「35歳を過ぎてから、夜勤明けの疲労が翌日まで残るようになった」という声や、他業種の友人と年収を比べて将来への不安を感じることはありませんか。
理想のケアを追求したい一方で、現場の人手不足や事務作業に追われ、余裕を失うこともあるのが現実です。すべてを解決するのは困難ですが、まずは長く働き続けるための仕組みを知ることから始めましょう。
この記事を読むと分かること
- 35歳で定着率が下がる理由
- 国が推す富士山型キャリア
- 給与UPの加算チェック点
- 長く働くための職場選び
- 不安を減らす具体的行動
一つでも当てはまったら、この記事が役に立つかもしれません
35歳は「定着」の分かれ道とも言えます。これからの働き方戦略

「一人ひとりに寄り添いたい」という想いとは裏腹に、現実は記録やナースコールに追われ、流れ作業にならざるを得ないと感じる毎日。
夜勤明けの体が以前より重く感じ、「この働き方を定年まで続けられるのか」と不安になるのは、現場にいればよくある悩みとも言えます。
35歳で「定着率」が下がるのは個人のせいではない
「体力の限界」や「将来への不安」を感じるのは、あなたが弱いからとは限りません。
データを見ると、介護職員の勤続年数は30代前半までは他産業と同じですが、35歳を超えると定着率が下がる傾向にあります。
ライフステージの変化に対し、現場の待遇が追いついていない定着に課題がある構造的な課題があると考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
介護職員の勤続年数は30代前半までは全産業並みだが、35歳以上になると全産業平均を下回る傾向にあり、定着に課題がある。
「現場一筋」から「富士山型」へのモデルチェンジ
これまでは全員が同じ業務を行う「まんじゅう型」の組織が一般的でした。
しかし国は今、専門性の高い人材がチームを支える「富士山型」への転換を進めています。
単に経験年数を重ねるだけでなく、特定のスキルやマネジメント能力を身につけることが、給与アップにつながる可能性がある道です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
国は人材構造を、専門性が不明確な「まんじゅう型」から、専門性の高い人材が裾野を広げる「富士山型」へ転換することを目指している。
2040年まで「仕事がなくなる」とは言い切れない
AI化や人口減少で仕事が減る不安があるかもしれませんが、介護分野の需要は増え続けると考えられます。
2040年度には約280万人の職員が必要になると推計されています。
専門性を磨くことも一つの選択肢です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
介護職員の必要数は2025年度に約243万人、2040年度には約280万人(2019年度比+69万人)に達すると推計されている。
35歳からの不安は、業界全体の構造的な課題だと考えられます。気力で乗り切るのではなく、国の目指す「富士山型」キャリアへシフトし、専門性を武器に長く働ける環境を選び取ることが重要だと考えられます。
「私だけ?」現場で多くの人がぶつかるとされる3つの壁

腰痛をごまかしながらコルセットを巻いて夜勤に入り、休憩中もナースコール対応で気が休まらない。
現場では、こうした自己犠牲が「当たり前」になりがちだと感じることがあります。「みんな辛いんだから」と我慢しがちですが、その悩みは業界特有の構造から生まれている可能性があります。
夜勤を辞めると生活できないという思い込み
体力的には限界を感じていても、「夜勤手当がなくなると生活水準が下がる」と考えて無理を続けていませんか。
確かに一時的には収入が減るかもしれませんが、国は今、専門性が不明確な状態から、経験や能力に応じた「富士山型」のキャリアへの転換を目指しています。
現場業務だけでなく、マネジメントや専門性を磨くポジションへシフトすることで、処遇を維持・向上させる道がある場合があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
国は人材構造を、専門性が不明確な「まんじゅう型」から、専門性の高い人材が裾野を広げる「富士山型」へ転換することを目指している。
「介護だから給料が安い」という諦め
「どんなに頑張っても、他業種の友人より給料が低い」と落ち込むことはありませんか。
実際、介護職員の平均給与は全産業平均と比較して月額6.8万円の差があるとされています。
しかし、この差を埋めるために「特定処遇改善加算」などの制度があります。勤務先の加算取得状況による場合もあると考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
介護職員の平均給与(29.3万円)は全産業平均(36.1万円)と比較して6.8万円の差がある。
事務作業は「サービス残業」という誤解
日中は利用者対応に追われ、記録や計画書の作成は休憩時間や終業後に回していませんか。
実は、給与アップにつながる「ベースアップ等支援加算」を届け出ない事業所の理由として、約4割が「事務作業の煩雑さ」を挙げています。
無理な事務負担を現場が引き受けてしまうと、結果として処遇改善に影響する可能性があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
ベースアップ等支援加算を届け出ない理由の約4割が「事務作業が煩雑であるため」「計画書作成が煩雑」である。
体力、給与、事務負担の悩みは、個人の忍耐不足ではなく、制度活用やキャリア選択の課題だと考えられます。我慢するだけでな解決への糸口になる可能性があります。
なぜ35歳で不安になるのか? 3つの構造的原因

「5年働いても手取りがほとんど変わらない」「スーパーの値上げが痛いのに給料はそのまま」。現場ではそんなため息が漏れることもあります。
頑張りが足りないからだと自分を責めてしまいがちですが、その不安の背景には、個人の努力では変えにくい業界全体の構造的な課題が存在すると考えられます。
「まんじゅう型」組織による閉塞感
新人でもベテランでも、現場で行う業務内容に大きな差がないと感じることはありませんか。
介護業界は長らく、専門性の違いが不明確な「まんじゅう型」の構造だったとされています。そのため、経験を積んでも役割や処遇が変化しにくく、キャリアの展望が見えにくくなる場合があります。
国はこの課題を解消するため、専門性の高い人材と裾野の広い人材による「富士山型」への転換を目指しています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
国は人材構造を、専門性が不明確な「まんじゅう型」から、専門性の高い人材が裾野を広げる「富士山型」へ転換することを目指している。
全産業平均より「月6.8万円低い」現実
結婚や子育てなどライフステージが変わる35歳前後で、経済的な厳しさを痛感する人が増える傾向があります。
実際、介護職員の給与は全産業平均より月額約6.8万円低いというデータがあります。
処遇改善は進んでいますが、依然として残るこの格差が、家庭を持つ世代にとって「続けたくても続けられない」大きな壁となっていると考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
介護職員の平均給与(29.3万円)は全産業平均(36.1万円)と比較して6.8万円の差がある。
物価高騰が「賃上げ」を阻んでいる可能性がある
「施設が利益を溜め込んでいるのでは?」と疑いたくなることもあるかもしれません。
しかし、介護分野では電気代が約52%、ガス代が約60%も上昇しており、経営に影響しています。
この物価高騰が経営を圧迫し、結果として職員の賃上げや環境整備への投資を難しくさせている外部要因もあると考えられます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
介護分野における物価高騰の影響として、電気代が52%、ガス代が59.7%上昇しており、経営を圧迫している。
構造的な課題であることを理解した上で、自分を守り、評価してくれる環境を見極める視点が必要だと考えられます。
不安を解消するQ&A
「将来はどうなるの?」「本当に給料は上がるの?」といった、現場でよく聞かれる疑問や不安について、国のデータや制度をもとにお答えします。
- QAIやロボットの導入で、将来的に介護士の仕事はなくなりませんか?
- Aなくなるとは限りません。むしろ、高齢化の進行に伴い、介護職員の必要数は増加し続ける見込みとされています。 国は2040年度までに約280万人の介護職員が必要になると推計しています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
介護職員の必要数は2025年度に約243万人、2040年度には約280万人(2019年度比+69万人)に達すると推計されている。
- Q給料を上げるには、やっぱり夜勤を増やして残業するしかないのでしょうか?
- Aいいえ、必ずしもそうではありません。国は「勤続10年以上の介護福祉士」など、経験・技能のある職員に対する処遇改善(特定処遇改善加算など)を推進しています。 残業に頼るのではなく、勤務先がどのような加算を取得しているかを確認することが、参考になる場合があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
リーダー級の介護職員について、他産業と遜色ない賃金水準を目指し、経験・技能のある職員に重点化を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を行う。
- Q人間関係に疲れてしまいました。どの職場に行っても同じでしょうか?
- A人間関係の悩みは介護現場での離職理由として最も多いものですが、すべての職場が同じとは限りません。 国は「職場環境等要件」として、ミーティング等によるコミュニケーションの円滑化などを推奨しており、こうした取り組みを行っている事業所を選ぶことで、働きやすさが変わる可能性があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
介護関係の仕事を辞めた理由(複数回答)のトップは「職場の人間関係に問題があったため」(27.5%)である。
厚生労働省
介護人材の処遇改善等 (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144293.pdf
職場環境等要件の概要として、資質の向上、労働環境・処遇の改善(ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化等)、その他(健康診断・こころの健康づくり等)が挙げられている。
将来への不安や給与の悩みは、正しい情報を知ることで対策が見えてくる場合があります。国の制度やデータは、あなたが長く安心して働くための「後ろ盾」になってくれるかもしれません。
まとめ:35歳は「限界」ではなく「転換期」
ここまで、35歳前後で感じるキャリア不安の正体と、国の施策について解説してきました。
定着率が低下する傾向はデータ上の事実ですが、それは同時に、働き方を見直すべき重要なタイミングが来ていることを意味していると考えられます。
まずは「今の職場」を知ることから
すぐに転職を決断する必要はありません。まずは、ご自身の勤務先がどのような加算を取得しているか、給与明細や就業規則を確認してみてください。
その上で、専門性を磨き「富士山型」のキャリアを目指せる環境かどうかを、冷静に見極めることが第一歩だと考えられます。
2040年に向けて介護職の必要性は高まり続けると考えられます。専門性を味方につけ、ご自身が納得できるキャリアを歩まれることを願っています。
最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。
関連コンテンツ
更新履歴
- 2026年1月22日:新規投稿







