【介護】急に怒る認知症の方への対応|BPSDとせん妄の違いを解説

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突然の暴言に「自分が悪いのか」と責めてしまう夜。理想のケアと人手不足の現実に挟まれ、心が折れそうな瞬間はありませんか。

全て完璧にするのは不可能。でもBPSDせん妄の正体を知れば、自分も利用者様も守るための現実的な一歩が見えてきます。

この記事を読むと分かること

  • せん妄の見極め方
  • BPSDがSOSの理由
  • 心を守る観察視点
  • 現実的な環境調整

一つでも当てはまったら、この記事が役に立つ可能性があります

  • 暴言に自分を責める
  • 急変を進行と諦める
  • 薬を望む自分に罪悪感
  • 帰宅願望に焦る

結論:急な暴言・興奮は「認知症の悪化」ではなく「体と環境からのSOSの可能性がある」

介護施設の廊下で、女性介護職員が車椅子に座る高齢男性を優しく見守りながら移動をサポートしている様子。利用者と笑顔で会話を交わしながら、安全に配慮して日常生活の移動支援を行っている介護現場の場面。

現場では、突然の暴言や興奮に対して「受容と共感が大切」と教わります。しかし、夜勤で職員が限られる中、他の方のコールも鳴り響く状況では、じっくり寄り添うことは難しいのが現実です。

「どうして急に怒り出したの」と焦り、すべてを自分の対応不足や認知症の進行のせいだと抱え込んでしまうこともあるでしょう。ですが、完璧な対応ができなくても、暴言や興奮の背景にある要因を知るだけで、気持ちが少し楽になることがあります。

突然の変化は「せん妄」などの可能性を疑う

認知症の方の様子が急におかしくなると、現場では「病気が進行した」と焦ってしまうことが多いものです。しかし、認知症とは明確に区別して考えるべき病態が存在します。

その代表的なものが意識障害せん妄です。これらは、急な体調不良や環境の変化などによって引き起こされることが多く、一時的な混乱状態を指します。

また、うつ状態による仮性認知症(認知症のように見える症状)なども、認知症の進行と見誤りやすい症状の一つです。こうした「認知症以外の要因」が隠れていないか、まずは立ち止まって考える視点が、自分自身のケアを振り返るきっかけになります。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

認知症と区別すべき病態として、意識障害・せん妄・加齢による認知機能の低下、うつ状態による仮性認知症・知的障害などがある。

周辺症状(BPSD)は疾患の重症度とは比例しない

認知症の症状には大きく分けて二つの種類があります。一つは、記憶障害や認知障害など、程度の差はあってもすべての患者にみられるとされる中核症状です。

もう一つは、暴言や徘徊などの精神症状や行動障害を指す周辺症状(BPSD)です。現場で私たちの心をすり減らすのは、主にこちらの症状でしょう。

ここで知っておきたいのは、周辺症状は疾患の重症度とは比例しないということです。患者によっては全くみられないこともあります。これはつまり、「認知症が重くなったから必ず暴れる」わけではないという事実を示しています。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

認知症の症状には、程度の差はあれすべての患者にみられる「中核症状」(記憶障害、認知障害、人格変化など)と、みられない患者もおり疾患の重症度と比例しない「周辺症状(BPSD)」(精神症状、行動障害)がある。

急な不穏を「認知症だから」と諦めず、身体的苦痛によるせん妄や、環境要因によるBPSDの視点を持つことが重要です。原因が分かれば、限られた人員でも「まず体調を確認する」等の具体的な一歩を踏み出せます。

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現場で起きている「困った行動(BPSD)」の典型パターンと対応

介護施設の廊下で腕を組み、困った表情を浮かべる若い女性の介護職員。人手不足や仕事の悩みに直面する介護士のイメージ

現場では、「傾聴しましょう」と教わっても、夕方の戦場のようなフロアで一人ひとりにゆっくり寄り添うのは物理的に難しいという現実があります。

ここでは、現場でよくある3つの場面について、時間をかけずにできる見方の切り替えを整理しました。

夕暮れ時の「家に帰る!」(帰宅願望・徘徊)

現場で最も焦るのが、夕方に起きる帰宅願望です。他の対応に追われている中で、徘徊が始まると本当に困ってしまいます。

状況夕方の多忙な時間に「子どもが待っている」と出口へ向かう。
困りごと転倒リスクが高まり、他の方への対応が止まってしまう。
よくある誤解施設だと説得しようとする。
押さえるべき視点徘徊は環境や関わりへの反応。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

また、本人を取り巻く環境や性格、家族のかかわり方に対する反応として現れる症状には「疑い深くなる」「不安・うつ状態」「徘徊」「イライラ怒りっぽく、攻撃的になる」「昼夜が逆転する(夜間に動き回る)」「自分から何かをしようとしなくなる」などがある。

浴室前での「お風呂なんて入らない!」(入浴拒否・易怒性)

入浴拒否も、スケジュール通りに進めたい現場のスタッフを悩ませる大きな課題です。大声を出されると、周囲も驚いてしまいます。

状況浴室前で足を踏ん張り、脱衣を拒んで大声で怒鳴る。
困りごと衛生管理ができず、予定通りにいかないことに焦りが生じる。
よくある誤解「お風呂嫌い」「わがまま」とラベルを貼ってしまう。
押さえるべき視点怒りは性格だけでなく環境への反応。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

また、本人を取り巻く環境や性格、家族のかかわり方に対する反応として現れる症状には「疑い深くなる」「不安・うつ状態」「徘徊」「イライラ怒りっぽく、攻撃的になる」「昼夜が逆転する(夜間に動き回る)」「自分から何かをしようとしなくなる」などがある。

スタッフを名指しする「財布を盗っただろ!」(物盗られ妄想)

一生懸命ケアをしているのに、突然泥棒扱いされるのは精神的にとても辛いものです。真面目なスタッフほど深く傷ついてしまいます。

状況特定のスタッフを名指しして「財布を盗んだ」と執拗に訴える。
困りごと冤罪をかけられたスタッフが疲弊し、関わるのが怖くなる。
よくある誤解事実を認めさせようとして強く否定する。
押さえるべき視点妄想はBPSDの陽性症状。
出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

認知症の症状には、程度の差はあれすべての患者にみられる「中核症状」(記憶障害、認知障害、人格変化など)と、みられない患者もおり疾患の重症度と比例しない「周辺症状(BPSD)」(精神症状、行動障害)がある。周辺症状は陰性症状(無気力、無関心、無言、うつ状態)と陽性症状(暴力、暴言、徘徊、独語、妄想、幻覚、過食、不眠)に分けられ、その割合は陰性症状が10%、陽性症状が90%とされる。

行動には理由があります。「困った行動」は本人の性格ではなく、環境への反応や疾患による症状です。この視点を持つことで、忙しい現場でも感情的にならずに対処しやすくなります。


なぜ急な不穏や暴言が起きるのか?現場で見落としがちな3つの原因

介護事務や記録入力中に、パソコンの前で考えを巡らせる女性スタッフ。背景には見守りカメラのモニター

現場では、「利用者の小さな変化にはすぐに気づくべき」という理想があります。心中でも、職員の配置が薄い時間帯や、日々の記録などの業務に追われていると、一人ひとりの細かなサインを見落としてしまうのが現実です。

なぜ、ある日突然、穏やかだった方が怒り出したりするのでしょうか。その背景には、認知症の進行だけではない、見落とされがちな原因が隠れています。

言葉にできない「体の不調」が背景にある可能性がある

建前(理想)バイタルチェック等で、体調の変化をすべて把握できる。
現実(現場)痛みを言葉にできず、急な不穏として現れるまで気づけない。

認知症の方が急に怒り出したり、混乱したりする場合、便秘や発熱などの身体的苦痛が原因となっていることがあります。これをせん妄と呼びます。

病気が進行したと決めつけず、まずは身体の不調といった認知症以外の要因を疑うことが大切です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

認知症と区別すべき病態として、意識障害・せん妄・加齢による認知機能の低下、うつ状態による仮性認知症・知的障害などがある。

騒がしい環境が症状に影響している可能性がある

建前(理想)できるだけ静かで落ち着いた環境を提供する。
現実(現場)ナースコールの音や声で常に騒がしく、調整する余裕がない。

暴言や興奮といった周辺症状(BPSD)は、環境からの刺激が関係することがあります。

本人にとって不快な刺激を取り除く環境調整を行うことがあります。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

神経心理学的検査から心理学的症候を捉え,身体機能評価からは転倒リスクを把握し,BPSD の評価からは症状緩和のための環境調整を行う。

本人の「どう生きたいか」という意思が置き去りになっている

建前(理想)本人のペースに合わせ、意思を尊重したケアを行う。
現実(現場)業務効率や安全を優先し、本人の意思を待つ時間が取れない。

拒否や徘徊の裏には、本人なりの理由や意思が存在することがあります。

安全を守ることはもちろん重要ですが、本人が自らの意思に基づいた生活を送れるようサポートする意思決定支援の視点が重要です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定支援とは、認知症の人が能力を最大限活かして自らの意思に基づいた生活を送れるよう、意思決定支援者が行う本人支援である。

急な不穏の背景には、言葉にできない身体の痛み、環境からの過剰な刺激、置き去りにされた本人の意思が隠れています。これらの根本原因に気づくことが、ケアの難しさを紐解く第一歩となります。

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BPSDやせん妄に関する現場の小さな迷いへの回答

現場では、教科書通りの対応が難しく「本当にこれでいいのだろうか」と迷う瞬間が多々あります。

ここでは、日々の業務の中で感じる「小さな疑問」に対して、ガイドラインやマニュアルに基づいた見解をお答えします。

Q
暴言や興奮が激しく、安全のために薬を使ってほしいと思うのは間違っていますか?
A
現場の安全を守りたいと思うのは当然のことです。しかし、症状を和らげるための環境調整を行うことが示されています。
出典元の要点(要約)
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第 2 版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

神経心理学的検査から心理学的症候を捉え,身体機能評価からは転倒リスクを把握し,BPSD の評価からは症状緩和のための環境調整を行う。

Q
業務に追われ、一人ひとりの気持ちをゆっくり聞く余裕がありません。どうすればよいですか?
A
長い時間をかけることだけが支援ではありません。大切なのは、本人が自らの意思を形成し、表明できるようなプロセスをサポートすることです。短い時間でも、本人が意思を伝えやすい関わりを意識することが支援に繋がることがあります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

意思決定支援とは、認知症の人が能力を最大限活かして自らの意思に基づいた生活を送れるよう、意思決定支援者が行う本人支援である。そのプロセスは、本人が意思を形成することの支援(意思形成支援)と、意思を表明することの支援(意思表明支援)を中心とし、意思を実現するための支援(意思実現支援)を含む。

Q
最近よく怒るようになったのは、認知症が末期になったからですか?
A
必ずしもそうとは限りません。暴言や徘徊などの周辺症状(BPSD)は、疾患の重症度と比例しないとされています。認知症が進行したから必ず暴れるわけではなく、別の要因が引き金になっている可能性があります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省

認知症ケア法ー認知症の理解

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

認知症の症状には、程度の差はあれすべての患者にみられる「中核症状」(記憶障害、認知障害、人格変化など)と、みられない患者もおり疾患の重症度と比例しない「周辺症状(BPSD)」(精神症状、行動障害)がある。周辺症状は陰性症状(無気力、無関心、無言、うつ状態)と陽性症状(暴力、暴言、徘徊、独語、妄想、幻覚、過食、不眠)に分けられ、その割合は陰性症状が10%、陽性症状が90%とされる。

現場の迷いに対して、エビデンスは「まずは環境を整えること」「意思決定のプロセスを支えること」「重症度だけで判断しないこと」を示しています。これらを知ることで、過度な不安を減らすことができます。


まとめ:BPSDやせん妄の理由を知ることが、自分と利用者を守る第一歩

日々、予測できない言動に向き合い続けるのは、想像以上に心をすり減らす仕事です。急な不穏や暴言が起きたとき、これからは「進行のせい」と諦めたり、自分の対応不足を責めたりしないでください。

それらはご本人の身体の不調環境の不快引き起こしている可能性がある、言葉にならないメッセージです。まずは「熱はないか」「まぶしくないか」と、無理のない範囲で観察することから始めてみましょう。

その一歩が、ご本人の安心に繋がり、結果としてあなた自身の心を守る盾になります。現場での葛藤を抱えながらも、利用者様のために歩み続けるあなたのケアは、決して間違いではありません。

この記事が、明日の現場での小さな安心につながれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。


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更新履歴

  • 2025年10月6日:新規公開
  • 2026年2月19日:より詳細なエビデンス(根拠)に基づき解説を充実させるとともに、最新のサイト基準に合わせて構成・レイアウトを見やすく刷新。
  • 2026年3月10日:サイト基準に合わせて構成・レイアウトを見やすく刷新。

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