【介護】「聞こえてるはず」が伝わらない理由。認知症ケアで誤解を生む3つのズレ

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寄り添うケアが理想でも、現場の人手不足や多忙さから、現実は作業をこなすだけで精一杯。そんな限界を感じている方もいます。

全てを完璧にする必要はないと考えられます。まずは相手の身体機能を知り、立ち位置などの物理的なポイントを絞るだけで、反応が変わることがあります。

この記事を読むと分かること

  • 反応を引き出す適切な立ち位置
  • 自尊心を傷つけない言葉選び
  • チームで環境を整える方法

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 声をかけると怒られることが多い
  • つい「後ろ」から話しかける
  • 「ちゃん」付けで呼んでいる
  • 無視される理由がわからない

結論:「無視」の背景は「拒否」ではなくアプローチの不一致

男性入居者の画像

現場では、「忙しくて一人ひとりの正面に回る時間なんてない」「認知症が進んで、何を言っても反応してくれない」といった諦めにも似た声が聞かれます。

一生懸命ケアしても無視されたり、怒鳴られたりすると、「自分は嫌われているのか」と心が折れそうになることがあります。

しかし、その反応はご本人の性格や病気の進行だけが原因ではありません。実は、こちらの立ち位置言葉選びが、ご本人の認識できる範囲や自尊心とずれているだけの可能性があるのです。

物理的な「立ち位置」「体勢」を見直す

「何度声をかけても反応がない」という時、ご本人の視野の外から話しかけてはいませんか?現場では、業務に追われているとつい、移動しながらや背中越しに声をかけてしまいがちです。

厚生労働省の資料に基づいた、身体的特徴に応じた関わり方のポイントは以下の通りです。

項目具体的なポイント
立ち位置相手が認識しやすい位置をとる
声の出し方はっきりとした聞こえやすい大きさ
伝え方の工夫身振りや手振りを織り交ぜる

また、麻痺や筋力低下がある場合は、立ったままではなく座ってもらうなどして安定した体勢を確保することも、コミュニケーションの土台となります。これらを意識することがポイントとされています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。

「幼児語」を使わず「自尊心」を守る

「優しく接したつもりなのに怒られた」という経験はありませんか?親しみを込めて「〜ちゃん」「〜でちゅね」と話しかけることが、現場ではよく見られます。

外部の認知症の方にも自尊心(プライド)を尊重することがポイントとされています。心理的特徴への具体的な配慮事項は以下の通りです。

項目具体的な配慮
自尊心幼児語を使わず敬意を払う
受容価値観や考え方、習慣を受け入れる
環境不快でない距離や目線の高さに留意

相手を敬い、ペースに合わせて気持ちを汲み取ることが、ポイントの一つとされています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する、相手の表情を確認しながら話しかける、相手のペースに合わせ気持ちを汲み取る、家族とだけ話したりせず相手を置き去りにしないといったポイントがある。

反応がないのは「嫌いだから」とは限らず、単に声が届く位置にいなかったり、言葉が自尊心を傷つけていたりするだけかもしれません。まずは立ち位置言葉遣いという、物理的・心理的なアプローチのズレを修正することから始めてみましょう。


現場ですれ違う「3つの瞬間」と「解決策」

男性入居者と女性介護職員の画像

現場でのすれ違いは、ご本人の性格の問題ではなく、アプローチのミスマッチが原因であることが多いです。具体的な3つのケースを比較してみましょう。

ケース1:何度呼んでも「無視」される

状況横から声をかけても反応がない
困りごと自分を無視していると感じて傷つく
誤解本人の性格や拒否だと捉えてしまう
押さえる視点視野の外で、自分への呼びかけと認識されていない可能性

エビデンスでは、「相手が認識しやすい立ち位置をとる」ことが推奨されています。まずは一歩、正面に回ってみることも考えられます。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す

ケース2:優しくしたのに「怒鳴られた」

状況「〜ちゃん」など幼児語で話しかけた
困りごと突然手を払いのけられる、怒鳴られる
誤解病気のせいで感情が昂っていると考える
押さえる視点「幼児語」は使わず自尊心を尊重することがポイントとされています。

「幼児語を使わず自尊心を尊重する」ことが明記されています。大人としての敬意を持つことが、不穏を防ぐ一因です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する、不快でない距離や目線の高さに留意する

ケース3:落ち着きがなく「座っていられない」

状況レク中、すぐに立ち上がってしまう
困りごと集団行動ができず介助者の負担が増す
誤解わがまま、あるいは意欲がないと判断する
押さえる視点椅子の高さや環境が身体機能と合っていない可能性

このような場合、個人の工夫で悩むより、専門的なアセスメントが行われることがあります。作業療法士(OT)の視点を活用しましょう。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

作業療法士は、認知機能、運動機能、言語機能など身体諸機能に関するアセスメント及び情報提供を行い、実施中のリハビリテーションの情報提供や、病棟で実施可能なアクティビティや生活の中でのリハビリテーションに関する助言を行う。

これらの事例は、利用者様の「性格」の問題ではなく、アプローチや環境の「ミスマッチ」によって起きているケースがあります。解決の糸口が見えてくると考えられることがあります。


なぜ「伝わらない」が起きるのか?3つの根本原因

女性介護職員の画像

現場での「理想」と「現実」のギャップは、以下の構造的な問題から生じています。

要因現場の現実(原因)エビデンス上のポイント
身体的要因動きながらの早口な声かけ足を止め、ゆっくり話す
心理的要因本人の意向を問わない一方的な指示置き去りにせず気持ちを汲む
環境的要因介護職のみでの抱え込み多職種チーム(D2ST)の活用

「動きながらの早口」は、ご本人の認識できる世界に情報として届いていない可能性があります。これらに留意することがポイントとされています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す、苦痛がないか確認しつつ表情に留意する、声の調子に気をつけてゆっくり話す、身振りや手振りを織り交ぜながら話すといったポイントがある。

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

精神保健福祉士は、入院前の療養環境に関する情報提供、退院後の療養環境に関する情報提供・提言、社会的資源の利用や退院を見据えた調整の要点に関する提言、経済的状況のアセスメントの情報提供を行う。

「伝わらない」のは、あなたの能力不足だけが理由ではありません。多忙な業務の中で、「物理的な位置」「心理的な配慮」「チームの活用」という3つのピースが、構造的に噛み合っていないことが課題の一つだと考えられます。

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現場の小さな迷いに答えるFAQ

日々の介助でふと感じる「これってどうすればいいの?」という疑問。エビデンスに基づいた解決のヒントをお伝えします。

Q
忙しいときでも、絶対に「正面」から声をかけないとダメですか?
A
理想は正面ですが、まずは相手が「認識しやすい立ち位置」にいることが重要です。移動しながらや背中越しではなく、足を止めて相手が認識しやすい立ち位置を確保することがポイントとされています。また、麻痺がある場合は安定した体勢を整えることも大切です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

身体的特徴に応じたかかわり方として、相手が認識しやすい立ち位置をとる、麻痺や筋力低下時は座ってもらうなど安定した体勢を確保する、はっきりとした声で聞こえやすい大きさで話す

Q
親しみを込めて「ちゃん」付けで呼ぶのも自尊心を傷つけますか?
A
はい。認知症であっても自尊心(プライド)は保たれています。親しみのつもりでも、幼児語や「ちゃん」付けでの呼びかけは相手を子供扱いしていると感じさせ、幼児語を使わず自尊心を尊重することがポイントとされています。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法-認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

心理的特徴に応じたかかわり方として、価値観や考え方、習慣を受容する、幼児語を使わず自尊心を尊重する

Q
関わり方を変えても改善しない場合、介護職だけで頑張るしかないですか?
A
いいえ。作業療法士等の専門職に相談することも考えられます。作業療法士は身体機能のアセスメントを行い、生活リハビリに関する助言を行います。また、後見人がついている場合は、民法858条に基づき本人の心身状態に配慮する義務があり、本人の意思を尊重することは職務上の義務であるとされています。
出典元の要点(要約)
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

作業療法士は、認知機能、運動機能、言語機能など身体諸機能に関するアセスメント及び情報提供を行い、実施中のリハビリテーションの情報提供や、病棟で実施可能なアクティビティや生活の中でのリハビリテーションに関する助言を行う。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

民法858条に基づき、心身の状態や生活状況に配慮しつつ本人の意思を尊重することは職務上の義務である。

現場の迷いの多くは、アプローチの基礎を再確認し、専門職チームの力を借りることで解消できることがあります。「一人でなんとかしなきゃ」という思いを少し手放し、ご本人の自尊心物理的な視野を意識することから始めてみることも考えられます。


まとめ:明日からの一歩:全部できなくても、立ち位置ひとつで変わる安心感

理想のケアができないことに葛藤を抱えるのは、あなたがそれだけ利用者様と真剣に向き合っているとも言えます。

現場が忙しくても、まずは「一歩正面に回る」「幼児語を控える」といった、小さな工夫から始めてみることも考えられます。

うまくいかない時は一人で抱え込まず、作業療法士などの専門職チームを頼ることも、プロとしての選択肢の一つです。

この記事が、あなたの心の負担を少しでも軽くし、明日の介助が穏やかになるきっかけになることがあれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。


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更新履歴

  • 2025年9月24日:新規投稿
  • 2026年2月18日:より詳細なエビデンス(根拠)に基づき解説を充実させるとともに、最新のサイト基準に合わせて構成・レイアウトを見やすく刷新。

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