【介護】施設で「家に帰りたい」と言われたら?認知症ケアと声かけ

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認知症の「家に帰りたい」への向き合い方

理想のケアを掲げても、人手不足の現場では一人ひとりに時間をかけるのは困難です。多忙な夕方に繰り返される「帰宅願望」に、つい強い言葉が出てしまうこともあるでしょう。

全てを完璧にこなすのは無理でも、自尊心を守る要点さえ押さえれば、不穏の連鎖は防げることがあります。無理のない範囲で、本人と自分を守るための「現実的な着地点」を探りましょう。

この記事を読むと分かること

  • 帰宅願望が起きる脳の仕組み
  • 自尊心を傷つけない声かけ術
  • 多忙な現場でもできる動作工夫
  • 不満の背景を探る評価視点

一つでも当てはまったら、この記事が役に立つ場合があります

  • 説得しても納得してもらえない
  • つい「赤ちゃん言葉」を使う
  • 夕方の不穏対応で疲弊している
  • 事故責任の重圧が辛い
  • 親を預けた自分を責めている

結論:認知症の「家に帰りたい」への対応と声かけ

現場では、「一人ひとりに寄り添うべき」という建前はわかっていても、実際の人員配置では難しいという葛藤がしばしばあります。夕方の忙しい時間に「家に帰りたい」と繰り返されると、つい説得したり、強い言葉で制止してしまったりするかもしれません。

しかし、力で抑え込もうとすると、かえって不穏な状態が長引いてしまいます。ここでは、限られた時間の中でも実践できる、本人を落ち着かせるための具体的なかかわり方を見ていきましょう。

価値観習慣を否定せず受け入れる

価値観や考え方、習慣を受容することが示されています。忙しいと「ここは施設ですよ」と事実を突きつけて納得させようとしがちですが、価値観や考え方、習慣を受容する姿勢が求められます。

意識する点本人の言葉を否定せず、これまでの生活習慣や考え方を受容する姿勢。
具体的な行動オウム返しで受け止める、気持ちを代弁する、本人のペースで相槌を打つ。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法―認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

幼児語を使わず自尊心を尊重する

認知機能が低下していても、自尊心を尊重することが示されています。幼児語を使わず自尊心を尊重することが大切です。

避けるべきこと「おじいちゃん」「〜でしゅね」といった幼児語の使用。
守るべきこと幼児語を使わず自尊心を尊重することが大切です。家族同席時も本人を置き去りにしない。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法―認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

目線の高さ表情に配慮して話しかける

言葉だけでなく、態度や姿勢も安心感を与える重要な要素です。不快でない距離や目線の高さに留意する必要があります。

動作の基本相手が認識しやすい立ち位置をとり、相手と同じ目線の高さになるようしゃがむ。
確認の視点不快でない距離を保り、相手の表情を確認しながらゆっくり話しかける。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法―認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意するといったポイントがある。

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現場で起きている「帰宅願望」の典型パターンと対応の視点

若い女性介護職員が笑顔で人差し指を立てている場面。ポイントの提示や注意喚起、ケアのコツを伝える導入カットとして使用できるイメージ。

よくある場面を振り返り、現場で陥りやすい誤解と、エビデンスに基づく本来の視点を整理しましょう。

夕方の忙しい時間帯に「家に帰る」と立ち上がって譲らない

状況・困りごと夕食準備中に荷物をまとめて玄関へ向かう。無理に制止すると不穏が悪化。
よくある誤解「さっき説明したのに、わざと困らせている」と職員が捉えてしまう。
本来の視点認知症では経験全体を忘れるとされる。
出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

生理的加齢によるもの忘れと認知症の違いについて,もの忘れの範囲は生理的加齢では「経験した出来事の一部を忘れる」のに対し,認知症では「経験したこと全体を忘れる」とされる。

面会に来た家族が帰る際、一緒に帰ると泣いてすがられる

状況・困りごと面会終了時に本人が泣き出し、家族が強い罪悪感や後ろめたさを抱く。
よくある誤解「施設ケアが悪いからだ」と家族や職員が自分たちを責めてしまう。
本来の視点施設はあくまで生活の場
出典元の要点(要約)

厚生労働省 老健局

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

介護施設等は、あくまで生活の場である。

施設から外に出ようとして、止めると暴言を吐かれる

状況・困りごと玄関を制止されると「帰せ!」と暴言。安全確保と権利尊重が衝突。
よくある誤解「認知症だから仕方ない」「問題行動だ」として背景を無視してしまう。
本来の視点高齢者本人の要因や環境要因等を考慮に入れながら考えることがアセスメントのポイント。
出典元の要点(要約)

厚生労働省 老健局

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

アセスメントのポイントは、認知症の高齢者がなぜ行動をとるのか、高齢者本人の要因や環境要因等を考慮に入れながら考えることである。

認知症では「経験したこと全体を忘れる」とされる。介護施設等は、あくまで生活の場である。高齢者本人の要因や環境要因等を考慮に入れながら考えることがアセスメントのポイントである。


なぜ「家に帰りたい」が起きるのか?構造的・心理的原因

介護施設の廊下で、若い女性介護職員が顎に手を当てて考え込んでいる様子。ケア方法の選択や家族対応、記録の書き方などについて思案している場面を想起させるイメージ。

根本的な原因を整理することで、その場しのぎではない、より効果的な対応のヒントが見えてきます。

脳の器質的障害:今いる場所がわからなくなる

建前(理想)「ここは安全な施設です」と正しく説明すれば納得してもらえるはずだ。
現実(現場)中核症状には見当識障害が含まれる。
根本原因中核症状には見当識障害が含まれる。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法―認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

中核症状には記憶障害、失語・失行・失認、実行機能障害、見当識障害が含まれる。

心理的要因:自尊心を傷つける対応

建前(理想)「おじいちゃん、帰りましょうね」と親しみを込めて寄り添っている。
現実(現場)幼児語を使わず自尊心を尊重することが示されています。
根本原因幼児語を使わず自尊心を尊重する。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法―認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

身体・環境要因:言葉にできない不快感

建前(理想)帰宅願望に対して、優しくなだめるなどの精神的ケアを重視する。
現実(現場)BPSD の評価からは症状緩和のための環境調整を行う。
根本原因BPSD の評価からは症状緩和のための環境調整を行う。
出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

神経心理学的検査から心理学的症候を捉え,身体機能評価からは転倒リスクを把握し,BPSD の評価からは症状緩和のための環境調整を行う。

中核症状には見当識障害が含まれ、BPSD の評価からは症状緩和のための環境調整を行う。


「帰宅願望」に関する現場の小さな迷いへの回答

Q
一概に施設の責任になりますか?
A
適切なリスク評価とアセスメントに基づき両者を仕分けし、事故の未然防止と再発防止に取り組む必要がある。
出典元の要点(要約)
厚生労働省 老健局

介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf

適切なリスク評価とアセスメントに基づき両者を仕分けし、前者は起こさない、という意識で事故の未然防止と再発防止に取り組む必要がある。

Q
「家に帰りたい」という本人の意思に対して、家族はどう関わればいいですか?
A
専門職に任せきりにせず、本人をよく知る家族も意思決定を支える一員として関わることが大切です。チームで本人の生活を支えていく視点を持ちましょう。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

これには、医師やケアマネジャー等の専門職種や行政職員のほか、家族、成年後見人、地域近隣の見守り活動を行う人、本人をよく知る人などが含まれる。

Q
帰宅願望で興奮している方に話しかける際、気をつけるべき行動はありますか?
A
言葉選びだけでなく、身体的なアプローチも重要です。相手が認識しやすい立ち位置をとり、相手の表情を確認しながら、はっきりとした声でゆっくり話しかけることを意識してみてください。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法―認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。

事故責任への不安や家族の関わり方、興奮時の接し方など、現場の迷いに対する答えはガイドラインに示されています。一人で抱え込まず、エビデンスを基準にチームで対応を共有することが大切です。


まとめ:「家に帰りたい」への対応で大切なのは、完璧さではなく自尊心を守る一歩です

日々の忙しい業務の中で、一人ひとりに寄り添い続けるのは決して簡単なことではありません。理想通りのケアができない自分を責める必要はありません。

まずは、幼児語を使わない目線を合わせるといった、今日からできる小さな配慮を積み重ねていきましょう。こうした小さな変化が、本人の安心に繋がることがあります。

本人の言葉を否定せず受け止める姿勢は、結果としてあなた自身の心の余裕や、現場の安全にも繋がっていくはずです。

無理のない範囲で、まずは一度だけ、相手と同じ高さで話を聴くことから始めてみてください。最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。


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  • 2026年5月7日:新規投稿

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