「おはようございます」と挨拶しても反応が薄い、休憩室での会話に入れない、怖い先輩の顔色を伺って胃が痛くなる――。介護現場では、こうした人間関係のストレスで消耗してしまうことが少なくありません。
「性格が合わないから」と諦めたり、無理に仲良くしようとして疲弊する必要はありません。全部を解決しようとせず、まずは心理学的な技術を使って、働きやすい距離感を保つことから始めてみませんか。
この記事を読むと分かること
- 苦手な相手との距離を縮める科学的な手順
- 無理せず表面的類似で信頼を作る理由
- 言葉以外で安心感を与える非言語テクニック
- 警戒心を解くミラーリングの実践法
- 自己開示を引き出す話題選びのコツ
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
人間関係の改善は「類似性」の演出から始まる

介護現場では、「チームワークが大切」と頭では分かっていても、相性が悪い相手や威圧的な先輩に対し、無理に心を開くのは精神的に大きな負担です。「忙しくてコミュニケーションをとる余裕がない」「挨拶しても反応が薄い相手に、こちらから歩み寄るのは疲れた」というのが、現場の偽らざる本音ではないでしょうか。無理に性格を合わせようとせず、心理学的な技術として割り切ってアプローチすることが、自分を守りながら関係を変える現実的な第一歩です。
初期の関係改善には「表面的な共通点」が有効
苦手な相手と距離を縮めようとする際、無理に性格や考え方(内面)を合わせようとする必要はありません。研究によると、関係性が浅い初期の段階では、性格などの内面的な類似よりも、外見や興味・関心、生活スタイルといった表面的側面の類似の方が、相手への自己開示(本音を話すこと)を促進する上で重要な意味を持ちやすいことが示唆されています。
具体的には、以下のような「目に見える共通点」を見つけたり、話題にしたりすることが有効です。
- 出身地や居住地、趣味などの話題
- 好みの食べ物や、休憩中の過ごし方
- 身につけている小物や服装の雰囲気
相手との間に「似ている部分がある」という認知を高めることが、信頼関係の入り口となります。
出典元の要点(要約)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科類似性が自己開示へ与える影響―類似面の差異に着目して―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cou/46/4/46_197/_pdf
本研究では,Insko et al.(1983)が内面的類似の重要性を指摘しているにもかかわらず,「内面的側面の類似」から自己開示への直接のパスはみられなかった。この点について著者らは,本研究の課題が「会ったことのない仮想の人物」を対象とし,初対面場面に近い状況であったためと考察する。関係性が浅い段階では,内面的側面の類似よりも,外見や興味といった表面的側面の類似のほうが自己開示にとって重要な意味を持ちやすい可能性が指摘されている。
「似ている」と感じることが信頼と好意を生む
なぜ共通点を見つけることが重要なのでしょうか。それは、相手との類似性が信頼感や好意感を高め、その結果としてコミュニケーション(自己開示)が促進されるというメカニズムがあるからです。
先行研究の整理によれば、人は自分と似ている他者に対して対人魅力(信頼や好意)を感じやすいとされています。特に、類似性が高いと認知することは、相手に対する信頼感を高める要因となり、それが「相手に否定されるかもしれない」という不安(心理的抑制要因)を軽減し、円滑なコミュニケーションを促すことにつながります。つまり、「あの人とは合わない」と壁を作る前に、意図的に類似性を演出することが、相手の警戒心を解くカギとなります。
出典元の要点(要約)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科・名古屋大学 PhD 登竜門推進室類似性が自己開示へ与える影響―類似面の差異に着目して―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cou/46/4/46_197/_pdf
類似性と自己開示の関連について,直接的に扱った研究は少ないが,中里ら(1975)や藤森(1980),榎本(1997)などから,性格や態度が似ていると認知されることで相手への信頼感が高まり,その結果として自己開示が促進されるという「対人魅力を媒介した間接的な関連」が示唆されていると整理される。本研究では,類似性が信頼感や好意感をどのように高め,それが自己開示に結びつくのかをパス解析により検証している。
「ミラーリング」は基本的な態度への「付加効果」として使う
相手のしぐさや動作を鏡のように真似るミラーリングという技法も、類似性を演出する一つの手段です。ただし、ミラーリングだけで関係が劇的に良くなるわけではありません。
研究結果によると、ミラーリング自体が単独で会話の質や相手のイメージを向上させる直接的な要因になるとは限らず、あくまで付加効果である可能性が示されています。相手の目を見て話す、笑顔で接する、あいづちを打つといった基本的な対人態度が整っていることが前提であり、その上でミラーリングを併用することで、対人魅力を高める効果が期待できるとされています。
出典元の要点(要約)
兵庫教育大学学校教育研究科・大阪教育大学教育学部教育協働学科・兵庫教育大学発達心理臨床センター対話状況におけるミラーリングが対人魅力に及ぼす影響
https://hyogo-u.repo.nii.ac.jp/record/3251/files/AA115537760240004.pdf
総合的な考察では,本研究の結果からミラーリングは「会話の質」や「対話相手のイメージ」を単独で向上させる直接的な要因ではなく,他のコミュニケーションスキルと並行して用いることで効果を発揮する「付加効果」である可能性が示される。Gueguen(2009)や池田・片上・新田(2009)が言葉や応答など複数の技法と組み合わせていた点を踏まえ,ミラーリングにもいくつかの段階があると予測し,Figure 3にそのイメージを示した上で今後の研究課題としている。
職場の苦手な相手との関係改善には、まず基本的な挨拶や態度の土台が必要です。その上で、無理に性格を合わせようとするのではなく、趣味や行動ペースといった「表面的な類似性」を見つけたり、さりげなく動作を合わせる技術を取り入れたりすることで、少しずつ心理的な距離を縮めていくことが可能です。
現場でよくある「すれ違い」のパターン

日々の業務に追われる介護現場では、職員同士がゆっくり話す時間はほとんどありません。「申し送りの時間が短くて伝わらない」「忙しそうで声をかけたら迷惑がられそう」といった遠慮や焦りが、いつの間にか大きな溝になってしまうことも珍しくありません。ここでは、現場で頻発する人間関係の悩みを3つの事例に整理し、エビデンスに基づいた「捉え直しのヒント」を紹介します。
事例1:挨拶しても目が合わず、反応が薄い先輩
「おはようございます」と元気に挨拶しても、パソコン画面を見たまま「ういーッス」と返されるだけ。新人のAさんは「私が何かしたかな?嫌われているのかな?」と不安になり、業務上の質問もしづらくなってしまいました。しかし、相手の態度は必ずしも「あなたを嫌っている」サインとは限りません。単に余裕がない、あるいは聴く姿勢が整っていないだけの場合もあります。
ここで意識したいのが、心理学でいう「かかわり行動」です。これは「あなたの話を聴こうとしている」という姿勢を相手に伝える技術です。
- 相手に視線を合わせる
- 身体の向きを相手に向ける
- 声のトーンや大きさに配慮する
自分がこれらを意識して接することで、相手にも「話を聴く準備」を促すきっかけを作ることができます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf
「かかわり行動」とは、聴き手の積極的な傾聴姿勢を話し手に示す手法の総称であり、①相手に視線を合わせる、②身体言語(身振り手振りや姿勢など)に配慮する、③声の質(大きさ、トーン、スピードなど)に配慮する、④言語的追跡をする、の四つが挙げられる。これらの行動を通じて、聴き手が話し手の話題にしっかり付き合おうとしている姿勢を示し、安心して話せる雰囲気づくりを行うことが意図されている。
事例2:休憩室で会話が続かず、気まずい沈黙
中途採用のBさんは、休憩室で同僚たちの輪に入れず孤立感を感じています。「若い子たちとは話が合わない」「性格が違うから無理だ」と諦めて、スマホを見て過ごす毎日。しかし、関係が浅いうちから「性格(内面)」を合わせようとする必要はありません。
研究によれば、初対面や関係初期の段階では、性格などの内面的な共通点よりも、外見や趣味、生活スタイルといった「表面的側面の類似」の方が、自己開示(会話)を促す効果が高いことが示唆されています。「同じメーカーの靴を履いている」「お昼に同じコンビニのパンを食べている」といった目に見える些細な共通点を見つけることが、心理的な壁を取り払う第一歩になります。
出典元の要点(要約)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科類似性が自己開示へ与える影響―類似面の差異に着目して―
本研究では,Insko et al.(1983)が内面的類似の重要性を指摘しているにもかかわらず,「内面的側面の類似」から自己開示への直接のパスはみられなかった。この点について著者らは,本研究の課題が「会ったことのない仮想の人物」を対象とし,初対面場面に近い状況であったためと考察する。関係性が浅い段階では,内面的側面の類似よりも,外見や興味といった表面的側面の類似のほうが自己開示にとって重要な意味を持ちやすい可能性が指摘されている。
事例3:忙しそうな他職種に声をかけづらい
ケアマネジャーのCさんは、施設の看護師に利用者の状態を相談したいのですが、いつも忙しそうでピリピリしているため、声をかけるのを躊躇してしまいます。「今話しかけたら怒られるかも」と萎縮し、報告が遅れがちです。ここで大切なのは、「仲良くおしゃべりすること」を目標にしないことです。
対人援助における「ラポール(信頼関係)」とは、単なる好意や仲の良さではなく、仕事を確かなものにするための「専門的な信頼関係」のことです。相手の忙しさ(状況)を観察し、要点をまとめて短く伝えるなど、意図的に配慮した関わりを行うこと自体が、専門職としての信頼(ラポール)構築につながります。
出典元の要点(要約)
一般社団法人北海道医療ソーシャルワーカー協会・独立行政法人国立病院機構北海道医療センター良好な関係を築くためのコミュニケーション技法
「【ラポール=専門的信頼関係を構築できること】対人援助における良好なコミュニケーションとは」と題したスライドでは、ラポールがソーシャルワーカーに限らず「人と人とが接する場において、その仕事を確かなものとするために必要な基本となる関係性」であると位置づけられる。意図的に関わることによってラポールが構築されると、人を対象とする対人援助の場面でコミュニケーションは良好になり、患者や家族が本当に伝えたいことに気づきやすくなるとし、「患者さんやご家族とのラポールの構築を目指す」視点の重要性を強調している。
どの事例も、「相手の性格を変える」ことではなく、「自分の関わり方(技術)」を少し変えるだけで、状況が好転する可能性を秘めています。苦手意識を持つ前に、まずは「観察」と「小さなアクション」から始めてみましょう。
なぜ「真似る」だけで関係が変わるのか?心理学的メカニズム

「あの人とは性格が合わないから、何をしても無駄だ」と諦めてしまうことはありませんか。しかし、人間関係の良し悪しは、必ずしも性格の一致だけで決まるものではありません。心理学の視点では、「自分と似ている」と感じること自体が、相手への警戒心を解き、好意を生む強力なスイッチになることが分かっています。ここでは、なぜ「真似る(類似性の演出)」ことが関係改善に効くのか、その裏にある心理的な仕組みを解説します。
「似ている」と感じるだけで信頼感が高まる
心理学には、他者と自分が似ているかどうかの認知が、相手への魅力を決定づける重要な要因であるとする「類似性-魅力度仮説」という考え方があります。これは、客観的な事実として似ているかどうかだけでなく、自分が相手に対して「主観的な共通点」を感じるかどうかが重要であるというものです。
研究においても、相手との類似性を高く認知している場合、相手に対する「信頼感」や「好意感」が高まることが確認されています。つまり、意図的に相手のしぐさや行動を真似て「私たちは似ていますよ」というサインを送ることは、相手の中に「この人は信用できる」「好ましい」という感情を芽生えさせるための有効なアプローチとなります。
出典元の要点(要約)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科・名古屋大学 PhD 登竜門推進室類似性が自己開示へ与える影響―類似面の差異に着目して―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cou/46/4/46_197/_pdf
Byrne(1971)は,他者と自分が似ているか否かの認知が対人魅力の重要な規定因であると述べており,本研究では類似性を開示者が被開示者を自分と似ていると認知する度合いとして扱っている。中里ら(1975)や藤森(1980),榎本(1997)などから,性格や態度が似ていると認知されることで相手への信頼感が高まり,その結果として自己開示が促進されるという「対人魅力を媒介した間接的な関連」が示唆されていると整理される。
「拒絶されるかも」という不安を減らす効果がある
苦手な相手に話しかけるのを躊躇してしまう大きな理由は、「冷たくされるかもしれない」「否定されるかもしれない」という不安です。これを専門的には「心理的抑制要因」と呼びます。現在の関係が崩れることへの不安や、相手の反応に対する不安が、コミュニケーションのブレーキとなってしまいます。
類似性には、このブレーキを緩める効果があります。自分と同じような興味や生活スタイルを持っている相手に対しては、「この人なら自分の話に共感してくれるだろう」「否定せずに聞いてくれるだろう」という期待を持ちやすくなるからです。類似性を演出することは、相手が抱いている「あなたに話しかけられたらどう反応すべきか」という無意識の緊張や不安を和らげ、安心して話せる土台を作ることにつながります。
出典元の要点(要約)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科・名古屋大学 PhD 登竜門推進室類似性が自己開示へ与える影響―類似面の差異に着目して―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cou/46/4/46_197/_pdf
榎本(1997)は自己開示の「心理的抑制要因」として,現在の関係のバランス崩壊への不安や,相手の反応への不安を挙げ,川西(2008)は否定的内容開示に伴う「立場が弱くなる」「裏切りなど不利益を被る恐怖」を指摘している。同じような環境や興味・関心を持つ相手ほど,自分の話に同調・共感してもらえるという期待が高まり,自己開示がしやすくなると説明されている。
関係が浅いほど「見た目や行動」の類似が重要になる
「まだ親しくない相手と、内面的な話をするのはハードルが高い」と感じるのは自然なことです。実は、関係性の初期段階においては、性格や考え方といった「内面的側面」の類似よりも、外見や行動などの「表面的側面」の類似の方が、相手への信頼感を高める上で重要な役割を果たす可能性が指摘されています。
研究では、初対面に近い状況下では、内面的な類似が直接的に自己開示を促す効果は見られなかった一方で、表面的側面の類似は信頼感や好意感を高め、結果として内面的な自己開示も促進することが示されました。つまり、まだ関係が深まっていない苦手な相手ほど、まずは目に見える行動やペースを合わせるというアプローチが理にかなっているのです。
出典元の要点(要約)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科・名古屋大学 PhD 登竜門推進室類似性が自己開示へ与える影響―類似面の差異に着目して―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cou/46/4/46_197/_pdf
Insko et al.(1983)は表面的類似より心理的類似のほうが重要と述べるが,本研究では初対面場面に近い状況で調査が行われたため,結果が異なった可能性が指摘される。著者らは,関係性が発展するにつれて態度や性格など内面的側面の類似が重要になる一方,初期段階では表面的側面の類似のほうが自己開示を促進する意味を持ったのではないかと考察している。
苦手な相手との関係改善は、性格を変えることではなく、相手の「警戒心」を解くことから始まります。類似性という心理学的なスイッチを利用することで、相手の中に「自分と似ているから安心できる」という感覚を育てていくことができるのです。
よくある疑問
- Q相手の真似をしていると気づかれて、気まずくなりませんか?
- A
露骨な「モノマネ」は逆効果ですが、相手が意識しないレベルで呼吸や声のトーンを合わせる「同調(ペーシング)」であれば、自然な安心感を与えることができます。相手が気づくほど大げさに行うのではなく、さりげなく合わせることがポイントです。
出典元の要点(要約)
兵庫教育大学学校教育研究科・大阪教育大学教育学部教育協働学科・兵庫教育大学発達心理臨床センター
対話状況におけるミラーリングが対人魅力に及ぼす影響
https://hyogo-u.repo.nii.ac.jp/record/3251/files/AA115537760240004.pdf
実験後の自由記述では、被験者は「目を見て話す」「あいづちをする」「笑顔」「前のめりになって話を聞く」など「会話相手の態度」や応答に注目していたことが明らかになった。また、多くの被験者が「実験前より実験後の方が好印象だった」と記述しており、会話を行ったこと自体が実験者のイメージ向上に寄与していた一方で、「しぐさを真似されていた」とミラーリングに気づいた少数の被験者は分析から除外されている。
- Q嫌いな上司に媚びを売るようで、心理的に抵抗があります。
- A
これは「媚び」ではなく、円滑な業務遂行のために必要な「ラポール(信頼関係)形成の技術」であると割り切りましょう。あくまで仕事上の関係をスムーズにするための専門的なスキルとして捉えることで、心理的な負担を減らすことができます。
出典元の要点(要約)
兵庫教育大学学校教育研究科・大阪教育大学教育学部教育協働学科・兵庫教育大学発達心理臨床センター
対話状況におけるミラーリングが対人魅力に及ぼす影響
https://hyogo-u.repo.nii.ac.jp/record/3251/files/AA115537760240004.pdf
ミラーリングはNLP(神経言語プログラミング)の一要素としても説明される。NLPは「視覚」「聴覚」「身体感覚」から体験にアプローチし、脳内のプログラムを書き換えることで悪習慣や苦手意識の変容を試みるコミュニケーション手法とされ、ラポール(信頼関係)の形成にも役立つと述べられている。本研究はこうした背景を踏まえつつ、しぐさ模倣の効果を実証的に検討する。
- Q年の離れた同僚とは共通の話題がなく、類似性が見つかりません。
- A
共通点は必ずしも「話題」である必要はありません。「相手の話を否定せずに聞く(受容的態度)」ことや、「相手が大切にしている価値観を尊重する(共感的理解)」こと自体が、心理的な共通の土台となります。無理に話題を探さなくても、相手を受け入れる姿勢を示すだけで信頼関係は築けます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
大学等におけるキャリア教育実践講習テキスト(平成24年度)Part.15「カウンセリングのスキル」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-15.pdf
「受容的態度」とは、話し手に対して批判や非難の目を向けることなく、受容的な態度で接することを意味する。話し手をひとりの人間として大切に思いやることが強調され、価値判断や説教ではなく、相手の存在そのものを尊重する姿勢が求められる。こうした受容的態度が、話し手が否定される不安なしに本音や悩みを語れる安全なカウンセリング関係の土台になるとされる。
苦手な相手こそ「観察」から。技術としての歩み寄りで自分を守る
職場の人間関係における悩みは、単なる性格の不一致だけで片付けられるものではありません。心理学的な視点を取り入れ、「技術」として割り切って接することで、苦手な相手に対する精神的な負担を減らすことができます。
この記事のポイントは以下の通りです。
- 信頼関係は、相手との間に「類似性(似ていること)」を感じることで醸成される
- 関係が浅い段階では、性格などの内面よりも、外見や行動ペースなどの「表面的な共通点」を探すことが有効
- しぐさを真似る「ミラーリング」は、基本的な挨拶や傾聴姿勢とセットで行うことで効果を発揮する
明日からの業務では、まず苦手な相手を静かに「観察」することから始めてみてください。デスクにある小物、休憩中に選んでいる飲み物、ふとした時の口癖など、自分との共通点を一つ見つけるだけで構いません。「あの人も自分と似ている部分がある」という小さな気づきが、張り詰めた緊張を和らげ、関係性を変えるきっかけとなります。
最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。
関連記事
更新履歴
- 2025年12月2日:新規投稿


