【介護】アルツハイマー型認知症の反復質問|薬より先に試すべき「環境調整」とは

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丁寧な対応を心がけても、多忙な現場では何度も呼ばれると感情が追いつきません。理想と現実に悩むのは、あなたが真摯に向き合っている可能性があります。

完璧なケアを続けようとせず、まずは脳の仕組みを知りましょう。負担を減らすポイントを絞ることで、自分も利用者も守れるようになります。

この記事を読むと分かること

  • 繰り返しの原因と脳の仕組み
  • 言葉に頼らない環境調整のコツ
  • 安心感を作るチーム対応の基本
  • 介護者の心理ケアと外部資源

一つでも当てはまったら、この記事が役に立つ可能性があります

  • つい「さっき言った」と怒る
  • 100回目の質問に疲弊している
  • スタッフで対応がバラバラ
  • 薬で解決したいと期待する

結論:アルツハイマー型認知症の「同じ質問」対策

男性入居者の画像

現場では「受容・共感」が基本とされますが、夜勤や人手不足の状況で、終わりのない質問に笑顔で答え続けるのは困難な場合があります。

「優しくなれない」と自分を責めないほうがよい場合があります。

言葉での説得には限界があると考えられます。個人の努力ではなく、まずは非薬物的介入として、環境や仕組みを変えることから始めることが考えられます。

言葉より「環境」を変えることが有効な場合があります

何度説明しても忘れてしまうのは、嫌がらせではない場合があります。脳の神経細胞の変化により、出来事記憶(新しい体験を覚える機能)そのものが障害されている可能性があるためです。

そのため「さっき言った」という事実は残りにくいと考えられます。言葉での説得に頼るのではなく、掲示物やメモを活用し、何度でも確認できる状況の繰り返し説明が重要となる場合があります。

出典元の要点(要約)

日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf

Alzheimer型認知症は、脳内に神経原線維変化とアミロイド蓄積が起こることで神経細胞死やアセチルコリンの低下を招き、認知症を発症した状態を指します 。典型的な症状は、緩徐に進行する出来事記憶の障害から始まり、次第に失語や遂行機能障害、視空間機能障害、人格変化などの社会的認知機能の低下へと進展します 。

日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン2017

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_03.pdf

認知症者の入院時には、離床センサー等による安全確保が必要である。また、環境変化や身体的な苦痛によるせん妄を防ぐため、家族の付き添いや、行動の抑制を避けるなどのケア、および状況の繰り返し説明が重要となる 。

対応の「バラつき」をなくして不安を減らす

「Aさんは教えてくれたのに、Bさんは教えてくれない」といった対応の差は、ご本人の混乱を深め、不安による質問をさらに誘発する可能性があります。

診断後の早い段階から、本人の希望に基づく将来計画や介護計画を作成し、チーム全体で一貫した対応方針を共有することが、重要となる場合があります。

出典元の要点(要約)

日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン2017

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_03.pdf

認知症者と家族の生活の質 quality of life (QOL)を高めるには、認知症と診断された早い段階から認知症を有しつつ生活する方法を伝え、社会資源へのつながりを促し、将来計画を考えるための診断後支援 post-diagnostic support が必要となる 。これには疾患教育、認知症カフェのような当事者コミュニティへの参加のほか、本人の意思を表明する文書作成、本人の希望に基づく将来の介護計画の作成まで含まれると考える国もある 。

同じ質問への対応は、薬よりもまず環境調整ケアの統一が優先される場合があります。記憶障害という病気の特性を理解し、言葉で戦わず、目に見える安心を作ることで、互いの負担を減らしていきましょう。


よくある事例:「終わらない質問」への具体的処方箋

入居者と女性介護職員の画像

「頭ではわかっているけれど、業務に追われるとつい冷たくしてしまう」。そんな現場のリアルな悩みに寄り添い、エビデンスに基づいた現実的な落とし所を解説することを目指します。

事例1:「ご飯はまだ?」の無限ループ

状況食直後なのに「ご飯は?」と聞かれ続け、業務が進まない。
困りごと「さっき食べた」と伝えても納得せず、怒り出すこともある。
よくある誤解言葉で事実を理解させようとする。
視点出来事記憶の障害により「食べた事実」が消えている可能性があります。説得ではなく、ホワイトボード等で「次の食事は〇時」と視覚的に示し、状況の繰り返し説明ができる環境を作ることが考えられます。
出典元の要点(要約)

日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf

Alzheimer型認知症は、脳内に神経原線維変化とアミロイド蓄積が起こることで神経細胞死やアセチルコリンの低下を招き、認知症を発症した状態を指します 。典型的な症状は、緩徐に進行する出来事記憶の障害から始まり、次第に失語や遂行機能障害、視空間機能障害、人格変化などの社会的認知機能の低下へと進展します 。

日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン2017

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_03.pdf

認知症者の入院時には、離床センサー等による安全確保が必要である。また、環境変化や身体的な苦痛によるせん妄を防ぐため、家族の付き添いや、行動の抑制を避けるなどのケア、および状況の繰り返し説明が重要となる 。

事例2:「家に帰ります」(夕暮れ時の帰宅願望)

状況夕方になるとソワソワし、出口へ向かおうとする。
困りごと止めると興奮し、転倒リスクが高まる。
よくある誤解「ここは施設ですよ」と正論で否定する。
視点不安の表れである場合があります。自尊心を尊重して否定せず話を聞きつつ、日時や場所の正しい情報を伝える(リアリティ・オリエンテーション)など、安心できる関わりを選択します。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理前特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf

リアリティ・オリエンテーション(RO)は、日時や場所などの正しい情報を繰り返し教示することで現実見当識を高める手法です 。最近のレビューでは、集団で行われるROは「認知刺激療法」の一環として扱われることが多いとされています 。

事例3:「スタッフによって対応が違う」

状況あるスタッフの時だけ穏やかで、別のスタッフだと荒れる。
困りごと対応のバラつきが利用者の混乱を招き、現場が疲弊する。
よくある誤解個人の「優しさ」や「スキル」の問題だけで片付ける。
視点属人化を防ぐチームケアが必要です。作業療法士等の専門職と連携し、アセスメント情報を共有することが考えられます。
出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

作業療法士は、認知機能、運動機能、言語機能など身体諸機能に関するアセスメント及び情報提供を行い、実施中のリハビリテーション情報提供や、病棟で実施可能なアクティビティや生活の中でのリハビリテーションに関する助言を行う。

どの事例も, 相手を変えるのではなく、こちらの環境関わり方を変えることで解決の糸口が見える場合があります。完璧を目指さず、まずは掲示物や統一した声かけなど、できる範囲の環境調整から始めることが考えられます。


なぜ「わかっていても」うまくいかないのか?

女性の介護職員の画像

「病気だから仕方ない」と頭では理解していても、人手不足の現場で対応を迫られると、つい感情的になってしまうことがあります。なぜ、これほどまでに対応が難しいのでしょうか。その構造的な原因を紐解きます。

脳の「記憶装置」が物理的に壊れているから

建前(理想)「さっき説明したから、覚えているはず」と期待する。
現実(現場)数分前の食事や説明が「なかったこと」になり、何度言ってもリセットされる。

これは本人の性格や努力不足ではありません。脳内の神経細胞の変化により、出来事記憶(新しい体験を覚える機能)や神経伝達物質(アセチルコリン)が物理的に障害されているため、「覚えること」が極めて困難な状態です。

出典元の要点(要約)

日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf

Alzheimer型認知症は、脳内に神経原線維変化とアミロイド蓄積が起こることで神経細胞死やアセチルコリンの低下を招き、認知症を発症した状態を指します 。典型的な症状は、緩徐に進行する出来事記憶の障害から始まり、次第に失語や遂行機能障害、視空間機能障害、人格変化などの社会的認知機能の低下へと進展します 。

不安な気持ちが「確認行動」として表れるから

建前(理想)事実を伝えれば安心するはず。
現実(現場)「違いますよ」と否定すると、かえって不安になり質問が増える。

質問は、自分が置かれた状況がわからない不安の裏返しです。こちらのペースで正論を伝えたり、自尊心を傷つけるような対応をしたりすると、防衛反応としてさらに確認行動(質問)が強まります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理性特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

環境からのストレスが「せん妄」を招くから

建前(理想)静かな環境で療養させてあげたい。
現実(現場)ナースコールの音、身体的な不快感、行動制限などが避けられない。

認知症の方は環境変化に弱く、入院や身体的な苦痛(痛み、拘束など)が引き金となって、意識が混乱するせん妄を併発することがあります。これが症状悪化の一因となることがあります。

出典元の要点(要約)

日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン2017

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_03.pdf

認知症者の入院時には、離床センサー等による安全確保が必要である。また、環境変化や身体的な苦痛によるせん妄を防ぐため、家族の付き添いや、行動の抑制を避けるなどのケア、および状況の繰り返し説明が重要となる 。

うまくいかないのは、あなたのスキル不足ではありません。脳の機能障害環境要因が複雑に絡み合っているからです。だからこそ、根性論ではなく「環境を変えるアプローチ」が重要と考えられます。


現場の「これって正解?」に答えるFAQ

日々の対応の中で「私の接し方はこれでいいの?」と不安になる瞬間があるかもしれません。

現場でよく聞かれる悩みに対し、エビデンスに基づいた回答を整理したものです。

Q
薬で「同じ質問」を止めさせることはできますか?
A
薬(コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチン)は、機能低下を遅らせるなどの長期的な便益は示されていますが、質問の繰り返しといった行動に対しては、まず非薬物的な介入(環境調整など)が優先される場合があります。
出典元の要点(要約)
日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf

201人の患者を6年間追跡した観察研究では、コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)の使用が機能障害や死亡までの期間を延長させ、メマンチンの使用も死亡までの期間を延長させる長期的な便益が示されています 。

日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン 2017 第6章 Alzheimer型認知症

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf

リアリティ・オリエンテーション(RO)は、日時や場所などの正しい情報を繰り返し教示することで現実見当識を高める手法です 。最近のレビューでは、集団で行われるROは「認知刺激療法」の一環として扱われることが多いとされています 。

Q
話を合わせるのは「嘘をついている」ことになりませんか?
A
ご本人の世界観や価値観を受容し、否定せずに聞くことはケアの大切な技法です。自尊心を尊重し、安心できる関わりを持つことが、大切です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理性特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

Q
どうしてもイライラしてしまい、自分を責めてしまいます。
A
介護者が教育的介入カウンセリングを受けることは、負担感やうつ症状の軽減につながる可能性が示されています。一人で抱え込まず、外部の相談資源を利用することが大切です。
出典元の要点(要約)
日本神経学会

認知症疾患診療ガイドライン2017

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_04.pdf

介護者への教育的介入に関するメタアナリシスでは介護負担感やうつ症状への小・中程度の効果が認められたが、QOL改善や施設入所抑制への効果は明確ではなかった 。電話カウンセリングはうつ状態改善に有意な効果が認められ、インターネットによる教育も有効性が示唆されている 。

正しい知識を持つことで「迷い」が軽減されることがあります。非薬物的介入を優先し、ご本人の自尊心を守る関わりを続けながら、介護者自身の心のケアも忘れずに行っていきましょう。


まとめ:「さっき言った」と戦わない。今日からできる環境調整の第一歩

何度も同じ質問を繰り返される毎日は、本当に心が折れそうになります。
現場の忙しさを知っているからこそ、笑顔でいられない自分を責める必要はありません。

大切なのは、言葉で説得しようとせず、脳の特性に合わせた環境調整を行うことだと考えられます。
出来事記憶の障害がある以上、言葉だけの説明には限界があります。

まずは明日、一番多い質問の答えを紙に書いて、本人の目に入る場所に貼ってみてください。
情報の見える化という小さな工夫が、あなたとご本人の安心につながる可能性があります。

一人で抱え込まず、時には外部のカウンセリングや相談窓口も頼ってください。
あなたの心に余裕を持つことが、何よりのケアにつながる可能性があります。

最後までご覧いただきありがとうございます。
この記事がお役に立てれば幸いです。


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更新履歴

  • 2025年9月19日:新規公開
  • 2025年10月21日:一部レイアウト修正
  • 2026年2月18日:より詳細なエビデンス(根拠)に基づき解説を充実させるとともに、最新のサイト基準に合わせて構成・レイアウトを見やすく刷新。

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