入浴拒否「待つ」技術とは? 焦らず関わる専門的アプローチ

入浴拒否。焦らず関わる専門的アプローチ ハウツー

「お風呂、嫌だ!」と認知症の方から強い拒否。説得しても応じてもらえず、その後どうすればいいか分からず、ただ気まずい時間が流れる…。そんな経験はありませんか?

一つでも当てはまったら、この記事がきっと役に立ちます

  • 入浴を拒否された後、「次の一手」が分からず立ち往生してしまう
  • 無理強いはしたくないが、ただ待っていると時間が過ぎて焦ってしまう
  • 拒否後の沈黙が気まずく、つい余計な言葉をかけてしまいがち
  • 「待つ」ことが大事とは聞くが、具体的にどう待てば良いか分からない
  • 待っている間、「サボっている」と周りの目が気になる

▼この記事を知っていると

  • 入浴拒否の場面で「待つ」ことが、なぜ有効なケアなのか、厚生労働省のエビデンス(根拠)に基づいて理解できます。
  • 「ただ待つ」のではなく、ご本人の安心と次の行動を促すための具体的な「待ち方」の技術が学べます。

この記事では、「待つ」という行為を、厚生労働省の資料に基づいた専門的な介護技術として解説します。「焦り」や「気まずさ」から解放され、自信を持って関わるためのヒントがここにあります。まずは「結論」として、「待つ」ことの本当の意味から見ていきましょう。


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結論:「待つ」ことは諦めではなく、専門的な技術である

入浴拒否にあい、「待つ」という選択をした時、それは「何もしない」ことや「諦め」ではありません。厚生労働省の資料が示すように、「待つ」ことはご本人の意思を尊重し、安心感を提供するための根拠に基づいた専門的な技術なのです。

浴槽の画像

「待つ」ことで、本人が納得する時間を作る

厚生労働省の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」では、「時間をかけてコミュニケーション」を取り、「焦らせるようなことは避けなければならない。」と明確に示されています。「待つ」ことは、ご本人が状況を理解し、気持ちを整理し、次の行動を自分で決定するために必要な時間を提供する、積極的な支援の一部です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

進行は「本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要」であり、「焦らせるようなことは避けなければならない。」と明記。拙速な決定や急かしを避け、納得形成を重視する姿勢を求める。

「待つ」姿勢そのものが、安心を伝えるメッセージ

厚生労働省の「認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)」では、コミュニケーションは「『する』ものではなく『在る』もの」であり、「空間をともにする」ことが重要であると示されています。「待つ」という行為は、介護士が焦らず、急かさず、静かにそばに「在る」ことで、「あなたのペースを尊重していますよ」「急がなくても大丈夫ですよ」という安心感を非言語的に伝える強力なメッセージとなります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

基本姿勢として「コミュニケーションは『する』ものでなく『在る』ものとしてとらえる。」同時に「適切なコミュニケーション・スキル/技能は欠かすことが出来ない。」とし、態度と技能の双方を要求している。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「プロセス①····· 空間をともにする」「プロセス②····· 観る、聴く」など段階的関わりを明確化。実践の進め方を可視化している。

「待つ」時間は、本人のサインを読み取る観察の時間

ただ黙って待つのではありません。「待つ」時間は、ご本人の状態を注意深く観察するための貴重な時間です。厚生労働省のガイドラインは「身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力」を求めており、研修テキストでも「観る、聴く」ことの重要性が示されています。「待つ」間にご本人の表情が和らぐ、視線が合う、ため息をつくといった小さな変化(サイン)を捉えることで、次の適切なアプローチ(再度声をかけるタイミングや、別の提案など)を見つけることができます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

言語表出が難しい場合を想定し、「身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力」を求める。さらに「本人の表明した意思…尊重される。」とし、非言語情報を含めた意思確認と尊重が、支援の出発点であることを示す。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「空間をともにする」「観る、聴く」「対話する」「調整」「ともに行う」と段階化。関わり方の順序と内容を具体的に指し示す。

このように、「待つ」ことは決して受動的な行為ではなく、厚生労働省の資料に裏付けられた、ご本人の意思を尊重し、安心を提供し、変化を観察するための積極的な専門技術なのです。


よくある事例:「待つ」技術の効果

「待つ」ことがなぜ重要なのか、現場で起こりがちな具体的な場面を通して見ていきましょう。

ここに掲載する事例は、特定のケースを記録したものではありません。あくまで、厚生労働省の資料が示す「焦らせない」「時間をかけて関わる」「本人のサインを読み取る」といった基本原則を理解しやすくするための「例え話」として参考にしてください

女性の介護職員の画像

事例1:「待たない」関わりがもたらす悪循環

介護職員が、入浴の時間になったため、居室で座っている認知症のAさんに「Aさん、お風呂の時間ですよ」と声をかけました。Aさんは少し驚いた表情で「いや、まだいい」と答えました。

ここで、介護職員が「待たない」関わりを選ぶと、どうなるでしょうか。

  • 待たない行動例
    • 「でも、順番ですから行きましょう」(説得を続ける
    • 「体をきれいにしないとダメですよ」(正論で畳みかける
    • 「さあ、立ちましょうか」(次の行動を急かす

このような関わりは、厚生労働省のガイドラインが示す「焦らせるようなことは避けなければならない。」という原則に反する可能性があります。ご本人が「いや」という意思を表明したにも関わらず、それを尊重せずに行動を促すことは、「自己決定の尊重」の観点からも望ましくありません。

結果として、Aさんはさらに頑なになり、「うるさい!」「あっちへ行って!」と拒否がエスカレートしたり、介護職員との信頼関係が損なわれたりする可能性があります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

進行は「本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要」であり、「焦らせるようなことは避けなければならない。」と明記。拙速な決定や急かしを避け、納得形成を重視する姿勢を求める。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

基本原則は「本人の意思の尊重」であり、「自己決定の尊重」に基づく支援を行う。情報提供は、本人が有する認知能力に応じて「理解できるように説明しなければならない。」と明記。日常生活の具体場面でも、まずは本人の意思・選好を確認し、それを尊重する姿勢を前提とする。

事例2:「待つ」技術が生み出す肯定的な変化

同じ場面で、介護職員が「待つ」技術を使うと、どうなるでしょうか。

Aさんが「いや、まだいい」と答えた後、介護職員は次のように関わります。

  • 「待つ」行動例
    • 「そうですか、分かりました」(本人の意思を受け入れる
    • (すぐにその場を離れず、少し離れた場所から穏やかな表情でAさんの様子を「観る」
    • (Aさんが落ち着かない様子であれば、そばに寄り添い「空間をともにする」
    • (しばらく待ち、Aさんの表情が和らいだり、視線が合ったりしたタイミングで、再度非言語(ジェスチャーなど)で誘ってみる、または別の話題を提供する)

このような関わりは、厚生労働省のガイドラインが示す「時間をかけてコミュニケーション」の実践であり、「焦らせない」という原則を守っています。また、研修テキストが示すコミュニケーションの基本「『在る』もの」として寄り添い、ご本人の状態を「観る、聴く」ことに繋がります。

結果として、Aさんは安心感を得て、少し時間が経ってから自分から立ち上がったり、「やっぱり行こうかな」と気持ちが変わったりする可能性があります。たとえその日入浴に至らなくても、介護職員との信頼関係は維持され、次の機会につながる可能性が高まります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

基本姿勢として「コミュニケーションは『する』ものでなく『在る』ものとしてとらえる。」同時に「適切なコミュニケーション・スキル/技能は欠かすことが出来ない。」とし、態度と技能の双方を要求している。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「空間をともにする」「観る、聴く」「対話する」「調整」「ともに行う」と段階化。関わり方の順序と内容を具体的に指し示す。

このように、「待つ」ことは単なる時間経過ではなく、ご本人の意思を尊重し、安心感を提供し、次のステップへの変化を促すための積極的な関わり(専門技術)なのです。


理由:なぜ「待つ」ことが有効なのか?

入浴を拒否された場面で、なぜ「説得」ではなく「待つ」ことが有効なのでしょうか。その理由は、厚生労働省の資料が示す、認知症の人の特性とコミュニケーションの基本原則にあります。

女性の介護職員の画像

理由1:本人が状況を理解し、納得するための時間が必要だから

認知症の人は、情報を処理し、状況を理解し、次の行動を決めるまでに時間がかかることがあります。厚生労働省のガイドラインでは、「時間をかけてコミュニケーション」を取り、「焦らせるようなことは避けなければならない」と強調されています。「待つ」ことは、ご本人が「今、入浴を求められている」という状況を理解し、それに対してどうするかを自分で考える(自己決定)ための、必要不可欠な時間なのです。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

進行は「本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要」であり、「焦らせるようなことは避けなければならない。」と明記。拙速な決定や急かしを避け、納得形成を重視する姿勢を求める。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

基本原則は「本人の意思の尊重」であり、「自己決定の尊重」に基づく支援を行う。情報提供は、本人が有する認知能力に応じて「理解できるように説明しなければならない。」と明記。日常生活の具体場面でも、まずは本人の意思・選好を確認し、それを尊重する姿勢を前提とする。

理由2:「待つ」姿勢が「安心感」を伝えるから

拒否された後、介護士が焦ったり、イライラしたりする様子は、言葉以上に不安をご本人に伝えてしまいます。厚生労働省の研修テキストでは、コミュニケーションは「『する』ものではなく『在る』もの」であり、「空間をともにする」こと、つまり静かに寄り添う姿勢が重要だと示されています。「待つ」という行為は、「あなたのペースで大丈夫ですよ」という非言語的なメッセージとなり、ご本人の不安を和らげ、安心感を提供します。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

基本姿勢として「コミュニケーションは『する』ものでなく『在る』ものとしてとらえる。」同時に「適切なコミュニケーション・スキル/技能は欠かすことが出来ない。」とし、態度と技能の双方を要求している。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「空間をともにする」「観る、聴く」「対話する」「調整」「ともに行う」と段階化。関わり方の順序と内容を具体的に指し示す。

理由3:「待つ」ことで本人の「サイン」を捉えられるから

拒否の言葉の裏には、様々な理由(不安、混乱、体調不良など)が隠れている可能性があります。「待つ」時間は、ご本人の状態を注意深く観察するための時間です。厚生労働省のガイドラインは「身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力」を求めています。研修テキストでも「観る、聴く」ことの重要性が示されています。「待つ」間にご本人の表情や仕草の変化(サイン)を捉えることで、拒否の本当の理由が見えたり、次のアプローチのヒントが得られたりすることがあります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

言語表出が難しい場合を想定し、「身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力」を求める。さらに「本人の表明した意思…尊重される。」とし、非言語情報を含めた意思確認と尊重が、支援の出発点であることを示す。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「空間をともにする」「観る、聴く」「対話する」「調整」「ともに行う」と段階化。関わり方の順序と内容を具体的に指し示す。


FAQ(よくある質問)

現場でよくある「待つ」技術に関する疑問に、厚生労働省の資料を基にお答えします。

Q
具体的にどのくらい「待つ」のが良いのでしょうか?
A

具体的にどのくらい「待つ」のが良いのでしょうか?

A. 厚生労働省の資料には、待つべき具体的な「時間」は示されていません。大切なのは時間そのものよりも、「焦らせるようなことは避けなければならない。」という原則です。ご本人が状況を理解し、気持ちを落ち着かせるのに必要な時間は、その時々の状況や個人によって異なります。介護士はご本人の「表情の変化」などを注意深く「観る、聴く」ことで、次のアプローチのタイミングを判断する必要があります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

進行は「本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要」であり、「焦らせるようなことは避けなければならない。」と明記。拙速な決定や急かしを避け、納得形成を重視する姿勢を求める。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「空間をともにする」「観る、聴く」「対話する」「調整」「ともに行う」と段階化。関わり方の順序と内容を具体的に指し示す。

Q
「待って」も状況が変わらない場合はどうすればいいですか?
A

「待つ」ことは万能ではありません。しばらく待ってもご本人の拒否の意思が変わらない場合、その意思を尊重することが基本です。厚生労働省のガイドラインは「本人の意思の尊重」と「自己決定の尊重」を最優先としています。その日の入浴は無理強いせず、清拭などの代替ケアに切り替えたり、改めて時間を置いて関わるという判断も、ガイドラインに基づいた適切な対応です。ケアは「プロセスとして支援」するものであり、一度で完結させようとしない視点が大切です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

基本原則は「本人の意思の尊重」であり、「自己決定の尊重」に基づく支援を行う。情報提供は、本人が有する認知能力に応じて「理解できるように説明しなければならない。」と明記。日常生活の具体場面でも、まずは本人の意思・選好を確認し、それを尊重する姿勢を前提とする。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

本ガイドラインの支援は、「認知症の人の意思決定をプロセスとして支援」し、「本人が意思を形成することの支援(意思形成支援)」「本人が意思を表明することの支援(意思表明支援)」「本人が意思を実現するための支援(意思実現支援)」を含む。

Q
待っている間、具体的に何をすれば良いですか?
A

ただ黙って立っているだけではありません。「待つ」時間は、積極的にご本人を観察し、関わる時間です。厚生労働省の研修テキストが示すように、「空間をともにする」こと自体が安心感を与えるメッセージになります。また、ガイドラインが求める「身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力」を実践します。穏やかな表情でそばに寄り添い、ご本人の小さな変化(視線が動く、ため息をつくなど)に気づき、共感的な関わりを続けることが重要です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「プロセス①····· 空間をともにする」「プロセス②····· 観る、聴く」など段階的関わりを明確化。実践の進め方を可視化している。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

言語表出が難しい場合を想定し、「身振り手振り、表情の変化も意思表示として読み取る努力」を求める。さらに「本人の表明した意思…尊重される。」とし、非言語情報を含めた意思確認と尊重が、支援の出発点であることを示す。


まとめ

入浴拒否の場面で「待つ」ことは、決して「諦め」や「放置」ではありません。この記事で見てきたように、それは厚生労働省の資料に根拠を持つ、ご本人の意思を尊重し、安心を提供するための専門的な介護技術です。

「待つ」ことで生まれる変化

「嫌だ」という拒否に対し、すぐに説得しようとするのではなく、一度立ち止まって「待つ」。この時間は、ご本人が状況を理解し、気持ちを整理するための大切な時間です。厚生労働省の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」は、「時間をかけてコミュニケーション」を取り、「焦らせるようなことは避けなければならない。」と明確に示しています。また、「認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)」では、「空間をともにする」ことや「観る、聴く」ことの重要性が強調されており、「待つ」ことはまさにこれらの実践です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

進行は「本人と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要」であり、「焦らせるようなことは避けなければならない。」と明記。拙速な決定や急かしを避け、納得形成を重視する姿勢を求める。

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解(研修用テキスト)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

「専門職としてのコミュニケーション 5つのプロセス」を提示し、「空間をともにする」「観る、聴く」「対話する」「調整」「ともに行う」と段階化。関わり方の順序と内容を具体的に指し示す。

焦らず「待つ」姿勢は、ご本人に安心感を与え、信頼関係を築く土台となります。そして、「待つ」間にご本人の非言語的なサイン(表情の変化など)を読み取ることで、次の適切な関わり方が見えてきます。

「待つ」技術を身につけることは、介護士自身の「焦り」や「気まずさ」を軽減し、より質の高い、ご本人主体のケアを実現するための鍵となるでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



更新履歴

  • 2025年10月31日:新規投稿
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