食事介助中に、さっきまで食べていた利用者が急に口を閉じる。声をかけても反応が薄く、流涎も増えてくる。現場では「さっき食べてたじゃん」「下膳もトイレ誘導も残っているのに」と、焦りが一気に怒りへ変わることがあります。
こうした場面を、本人のわがままや介護士の優しさ不足だけで片付けると、食事介助の危ないサインが見えにくくなります。大事なのは、食べさせ切ることではなく、止める・観る・記録する・つなぐという現実的な流れを持つことです。
この記事では、パーキンソン病や認知症のある利用者が食べない時に、介護士が怒りを感じる理由と、怒りのまま介助を続けないための中止基準、記録、相談の出し方を整理します。
この記事を読むと分かること
- 食介を止める基準
- 流涎時の見方
- 短い記録の残し方
- 医療職への伝え方
- 怒りの止め方
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
パーキンソン病と認知症の食事介助で食べない時の結論

食べない時は、わがままと決めつけず、無理に続けず、止める・観る・記録する・つなぐを優先します。
現場では、さっきまで食べていた利用者が急に口を開けなくなると、「できるのにやらない」と感じやすくなります。声かけにも反応がなく、涎が増え、他の業務まで詰まると、介護士の中に荒い感情が出ることもあります。この記事を読むと、その場で完食を目指すより、状態を見て一度止め、短く記録して医療職やリーダーへつなぐ考え方が理解できます。
こうした場面では、優しくしたい気持ちがあっても、食介が止まった瞬間に余裕が削られます。食べない理由を本人の態度として受け取り、強めに声をかけると、かえって口が開かない、姿勢が崩れる、口にため込むという流れになることがあります。逆に、止まった時刻、流涎、反応、食事量を短く残すと、次の勤務者にも「この時間は無理に押さない方がよい」と共有しやすくなります。
食べさせ切るより一度止める
食事介助では、食べ終えることだけに意識が向くと、口の中に残っているのに次の一口を入れたくなることがあります。この項目で押さえたいのは、止める判断も介助の一部だということです。
流涎が増える、口にため込む、むせる、姿勢が崩れる、声かけへの反応が薄い。こうした時は、完食より状態確認を優先します。中止は放置ではありません。いったん食具を置き、口腔内の残留、むせ、覚醒状態、食事にかかった時間を見て、必要な情報を看護職員やリーダーへつなぐための安全行動です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省原則として医行為ではない行為に関するガイドライン.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001489487.pdf
○利用者の観察
・利用者の気分、体調、顔色、表情、呼吸の様子、しっかりと目を覚ましているか(覚醒状態)などを観察します。
(中略)
○終了後は、事業所等で指定されたものに記録します。
○食事に要した時間や、食欲、食事摂取量、食事の動作、咀嚼や飲み込みの状態、むせの有無などを記録します。
わがままと決めつけない
声をかけても返事がない時、現場では「無視されている」と感じることがあります。ここで理解したいのは、反応の薄さを態度だけで判断しないことです。
認知症やせん妄では、反応や覚醒の状態が変動する場合があります。レビー小体型認知症では注意・覚醒レベルの変動やパーキンソン症状も示されています。だから、食べない理由を「気分」「わがまま」と決めつけず、いつ止まったか、どんな声かけで反応があったか、戻る時間があるかを見ます。
出典元の要点(要約)
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版.pdf
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
レビー小体型認知症(DLB)
幻視,妄想(被害妄想・嫉妬妄想),注意・覚醒レベルの変動,パーキンソン症状,抑うつ,不安,転倒 等.視覚認知・視覚構成障害が強い.
(中略)
認知症とせん妄の最も大きな違いは,発症が急激で,数日単位で変化することであり,反応が鈍い状態から激しい興奮状態まで症状が変動することである。
短い記録で医療職へつなぐ
「食べません」だけでは、看護師や医師に状況が伝わりにくいことがあります。この項目では、長文ではなく、現場で使える短い記録にすることが大切です。
たとえば、服薬時刻、食事開始時刻、止まった時刻、流涎、声かけへの反応、むせ、口腔内残留、食事量を残します。「12:10服薬、12:45開始、13:00流涎強く停止、反応薄い、13:25再開し5割」のような記録なら、状態の波をチームで見やすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
ヒヤリ・ハット/事故報告の目的は、職員の責任追及ではなく利用者に対するケアの改善であり、仕組みを構築する際には、報告を活性化するための工夫が重要です。また、報告をケアの質向上やその後の事故防止につなげるために、報告様式の整備が重要です。発生状況をわかりやすく、時系列に沿って記載できることに加え、原因分析においては事実と推測を明確にわけ、本人・職員・環境、それぞれの要因別に検討できるようにするなどが効果的です。
怒りのまま介助を続けない
食事介助が止まると、「もう無理」「じゃあ食べなくていい」と感じる瞬間があります。この項目で大事なのは、怒りを消すことではなく、怒りのまま介助を続けないことです。
怒りが出ること自体を、介護士の性格だけで片付けると危険サインが隠れます。声が荒くなりそうなら食具を置く。一歩離れる。別職員に交代を頼む。リーダーへ「このまま続けると声が強くなりそうです」と伝える。これは逃げではなく、利用者と職員の両方を守るための切り替えです。
出典元の要点(要約)
日本看護科学学会介護施設における認知症ケア実践者の精神的負担の概念分析.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/45/0/45_214/_pdf/-char/ja
属性を構成するのは【ケアの対象者にネガティブな感情を抱く】,【BPSD 対応に疲弊する】,【困難なケアへの不安を感じる】,【倫理的苦悩に押しつぶされる】,の 4 カテゴリーであった。
【ケアの対象者にネガティブな感情を抱く】については,〈対象者にイライラする〉,〈対象者に怒りや憎しみがある〉,〈対象者が怖い〉,〈対象者から面倒をかけられていると思う〉などが示されている。
薬の時間は介護士だけで判断しない
服薬後の方が食べやすそうに見えると、薬の時間を変えればよいのではと考えたくなります。ここで押さえるのは、介護士が単独で薬の時間を判断するのではなく、観察を材料にしてつなぐことです。
できることは、「何時に飲んだ後、何分くらいで開口があるか」「どの時間に流涎が増えるか」「どの時間帯に止まりやすいか」を記録することです。薬の調整や服薬時点の変更は、多職種で協議する領域です。介護士は判断者ではなく、生活場面の変化を見える化する役割を担います。
出典元の要点(要約)
日本老年薬学会高齢者施設の服薬簡素化提言.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11125000/001266084.pdf
服薬簡素化にあたっては、表3に示した職種別の主な役割を参考とし,多職種で服薬簡素化の可否や実施方法等を協議する。その際には、入所者/入居者の生活状況や、服薬アドヒアランス、在宅復帰の可能性に加え、施設の職員配置等を考慮する。
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員等は、多職種との情報共有(服薬介助の実施状況、薬の飲み込みにくさや落薬・拒薬の詳細、入所・入居前の服薬や生活状況、服薬介助に対する支援側の負担や問題等)を担う。
よくある事例:食事介助で急に食べない利用者に怒りが出る場面

食事介助の怒りは、突然大きく爆発するとは限りません。「また止まった」「また反応がない」「また一人だけ時間がかかる」という小さな詰まりが重なり、声かけや表情に出そうになることがあります。
現場では、食べない本人だけを見ているようで、実際には後ろに下膳、トイレ誘導、コール対応、記録が並んでいます。だからこそ、事例ごとに「本人の状態」と「職員側の限界」を分けて見ます。
よくあるのは、食べない時間を拒否と決めつけて強く声をかけ、かえって本人が固まる流れです。逆に、止まる時間、流涎が出る時間、反応が戻る時間を短く残すと、次の職員が同じ場面で押し続けずに済みます。事例は責める材料ではなく、介助方法をそろえる材料にします。
さっきまで食べていたのに急に口が止まる
食事の前半は順調だったのに、中盤から急に口が開かなくなることがあります。介護士側は「さっきまで食べていたのに」と感じ、スプーンを持ったまま待つ時間が長くなります。ここで焦って急がせるより、止まった時刻とその時の様子を残す方が次につながります。
状況としては、開口が止まり、咀嚼や嚥下の動きが見えにくくなる場面です。困りごとは、他の食介や下膳が遅れ、介護士の焦りが強くなることです。よくある誤解は「できるのにやらない」と受け取ることです。押さえるべき視点は、覚醒状態、食事にかかる時間、食事量、咀嚼や飲み込みの状態を観察して記録することです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省原則として医行為ではない行為に関するガイドライン.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001489487.pdf
○利用者の観察
・利用者の気分、体調、顔色、表情、呼吸の様子、しっかりと目を覚ましているか(覚醒状態)などを観察します。
(中略)
○終了後は、事業所等で指定されたものに記録します。
○食事に要した時間や、食欲、食事摂取量、食事の動作、咀嚼や飲み込みの状態、むせの有無などを記録します。
声かけに反応せず無視に見える
「飲み込めましたか」「もう一口いきますか」と声をかけても、返事も目線も返ってこないことがあります。忙しい時間帯ほど、無視されているように感じます。そこで本人の態度と決めつける前に、反応が薄い時間帯として記録する視点が必要です。
状況としては、声かけに反応がなく、介助者の問いかけだけが空回りする場面です。困りごとは、介護士が「やってもらって当たり前なのか」と感じやすいことです。よくある誤解は、認知や覚醒の変動を性格や態度として受け取ることです。押さえるべき視点は、反応の有無、戻った時刻、声かけの内容を短く残すことです。
出典元の要点(要約)
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版.pdf
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
レビー小体型認知症(DLB)
幻視,妄想(被害妄想・嫉妬妄想),注意・覚醒レベルの変動,パーキンソン症状,抑うつ,不安,転倒 等.視覚認知・視覚構成障害が強い.
(中略)
認知症とせん妄の最も大きな違いは,発症が急激で,数日単位で変化することであり,反応が鈍い状態から激しい興奮状態まで症状が変動することである。
流涎が増えてだらっとして見える
食事中に流涎が強くなり、姿勢も崩れてくると、介護士には「だらっとしている」「食べる気がない」と見えることがあります。けれど、その見え方だけで進めると、むせや口腔内残留を見落としやすくなります。涎が増えた時は、一口進める前に観察へ戻ります。
状況としては、流涎が増え、飲み込みが進んでいるか分かりにくい場面です。困りごとは、続ければ食べるのか、一度止めるべきか判断が揺れることです。よくある誤解は、姿勢や表情だけで本人のやる気を決めることです。押さえるべき視点は、むせ、咳き込み、口腔内残留、食事にかかる時間を観察し、必要時に医療職へ報告することです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省原則として医行為ではない行為に関するガイドライン.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001489487.pdf
○利用者の観察
・利用者の気分、体調、顔色、表情、呼吸の様子、しっかりと目を覚ましているか(覚醒状態)などを観察します。
(中略)
○終了後は、事業所等で指定されたものに記録します。
○食事に要した時間や、食欲、食事摂取量、食事の動作、咀嚼や飲み込みの状態、むせの有無などを記録します。
下膳やトイレ誘導が詰まり怒りが出る
一人の食介が止まると、その後ろにいる利用者の対応まで遅れていきます。「こっちも他の人が待っている」と思うほど、声が強くなりそうになります。ここで怒りを性格の悪さとして閉じ込めず、業務の詰まりとして共有することが必要です。
状況としては、食事介助、下膳、トイレ誘導、コール対応が同じ時間に重なる場面です。困りごとは、介護士が優しくしたいのに余力がなくなることです。よくある誤解は、怒りを感じる職員だけを責めることです。押さえるべき視点は、怒りを危険サインとして扱い、一人対応を続けないことです。
出典元の要点(要約)
日本看護科学学会介護施設における認知症ケア実践者の精神的負担の概念分析.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/45/0/45_214/_pdf/-char/ja
属性を構成するのは【ケアの対象者にネガティブな感情を抱く】,【BPSD 対応に疲弊する】,【困難なケアへの不安を感じる】,【倫理的苦悩に押しつぶされる】,の 4 カテゴリーであった。
【ケアの対象者にネガティブな感情を抱く】については,〈対象者にイライラする〉,〈対象者に怒りや憎しみがある〉,〈対象者が怖い〉,〈対象者から面倒をかけられていると思う〉などが示されている。
急がせて口腔内残留が増える
時間に追われると、飲み込めたか確認する前に次の一口を入れたくなります。ところが、急がせるほど本人が固まり、口の中に残る量が増えることがあります。食介を早く終わらせたい時ほど、次の一口を待つ判断が必要です。
状況としては、口腔内に食物が残っているのに食事を進めたくなる場面です。困りごとは、急いだ結果、むせや残留への注意が薄くなることです。よくある誤解は、早く入れれば早く終わると思うことです。押さえるべき視点は、ペース、一口量、顎の位置、口腔内残留を見ながら進めることです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省原則として医行為ではない行為に関するガイドライン.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001489487.pdf
○利用者の観察
・利用者の気分、体調、顔色、表情、呼吸の様子、しっかりと目を覚ましているか(覚醒状態)などを観察します。
(中略)
○終了後は、事業所等で指定されたものに記録します。
○食事に要した時間や、食欲、食事摂取量、食事の動作、咀嚼や飲み込みの状態、むせの有無などを記録します。
なぜパーキンソン病と認知症の食事介助で怒りが出るのか

現場では、食事中に急に口が止まり、声かけにも反応が薄く、流涎が増えると「さっきまで食べていたのに」と気持ちが揺れます。このような状況が起きる背景には、本人の状態変化、嚥下や覚醒の観察、記録と共有の不足が関係します。
食事介助で怒りが出る理由は、介護士の優しさが足りないからだけではありません。本人の反応が読みにくいまま、下膳やトイレ誘導、コール対応まで同時に迫るため、介助者の中で焦りが強くなります。食べない時間を「拒否」と決めつけて押し続けると、かえって介助が進まないことがあります。だからこそ、食べない理由を性格ではなく、観察できる状態として分けて見る必要があります。
症状の波が態度に見えやすい
さっきまで開口していた人が、急に目線も返さず止まることがあります。忙しい時ほど「無視されている」と感じますが、反応が戻る時間も含めて見ると、態度だけでは整理できない場面があります。
反応が薄い理由を本人の気分だけで説明すると、介助者は説得や強い声かけに寄りやすくなります。理想は、食べる意思を確認しながら落ち着いて進めることです。しかし現実には、認知症やせん妄では反応や覚醒の状態が変動することがあり、レビー小体型認知症では注意・覚醒レベルの変動やパーキンソン症状も示されています。このズレが、「できるのにやらない」という誤解につながります。押さえるべき視点は、反応が薄い時刻、反応が戻った時刻、声かけへの変化を短く残すことです。
出典元の要点(要約)
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版.pdf
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf
レビー小体型認知症(DLB)
幻視,妄想(被害妄想・嫉妬妄想),注意・覚醒レベルの変動,パーキンソン症状,抑うつ,不安,転倒 等.視覚認知・視覚構成障害が強い.
(中略)
認知症とせん妄の最も大きな違いは,発症が急激で,数日単位で変化することであり,反応が鈍い状態から激しい興奮状態まで症状が変動することである。
嚥下や覚醒の観察で介助が止まりやすい
流涎が強くなり、口の中に食物が残っているか分からない時、次の一口を入れるか迷います。ここで急ぐと、むせや残留の確認が後回しになりやすいため、一度止めて観る方向に切り替えます。
食事介助が止まるのは、本人がわがままを言っているからとは限りません。理想は、本人のペースに合わせ、口の中や飲み込みの状態を見ながら進めることです。現実には、限られた時間の中で一口量やペースが速くなり、覚醒状態やむせの確認が薄くなることがあります。そのズレが、誤嚥や窒息への不安、介助者の焦りを生みます。押さえるべき視点は、覚醒状態、むせ、口腔内残留、食事に要した時間を確認し、異変があれば医療職へ報告することです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省原則として医行為ではない行為に関するガイドライン.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001489487.pdf
○利用者の観察
・利用者の気分、体調、顔色、表情、呼吸の様子、しっかりと目を覚ましているか(覚醒状態)などを観察します。
(中略)
○終了後は、事業所等で指定されたものに記録します。
○食事に要した時間や、食欲、食事摂取量、食事の動作、咀嚼や飲み込みの状態、むせの有無などを記録します。
記録がないと相談が食べませんで止まる
看護師やリーダーに相談したいのに、「食べません」だけでは何を見てほしいのか伝わりにくいことがあります。止まった時刻や流涎の有無を一行で残すだけでも、相談の材料が変わります。
相談が進まない背景には、状態の変化が時系列で見えにくいことがあります。理想は、事実と推測を分け、何が起きたかをチームで共有できる形にすることです。現実には、忙しさの中で「食べない」「反応なし」とだけ残り、どの時点で止まったか、むせや残留があったかが抜けやすくなります。そのズレが、毎回同じ介助を繰り返す原因になります。押さえるべき視点は、長文ではなく、次のように観察項目をそろえることです。
| 記録する項目 | 残す内容 |
|---|---|
| 服薬と食事の時刻 | 服薬時刻、食事開始時刻、食事が止まった時刻 |
| 反応と流涎 | 声かけへの反応、流涎の有無や強さ |
| 嚥下の様子 | むせ、咳き込み、口腔内残留、飲み込みの様子 |
| 食事の結果 | 摂取量、再開できた時刻、食事に要した時間 |
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
ヒヤリ・ハット/事故報告の目的は、職員の責任追及ではなく利用者に対するケアの改善であり、仕組みを構築する際には、報告を活性化するための工夫が重要です。また、報告をケアの質向上やその後の事故防止につなげるために、報告様式の整備が重要です。発生状況をわかりやすく、時系列に沿って記載できることに加え、原因分析においては事実と推測を明確にわけ、本人・職員・環境、それぞれの要因別に検討できるようにするなどが効果的です。
怒りを個人の我慢にすると危険サインが隠れる
「ふざけんな」と思いそうになるほど追い詰められても、介護士は表に出してはいけないと抱え込みがちです。けれど、声が荒くなりそうな時は、感情を否定するより介助を安全に止める合図として扱います。
怒りが出る背景には、認知症ケアの精神的負担があります。理想は、落ち着いて本人の状態に合わせることです。しかし現実には、BPSD対応への疲弊、困難なケアへの不安、理想的なケアができない苦しさが重なります。そのズレを「職員の性格」の問題だけにすると、交代や報告のタイミングが遅れます。押さえるべき視点は、怒りを責める材料ではなく、食具を置く、距離を取る、リーダーへつなぐための危険サインとして扱うことです。
出典元の要点(要約)
日本看護科学学会介護施設における認知症ケア実践者の精神的負担の概念分析.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/45/0/45_214/_pdf/-char/ja
属性を構成するのは【ケアの対象者にネガティブな感情を抱く】,【BPSD 対応に疲弊する】,【困難なケアへの不安を感じる】,【倫理的苦悩に押しつぶされる】,の 4 カテゴリーであった。
【ケアの対象者にネガティブな感情を抱く】については,〈対象者にイライラする〉,〈対象者に怒りや憎しみがある〉,〈対象者が怖い〉,〈対象者から面倒をかけられていると思う〉などが示されている。
薬や食べやすい時間帯を一人で判断すると危うい
服薬後の方が開口しやすいように見えると、「時間を変えた方がよいのでは」と考えることがあります。そこでは介護士だけで決めず、何時に飲み、どの時間に食べやすかったかを記録して伝えます。
服薬に関する判断は、生活場面だけで完結しません。理想は、医師、薬剤師、看護師、介護職などが情報を共有し、必要な協議につなげることです。現実には、食事介助に入る職員だけが「この時間なら食べるかも」と感じ、その情報が頭の中に残りやすくなります。そのズレが、職員ごとの対応差につながります。押さえるべき視点は、介護士が薬の時間を変えるのではなく、服薬介助の状況、飲み込みにくさ、拒薬、生活状況、支援側の負担を多職種へ共有することです。
出典元の要点(要約)
日本老年薬学会高齢者施設の服薬簡素化提言.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11125000/001266084.pdf
服薬簡素化にあたっては、表3に示した職種別の主な役割を参考とし,多職種で服薬簡素化の可否や実施方法等を協議する。その際には、入所者/入居者の生活状況や、服薬アドヒアランス、在宅復帰の可能性に加え、施設の職員配置等を考慮する。
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員等は、多職種との情報共有(服薬介助の実施状況、薬の飲み込みにくさや落薬・拒薬の詳細、入所・入居前の服薬や生活状況、服薬介助に対する支援側の負担や問題等)を担う。
怒りが出る背景には、状態変化の読みにくさ、嚥下や覚醒の観察、記録と共有の不足があります。本人の性格や職員の我慢だけで処理せず、止める・観る・記録する流れに変えることが大切です。
食べない食事介助で迷いやすい質問
現場では、食べない利用者を前にして、どこまで続けるか、いつ止めるかで迷います。怒りや焦りが出る場面ほど、判断を個人の根性にせず、観察と共有に戻すことが大切です。
- Q食べない時は何分まで粘ればよいですか?
- A一律の分数で決めるのではなく、覚醒状態、むせ、口腔内残留、食事にかかる時間、食事量を見て判断します。声かけへの反応が薄く、姿勢も崩れている時は、無理に完食を目指さず、一度止めて観察と報告につなげます。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
原則として医行為ではない行為に関するガイドライン.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001489487.pdf
○利用者の観察 ・利用者の気分、体調、顔色、表情、呼吸の様子、しっかりと目を覚ましているか(覚醒状態)などを観察します。 (中略) ○終了後は、事業所等で指定されたものに記録します。 ○食事に要した時間や、食欲、食事摂取量、食事の動作、咀嚼や飲み込みの状態、むせの有無などを記録します。
- Q流涎が強い時も一口入れてよいですか?
- A流涎が強く、飲み込みや口腔内残留が確認しにくい時は、次の一口を急がない方が安全です。むせ、咳き込み、口の中の残り、食事時間の変化を見て、必要時は看護職員などへ報告します。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
原則として医行為ではない行為に関するガイドライン.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001489487.pdf
○利用者の観察 ・利用者の気分、体調、顔色、表情、呼吸の様子、しっかりと目を覚ましているか(覚醒状態)などを観察します。 (中略) ○終了後は、事業所等で指定されたものに記録します。 ○食事に要した時間や、食欲、食事摂取量、食事の動作、咀嚼や飲み込みの状態、むせの有無などを記録します。
- Q薬の時間を変えれば食べそうな時、介護士判断で変えてよいですか?
- A介護士だけで薬の時間を変える判断はしません。服薬時刻、食事開始時刻、食べやすい時間、飲み込みにくさ、拒薬や落薬の状況を記録し、医師、薬剤師、看護職員、リーダーなど多職種へ共有します。
出典元の要点(要約)
日本老年薬学会
高齢者施設の服薬簡素化提言.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11125000/001266084.pdf
服薬簡素化にあたっては、表3に示した職種別の主な役割を参考とし,多職種で服薬簡素化の可否や実施方法等を協議する。その際には、入所者/入居者の生活状況や、服薬アドヒアランス、在宅復帰の可能性に加え、施設の職員配置等を考慮する。 介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員等は、多職種との情報共有(服薬介助の実施状況、薬の飲み込みにくさや落薬・拒薬の詳細、入所・入居前の服薬や生活状況、服薬介助に対する支援側の負担や問題等)を担う。
- Q怒りが出た時に交代してもよいですか?
- A怒りを感じたこと自体を責めるより、怒りのまま介助を続けないことを優先します。声が荒くなりそうな時は食具を置き、一歩離れ、リーダーや別職員へつなぐ判断が安全管理になります。
出典元の要点(要約)
日本看護科学学会
介護施設における認知症ケア実践者の精神的負担の概念分析.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/45/0/45_214/_pdf/-char/ja
属性を構成するのは【ケアの対象者にネガティブな感情を抱く】,【BPSD 対応に疲弊する】,【困難なケアへの不安を感じる】,【倫理的苦悩に押しつぶされる】,の 4 カテゴリーであった。 【ケアの対象者にネガティブな感情を抱く】については,〈対象者にイライラする〉,〈対象者に怒りや憎しみがある〉,〈対象者が怖い〉,〈対象者から面倒をかけられていると思う〉などが示されている。
- Q記録は長く書かないと意味がありませんか?
- A長文でなくても、時系列で事実を残すことに意味があります。服薬時刻、食事が止まった時刻、流涎、反応、むせ、口腔内残留、摂取量を短くそろえると、責任追及ではなくケア改善の材料にしやすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
ヒヤリ・ハット/事故報告の目的は、職員の責任追及ではなく利用者に対するケアの改善であり、仕組みを構築する際には、報告を活性化するための工夫が重要です。また、報告をケアの質向上やその後の事故防止につなげるために、報告様式の整備が重要です。発生状況をわかりやすく、時系列に沿って記載できることに加え、原因分析においては事実と推測を明確にわけ、本人・職員・環境、それぞれの要因別に検討できるようにするなどが効果的です。
迷った時は、分数や根性ではなく、覚醒、嚥下、流涎、反応、口腔内残留、食事量を見て、止める・記録する・つなぐ判断に戻します。
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現場では、食事介助中に急に反応がなくなり、流涎が増え、他の業務まで詰まると、優しくしたい気持ちより焦りが前に出ることがあります。本人が悪くないと頭では分かっていても、「いつまで付きっきりになるのか」と感じる瞬間はあります。
この記事で大切にしたいのは、食べない姿をすぐにわがままと決めつけず、かといって介護士だけが我慢し続けないことです。食べさせ切るより、止める・観る・記録する・つなぐを現場の最低ラインにします。
明日からの最初の一歩は、次の食事介助で一行だけ記録することです。服薬時刻、食事が止まった時刻、流涎、反応、むせ、食事量を短く残すだけでも、看護職員やリーダーへ相談する材料になります。
怒りを感じた自分を責めるだけでは、事故や不適切な介助のリスクは減りません。怒りが出た時ほど、食具を置き、一度止めて、状態を見える形にしてチームへつないでください。
最後までご覧いただきありがとうございます。
更新履歴
- 2025年9月17日:新規公開
- 2026年1月8日:最新情報に基づき加筆・修正
- 2026年2月14日:最新情報に基づき加筆・修正
- 2026年5月7日:内容を全面的にリライト
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