見当識障害で反復質問を繰り返す入居者への対応法

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受容が大事と知っていても、現実は人手不足のような戦場です。余裕がない時に理不尽に怒鳴られ、心が折れそうになるのは一般的に起こり得る反応といえます。

まずは「なぜ怒るのか」という脳の仕組みを知りましょう。自分を責めずに対応できる現実的なラインを、エビデンスに基づき整理します。

この記事を読むと分かること

  • 急に怒る脳の仕組み
  • 病型別の特徴
  • 不安とBPSDの関係
  • 自分を守る考え方

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 突然怒る理由が不明
  • 自分の対応を責める
  • 利用者が怖くなる
  • 人手不足で余裕なし

結論:「急に怒りっぽくなった」のは性格の問題ではなく、脳の器質的障害とBPSD(周辺症状)が原因と考えられます

介護施設の廊下で落ち着かない様子を見せる男性高齢者の姿。表情が険しく前かがみで立っており、認知症による不穏症状や徘徊リスク、転倒予防と見守り対応の重要性を示すイメージ。

「受容や共感が大切」という建前はわかっていても、実際の人員配置では一人ひとりにゆっくり向き合うのは実情が難しい実情です。

忙しい業務の最中に突然理不尽に怒鳴られると、「わざと困らせているのでは」と感じてしまうこともあるかもしれません。

しかし、その怒りは性格の悪化ではなく、病気による脳の仕組みが原因と考えられます。

ここでは、なぜ急に怒りっぽくなるのかをエビデンスに基づいて整理します。

脳の機能が低下する「器質的障害」が根本にあります

認知症は、ただの物忘れではなく、後天的に脳の組織が壊れる器質的な脳の障害です。

知能が広く継続的に低下していくため、本人は自分の状況を正しく認識しにくくなります。

周囲から見れば理不尽な怒りにあっても、本人にとっては機能低下による混乱から生じている行動と考えられます。

わざと意地悪をしてスタッフを困らせているわけではない可能性があるという前提を持つことが、対応の第一歩になります。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症とは,一旦正常に発達した知能が後天的に器質的な脳の障害によって広汎に継続的に低下し,日常的な生活を営めない程度にまで衰退した状態と定義されている。

病気の種類によって「脱抑制」や「人格変化」が初期症状として現れることがあります

認知症にはいくつかの種類があり、それぞれで初期に現れる症状が大きく異なる場合があります。

例えば、前頭側頭型認知症(FTD)という病型では、感情を抑えられなくなる脱抑制人格変化が初期症状として現れます。

「最近、人が変わったようだ」と感じる場合、それは性格の問題ではなく、この病気特有の症状である可能性があります。

病気の種類によって出やすい症状が違うことを知っておくと、客観的に状況を捉えやすくなる場合があります。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症の主な四病型には,初期症状として記憶障害や実行機能障害がみられるアルツハイマー型認知症(AD),転倒傾向・尿失禁が初期症状として現れる血管性認知症(VaD),幻視やパーキンソン症状が特徴のレビー小体型認知症(DLB),脱抑制や人格変化が初期症状となる前頭側頭型認知症(FTD)がある。

怒りや暴言は必ず起こる症状ではなく「周辺症状(BPSD)」に含まれることがあります

認知症の症状は、誰にでも起こる中核症状と、人によって出方が異なる周辺症状(BPSD)の大きく二つに分けられます。

記憶障害や認知障害といった中核症状に関連して、怒りや行動障害といったBPSDが現れることがあります。

このBPSDは、病気が重度だからといって必ず激しくなるわけではなく、疾患の重症度とは比例しないとされています。

つまり、怒りっぽい行動は病気そのものの進行度合い(重症度)とは比例しないと考えられます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

認知症の症状には、程度の差はあれすべての患者にみられる「中核症状」(記憶障害、認知障害、人格変化など)と、みられない患者もおり疾患の重症度と比例しない「周辺症状(BPSD)」(精神症状、行動障害)がある。

突然の怒りは性格の悪化やわざとではなく、器質的な脳の障害や病型の特徴、周辺症状(BPSD)と関連すると考えられます。病気の構造を正しく知ることで、現場での心理的な負担の軽減や、冷静な対応に繋がる可能性があります。

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介護現場でよくある「突然の怒り」の3つの典型パターンと押さえるべき視点

介護事務や記録入力中に、パソコンの前で考えを巡らせる女性スタッフ。背景には見守りカメラのモニター

現場では、「いつも通り接しただけなのに急に怒鳴られた」「前は穏やかだったのに人が変わってしまった」という声をよく耳にします。

建前では「受容」と言われても、実際の人員配置では予測できない怒りに振り回され、スタッフが疲弊しやすいのが実情です。

ここでは、現場で起きやすい典型的な事例を取り上げ、病気の仕組みからどのように状況を整理します。

いつもと同じ声かけなのに、今日だけ急に激怒された

状況入浴の声かけをいつものように行ったが、突然「うるさい!」と激怒された。
困りごと対応を変えていないのに怒られるため、接し方に迷いスタッフが疲弊する.
誤解自分の声かけのタイミングや言い方が悪かったから、怒らせたと思い込む。
視点怒りはスタッフのせいとは限りません。中核症状と関連する周辺症状(BPSD)の可能性があります。
出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症の症状には、程度の差はあれすべての患者にみられる「中核症状」(記憶障害、認知障害、人格変化など)と、みられない患者もおり疾患の重症度と比例しない「周辺症状(BPSD)」(精神症状、行動障害)がある。

穏やかだった人が、最近になって人が変わったように怒りっぽくなった

状況温厚だった利用者が、些細なことでスタッフに対して暴言を吐くようになった。
困りごと性格が変わってしまったと戸惑い、対応するのが怖くなってしまう。
誤解施設生活のストレスで性格が悪くなった、あるいは意地悪になったと解釈する。
視点病型によっては、初期症状として人格変化脱抑制が現れます。特に前頭側頭型(FTD)では理解が必要と考えられます。
出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症の主な四病型には,初期症状として記憶障害や実行機能障害がみられるアルツハイマー型認知症(AD),転倒傾向・尿失禁が初期症状として現れる血管性認知症(VaD),幻視やパーキンソン症状が特徴のレビー小体型認知症(DLB),脱抑制や人格変化が初期症状となる前頭側頭型認知症(FTD)がある。

意図がわからない理不尽な理由で攻撃的になる

状況スタッフが普通にケアをしているだけなのに、「何を企んでいる!」と疑われる。
困りごと理由のない怒りを向けられるため、ケアが進まず業務が滞る。
誤解本人がスタッフを個人的に嫌っている、またはわざと困らせようとしている。
視点器質的な脳の障害により状況を正しく認識できず、その混乱が怒りとして表出しているに過ぎない可能性があると捉え直します。
出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症とは,一旦正常に発達した知能が後天的に器質的な脳の障害によって広汎に継続的に低下し,日常的な生活を営めない程度にまで衰退した状態と定義されている。

突然の怒りは、スタッフの対応や本人の性格のせいではなく、器質的な脳の障害や病型の特徴、BPSDが引き起こす可能性があるものです。現場で起きる事例を病気の仕組みに当てはめて考えることで、自分を責めずに冷静な視点を持ちやすくなります。


なぜ「突然の怒り」が起きるのか?現場の対応だけでは防げない3つの原因

介護施設の廊下で顎に手を当て考え込む若い女性介護職員の様子。認知症ケアや不穏症状への対応方法、声かけの工夫、介護現場の課題改善を検討しているイメージ。

現場では「どんな時も本人の気持ちに寄り添おう」と教えられますが、実際は次々とコールが鳴る人員不足の中で、理不尽な怒りに毎回共感するのは難しい場合があります。

「自分の関わり方が悪かったから怒らせたのでは」と自分を責めてしまう前に、病気の構造から「なぜ怒るのか」を客観的に整理してみましょう。

ここでは、エビデンスに基づき、怒りを引き起こす根本的な原因を整理します。

脳の組織が壊れる「器質的障害」が根本にあるから

建前(理想)怒りの理由を深く理解して共感すべきとされる。
現実(現場)いくら理由を探しても理不尽な怒りに振り回され、精神的に疲弊しやすい。
原因認知症は、後天的に脳の組織が壊れる器質的な脳の障害です。混乱が言動として表出している可能性があり、前提の理解が重要と考えられます。
出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症とは,一旦正常に発達した知能が後天的に器質的な脳の障害によって広汎に継続的に低下し,日常的な生活を営めない程度にまで衰退した状態と定義されている。

「前頭側頭型」など、病気の種類によって初期症状が違うから

建前(理想)すべての方に同じように優しく接すれば、落ち着いてくれるはず。
現実(現場)同じように対応しても、特定の利用者だけが人が変わったように怒り出してしまう。
原因前頭側頭型認知症(FTD)では、脱抑制人格変化が初期症状として現れます。病気特有の症状として現れる場合があるのです。
出典元の要点(要約)

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症の主な四病型には,初期症状として記憶障害や実行機能障害がみられるアルツハイマー型認知症(AD),転倒傾向・尿失禁が初期症状として現れる血管性認知症(VaD),幻視やパーキンソン症状が特徴のレビー小体型認知症(DLB),脱抑制や人格変化が初期症状となる前頭側頭型認知症(FTD)がある。

記憶障害などの「中核症状」への不安がBPSDを引き起こすから

建前(理想)環境を整え、不安を取り除けば、怒りや暴言は未然に防げる。
現実(現場)不可能な場合があり、環境調整だけでは怒りを鎮めきれない場合がある。
原因怒りは中核症状に関連して現れる周辺症状(BPSD)です。疾患の重症度とは比例せず、すべての人に見られるわけではありません。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

認知症の症状には、程度の差はあれすべての患者にみられる「中核症状」(記憶障害、認知障害、人格変化など)と、みられない患者もおり疾患の重症度と比例しない「周辺症状(BPSD)」(精神症状、行動障害)がある。

突然の怒りは、現場の対応不足や本人の性格の問題だけではありません。器質的な脳の障害、病型の特徴、および周辺症状(BPSD)という構造的な原因を知ることで、自分を責めすぎずにケアと向き合うことができます。


認知症の「怒りっぽい症状」に関する現場のよくある疑問

現場でケアにあたる中で、「どうしてこんなに怒るのだろう」「症状が進行してしまったのか」と疑問や不安を感じる場面は多いと思います。

ここでは、現場で生じやすい小さな迷いに対し、病気の仕組みというエビデンスに基づいてお答えします。

Q
怒りっぽいのは認知症が進行して重症になったからですか?
A
必ずしも重症度とは関係ありません。怒りや暴言といった症状は周辺症状(BPSD)に分類され、疾患の重症度とは比例しないとされています。すべての方にみられるわけではないため、進行したからといって必ずしも怒りっぽくなるわけではありません。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

認知症の症状には、程度の差はあれすべての患者にみられる「中核症状」(記憶障害、認知障害、人格変化など)と、みられない患者もおり疾患の重症度と比例しない「周辺症状(BPSD)」(精神症状、行動障害)がある。

Q
最近、人が変わったように怒鳴るのですが、これも病気の症状ですか?
A
はい、認知症の病型によっては症状として現れる可能性があります。例えば、前頭側頭型認知症(FTD)では、初期症状として感情を抑えられなくなる脱抑制人格変化がみられます。性格が悪くなったのではなく、特定の病気による症状であることを知っておくと少し安心できるかもしれません。
出典元の要点(要約)
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症の主な四病型には,初期症状として記憶障害や実行機能障害がみられるアルツハイマー型認知症(AD),転倒傾向・尿失禁が初期症状として現れる血管性認知症(VaD),幻視やパーキンソン症状が特徴のレビー小体型認知症(DLB),脱抑制や人格変化が初期症状となる前頭側頭型認知症(FTD)がある。

Q
認知症の人は、わざとスタッフを困らせるために怒っているのでしょうか?
A
いいえ、意地悪やわざとではありません。認知症は後天的に器質的な脳の障害が起こることで知能が低下する状態です。本人が状況を正しく認識しにくくなっている結果として混乱が生じているとされており、スタッフを困らせる意図があるわけではないという前提を持ちましょう。
出典元の要点(要約)
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

認知症とは,一旦正常に発達した知能が後天的に器質的な脳の障害によって広汎に継続的に低下し,日常的な生活を営めない程度にまで衰退した状態と定義されている。

現場での迷いや不安は、病気の特徴や症状の出方を理解することで少しずつ解消しやすくなります。重症度と必ずしも比例しないことや、器質的な障害が根本にあることを念頭に置き、向き合うことが重要と考えられます。


まとめ:「急に怒る」認知症の背景を知り、自分を責めずに明日を迎えるためにと考えられます

認知症による突然の怒りは、本人の性格の問題ではなく、器質的な脳の障害や、不安から生じる周辺症状(BPSD)という病気の構造から生まれていると考えられます。

「理想のケア」ができない今の現場環境で、理不尽な怒りに晒されて心が疲弊するのは、あなたが一生懸命向き合っている一つのサインです。

明日からはまず、「この怒りは私のせいではない」と心の中でつぶやくことから始めることを検討してみてください。

余裕がある時に、本人が少しでも穏やかになった瞬間の言葉(推定意思)を一行だけ記録に残してみる。そんな小さな一歩が、自分とチームの心を守る力になり得ます。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。


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更新履歴

  • 2025年9月23日:新規投稿
  • 2026年2月20日:より詳細なエビデンス(根拠)に基づき解説を充実させるとともに、最新のサイト基準に合わせて構成・レイアウトを見やすく刷新。

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