食事介助が終わり、一息つく間もなく始まる下膳とテーブル拭き。 毎日のことだからこそ、「台拭きできれいになれば十分かな」と 思うこともあるかもしれません。
でも、実は食後のテーブルは、利用者様の健康を守るための 大切な「防衛ライン」でもあります。
この記事では、厚生労働省のガイドラインに基づき、 忙しい現場でも実践できる、正しいテーブル消毒の手順を整理しました。 日々の業務の再確認として、お役立ていただければ幸いです。
この記事を読むと分かること
- 食後のテーブルが感染源になりやすい理由が分かります
- 日常と流行期で推奨される、消毒薬の使い分けが分かります
- 効果を下げてしまう、避けるべきNG行動を理解できます
- 効率的で衛生的な、正しい拭き方の手順が分かります
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
食卓を守るための「3つの鉄則」

食事の時間は利用者様にとって楽しみなひとときですが、感染対策の視点では警戒が必要な場面でもあります。テーブルを介した感染拡大を防ぐために、まずは現場で共有しておきたい3つの基本原則を確認しましょう。
テーブルはウイルスの「中継地点」である
食事中はマスクを外して会話をするため、目に見えない飛沫がテーブルに落下します。また、利用者様の手が頻繁に触れる場所でもあります。
厚生労働省の手引きでは、汚染された物を介して伝播する「間接接触感染」のリスクが指摘されています。テーブルは、ウイルスが次の人の手に移るための「中継地点(ハブ)」になりやすいため、ここを清潔に保つことが感染経路を遮断するうえで非常に重要です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
接触感染について、本手引きは「感染している人との接触や汚染された物との接触による感染。」と定義し、「汚染された物(ドアノブ、手すり、食器、器具等)を介して伝播がおこる間接接触感染がある」と具体例を挙げる。介護施設では多くの利用者が同じ「手すり、ドアノブ、食器、器具等」を触れるため、ここが病原体のハブになりやすいと位置づけられる。そのため環境面の対策として、「接触が多い共用設備(手すり、ドアノブ、パソコンのキーボード等)の消毒を行う」ことが推奨され、日常の清掃・消毒計画に高頻度接触部位を組み込むことが介護現場の接触感染対策の核となる。
いきなり消毒しない!まずは「洗浄・乾燥」
「早くきれいにしたい」という思いから、食べこぼしがある状態でいきなり消毒液を使っていませんか?
消毒薬は、有機物(汚れ)が残っていると効果が著しく低下します。厚生労働省のマニュアルでも、消毒薬による消毒よりも、まずは目に見える汚れを除去することを優先するよう示されています。
- 洗浄:水拭きや洗剤で汚れを落とす
- 乾燥:水分を拭き取り、乾かす
- 消毒:清潔な状態で消毒薬を使用する
この手順を守ることで、消毒薬が本来の力を発揮できます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
施設内の衛生管理では、まず施設内の環境の清潔を保つことが重要ですとされ、日常的な整理整頓と清掃の意義が示される。そのうえで、消毒薬による消毒よりも目に見える埃や汚れを除去し、居心地の良い、住みやすい環境づくりを優先しますと述べられ、過度な消毒よりも「きれいに保つこと」が基本とされている。また、手洗い場やうがい場、汚物処理室といった感染対策に必要な施設や設備を入所者や職員が利用しやすい形態で整備することが大切ですとされ、職員が感染対策を実行しやすい環境設計の重要性が示される。
「日常」と「緊急時」で薬剤を使い分ける
テーブルの消毒には、状況に応じて「消毒用エタノール(アルコール)」と「次亜塩素酸ナトリウム」を使い分ける必要があります。
厚生労働省の手引きに基づき、使い分けの基準を整理しました。
| 状況 | 推奨される消毒薬 | 理由 |
| 日常の清掃 | 消毒用エタノール | 多くの人が触れる場所の消毒に適しており、使いやすい。 |
| ノロウイルス流行期 嘔吐・排泄物汚染時 | 次亜塩素酸ナトリウム | ノロウイルスにはアルコールが効きにくいため、塩素系が必要。 |
「いつもアルコールで大丈夫」と思い込まず、流行状況や汚染の種類によって柔軟に切り替えることが大切です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
清掃・環境消毒について手引きは、「床、壁、ドア等は水拭きしますが、多くの人の手が触れるドアノブ、手すり、ボタン、スイッチ等は、状況や場所に応じての消毒(消毒用エタノール等でよい)が望ましいです」とし、高頻度接触面での「消毒用エタノール」の活用を勧める。一方、「ノロウイルス感染症発生時は 0.02%~0.1%(200ppm~1000ppm)の次亜塩素酸ナトリウム液を使用し、消毒後の腐食を回避するため水拭きする等」と記載し、病原体によって「その病原体に応じた清掃や消毒」を切り替えることが必要と示す。つまり日常はアルコール中心、ノロ流行時などは次亜塩素酸ナトリウムを使い分ける施設内の環境管理が求められている。
基本原則を押さえたところで、次は実際の業務フローに沿った「正しい手順」と、やってしまいがちな「NG行動」について具体的に解説します。明日からの実践に役立つポイントを見ていきましょう。
【実践編】「日常」と「流行期」で変える!正しい手順とNG行動

テーブルの消毒は、365日同じやり方で良いわけではありません。普段の業務と、ノロウイルスなどが流行する冬場や嘔吐があった場合とでは、使う薬剤や手順を明確に切り替える必要があります。ここでは、それぞれの正しい手順と、効果を下げてしまうNG行動を具体的に解説します。
【日常編】基本は「アルコール」で一方向拭き
普段の食後は、使い勝手の良い「消毒用エタノール(アルコール)」を使用します。ただし、ゴシゴシと往復させて拭くのは逆効果です。
- 汚れを落とす:まずは水拭き(または洗剤拭き)で食べこぼしを除去し、乾燥させます。
- 含ませる:清潔な布やペーパータオルに、消毒用エタノールを十分に含ませます。
- 一方向に拭く:テーブルの端から端へ、「一方向」に拭き上げます。
往復拭きをすると、拭き取った菌やウイルスを再びテーブルに戻してしまう恐れがあります。「一筆書き」のイメージで、一方向に拭き取ることが清掃の基本です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
手引きの「対象物による消毒方法」では、「消毒用エタノール 原液(70~95%)」の用途として、「手指、皮膚 ドアノブ、カート、洋式トイレの便座等」が挙げられている。続いて、「ドアノブ、 食卓用テーブル、 職員ロッカー パソコン、電話機器 ・消毒用エタノールで清拭する。」と明記され、環境表面に対するアルコール消毒の具体例が示される。ノロ流行時に次亜塩素酸ナトリウムを使うケースと対比しつつ、平常時のテーブル・手すりのルーチン消毒には消毒用エタノールを用いる根拠として使える記載である。
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
本手引きは、環境清掃の細かな手順も示しており、清掃の順序として「部屋の奥から入口方向」「一方向での拭き取り」「汚染度の高いところを最後に清掃」するといった基本を示し、「トイレ、洗面所、汚染場所用と居室用のモップは区別して使用、保管」することで、清掃用具による二次汚染を防ぐ視点を示している。
【流行期編】ノロ疑いは「次亜塩素酸」+「水拭き」
冬場など感染性胃腸炎が流行している時期や、実際に嘔吐があった場合は、アルコールでは効果が不十分です。「次亜塩素酸ナトリウム」に切り替えましょう。
- 薬剤の準備:0.02%(200ppm) 〜 0.1%(1000ppm)に希釈した次亜塩素酸ナトリウム液を用意します。
- 清拭:液を含ませた布で、テーブルを拭きます。
- 水拭き:最後に必ず「水拭き」で仕上げます。
次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させたり、テーブルの材質を傷めたりする性質があるため、消毒成分を残さないよう水拭きが必要です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
本手引きの「清掃・消毒・滅菌等」では、①定期清掃として「床、壁、ドア等は水拭きしますが、多くの人の手が触れるドアノブ、手すり、ボタン、スイッチ等」は状況に応じて消毒用エタノール等で消毒することが望ましいと説明する。また、ノロウイルス感染症発生時には「0.02%~0.1%(200ppm~1000ppm)の次亜塩素酸ナトリウム液」を用い、腐食を防ぐため消毒後に水拭きするなど、「流行している感染症によっては、その病原体に応じた清掃や消毒」を行う必要があると示している。
【NG行動】やりがちな「スプレー噴霧」と「濡れたまま消毒」

良かれと思ってやっているその行動が、実は感染リスクを高めているかもしれません。以下の2点は特に注意が必要です。
NG① テーブルに直接スプレーを噴射する
「シュッ」と吹きかけてから拭くのは、一見効率的に見えますが、推奨されていません。ウイルスが舞い上がるだけでなく、吸い込むと健康被害につながる恐れがあります。必ず「布やペーパーに含ませてから」拭きましょう。
NG② 濡れたままの台拭きにアルコールをつける
水拭きした直後の濡れた雑巾にアルコールスプレーをかけて拭いていませんか? これでは水分でアルコールが薄まってしまい、消毒に必要な濃度を維持できません。アルコールを使う際は、乾いた布やペーパータオルを使用するか、テーブルの水気を拭き取ってから行いましょう。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
嘔吐があった場合、本手引きは「周囲 2m くらいは汚染していると考えて」対応するよう求めている。まず濡れたペーパータオルや布等を嘔吐物にかぶせて拡散を防ぎ、「外側から内側に向けて静かに拭き取」り、一度拭いたペーパータオルはその都度廃棄する。最終的に「次亜塩素酸ナトリウム液(0.02%)」で浸すように拭き取り、その後に水拭きを行う。また「希釈液をスプレーで吹きかけると…感染の機会を増やしてしまうため、噴霧はしないようにします」とし、噴霧による処理を避けるよう注意喚起している。
厚生労働省
高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
付録5では、速乾性手指消毒薬を用いる「擦式法(ラビング法)」について、「手が汚れているときには無効であることに注意します」と明確に指摘し、可視的な汚れがある場合には「スクラブ法を使用します」としている。つまり、嘔吐物や便が付着した場面では、いきなりアルコールでこするのではなく、まず石けんと流水での洗浄(スクラブ法)を行い、その上で状況に応じてラビング法を使うという、手指衛生の基本的な切り分けを示している。
ここまでで、正しい手順とNG行動について解説しました。次は、「なぜそこまでする必要があるのか?」という疑問に答えるため、その理由を医学的な根拠に基づいて解説します。
「なぜ?」を知れば、ケアの質が変わる
マニュアルに書いてあるからやる、言われたからやる。忙しい現場ではそうなってしまいがちですが、理由を知ることで「ここは手を抜いてはいけない」という判断が自分でできるようになります。ここでは、なぜテーブル消毒において手順や薬剤の使い分けが重要なのか、その医学的・科学的な根拠を解説します。
なぜ「水拭き」だけでは不十分なのか?
「見た目がきれいになればいい」と思いがちですが、テーブルは多くの人の手が触れる「高頻度接触面」です。
厚生労働省の手引きでは、床や壁などは水拭きで良いとされていますが、ドアノブ、手すり、ボタン、スイッチなど多くの人の手が触れる場所は、状況や場所に応じて消毒用エタノール等で消毒することが望ましいとされています。水拭きだけではウイルスや細菌を完全に取り除くことができず、雑巾の状態によっては逆に汚れや菌を塗り広げてしまうリスクがあるため、仕上げの消毒が必要なのです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
清掃・環境消毒について手引きは、「床、壁、ドア等は水拭きしますが、多くの人の手が触れるドアノブ、手すり、ボタン、スイッチ等は、状況や場所に応じての消毒(消毒用エタノール等でよい)が望ましいです」とし、高頻度接触面での「消毒用エタノール」の活用を勧める。一方、「ノロウイルス感染症発生時は 0.02%~0.1%(200ppm~1000ppm)の次亜塩素酸ナトリウム液を使用し、消毒後の腐食を回避するため水拭きする等」と記載し、病原体によって「その病原体に応じた清掃や消毒」を切り替えることが必要と示す。つまり日常はアルコール中心、ノロ流行時などは次亜塩素酸ナトリウムを使い分ける施設内の環境管理が求められている。
なぜノロウイルスには「次亜塩素酸」なのか?
「アルコール消毒をしておけば何でも効く」というのは誤解です。
ウイルスには、アルコールが効きやすいタイプ(インフルエンザやコロナなど)と、効きにくいタイプがいます。ノロウイルスは非常に強い抵抗力を持っており、アルコール消毒では十分な効果が得られません。そのため、より強力な酸化作用を持つ「次亜塩素酸ナトリウム」を用いる必要があります。病原体の種類に合わせて「武器」を持ち替える必要があるのです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
本手引きは、消毒薬の選択について「ノロウイルスに対しては、アルコール消毒では十分な効果が得られないため、次亜塩素酸ナトリウム等を用いる必要があります」と明記し、病原体ごとに適切な薬剤を選ぶ必要性を示している。また「消毒薬の効果に影響する3要素として、『濃度』『温度』『時間』が重要です」と述べ、適正濃度・20℃以上の温度・一定の接触時間(作用時間)を守ることを求める。さらに、消毒薬の噴霧は3要素を満たさず「吸引すると有害であるため、行わないでください」とし、噴霧ではなく拭き取りでの消毒を徹底する立場を示している。
なぜ「スプレー噴霧」はいけないのか?
空間やテーブルに直接スプレーを吹きかける行為は、感染対策として適切ではありません。
厚生労働省のマニュアルでは、消毒薬の噴霧は「吸引すると有害であるため、行わないでください」とはっきり禁止されています。また、消毒液が霧状になって漂うことでウイルスを舞い上がらせてしまうリスクや、消毒液が均一にかからず効果にムラが出る(不確実な効果)というデメリットがあります。必ず「布に含ませて拭く(清拭)」を徹底しましょう。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
本マニュアルの「その他の注意事項」では、広範囲の拭き掃除へのアルコール製剤の使用とは別に、「室内環境でのアルコールや次亜塩素酸ナトリウム液等の噴霧は、職員および入所者の健康被害につながるため、行わないようにします」と明確に禁止している。また、カーテンについては、汚れや埃、あるいは嘔吐物や排泄物の汚染が予測される場合には「直ちに交換」し、感染予防に努めるよう求めており、環境整備の具体的な注意点が示されている。
理由がわかると、「なぜあの先輩はこうしていたのか」「なぜマニュアルが変わったのか」が納得できるはずです。正しい知識は、あなた自身と利用者様を守るための確かな根拠となります。次は、現場でよくある細かい疑問にお答えするQ&Aです。
現場の疑問を解決!よくある質問 Q&A

テーブル消毒の基本は分かっていても、実際の現場では「洗剤がない時は?」「この素材には使えるの?」といった細かい疑問が出てくるものです。ここでは、現場の介護職員からよく寄せられる質問に対し、ガイドラインに基づいた回答をまとめました。
- Q家庭用の漂白剤(ハイター等)で消毒液を作れますか?
- A
可能です。ペットボトルを使って簡単に作ることができます。
市販の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム濃度約5〜6%のもの)を使用する場合、用途に合わせて希釈(薄める)する必要があります。厚生労働省のマニュアルでは、500mlのペットボトルを使った以下の作成方法が紹介されています。
- 0.02%(200ppm):日常の消毒や、トイレのドアノブ・手すり等
- 作り方:500mlのペットボトルの水 + ペットボトルのキャップ半分弱(約2ml)
- 0.1%(1000ppm):嘔吐物や便で汚染された場所の処理
- 作り方:500mlのペットボトルの水 + ペットボトルのキャップ約2杯(約10ml)
誤飲を防ぐため、作成したボトルには必ず「消毒液」「飲めない」と明記し、子どもの手の届かない場所に保管してください。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版(付録5:消毒法について)
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
「⑥市販の漂白剤を用いた時の調製法」では、「漂白剤として市販されている次亜塩素酸ナトリウム液の塩素濃度は約 5%です」と説明したうえで、「トイレの便座やドアノブ、 手すり、床等」に用いる濃度として「200ppm(0.02%)」が例示されています。ペットボトルやキャップを使った具体的な希釈方法も示されており、家庭用漂白剤を使って介護施設の手すり・ドアノブ・床を適切な濃度で消毒する際の実践的な手がかりとなります。
- 0.02%(200ppm):日常の消毒や、トイレのドアノブ・手すり等
- Q作った次亜塩素酸ナトリウム液はいつまで使えますか?
- A
効果が薄れるため、「その日のうちに」使い切ってください。
次亜塩素酸ナトリウムは、水で薄めると時間の経過とともに成分が分解され、消毒効果が低下していきます。また、光(紫外線)によっても分解が進みます。
- 作り置きはせず、毎日新しく作る
- 保管する場合は、直射日光を避ける
このルールを徹底し、前日の残りを使うことは避けてください。
出典元の要点(要約)
一般社団法人 日本環境感染学会
高齢者介護施設における感染対策 第1版
https://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/koreisyakaigoshisetsu_kansentaisaku.pdf
本資料は「環境・器材消毒(Q9,14)」として、新型コロナウイルスが環境でしばらく生存することから、アルコールもしくは次亜塩素酸ナトリウムで「ドアの取っ手やノブ、ベッド柵など共有部分」などよく触れられる場所を消毒することが有効であると述べている。市販の家庭用塩素系漂白剤が6%程度とした場合の「500ppmの次亜塩素酸ナトリウム液」の調製方法が示され、「調整した次亜塩素酸溶液は 1 日で使い切るようにしてください」と明記されており、希釈液の作り方と使用期限が具体的に示されている。
- Q金属製のテーブルや手すりに次亜塩素酸を使ってもいいですか?
- A
使えますが、サビの原因になるため必ず「水拭き」をしてください。
次亜塩素酸ナトリウムには金属を腐食させる(サビさせる)性質があります。スチール製の脚を持つテーブルや、ベッド柵などに使用した場合は、消毒後に成分が残らないよう、仕上げの水拭きを丁寧に行ってください。
また、布製品(カーテンや衣服)に付着すると脱色(漂白)されるため、使用の際は飛び散らないよう注意が必要です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
本手引きの「清掃・消毒・滅菌等」では、①定期清掃として「床、壁、ドア等は水拭きしますが、多くの人の手が触れるドアノブ、手すり、ボタン、スイッチ等」は状況に応じて消毒用エタノール等で消毒することが望ましいと説明する。また、ノロウイルス感染症発生時には「0.02%~0.1%(200ppm~1000ppm)の次亜塩素酸ナトリウム液」を用い、腐食を防ぐため消毒後に水拭きするなど、「流行している感染症によっては、その病原体に応じた清掃や消毒」を行う必要があると示している。
正しい濃度と使用期限を守ることで、消毒液は初めてその効果を発揮します。「なんとなく」で作るのではなく、基準を守って運用することが、施設全体の安全につながります。最後に、今回の記事のポイントをまとめます。
まとめ:正しい消毒で、食卓の「安全」と「笑顔」を守る
毎日のテーブル拭きは、単なる後片付けではありません。感染の連鎖を断ち切り、利用者様の命を守るための立派なケアの一つです。最後に、今回の記事のポイントを振り返りましょう。
今日からできる!食卓を守る3つのポイント
忙しい業務の中でも、以下の3点だけは意識して実践してみてください。
- まずは「洗浄」:いきなり消毒せず、水拭きで汚れを落とし、乾燥させます。
- 「使い分け」の徹底:日常はアルコール、ノロ疑いは次亜塩素酸ナトリウムを使用します。
- 「一方向」に拭く:往復拭きやスプレー噴霧は避け、一方向に拭き上げます。
これらを徹底することで、消毒薬の効果を最大限に引き出し、感染リスクを大幅に下げることができます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
施設内の衛生管理では、まず施設内の環境の清潔を保つことが重要ですとされ、日常的な整理整頓と清掃の意義が示される。そのうえで、消毒薬による消毒よりも目に見える埃や汚れを除去し、居心地の良い、住みやすい環境づくりを優先しますと述べられ、過度な消毒よりも「きれいに保つこと」が基本とされている。また、手洗い場やうがい場、汚物処理室といった感染対策に必要な施設や設備を入所者や職員が利用しやすい形態で整備することが大切ですとされ、職員が感染対策を実行しやすい環境設計の重要性が示される。
迷ったら「標準予防策」が道しるべ
もし現場で判断に迷うことがあったら、「汗以外の湿ったものはすべて感染源」という標準予防策(スタンダード・プリコーション)の原則を思い出してください。
食後のテーブルには、目には見えなくても唾液(飛沫)が付着している可能性があります。「汚れているかもしれない」という前提に立ち、適切な手順でリセットすることが、あなた自身と利用者様を守る最強の盾となります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き 第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001155694.pdf
手引きは、介護現場での基本として「標準予防策(Standard Precautions、スタンダード・プリコーション)」を解説し、「血液、体液、汗を除く分泌物、排泄物、損傷した皮膚、粘膜等の湿性生体物質」はすべて感染の可能性があるとみなすとする。「血液等の体液・嘔吐物・糞便等には感染性の病原体が含まれていることが多く」ケア時には手袋・マスク・ゴーグル等の適切な個人防護具の使用と「手袋を外した後は手洗いを丁寧に行うこと」が基本であると繰り返し強調する。特に介護分野では、「嘔吐物、排泄物の処理や発疹や傷のある皮膚に触る際に注意が必要」とし、日常ケアそのものが感染予防の重要な場面であることを示している。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。 感染対策に「終わり」はありませんが、正しい知識があれば「迷い」はなくせます。この記事が、日々現場で奮闘されている皆様の不安を少しでも解消し、明日からの安心な食卓づくりのお役に立てれば幸いです。
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更新履歴
- 2025年11月24日:新規投稿


