本当は利用者様のペースに合わせたいのに、業務に追われてつい「早くして」と急かしてしまう。
そんな理想と現実のギャップに、一人で自己嫌悪を抱えていませんか?
良かれと思って声をかけたのに「行かない!」と怒鳴られ、心が折れそうになることもありますよね。
全部は無理でも、ここだけ押さえれば楽になりやすい現実的な方法があります。
この記事を読むと分かること
- 拒否の原因の可能性だとわかる
- 言葉を使わない誘導技術がわかる
- 自尊心を守る距離感が身につく
- 終わらない押し問答から解放されやすい
一つでも当てはまったら、この記事が役に立つかもしれません
結論:説得をやめて「脳に伝わりやすい」ケアへ

現場では「理想のケア」と「現実」の板挟みになることもありますよね。
「ゆっくり待ちましょう」と言われても、実際の人員配置では一人に何十分もかけられないこともあるのが実情です。
だからこそ、無理に説得しようとしてお互いに疲弊するのをやめませんか。
言葉を減らして「脳の仕組み」に合わせるだけで、結果的に時間が短縮されやすく、精神的な負担も軽くなりやすいと考えられます。
「行かない」のは「やり方」がわからないから
トイレを拒否されると、つい「わがまま」だと思ってしまいますが、実は「どうすればいいか分からない」だけかもしれません。
アルツハイマー型認知症では、手順を遂行する機能が低下することがあります。
ズボンを下ろす、便座に座るといった一連の動作が分からなくなっている可能性があります。
本人も混乱の中で、必死に自分を守ろうとしているのかもしれません。
出典元の要点(要約)
日本神経学会認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf
Alzheimer型認知症は、脳内に神経原線維変化とアミロイド蓄積が起こることで神経細胞死やアセチルコリンの低下を招き、認知症を発症した状態を指します。典型的な症状は、緩徐に進行する出来事記憶の障害から始まり、次第に失語や遂行機能障害、視空間機能障害、人格変化などの社会的認知機能の低下へと進展します。
言葉よりも「動き」で伝える
言葉での説明が通じない時、言葉の意味が伝わりにくいことがあります。
そんな時は、言葉を捨てて「視覚」と「動作」に頼りましょう。
身振り手振りで示すだけでも伝わりやすいことがあります。
言葉で「座ってください」と繰り返すよりも、身振り手振りで示す方が、分かりやすい情報になりやすいと考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。
「自尊心」を守る距離感を保つ
失敗させたくない一心で、つい幼児語になったり、上から目線で指示したりしていませんか?
その「必死さ」が、相手の自尊心を傷つけていると受け取られることがあります。
言葉は通じなくても、相手は感情を感じ取ることがあります。
大人として敬意を払い、不快でない距離や目線の高さを意識する。
それだけで、頑なだった態度が和らぎたいと感じることがあります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。
言葉での説得は、混乱した脳には逆効果になることが多いとされています。まずは「言葉」を休み、「動作」や「距離感」を変えてみる。その小さな切り替えが、あなたの心の余裕を取り戻す第一歩になると考えられます。
現場でよくある「3つの拒否パターン」

「さっき行ったばかり」と嘘をつかれる。
トイレの前まで連れて行けたのに、そこからテコでも動かない。
忙しい夕方の時間帯にとくに、こうした押し問答が起きがちですよね。
これらは「わがまま」ではなく、脳の状態による「助けて」のサインかもしれません。
現場でよく遭遇する 3 つの場面について、脳の中で何が起きているのかを紐解いてみましょう。
1. トイレの前で「入室」を拒む
尿意や便意はあると考えられるのに、ドアの前まで来ると「ここは違う」「帰る」と言って入室を拒否されるケースです。
これは、目の前の空間や物体が何であるかを認識しづらい「視空間機能障害」が原因である可能性があります。
本人にとっては、そこがトイレだとは到底思えないのかもしれません。
言葉で「ここがトイレですよ」と説得するよりも、ドアを大きく開けて「中の便器を見せる」ことで、視覚的に認識してもらえることもあります。
出典元の要点(要約)
日本神経学会認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf
Alzheimer型認知症は、脳内に神経原線維変化とアミロイド蓄積が起こることで神経細胞死やアセチルコリンの低下を招き、認知症を発症した状態を指します。典型的な症状は、緩徐に進行する出来事記憶の障害から始まり、次第に失語や遂行機能障害、視空間機能障害、人格変化などの社会的認知機能の低下へと進展します。
2. 個室内で「棒立ち」になり動かない
トイレの中には入ってくれたものの、便器の前に立ったままキョトンとして動かなくなってしまうケースです。
「ズボンを脱いで」と指示しても反応がないため、介助しようと手を伸ばすと、強く払いのけられることもあります。
これは反抗しているのではなく、ズボンを下ろして座るという「動作の手順」が分からなくなる(遂行機能障害)状態の場合があります。
言葉による指示は混乱を招くことがあるので、身振り手振りで動作の見本を見せたり、ズボンに手を添えて最初の一動作をガイドしたりすることが有効な場合があります。
出典元の要点(要約)
日本神経学会認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf
Alzheimer型認知症は、脳内に神経原線維変化とアミロイド蓄積が起こることで神経細胞死やアセチルコリンの低下を招き、認知症を発症した状態を指します。典型的な症状は、緩徐に進行する出来事記憶の障害から始まり、次第に失語や遂行機能障害、視空間機能障害、人格変化などの社会的認知機能の低下へと進展します。
厚生労働省
認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。
3. 声をかけた瞬間に怒鳴られる
「そろそろトイレの時間ですよ」と優しく声をかけたはずなのに、「うるさい!」「子供扱いするな!」と激怒されるケースです。
排泄の失敗を防ぎたい一心での行動が、裏目に出てしまう辛い瞬間です。
これは、プライベートな行為に干渉される不快感や、無意識に出た指示的な口調によって「自尊心」が傷ついたと感じた反応かもしれません。
真正面から説得するのではなく、なじみの関係の中でさりげなく誘ったり、幼児語を使わずに敬意を持って接したりすることが、頑なな態度を解きほぐす鍵になり得ると考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。
「なぜやってくれないの?」というイライラも「脳の障害で手順がわからないんだ」「自尊心を守ろうとしているんだ」と理由がわかれば、冷静な分析に変わることがあります。その視点の転換が、あなたの心を少しだけ楽にしてくれるかもしれません。
なぜ「普通に話せる」のに失敗するのか
ご飯の話や昔話など、日常会話は普通にできる利用者様。
だからこそ「トイレの失敗」が理解できず、「なぜこれだけできないの?」と困惑してしまうことはありませんか。
「わざとやっているのでは」と疑ってしまう前に、少しだけ「脳の中で起きていること」を知ってください。
理由が分かれば、あなたの「イライラ」は「納得」に変わりやすくなるかもしれません。
「手順」を組み立てる機能が壊れていることがあるから
実は、トイレ動作はとても複雑な工程の連続です。
トイレまで歩き、ズボンを下ろし、下着を下ろし、便座に座る。
アルツハイマー型認知症では、この「段取り」を行う「遂行機能」が障害されていることがあります。
「やる気」がないのではなく、脳の司令塔が「次は何をすればいいか」というプログラムを再生しづらい状態と考えられます。
そのため、途中で動作が止まったり、ちぐはぐな行動をとったりすることがあります。
出典元の要点(要約)
日本神経学会認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf
Alzheimer型認知症は、脳内に神経原線維変化とアミロイド蓄積が起こることで神経細胞死やアセチルコリンの低下を招き、認知症を発症した状態を指します。典型的な症状は、緩徐に進行する出来事記憶の障害から始まり、次第に失語や遂行機能障害、視空間機能障害、人格変化などの社会的認知機能の低下へと進展します。
言葉の意味よりも「不快な感情」が先に届くことがある
認知症の方は、言葉の意味(意味記憶)を理解することが難しくても、相手の「感情」や「雰囲気」を感じ取りやすいことがあります。
スタッフの「急いでほしい」という焦りや、「何度言ったらわかるの」というイライラした口調は、言葉の内容以上に、強烈な「不快感」として相手に届くことがあります。
その不快感が「自分を守らなきゃ」という防衛本能を刺激し、結果として強い拒否や怒りにつながることがあります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。
厚生労働省
認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。
できないのは「サボり」負の「性格」でもなく、脳が手順を見失い、焦りの感情に怯えているからかもしれません。そう割り切ることで、アプローチを変える勇気が持てるかもしれません。
現場で迷ったときのQ&A
マニュアル通りにいかないのが、介護の現場ですよね。
「こんな時はどうすれば?」という迷いについて、エビデンスに基づいた考え方を整理しました。
- Q何度も説明しても、キョトンとされてしまいます。
- A説明を一旦やめて、身振り手振りを交えてみましょう。
言葉の意味が理解しづらくても、視覚情報であれば、伝わりやすい場合があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。
- Q親しみを込めて「ちゃん」付けや幼児語で話しかけています。
- A悪気はなくても、幼児語は相手の自尊心を傷つける原因になることがあります。
人生の先輩として敬意を持った言葉遣いをすることで、
自尊心を尊重することにもなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。
- Qどうしてもトイレに入ってくれない時は、無理に連れて行ってもいいですか?
- A無理強いは避け、一旦引き下がるのが賢明な場合があります。
不快な記憶が残ることもあります。
時間を置くか、別のスタッフに代わってもらうことも検討されることがあります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
認知症ケア法ー認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。
毎回 100 点満点の対応ができなくても大丈夫です。迷ったときは「自尊心を守れているか」という原点に戻ってみてください。それだけで、ケアの質は十分に保たれやすいと考えられます。
まとめ:「説得」をやめることが、利用者様とあなたを守る第一歩
明日の現場では、いつもの「トイレに行きましょう」という言葉を1回だけお休みして、代わりに「無言で手招きする」あるいは「便器を指し示す」ことから始めてみませんか。
「行かない」と言われたら、「この人は今、脳がエラーを起こして困っているんだな」と一瞬だけ考えてみてください。その視点が、あなたの心の負担を少しだけ軽くしてくれるかもしれません。
全部を完璧にやる必要はありません。まずは一つ、非言語の技術を試してみましょう。
最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。
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更新履歴
- 2026年3月24日:新規投稿







