介護現場では、ICTやセンサー、介護ロボットを使うことに、どこか後ろめたさを感じる場面があります。汗をかいて動くほど誠実、手で細かく記録するほど丁寧。そんな空気があると、機械を使うことが冷たく見えないか不安になります。
けれど、現場が本当に警戒しているのは、機械そのものではないことも多いです。記録が早く終わった分だけ別業務が足される、センサー通知が増えても対応する人の設計が見えない。そうなると、便利な道具が現場をさらに働かせる道具に見えてしまいます。
この記事では、テクノロジーを使うかどうかより、生まれた余裕を誰に返すかを整理します。全部を一度に変える必要はありません。まずは、道具の目的と、浮いた時間の戻し先を確認するところから始めます。
この記事を読むと分かること
- 罪悪感の正体
- 余裕の戻し方
- 目的の決め方
- 通知後の設計
- 明日の確認項目
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
介護士がテクノロジーに頼る罪悪感は、手抜きではなく余裕の設計で考える

テクノロジーは冷たいケアではなく、人が関わる時間と体力を残すための道具です。
現場では、見守りセンサーや記録ICTを使っただけで「利用者を機械任せにしているのでは」と迷うことがあります。けれど、罪悪感だけで人力に戻すと、記録、巡視、移乗、申し送りの負担が職員に集中しやすくなります。この記事を読むと、道具を使うことを手抜きではなく、余裕を現場と利用者に返す設計として考えられます。
こうした場面では、機械を「介護士の代わり」と説明しないことが大切です。記録ICTは記録負担を見直すために、センサーは見えない時間の確認を補うために、移乗支援機器は身体への過度な負担を見直すために使う道具として説明できます。大事なのは、導入後に浮いた時間を別業務で埋めきらず、人が関わるべき場面へ戻す約束を先に作ることです。
テクノロジーは介護の価値を高める手段にする
現場では、効率化という言葉だけが先に出ると「早く終わらせる話」に聞こえます。この項目では、テクノロジーの目的を介護の価値から考えます。
採用エビデンスでは、介護サービスの生産性向上を「介護の価値を高めること」と説明し、人材育成、チームケアの質、情報共有の効率化と結びつけています。つまり、道具を入れる目的は、人の関わりを薄くすることではありません。現場で迷いやすいのは、目的が「便利だから」で止まるときです。何を楽にするかより、楽になった分で何を守るかを先に言葉にします。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
本ガイ ドラインでは、 「一人でも多く の利用者に質の 高いケアを届ける」 という介護現場の価値を重視し、 介護サービスの生産性向上を 「介護の価値を高める こ と」 と定義し ています。 本事業における介護の仕事 の価値を高める取組は、 人材育成とチームケアの質 の向上、 そし て情報共有の効率化です。 この3つを生 産性向上に取り組む意義と し、 介護サービスの質の 向上と人材定着 ・ 確保を目指します。
浮いた時間を利用者・休憩・教育へ戻す
記録が早く終わった直後に、別の委員会や雑務を頼まれることがあります。その経験が重なると、職員は効率化を歓迎しにくくなります。
職場環境改善・生産性向上の資料では、テクノロジー活用などで業務改善を進め、業務負担の軽減や、生み出した時間を直接的な介護ケア、利用者と職員が接する時間、残業削減、休暇取得、教育・研修機会へ充てる方向性が示されています。だから、導入前に「浮いた時間は何へ戻すか」を決めます。余裕を別業務で埋めないことが、現場の信頼につながります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営改善支援等
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001586129.pdf
テクノロジーの活用や、いわゆる介護助手等への業務のタスクシフト/シェアを図ることで、業務の改善や効率化等を進めること、それにより、職員の業務負担の軽減を図るとともに、業務の改善や効率化により生み出した時間を直接的な介護ケアの業務に充て、利用者と職員が接する時間を増やすとともに、職員の残業削減や休暇の確実な取得、教育・研修機会の付与など職員への投資を充実すること
人力で抱え込む前にムリ・ムダ・ムラを見える化する
リフトや移乗支援機器を使うと「人の手でやった方が温かい」と言われる場面があります。けれど、身体への負担を気合いだけで抱えると、現場の余裕は削られます。
ガイドラインでは、3Mのうち「ムリ」を設備や人材の心身への過度の負担として示し、移乗や記録の転記などを例に挙げています。ここで必要なのは、職員の我慢を美徳にすることではありません。人力で続けるべき場面と、道具で支えるべき場面を分け、身体を削る働き方を当たり前にしないことです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
ムリ 設備や人材の心身への過度の負担 ? キャリアの浅い職 員がいきなり一 人で夜勤になる 体重80kgの男性利用者のポータ ブル移乗を女性の介護職員1人で 対応する バイ タ ルなどの記録を何度も転記 している 利用者を自宅に送った後、 忘れ物に 気 づ き 、も う 一 度 自 宅 に 届 け る 介護記録の研修もなく、 記載の仕方 が職員によってマチマチで正確に情 報共有がなされない 手順通りに作業する職員と自己流で 作業する職員、 状態に応じて介助す る職員がいる 曜日によっ て、 夕食の食事介助の介 護スタ ッ フ数がばらつき、 食事対応 に差が生じる 省力化できる業 務
導入後の役割と運用状況を決めておく
センサーが鳴っても、食事介助中や排泄介助中で動けないことがあります。あとで「なぜ行かなかったのか」と言われる不安があると、機械そのものが怖くなります。
ガイドラインの課題把握項目には、ICT機器や介護ロボットの活用を継続的に推進する研修、業務量と稼働状況を踏まえた人員配置、ICTツール導入・運用時の責任者や担当者、運用状況のモニタリングが含まれています。機械を置くだけでは不十分です。誰が見るか、誰が動くか、運用を誰が確認するかまで決めておきます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
職員の業務改善活動(ICT機器・ロボットの活用等)を継続的に推進するため に、施設・事業所内の職員向け研修の年間計画に盛り込み、計画通りに実施し ているか 8 施設・事業所内の業務量と職員の稼働状況を把握した上で、適切な人員配 置・シフトを検討しているか 9 職員が休憩を十分確保することや、職員の残業時間を低減することを意識した マネジメントをしているか 10 職員のシフト作成に時間をかけない対策(自動作成ソフトの活用など)を実施 しているか 11 送迎ルート・訪問ルートの作成に時間をかけない対策(自動ソフトの活用など) があるか 12 施設・事業所内が常に整理整頓されているか 13 施設・事業所内で物品管理を徹底する仕組みがあるか 14 施設・事業所内のサービス提供に必要な記録(利用者の基本情報、過去の サービス提供状況など)を一元化し、共有されているか 15 施設・事業所内のサービスの提供状況に関する記録間の転記を必要最小限に しているか 16 施設・事業所内のサービス提供に必要な記録(利用者の基本情報、過去の サービス提供状況など)を電子化しているか 17 職員が他のスタッフを探すことに時間をかけない対策(職員の配置の見える 化・インカムの活用など)を行っているか 18 訪問の際に、利用者の情報(基本情報・サービス提供記録など)を閲覧できる 仕組み(タブレット型端末の活用など)があるか 19 外部の事業所・機関(居宅介護支援事業所・他介護サービス事業所等)と利用 者に関する情報共有をスムーズにするための仕組み(システムの活用・様式の 共有など)があり、有効に活用しているか 20 医療機関と利用者に関する情報共有をスムーズにするための仕組み(システム の活用・様式の共有など)があり、有効に活用できているか 21 介護ソフト以外のICT機器(インカムなど)・介護ロボットを導入しているか 22 ICTツールの導入・運用にあたり、責任者・担当者を設置し、運用状況のモニタ リングの仕組みを整備しているか
テクノロジーに頼ることを、手抜きと決めつける必要はありません。目的、余裕の戻し先、通知後の役割を決めることで、人が関わる場面に力を残せます。
介護ICTが手抜きに見えるよくある事例

現場では、ICTやセンサーの導入が始まると「また仕事が増えるだけでは」と身構えることがあります。機械を嫌っているのではなく、機械で生まれた余裕が現場に戻るのかが見えないことに疲れているのです。
たとえば、記録が早くなったのに確認欄が増える、センサー通知が増えたのに対応者が決まっていない、移乗支援機器を使うと冷たいと言われる。こうした場面では、道具の善し悪しだけでなく、導入後の仕事の流れを見直す必要があります。
記録ICTで早く終わったら別業務が足される
手書き記録や転記が減ると、現場は本来ほっとしたいところです。ところが、早く終わった分だけ別業務を足されると、職員は「効率化しても楽にならない」と感じます。ここでは、短縮した時間を何に戻すかを先に決めます。
状況としては、記録ICTで入力や転記の手間を減らそうとしています。困りごとは、早く終わったことが余裕ではなく追加業務の根拠にされることです。よくある誤解は、記録時間が短くなれば現場にはまだ余力があると見ることです。押さえるべき視点は、記録の効率化で生まれた時間を、確認、申し送り、利用者との関わりへ戻すことです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
訪問先での記録業務が多く、ヘルパーの負担となっていた。 手書きで記録した内容を、事業所に戻り書類に転記する必要があり、二重の作業が発生していた。
見守りセンサーの通知後に動く人が決まっていない
夜勤中に通知が重なると、どちらへ先に行くか迷うことがあります。トイレ介助中や食事介助中なら、通知が見えていてもすぐ動けない場面があります。ここでは、通知そのものより通知後の動線を決めます。
状況としては、見守りセンサーなどのICT機器が現場に入っています。困りごとは、通知後に誰が確認し、同時発生時にどう優先するかが曖昧なことです。よくある誤解は、センサーを入れれば対応も自動で整うと考えることです。押さえるべき視点は、責任者、担当者、運用状況の確認方法を決め、個人だけに判断を背負わせないことです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
ICT機器等 ・介護ロボットの導入状況について、サービス系型別に 「日常的に利用している」機器 の種類をみると、 「利用者情報(ケア記録・ケアプラン等)の入力・保存・転記の機能」が全体で75.4% となるなど、パソコンによる介護ソフトは、各サービス系型で多く利用されている。 訪問系ではタブレット端末・スマートフォンの活用の割合が高く、施設系、居住系ではセンサー等の ICT機器や介護ロボットの利用割合が相対的に高くなっている。
移乗支援機器を使うと冷たいと言われる
移乗で機器を使うと、「手で支えた方が温かい」と言われることがあります。職員も、機械に任せているように見えないか迷います。ここでは、温かさと身体への負担を対立させない見方が必要です。
状況としては、身体への負担が大きい介助を人力で続けるか、機器で支えるかを迷っています。困りごとは、機器を使う判断が「楽をしている」と受け取られやすいことです。よくある誤解は、身体を削るほど誠実なケアだと見ることです。押さえるべき視点は、人が声をかけ、状態を見て、安全に関わる力を残すために道具を使うことです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
令和6年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_roudousya_honpen1.pdf
労働条件・仕事の負担についての悩み・不安・不満等〔労働者調査・問 20①〕 労働条件・仕事の負担についての悩み・不安・不満等については、 「人手が足りない」が最も高く(49.1%) 、 次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」 (35.3%) 、 「身体的負担が大きい」 (24.6%)となっている。
ICTが苦手な職員だけ責められる
新しい入力画面や端末操作が入ると、得意な職員と苦手な職員の差が出ます。そこで苦手な人だけを責めると、ICTは助けではなく負担になります。ここでは、個人の努力より使える手順を整えます。
状況としては、介護記録ソフトや端末操作に慣れない職員がいます。困りごとは、説明や練習が足りないまま、入力の遅さが本人の問題にされることです。よくある誤解は、導入すれば全員が自然に使えると考えることです。押さえるべき視点は、メリットを周知し、使い方を丁寧に説明し、継続できる形にすることです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
介護記録ソフトの導入前に、記録業務をソ フトに置き換えるメリットをヘルパーに十 分に周知した。 • 介護記録ソフトの導入当初には、タブレッ ト型端末での記録作成に慣れないヘルパー もいたが、管理者が各ヘルパーに対して、 使用方法の説明を丁寧に実施したことで、 使用を継続できた。 • 音声入力により、どの程度入力時間が削減 されたのかを、ヘルパーに周知をすること で、音声入力を促進することができた。
よくある不信感は、機械への拒否だけではありません。記録、通知、移乗、操作のあとに現場へ何が戻るのかを設計することが大切です。
なぜ介護士はテクノロジーに罪悪感を持つのか

現場では、便利になるはずの道具を前にしても、すぐには喜べないことがあります。楽になりたい気持ちと、楽をしていると思われたくない気持ちが同時に出てくるからです。
この背景には、目的の曖昧さ、余裕の使い道の不明確さ、役割設計の不足が関係します。ここでは、テクノロジーへの罪悪感が起きやすい理由を整理します。
記録ICT、センサー、インカム、移乗支援機器は、それぞれ単体で現場を救うものではありません。使う前に目的をそろえ、使った後に誰がどう動くかを決めて初めて、現場の味方になります。迷いを個人の弱さにせず、仕組みの不足として見直すことが出発点です。
手段が目的にすり替わると冷たく見えるから
機器導入の説明が「効率化します」だけだと、現場は利用者との関わりが減るように感じます。そこで立ち止まり、何のための効率化かを言葉にします。
なぜ起きるのかは、道具の導入そのものが目的に見えるからです。建前では、介護の質や働きやすさのために使うはずです。現実には、早く終わらせることだけが強調されると、温かさを削る話に聞こえます。そのズレが、機械を使う罪悪感を生みます。押さえるべき視点は、介護の価値を高めるための手段として、目的を先に共有することです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
本ガイ ドラインでは、 「一人でも多く の利用者に質の 高いケアを届ける」 という介護現場の価値を重視し、 介護サービスの生産性向上を 「介護の価値を高める こ と」 と定義し ています。 本事業における介護の仕事 の価値を高める取組は、 人材育成とチームケアの質 の向上、 そし て情報共有の効率化です。 この3つを生 産性向上に取り組む意義と し、 介護サービスの質の 向上と人材定着 ・ 確保を目指します。
浮いた時間が現場に戻らない不安があるから
記録が早く終わったあとに、別業務が当然のように入ることがあります。こうした経験があると、職員は効率化を「さらに働かされる合図」と受け止めやすくなります。
なぜ起きるのかは、浮いた時間の戻し先が決まっていないからです。建前では、業務改善で負担が軽くなるはずです。現実には、時間が空いた瞬間に雑務や委員会で埋まると、現場の余裕は残りません。そのズレが、テクノロジー不信になります。押さえるべき視点は、直接ケア、利用者と接する時間、休憩、教育・研修へ戻す約束を明文化することです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営改善支援等
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001586129.pdf
テクノロジーの活用や、いわゆる介護助手等への業務のタスクシフト/シェアを図ることで、業務の改善や効率化等を進めること、それにより、職員の業務負担の軽減を図るとともに、業務の改善や効率化により生み出した時間を直接的な介護ケアの業務に充て、利用者と職員が接する時間を増やすとともに、職員の残業削減や休暇の確実な取得、教育・研修機会の付与など職員への投資を充実すること
通知後の役割が曖昧だと個人責任に見えるから
センサー通知やインカム連絡が増えても、誰が確認するか決まっていなければ、現場は追われます。同時に複数の対応が重なると、判断は一人に寄りやすくなります。
なぜ起きるのかは、道具を入れた後の動きが設計されていないからです。建前では、情報共有が早くなります。現実には、共有すべき情報、対面で扱う情報、全体に流す情報、個別に話す情報の区分が曖昧だと、連絡が増えるだけになります。そのズレが、事故後に誰か一人が責められる不安につながります。押さえるべき視点は、使用場面、用語、手順、管理を含む運用ルールを決めることです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
情報共有手段としてインカムが事業所に準備されていたが、 その運用ルールや手順がなく、活用しきれていなかった。 課題 ❶インカムの運用前に、「インカム」と「対面」による引継ぎの違 いについてミーティングを行い、意識合わせを行う。 ❷まず、情報共有方法として、「インカムで共有すべき情報」、 「対面で共有すべき情報」を整理する。 ❸次に、インカムで共有すべき情報については、「全体」に同時に 流す情報と「個別」に特定者と話す情報の区分を行う。 ❹インカムを使用するための手順書を作成し、管理を含む運用 ルールを定め、職員に周知し徹底を図る。
使えない職員を個人責任にしやすいから
端末入力が苦手な職員に「慣れてください」だけで済ませると、現場の空気は重くなります。できる人に記録や確認が偏ると、テクノロジーは負担の偏りを広げます。
なぜ起きるのかは、操作方法や運用手順が標準化されないまま導入されるからです。建前では、ICTで記録や情報共有が楽になります。現実には、説明、練習、運用ルールが不足すると、苦手な職員だけが遅れて見えます。そのズレが、罪悪感や抵抗感になります。押さえるべき視点は、以下を個人任せにしないことです。
| 確認すること | 現場で整える内容 |
|---|---|
| 目的 | 何の負担を減らすために使うか |
| 手順 | 誰でも同じ動きができる入力・確認方法 |
| 運用 | 責任者、担当者、モニタリングの方法 |
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
職員の業務改善活動(ICT機器・ロボットの活用等)を継続的に推進するため に、施設・事業所内の職員向け研修の年間計画に盛り込み、計画通りに実施し ているか 8 施設・事業所内の業務量と職員の稼働状況を把握した上で、適切な人員配 置・シフトを検討しているか 9 職員が休憩を十分確保することや、職員の残業時間を低減することを意識した マネジメントをしているか 10 職員のシフト作成に時間をかけない対策(自動作成ソフトの活用など)を実施 しているか 11 送迎ルート・訪問ルートの作成に時間をかけない対策(自動ソフトの活用など) があるか 12 施設・事業所内が常に整理整頓されているか 13 施設・事業所内で物品管理を徹底する仕組みがあるか 14 施設・事業所内のサービス提供に必要な記録(利用者の基本情報、過去の サービス提供状況など)を一元化し、共有されているか 15 施設・事業所内のサービスの提供状況に関する記録間の転記を必要最小限に しているか 16 施設・事業所内のサービス提供に必要な記録(利用者の基本情報、過去の サービス提供状況など)を電子化しているか 17 職員が他のスタッフを探すことに時間をかけない対策(職員の配置の見える 化・インカムの活用など)を行っているか 18 訪問の際に、利用者の情報(基本情報・サービス提供記録など)を閲覧できる 仕組み(タブレット型端末の活用など)があるか 19 外部の事業所・機関(居宅介護支援事業所・他介護サービス事業所等)と利用 者に関する情報共有をスムーズにするための仕組み(システムの活用・様式の 共有など)があり、有効に活用しているか 20 医療機関と利用者に関する情報共有をスムーズにするための仕組み(システム の活用・様式の共有など)があり、有効に活用できているか 21 介護ソフト以外のICT機器(インカムなど)・介護ロボットを導入しているか 22 ICTツールの導入・運用にあたり、責任者・担当者を設置し、運用状況のモニタ リングの仕組みを整備しているか
罪悪感は、職員の意識が低いから起きるとは限りません。目的、時間の戻し先、通知後の役割、操作支援が曖昧なときに起きやすい反応です。
介護テクノロジーへの罪悪感で迷いやすい質問
現場では、ICTやセンサーを使うたびに「これでよいのか」と迷うことがあります。ここでは、手抜きに見える不安を、採用エビデンスの範囲で整理します。
- QICTやセンサーを使うのは手抜きですか?
- A手抜きと決めつける必要はありません。採用エビデンスでは、生産性向上は介護の価値を高める取り組みとして示されています。現場で迷うときは、機械を人の代わりにするのではなく、利用者と関わる時間やケアの質を考える時間へ戻す道具として説明します。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
生産性向上の目的のとらえ方は様々あり、 例えば整 理整頓によ り物を探す時間を短縮し、 利用者とのコ ミュニケーションの充実やどう質を高めるか考える 時 間 を も つ こ と が 挙 げ ら れ ま す 。そ の よ う な と ら え 方 は 、利 用 者 に つ い て 新 し い 発 見 を し た り 、仕 事 の 意 義を再認識するなど、 自らの仕事へのやりがいや楽 しさを実感し、 モチベーションを向上させることにつ ながります。 また、 評価の観点は量的な効率化と質の向上に加 え、 職員間での負担の偏りを是正しつつ、 チームケア を通じてサービスを提供するという意識も重要です。 一般的な生産性向上のとらえ方 介護サービスにおける生産性向上のとらえ方 INPUT 単位投入量 OUTPUT 成果 PROCESS 過程 一般的に生産性向上は、 従業員及び労働時間数あたりの 付加価値額を設備投資や労働の効率化などによっ て
- Q記録ICTで早くなった時間は何に使うべきですか?
- A業務改善で生み出した時間は、直接的な介護ケア、利用者と職員が接する時間、残業削減、休暇取得、教育・研修機会などへ戻す考え方が示されています。早く終わったから別業務を足すのではなく、戻し先を先に決めることが大切です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営改善支援等
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001586129.pdf
テクノロジーの活用や、いわゆる介護助手等への業務のタスクシフト/シェアを図ることで、業務の改善や効率化等を進めること、それにより、職員の業務負担の軽減を図るとともに、業務の改善や効率化により生み出した時間を直接的な介護ケアの業務に充て、利用者と職員が接する時間を増やすとともに、職員の残業削減や休暇の確実な取得、教育・研修機会の付与など職員への投資を充実すること
- Qセンサー通知に対応できない時が怖い場合はどう考えますか?
- A通知が出ることと、現場が動けることは別です。ICTツールの導入・運用では、責任者や担当者を置き、運用状況を確認する仕組みが求められます。個人の気合いにせず、誰が見て、同時対応時にどう動くかを職場内で確認します。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
職員の業務改善活動(ICT機器・ロボットの活用等)を継続的に推進するため に、施設・事業所内の職員向け研修の年間計画に盛り込み、計画通りに実施し ているか 8 施設・事業所内の業務量と職員の稼働状況を把握した上で、適切な人員配 置・シフトを検討しているか 9 職員が休憩を十分確保することや、職員の残業時間を低減することを意識した マネジメントをしているか 10 職員のシフト作成に時間をかけない対策(自動作成ソフトの活用など)を実施 しているか 11 送迎ルート・訪問ルートの作成に時間をかけない対策(自動ソフトの活用など) があるか 12 施設・事業所内が常に整理整頓されているか 13 施設・事業所内で物品管理を徹底する仕組みがあるか 14 施設・事業所内のサービス提供に必要な記録(利用者の基本情報、過去の サービス提供状況など)を一元化し、共有されているか 15 施設・事業所内のサービスの提供状況に関する記録間の転記を必要最小限に しているか 16 施設・事業所内のサービス提供に必要な記録(利用者の基本情報、過去の サービス提供状況など)を電子化しているか 17 職員が他のスタッフを探すことに時間をかけない対策(職員の配置の見える 化・インカムの活用など)を行っているか 18 訪問の際に、利用者の情報(基本情報・サービス提供記録など)を閲覧できる 仕組み(タブレット型端末の活用など)があるか 19 外部の事業所・機関(居宅介護支援事業所・他介護サービス事業所等)と利用 者に関する情報共有をスムーズにするための仕組み(システムの活用・様式の 共有など)があり、有効に活用しているか 20 医療機関と利用者に関する情報共有をスムーズにするための仕組み(システム の活用・様式の共有など)があり、有効に活用できているか 21 介護ソフト以外のICT機器(インカムなど)・介護ロボットを導入しているか 22 ICTツールの導入・運用にあたり、責任者・担当者を設置し、運用状況のモニタ リングの仕組みを整備しているか
- QICTが苦手な職員にはどう対応すればよいですか?
- A苦手な職員を責めるより、使うメリットの周知と操作説明を丁寧に行うことが先です。記録ソフトの事例では、導入前のメリット周知、導入当初の使用方法説明、入力時間削減の周知が示されています。誰でも続けられる形へ整えます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_kyotaku_Guide.pdf
介護記録ソフトの導入前に、記録業務をソ フトに置き換えるメリットをヘルパーに十 分に周知した。 • 介護記録ソフトの導入当初には、タブレッ ト型端末での記録作成に慣れないヘルパー もいたが、管理者が各ヘルパーに対して、 使用方法の説明を丁寧に実施したことで、 使用を継続できた。 • 音声入力により、どの程度入力時間が削減 されたのかを、ヘルパーに周知をすること で、音声入力を促進することができた。
迷ったときは、機械を使うかどうかだけで判断しないことです。目的、戻し先、役割、説明の4つを確認すると、罪悪感を個人で抱え込みにくくなります。
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テクノロジーに頼る罪悪感は、余裕を返す約束から軽くする
現場では、機械を使うことに抵抗がある一方で、人力だけでは記録、巡視、移乗、申し送りを抱えきれない場面があります。だからこそ、テクノロジーを使うかどうかだけで自分を責めないでください。
この記事で大事にしたいのは、機械で生まれた余裕を誰のために使うかです。利用者と話す時間に戻すのか、休憩を確保するのか、記録確認や教育に使うのか。ここを決めないまま導入すると、現場の不信感は残りやすくなります。
明日の一歩は、職場で一つだけ確認することです。「このICT・センサー・介護ロボットは何のために使い、浮いた時間を何に戻すのか」。この問いを共有するだけでも、手抜きかどうかではなく、余裕をどう守るかの話に変えられます。
最後までご覧いただきありがとうございます。
更新履歴
- 2026年1月2日:新規投稿
- 2026年5月10日:内容を全面的にリライト








