担当窓口と確認先を分けることが、迷いを一人で抱えないための出発点です。
内部記録は必要性と施設規程に沿って正確に残し、家族・外部から求められたら自分で渡さず管理者へつなぎます。
毎日の記録と外部提供の判断を同じにしない
「いつか家族へ見せるかもしれない」と考えて、最初から出来事を曖昧にする場面があります。しかし、施設内での事故等の報告と、家族等への状況説明は、ガイダンスで別の利用場面として示されています。この違いを押さえると、原本を作る判断と外へ出す判断を分けて考えられます。
採用資料は、施設内部での利用と、他者への情報提供を伴う利用を分けて例示しています。毎日の記録を二種類にする必要があるかはこの資料だけでは決められないため、施設が原本をどう定め、提供時に誰が目的・相手・範囲を確認するかを管理者へ確かめてください。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
(介護関係事業者の場合)【介護サービスの利用者への介護の提供に必要な利用目的】〔介護関係事業者の内部での利用に係る事例〕・当該事業者が介護サービスの利用者等に提供する介護サービス・介護保険事務・介護サービスの利用者に係る事業所等の管理運営業務のうち、-入退所等の管理-会計・経理-事故等の報告-当該利用者の介護サービスの向上〔他の事業者等への情報提供を伴う事例〕・当該事業者等が利用者等に提供する介護サービスのうち、-当該利用者に居宅サービスを提供する他の居宅サービス事業者や居宅介護支援事業所等の連携(サービス担当者会議等)、照会への回答-その他の業務委託-家族等への心身の状況説明
施設内で使う情報にも利用目的と安全管理が必要
同じ施設の職員が読む記録なら、何を書いてもよいわけではありません。個人データには安全管理が求められ、同一事業者の施設間で情報を交換する場合も、利用目的を踏まえた管理が示されています。
そのため、他利用者を実名・イニシャル・関係性のどれで記すかは、その情報が事故確認やサービス提供に必要か、誰が閲覧できるか、施設規程でどう定めているかを確認して決めます。採用資料だけで、実名を常に書いてよいとも、常に書いてはいけないとも断定できません。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
医療・介護関係事業者は、その取り扱う個人データの重要性に鑑み、個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の安全管理のため、その規模、従業者の様態等を勘案して、以下に示すような取組を参考に、必要な措置を行うものとする。また、同一事業者が複数の施設を開設する場合、当該施設間の情報交換については第三者提供に該当しないが、施設ごとに安全管理措置を講ずるなど、個人情報の利用目的を踏まえた個人情報の安全管理を行う。①個人情報保護に関する規程の整備、公表・医療・介護関係事業者は、保有個人データの開示手順を定めた規程その他個人情報保護に関する規程を整備し、苦情への対応を行う体制も含めて、院内や事業所内等への掲示やホームページへの掲載を行うなど、患者・利用者等に対して周知徹底を図る。
家族から求められた瞬間に管理者へ切り替える
家族から「記録を見せてください」と直接言われると、関係を悪くしたくない気持ちから、その場で画面や原本を見せそうになることがあります。しかし、家族という呼び方だけで提供の可否は決められません。
ガイダンスは、開示を請求する者が本人または代理人であることの確認、担当スタッフの意見、開示可否の決定・通知を挙げています。現場介護士が行うのは、自分で渡すことではなく、管理者・担当窓口へつなぐことです。確認に時間がかかっても、ここで判断を切り替えます。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
一 開示等を請求する者が本人(又はその代理人)であることを確認する。一 開示等の請求等があった場合、主治医等の担当スタッフの意見を聴いた上で、速やかに保有個人データ等の開示等をするか否か等を決定し、これを開示の請求等を行った者に通知する。一 保有個人データ等の開示に当たり、法第33条第2項各号に該当する可能性がある場合には、開示の可否について検討するために設置した検討委員会等において検討した上で、速やかに開示の可否を決定することが望ましい。一 保有個人データ等の開示を行う場合には、日常の医療・介護サービス提供への影響等も考慮し、本人に過重な負担を課すものとならない範囲で、日時、場所、方法等を指定することができる。
- 家族から記録を求められたとき、長男・契約者・キーパーソンという呼び方だけで開示できるか迷う場合は、家族なら介護記録をすべて見せてよい?本人との関係と第三者情報の確認ポイントで、本人や代理人との違いも確認できます。
- 記録の書き方や外部提供時の確認手順が職員ごとに異なり、新人教育でも同じ説明を繰り返している場合は、手順を動画付きで共有できる介護向け動画マニュアル管理【Carebase】
を確認しておくのも一つの方法です。
介護記録を作る時は利用目的・必要性・施設規程を確認し、家族や外部から求められた瞬間に管理者・担当窓口へ切り替えます。実名の可否を新人一人で決めないことが大切です。
介護記録の個人情報で迷う4つの場面

現場では、個人情報を守りたい気持ちと、後から確認できる記録を残したい気持ちがぶつかります。どちらも大切だからこそ、書くたびに「これでよいのか」と不安になりやすいです。
事故直後は関係した利用者が分かっていても、数か月後には記号と本人を結び付けられないことがあります。一方で、家族へ見せる可能性を考えると実名を書くのも怖くなります。こうした場面では、記録時に施設の記載基準を確認し、外部提供を求められた時点で管理者へ判断を切り替えることが現実的です。
暴力・接触事故でも相手が「A氏」のまま
事故直後は「A氏」が誰か職員間で分かっていても、異動や退職の後に読み返すと特定できないことがあります。実名に変えればよいと自己判断するのも不安です。まず、事故確認やサービス向上に必要な情報と、施設が定める書き方を記録前に照合します。
ガイダンスは、介護関係事業者の内部利用として事故等の報告と介護サービスの向上を挙げています。同時に、家族等への心身の状況説明は「他の事業者等への情報提供を伴う事例」に分けています。つまり、後で外へ説明する可能性だけを理由に、内部記録の目的まで曖昧にしないことが大切です。
ただし、実名を必ず記載するとの定めは確認できません。相手を特定する必要がある時の記載方法は、管理者へ確認してください。
- 利用者同士の接触事故について、相手の特定だけでなく、確認した事実をどう残して再発防止につなげるかまで整理したい場合は、介護事故報告書を書くのが怖い理由|怒られるためではなく再発防止に使う考え方も確認できます。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
(介護関係事業者の場合)【介護サービスの利用者への介護の提供に必要な利用目的】〔介護関係事業者の内部での利用に係る事例〕・当該事業者が介護サービスの利用者等に提供する介護サービス・介護保険事務・介護サービスの利用者に係る事業所等の管理運営業務のうち、-入退所等の管理-会計・経理-事故等の報告-当該利用者の介護サービスの向上〔他の事業者等への情報提供を伴う事例〕・当該事業者等が利用者等に提供する介護サービスのうち、-当該利用者に居宅サービスを提供する他の居宅サービス事業者や居宅介護支援事業所等の連携(サービス担当者会議等)、照会への回答-その他の業務委託-家族等への心身の状況説明
学校ではイニシャル、就職先では実名を使っている
学校で学んだ書き方と就職先のルールが違い、先輩へ聞いても答えが分かれることがあります。どちらかを自分だけで正解にすると、後から注意される不安が残ります。勤務の早い段階で、記載方法だけでなく閲覧範囲と開示窓口も確認します。
ガイダンスは、個人データの安全管理と、開示手順を含む個人情報保護規程の整備を示しています。必要なのは「実名かイニシャルか」という一語だけではありません。誰が何の目的で閲覧するか、家族・外部から求められた時に誰が対応するかまで、施設の規程と結び付けて理解する必要があります。
先輩ごとの経験則ではなく、管理者または個人情報を担当する窓口へ確認先をそろえましょう。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
医療・介護関係事業者は、その取り扱う個人データの重要性に鑑み、個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の安全管理のため、その規模、従業者の様態等を勘案して、以下に示すような取組を参考に、必要な措置を行うものとする。また、同一事業者が複数の施設を開設する場合、当該施設間の情報交換については第三者提供に該当しないが、施設ごとに安全管理措置を講ずるなど、個人情報の利用目的を踏まえた個人情報の安全管理を行う。①個人情報保護に関する規程の整備、公表・医療・介護関係事業者は、保有個人データの開示手順を定めた規程その他個人情報保護に関する規程を整備し、苦情への対応を行う体制も含めて、院内や事業所内等への掲示やホームページへの掲載を行うなど、患者・利用者等に対して周知徹底を図る。
家族から「今、記録を見せて」と求められる
家族と話している最中に記録を求められると、待たせることへの申し訳なさから、その場で画面を見せたくなることがあります。しかし、家族というだけで請求者の立場や開示範囲を現場介護士が決めるのは難しいです。求められた時点で管理者へつなぎます。
ガイダンスでは、開示等を請求する者が本人または代理人であることの確認、担当スタッフの意見を踏まえた開示可否の決定、請求者への通知が挙げられています。これはその場の会話だけで完結する判断ではないことを示します。
原本、コピー、記録画面を自己判断で見せず、施設の担当窓口から回答することを伝えてください。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
一 開示等を請求する者が本人(又はその代理人)であることを確認する。一 開示等の請求等があった場合、主治医等の担当スタッフの意見を聴いた上で、速やかに保有個人データ等の開示等をするか否か等を決定し、これを開示の請求等を行った者に通知する。一 保有個人データ等の開示に当たり、法第33条第2項各号に該当する可能性がある場合には、開示の可否について検討するために設置した検討委員会等において検討した上で、速やかに開示の可否を決定することが望ましい。一 保有個人データ等の開示を行う場合には、日常の医療・介護サービス提供への影響等も考慮し、本人に過重な負担を課すものとならない範囲で、日時、場所、方法等を指定することができる。
「内部用」と「外部用」を毎日二重に書こうとする
外へ渡す可能性を考えて、詳しい内部用と薄い外部用を毎日作ろうとすると、どちらが正式な記録か分からなくなることがあります。書き分けの負担も増えます。まず施設が原本をどう定め、提供時に誰が範囲を確認する運用かを管理者へ尋ねます。
採用資料は、内部での利用と他者への情報提供を伴う利用を分けて例示しています。ここから押さえたいのは、記録の利用場面と提供場面を区別することです。日々の二重記録を自己判断で始めるのではなく、原本の位置づけと外部提供手続を施設で確認します。
正式な記録を一つにする運用が未整備なら、それは現場介護士だけで決めず管理者へ上げる課題です。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
(介護関係事業者の場合)【介護サービスの利用者への介護の提供に必要な利用目的】〔介護関係事業者の内部での利用に係る事例〕・当該事業者が介護サービスの利用者等に提供する介護サービス・介護保険事務・介護サービスの利用者に係る事業所等の管理運営業務のうち、-入退所等の管理-会計・経理-事故等の報告-当該利用者の介護サービスの向上〔他の事業者等への情報提供を伴う事例〕・当該事業者等が利用者等に提供する介護サービスのうち、-当該利用者に居宅サービスを提供する他の居宅サービス事業者や居宅介護支援事業所等の連携(サービス担当者会議等)、照会への回答-その他の業務委託-家族等への心身の状況説明
よくある迷いは、記載方法だけを現場介護士へ委ねると深くなります。記録前は施設の記載基準、外部から求められた時は管理者・担当窓口へ確認先を切り替えてください。
なぜ介護記録の「使う」と「渡す」が混同されるのか

現場では、「個人情報だから書かない」と「事故記録だから詳しく書く」が同時に求められ、どちらを優先するか迷います。この背景には、記録の内部利用、第三者提供、開示手続が一続きに説明されていることがあります。ここでは、混同しやすい4つの理由を整理します。
利用者同士の出来事を記録する時、書く内容だけでなく、その記録を誰が読み、外部から求められたら誰が判断するかまで分からないと不安は残ります。氏名を伏せれば終わりと考えると、必要な情報まで失われるかもしれません。記録前と提供依頼時で、確認する相手を切り替えることが現実的です。
介護記録自体が個人データとして扱われるから
個人情報を守るには名前だけ消せばよいと考え、出来事の前後関係まで薄くすることがあります。反対に、内部記録だから管理は不要と思うこともあります。まず介護関係記録そのものが個人データとして扱われることを押さえ、記載と管理をセットで考えます。
ガイダンスは、診療記録や介護関係記録について、媒体を問わず個人データに該当するとしています。理想は必要な範囲で扱うことですが、現場では「書くか、書かないか」の二択になりがちです。そのずれを避けるため、記録前に利用目的と施設の記載基準を確認し、閲覧できる職員の範囲も管理者へ尋ねます。
- 介護記録をAIで整える場合は、氏名だけでなく、利用者を特定できる情報や施設内部の情報にも注意が必要です。入力してよい範囲や施設の承認、出力後の確認方法まで整理したい場合は、介護現場でAIを使っても大丈夫?個人情報・記録・責任範囲の注意点で確認できます。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
「個人データ」とは、「個人情報データベース等」を構成する個人情報をいう。診療録等の診療記録や介護関係記録については、媒体の如何にかかわらず個人データに該当する。また、検査等の目的で、患者から血液等の検体を採取して検査結果を得た場合、これらの検査結果は個人情報に該当し、利用目的の特定等(Ⅳ3.参照)、利用目的の通知等(Ⅳ5.参照)等の対象となることから、患者の同意を得ずに、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて当該個人情報を取り扱ってはならない。なお、検体についても、その分析等により個人情報を取得し得ること等に鑑み、個人情報と同様の取扱いとすることが望ましい。
施設内の情報交換と第三者提供が区別されるから
第三者提供には慎重な確認が必要だと聞くと、申し送りや事故確認のための施設内共有まで同じように止めたくなることがあります。そこで、同一事業者内の情報交換と、外部の第三者への提供を分けて理解します。
ガイダンスは、同一事業者が開設する施設間の情報交換は第三者提供に該当しないとする一方、利用目的を踏まえた安全管理を求めています。理想は必要な職員が必要な情報を扱うことですが、現場では「全員に見せる」か「誰にも知らせない」かに偏りがちです。記録時は利用目的と閲覧範囲を確認し、外部提供の依頼が出た時点で管理者へ切り替えます。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
医療・介護関係事業者は、その取り扱う個人データの重要性に鑑み、個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の安全管理のため、その規模、従業者の様態等を勘案して、以下に示すような取組を参考に、必要な措置を行うものとする。また、同一事業者が複数の施設を開設する場合、当該施設間の情報交換については第三者提供に該当しないが、施設ごとに安全管理措置を講ずるなど、個人情報の利用目的を踏まえた個人情報の安全管理を行う。①個人情報保護に関する規程の整備、公表・医療・介護関係事業者は、保有個人データの開示手順を定めた規程その他個人情報保護に関する規程を整備し、苦情への対応を行う体制も含めて、院内や事業所内等への掲示やホームページへの掲載を行うなど、患者・利用者等に対して周知徹底を図る。
家族への状況説明と記録の開示が同じに見えるから
日頃から家族へ利用者の様子を説明していると、「家族なら記録もそのまま見せられる」と考えやすくなります。しかし、家族への心身の状況説明と、本人または代理人による保有個人データの開示請求は、確認すべき場面が異なります。
ガイダンスは、開示請求者の確認、担当スタッフの意見、開示可否の決定・通知を挙げています。理想は家族へ丁寧に対応することですが、現場の関係性だけで記録提供まで決めると、他の人の情報を含む範囲を確認できません。家族から原本やコピーを求められた時点で、日常説明から開示手続へ切り替え、管理者・担当窓口につないでください。
- 家族へ記録を提供する際に、他利用者の名前をどこまで黒塗りするか、現場で独断してよいか迷う場合は、介護記録を家族に見せるとき黒塗りは必要?他利用者の個人情報をマスキングする考え方で、請求者・対象記録・第三者情報を確認する順番も整理できます。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
一 開示等を請求する者が本人(又はその代理人)であることを確認する。一 開示等の請求等があった場合、主治医等の担当スタッフの意見を聴いた上で、速やかに保有個人データ等の開示等をするか否か等を決定し、これを開示の請求等を行った者に通知する。一 保有個人データ等の開示に当たり、法第33条第2項各号に該当する可能性がある場合には、開示の可否について検討するために設置した検討委員会等において検討した上で、速やかに開示の可否を決定することが望ましい。一 保有個人データ等の開示を行う場合には、日常の医療・介護サービス提供への影響等も考慮し、本人に過重な負担を課すものとならない範囲で、日時、場所、方法等を指定することができる。
記載基準と外部提供の担当が別々に示されていないから
現場へ「個人情報に注意」とだけ伝わり、原本の書き方や開示窓口が示されないことがあります。すると、先輩ごとの答えが施設ルールのように扱われ、新人が毎回判断する状態になります。確認すべき項目を分ける必要があります。
ガイダンスは、個人情報保護規程、開示手順、苦情対応を含む体制の整備を挙げています。理想は規程と窓口が職員に分かることですが、現実には「実名禁止」など一部の言葉だけが残りがちです。次の勤務で管理者へ、原本の記載基準・閲覧範囲・外部提供窓口・確認担当の4点を質問してください。確認負担は増えても、判断を新人一人へ集中させないために必要な確認です。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
医療・介護関係事業者は、その取り扱う個人データの重要性に鑑み、個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の安全管理のため、その規模、従業者の様態等を勘案して、以下に示すような取組を参考に、必要な措置を行うものとする。また、同一事業者が複数の施設を開設する場合、当該施設間の情報交換については第三者提供に該当しないが、施設ごとに安全管理措置を講ずるなど、個人情報の利用目的を踏まえた個人情報の安全管理を行う。①個人情報保護に関する規程の整備、公表・医療・介護関係事業者は、保有個人データの開示手順を定めた規程その他個人情報保護に関する規程を整備し、苦情への対応を行う体制も含めて、院内や事業所内等への掲示やホームページへの掲載を行うなど、患者・利用者等に対して周知徹底を図る。
混同をほどくには、記録内容だけでなく、利用目的・閲覧範囲・開示窓口・確認担当を分けます。外部提供を求められた時点で、現場判断から施設の手続へ切り替えてください。
介護記録と個人情報のFAQ
現場では、実名・イニシャル・家族への提示など、書くたびに小さな判断が重なります。答えが職員ごとに違うと、必要な記録まで書けなくなる不安もあります。
- Q介護記録は、氏名を書かなければ個人データではなくなりますか?
- A
ガイダンスは、診療記録や介護関係記録は媒体を問わず個人データに該当するとしています。氏名を実名から「A氏」へ変えただけで、記録全体の取扱いが一律に変わるとは判断できません。
現場では、アルファベットなら安全と思う一方、後から誰か分からなくなることがあります。表記だけで決めず、施設規程、利用目的、閲覧範囲を管理者へ確認してください。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省
医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
「個人データ」とは、「個人情報データベース等」を構成する個人情報をいう。診療録等の診療記録や介護関係記録については、媒体の如何にかかわらず個人データに該当する。また、検査等の目的で、患者から血液等の検体を採取して検査結果を得た場合、これらの検査結果は個人情報に該当し、利用目的の特定等(Ⅳ3.参照)、利用目的の通知等(Ⅳ5.参照)等の対象となることから、患者の同意を得ずに、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて当該個人情報を取り扱ってはならない。なお、検体についても、その分析等により個人情報を取得し得ること等に鑑み、個人情報と同様の取扱いとすることが望ましい。
- Q施設内の申し送りも、すべて第三者提供になりますか?
- A
同一事業者内の情報提供は、ガイダンス上、第三者への提供とは区別されています。ただし、施設内なら自由に扱えるという意味ではありません。利用目的を踏まえた安全管理が必要です。
申し送りで迷った時は、業務上必要な情報か、閲覧する職員の範囲は適切かを施設規程で確認します。必要性が分からない情報まで広げないことが大切です。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省
医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
医療・介護関係事業者は、その取り扱う個人データの重要性に鑑み、個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の安全管理のため、その規模、従業者の様態等を勘案して、以下に示すような取組を参考に、必要な措置を行うものとする。また、同一事業者が複数の施設を開設する場合、当該施設間の情報交換については第三者提供に該当しないが、施設ごとに安全管理措置を講ずるなど、個人情報の利用目的を踏まえた個人情報の安全管理を行う。①個人情報保護に関する規程の整備、公表・医療・介護関係事業者は、保有個人データの開示手順を定めた規程その他個人情報保護に関する規程を整備し、苦情への対応を行う体制も含めて、院内や事業所内等への掲示やホームページへの掲載を行うなど、患者・利用者等に対して周知徹底を図る。
- Q家族なら、介護記録をその場で見せてもよいですか?
- A
家族というだけで、その場で見せてよいとは判断できません。ガイダンスは、開示請求者が本人または代理人であることの確認、担当スタッフの意見、開示可否の決定・通知を挙げています。
家族を待たせることに不安を感じても、原本・コピー・画面を自己判断で見せず、求められた時点で管理者・担当窓口へつないでください。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省
医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
一 開示等を請求する者が本人(又はその代理人)であることを確認する。一 開示等の請求等があった場合、主治医等の担当スタッフの意見を聴いた上で、速やかに保有個人データ等の開示等をするか否か等を決定し、これを開示の請求等を行った者に通知する。一 保有個人データ等の開示に当たり、法第33条第2項各号に該当する可能性がある場合には、開示の可否について検討するために設置した検討委員会等において検討した上で、速やかに開示の可否を決定することが望ましい。一 保有個人データ等の開示を行う場合には、日常の医療・介護サービス提供への影響等も考慮し、本人に過重な負担を課すものとならない範囲で、日時、場所、方法等を指定することができる。
- Q毎日の介護記録を「内部用」と「外部用」の二つに分ける必要がありますか?
- A
採用したガイダンスは、介護関係事業者の内部での利用と、他の事業者等への情報提供を伴う利用を分けて例示しています。毎日の記録を二重作成する必要があるかは、この資料だけでは決められません。
現場で二つの記録が食い違う不安があるなら、自己判断で増やさず、どれが原本か、外部提供時に誰が範囲を確認するかを管理者へ確認してください。
出典元の要点(要約)
個人情報保護委員会・厚生労働省
医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
(介護関係事業者の場合)【介護サービスの利用者への介護の提供に必要な利用目的】〔介護関係事業者の内部での利用に係る事例〕・当該事業者が介護サービスの利用者等に提供する介護サービス・介護保険事務・介護サービスの利用者に係る事業所等の管理運営業務のうち、-入退所等の管理-会計・経理-事故等の報告-当該利用者の介護サービスの向上〔他の事業者等への情報提供を伴う事例〕・当該事業者等が利用者等に提供する介護サービスのうち、-当該利用者に居宅サービスを提供する他の居宅サービス事業者や居宅介護支援事業所等の連携(サービス担当者会議等)、照会への回答-その他の業務委託-家族等への心身の状況説明
記録の表記だけで安全・危険を決めず、利用目的と施設規程を確認します。家族や外部から求められた時は、自分で渡さず管理者・担当窓口へ切り替えてください。
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明日の一歩は一つです。勤務開始後、管理者に「原本の記載基準・閲覧範囲・外部提供窓口・確認担当」をまとめて質問してください。確認の手間は増えても、書く・渡す判断を新人一人へ集中させないために必要な確認です。
- 記録や家族対応の基準が曖昧なまま、難しい判断を一人に任される状況が続いている場合は、現在の職場以外の選択肢を知るために、介護職の求人、募集は【レバウェル介護】
で求人や職場情報を確認しておくのも一つの方法です。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
更新履歴
- 2026年7月17日:新規投稿







