「トイレに行きましょう」と声をかけても拒否され、時計を見ながら焦る毎日。本当は本人のペースに合わせたいけれど、限られた人員と時間の中では、つい強い口調になってしまうこともあるのではないでしょうか。
理想通りにはいかない現場の限界を踏まえ、全部を変えるのではなく「最初のひとこと」だけを変える。明日から無理なく試せる、拒否を減らすこともある現実的なアプローチをお伝えします。
この記事を読むと分かること
- 拒否が減って時短につながることがある理由
- 非言語サインの読み取り方
- 選択肢で誘導する技術
- 自尊心を守る声かけのコツ
一つでも当てはまったら、この記事が役に立つことがあります
結論:「思い通り」ではなく「本人が決める」支援へ

現場では「さっき行ったばかりなのに」という訴えや、逆に「行きたくない」という強い拒否に直面し、人員不足の中で対応に苦慮することも多いでしょう。
「本人のペースを尊重したい」と頭では分かっていても、他の利用者対応や転倒リスクを考えると、つい「今は座っていて」「今のうちに行きましょう」と管理的な対応にならざるを得ないのが現実かもしれません。
しかし、このジレンマを解消する鍵の一つは、無理に誘導することではなく、本人が納得して動くための「プロセス」を変えることにあります。
誘導前の「信頼関係」と「安心感」が重要
トイレ誘導がうまくいくかどうかは、実はトイレに行く前の関わりで大きく左右されることがあります。認知症看護の基本は、患者を一人の「人」として接し、自尊心を傷つけないことです。
日頃から「その人らしさ」を尊重し、心地よいコミュニケーションを積み重ねて信頼関係を築いておくことが、いざという時のスムーズな誘導につながることがあります。
逆に、普段から「ダメ」「待って」と否定的な言葉(スピーチロック)を受けていると、利用者は不安や不信感を抱き、トイレ誘導に対しても反射的に拒否を示しやすくなることがあります。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
認知症看護の基本として、患者を一人の「人」として接し、自尊心を傷つける行為を行わないことが前提となります。具体的な支援内容には、その人らしく存在できるための支援、本人が有する力を活かす自己決定の尊重、生活歴に基づいた生活の継続性を保つケア環境の整備が含まれます。
国立長寿医療研究センター
認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
2018年に策定されたガイドラインに基づき、医療従事者は認知症患者の意思決定を支援する役割を担います。支援は本人の自己決定の尊重に基づいて行い、理解できるよう説明を尽くさなければなりません。本人の意思確認が難しい場合は推定意思・選好を確認し、身振りや表情からも意思を読み取る努力が求められます。
「連れて行く」をやめて「自己決定」を促す
「トイレに行きますよ」と職員が決めて連れて行くのではなく、本人が「トイレに行く」と自分で決めるプロセスを支援します。これが「意思決定支援」です。
具体的には、「今どんなことをしたいですか?」といった開かれた質問や、複数の選択肢を示すことで、本人の自発性を引き出しやすくするとされています。
言葉や文字、図表を使って丁寧に情報を説明し、本人が理解できるように工夫します。自分で決めた行動であれば抵抗感が薄れることがあり、結果として拒否が生じにくくなることがあります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思決定支援とは、認知症の人が能力を最大限活かして自らの意思に基づいた生活を送れるよう、意思決定支援者が行う本人支援である。そのプロセスは、本人が意思を形成することの支援(意思形成支援)と、意思を表明することの支援(意思表明支援)を中心とし、意思を実現するための支援(意思実現支援)を含む。なお、本ガイドラインは「代理代行決定」のルールを示すものではない。
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思形成支援では、本人が理解できる平易な言葉や文字、図表を用いて情報を丁寧に説明し、事実認識に誤りがないか確認する。「今どんなことをしたいですか」といった開かれた質問を用い、複数の選択肢を示すことが有効である。理解しているように見えても実際は理解できていない場合があるため、本人の様子を注意深く確認する。
言葉以外の「NO」も重要な意思表示
表情や態度などの非言語メッセージは雄弁に意思を語っているように見えます。
誘導しようとした時に顔を背ける、体が硬くなる、手を振り払うといった行動は、明確な「拒否(NO)」のサインと考えられます。
ガイドラインでは、他者を害する場合などを除き、こうした本人の意思(意向・選好)を尊重することが原則とされています。無理に進めず、一呼吸待って様子を見ることが、状況を悪化させにくいポイントです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思決定支援は、自己決定の尊重に基づき、本人の意思(意向・選好)や推定意思を尊重することから始まる。身振りや表情からも意思を読み取る努力が求められ、他者を害する場合や本人にとって見過ごすことのできない重大な影響が生ずる場合を除き、示された意思は尊重される。
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思表明支援では、時間をかけてコミュニケーションを取り、決断を焦らせないことが重要である。表明された意思が信条や生活歴、価値観と整合しない場合や迷いがある場合は、形成プロセスを振り返り、改めて確認を行う。重要な決定では、時間をおいての確認や、複数の支援者による確認が適切である。
急いでいる時こそ、「連れて行く」のではなく本人に選んでもらう一工夫が、意思決定支援の考え方に沿った関わりになります。
よくある「すれ違い」事例と解決策

現場では、「さっき行ったばかり」の頻回な訴えや、逆に尿意があるように見えるのに頑なに拒否されるケースなど、一筋縄ではいかない場面の連続です。
特に人手が薄い時間帯に拒否が重なると、「もう間に合わない」という焦りから、つい強い口調で指示してしまい、余計に意固地になられることもある。そんな「負のループ」は多くの職員が経験することがあります。
ここでは、現場でよくある「すれ違い」の事例を通して、エビデンスに基づいた解決の糸口を探ります。
時間がなく「指示」して拒否される
状況:オムツ交換の時間に「〇〇さん、トイレに行きましょう」と声をかけ、腕を引いたところ、「痛い!行かない!」と怒鳴られてしまった。
- よくある誤解:認知症でわがままになっている。強く言わないと伝わらない。
- 押さえるべき視点:命令はスピーチロック(言葉の拘束)に該当することがあります。「食前に行きますか?」等の選択肢を示すことが有効とされています。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
「ちょっと待って」「座ってて」といった言葉による抑制(スピーチロック)は、身体的・薬物的な拘束と同様に「スリーロック」の一つとして避けなければなりません。言葉による行動制限は、患者の自尊心を傷つけ、混乱やBPSD(行動・心理症状)を悪化させる要因となります。
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思形成支援では、「今どんなことをしたいですか」といった開かれた質問を用い、複数の選択肢を示すことが有効である。理解しているように見えても実際は理解できていない場合があるため、本人の様子を注意深く確認する。
「行きたくない」の裏にある不安
状況:トイレの前まで連れて行っても、入り口で立ち止まり「ここは嫌だ」「暗くて怖い」と入ろうとしない。
- よくある誤解:トイレや介助が嫌いなのだ。
- 押さえるべき視点:見当識障害で場所がわからない、または環境への恐怖心が原因かもしれません。照明を明るくし、安心できる声かけが重要です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
認知症の人は、環境の変化に敏感であり、不安や混乱を感じやすい。本人が安心できる環境(なじみの場所、関係性)を整えることが、意思決定支援の前提となる。
国立長寿医療研究センター
認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
環境調整として、本人が認識しやすい照明や目印の設置、転倒予防のための整理整頓が重要です。また、非言語的コミュニケーション(表情、タッチング)を用いて安心感を与えることがケアの効果を高めます。
「わからない」と決めつけた全介助
状況:会話が難しいため、職員が無言でズボンを下ろし介助していたところ、手を振り払われるようになった。
- よくある誤解:何もわからないから、手早く済ませるのが本人のためだ。
- 押さえるべき視点:意思決定能力は「ある/なし」ではなく連続量です。言葉が通じなくても、表情や態度から「嫌だ」という意思を読み取りましょう。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思決定能力は、「ある」か「ない」かの二者択一ではなく、連続的なものとして捉えるべきである。認知症の人の能力は、支援の内容や環境、時間帯によっても変動するため、その時々の状態に応じた柔軟な支援が必要である。
国立長寿医療研究センター
認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
重度の認知症であっても、感情や感覚は残存しています。言葉によるコミュニケーションが困難な場合でも、表情や視線、体の動きなどの非言語的なサインから、本人の快・不快や意思を読み取ることが可能です。
「良かれと思って」の対応が、実は拒否の引き金になっていることがあります。指示や全介助で押し切るのではなく、本人の「不安」や「残された力」に目を向けることで、互いに楽なケアが見つかることがあります。
なぜ「思い通り」にしようとするとうまくいかないのか

現場では「良かれと思って誘導したのに、なぜか強く拒絶される」「時間がない時に限ってうまくいかない」という経験を多くの人が持っています。
実は、この「うまくいかない」現象には、認知症特有のメカニズムと、支援者側の関わり方が複雑に影響していると考えられます。
ここでは、「なぜ思い通りにしようとすると逆効果になるのか」について、医学的・心理的な根拠から紐解いていきます。
BPSDは「環境」と「ケア」への反応
暴言や拒否といったBPSD(行動・心理症状)は、認知症だから必ずしも当然出る症状ではありません。多くの場合、本人が置かれている環境や受けているケアに対する反応として現れることがあります。
本人のペースを無視した強引な誘導や、不安な環境(暗い・寒い・場所が不明)がストレスとなり、その苦痛を表現する手段として「拒否」が起こることがあります。
つまり、拒否を「病気のせい」と片付けず、不快な要因を取り除くことで、症状を落ち着かせられる可能性があるということです。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
BPSD(行動・心理症状)の発現には、脳の器質的な変化だけでなく、身体的要因(痛み、便秘など)、環境的要因(騒音、不快な温度など)、心理的要因(不安、孤独感など)が深く関与しています。これらの要因が相互に作用し、不適切なケアや環境への適応困難な反応として症状が現れることが理解されています。
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
認知症の人が示す行動障害や心理症状は、本人の意思や感情の表現として捉える視点が重要である。環境や対人関係の調整により、本人が安心して過ごせる状況を作ることで、これらの症状が軽減する場合がある。
言葉の拘束「スピーチロック」の弊害
忙しい時つい言っている「ちょっと待って」「座ってて」という言葉。これらはスピーチロック(言葉の拘束)と呼ばれ、身体拘束と同じく避けるべき行為とされています。
指示的な言葉は「行動を制限された」という不快感を与えやすく、自尊心を深く傷つけることがあります。その結果、職員への不信感が募り、次の介助に対する強い抵抗感を生む悪循環に陥ることがあります。
「待たせる」のではなく、安心できる言葉がけや、待つ理由を伝える工夫が、結果的に信頼関係を損なわないことにつながります。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
「スピーチロック」とは、「ちょっと待って」「動かないで」などの言葉で患者の行動を制限することを指し、身体拘束に準ずる行為として認識されています。このような言葉かけは、患者の意欲を低下させ、転倒のリスクを高めるだけでなく、介護者との信頼関係を損なう原因となります。
国立長寿医療研究センター
認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
言葉による拘束は、患者にとって「否定された」という感情を引き起こし、易怒性や興奮などのBPSDを誘発する可能性があります。ケアの場面では、肯定的な言葉選びや、患者のペースに合わせたコミュニケーションを心がけることが、症状の安定に寄与します。
意思決定能力は「支援」で変わる
「認知症だから自分では決められない」と決めつけていませんか?実は意思決定能力は固定されたものではなく、支援者の関わり方によって変動する流動的なものとされています。
適切な情報提供や、焦らせない環境があれば、自分で決められる範囲は広がることがあります。逆に、急かしたり情報を遮断したりすれば、能力は発揮しにくくなります。
「できない」と諦めて職員が決めてしまうと、本人は無力感や憤りを感じ、それが抵抗となって現れることがあります。「支えればできる」と信じることが、支援の第一歩になります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思決定能力は、本人の心身の状態だけでなく、周囲の環境や支援の在り方によって変化する相互作用的なものである。適切な支援を行うことで、本人の意思決定能力が高まる可能性があることを念頭に置き、安易に能力がないと判断してはならない。
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
認知症の人の意思決定を支援する際は、本人の残存能力に着目し、それを最大限に引き出す工夫が必要である。認知機能の低下があっても、支援者が適切な情報提供や環境調整を行うことで、本人は自らの意思を形成し、表明することが可能となる場合が多い。
拒否や暴言は、不適切な環境や言葉(スピーチロック)に対する反応であることが多くあります。逆に言えば、関わり方を変え、本人の力を信じて支援することで、状況が変わることがあります。
現場の「迷い」に答えるQ&A
現場で実践しようとすると、「そうは言っても、こんな時はどうする?」という迷いが生じやすいです。
きれいごとだけでは済まない現実の場面で、エビデンスはどう判断するのか。よくある疑問にお答えします。
- Q言葉が通じない方には、どう意思確認すればいいですか?
- A言葉だけでなく、表情や態度などの非言語メッセージを確認してください。顔を背ける、体が硬くなるといった反応は「拒否」のサインである可能性があります。
出典元の要点(要約)
国立長寿医療研究センター
認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
言葉によるコミュニケーションが困難な場合でも、表情や視線、身振りなどの非言語的なサインから、本人の意思や感情を読み取ることが求められます。
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思決定支援においては、言語的な表明だけでなく、行動や態度による意思表示(非言語的コミュニケーション)も尊重されるべきです。
Qどうしても時間がなく、待っていられない時は?A焦りは相手に伝わりやすく、混乱や拒否を招くことがあります。急ぐ時こそ、深呼吸して安心できる態度で接することが、結果的にスムーズなケアにつながることがあります。出典元の要点(要約)
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
意思表明支援では、時間をかけてコミュニケーションを取り、決断を焦らせないことが重要です。支援者がゆとりを持って接することで、本人の安心感につながります。
国立長寿医療研究センター
認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
ケアの場面で支援者が焦りや緊張を示すと、それが患者に伝播し、BPSDを誘発する原因となることがあります。受容的で落ち着いた態度がケアの基本です。
Q本人の意思を尊重すると、転倒のリスクがある場合は?A独断で決めず、チームで話し合ってください。「歩きたい」という意向に対し、見守りや環境調整でリスクをどう減らせるか検討し、プロセスを記録します。出典元の要点(要約)
厚生労働省
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
本人の意思と安全配慮(生命・身体への重大な影響)が対立する場合は、複数の専門職による会議等で検討を行います。リスク回避のみを優先せず、本人の利益を総合的に判断するプロセスが重要です。
国立長寿医療研究センター
認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
転倒リスクがある場合でも、身体拘束(行動制限)は原則として避けるべきです。多職種でカンファレンスを行い、環境整備やケアの方法を工夫することでリスク低減を図ります。
迷った時は一人で抱え込まず、チームで共有することが大切です。完璧な正解はありませんが、「本人の思い」に立ち返ることが、納得できるケアへの道しるべになります。
まとめ:まずは「ひとこと」変えることから
ここまで、トイレ誘導における拒否の原因と、意思決定支援の重要性について解説してきました。
記事のポイントを振り返ります。
- 拒否は、不安やスピーチロックに対する反応の可能性があります。
- 「連れて行く」のではなく、選択肢を示して本人に選んでもらうことが大切です。
- 言葉以外の非言語サインも、尊重すべき意思表示です。
いきなり全ての対応を変えることは、現場の状況的にも難しいかもしれません。
まずは明日のケアで、いつもの「トイレに行きましょう」という声を、「今行きますか?それとも後にしますか?」という質問に変えてみてください。
その小さな「選んでもらう」積み重ねが、利用者さんの自信と安心感につながり、結果としてあなたの業務を助ける信頼関係へと育っていくことがあります。
最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。
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更新履歴
- 2026年2月24日:新規投稿






